(C)ONE Championship
シンガポール・インドアスタジアムで事前収録されたONE Championship「ONE on TNT 3」が2021年4月22日(木)配信された。大会の模様は、150カ国以上に配信され、米国ではTNT(ターナー・ネットワーク・テレビジョン)を通じて放送された。
コ・メインイベントでは、3連勝で波に乗るフライ級4位の若松佑弥(日本)と、同級5位でBJJ黒帯のリース・マクラーレン(豪州)が対戦。
試合はフルラウンドに及ぶ激闘の末、若松佑弥が判定3-0で白星を掴んだ。
「ランキング5位ながら、上位陣と何ら遜色ない実力の持ち主」であるマクラーレンを相手に若松は、1Rにマウントを奪われたものの、2R以降は、テイクダウンをがぶり、倒されてもすぐにスクランブルで立ち上がるなど、組み技で大きな進化を見せ、がぶりからヒザ蹴り、立ってもヒジ打ち、そして得意の右ストレートなど、打撃でも優位に立ち、強豪を見事に下した。
判定が「ユナニマス(3-0)」と告げられた時点で、マクラーレンは若松を指して敗北を認めると、コール後のインタビューで「心が折れた。ユーヤは強かった。何て言ったらいいか分からない」と、想像以上に力をつけてきた“リトルピラニア”の成長を称えた。
勝者は、ケージの中で「トップランカーを倒したので、タイトルマッチをやって、アドリアーノ・モラエスを倒して、僕が日本人初のフライ級チャンピオンになります」と力強くマイクアピールしている。
バックステージで若松は、マクラーレンを「今までの選手とは違って、負けられない気持ちの強さがすごい表われていた。試合してさらにマクラーレンがいいヤツだって言うのが分かった」と評すると、大一番の勝利を「KO勝ちだけではなく“競り勝てる”んだぞ、と言うのを見せられた。ここにきて、さらに別の自分を見ることができた」と、進化の手応えを語っている。
「ダニー・キンガッド、リース・マクラーレン、カイラット・アクメトフの3人と戦わないと、と思っていて、その中でも一番の難関だと思ったのはマクラーレンだった。それを攻略できたので、もう何も怖くない」という若松。果たして、次戦は2位のアクメトフか、それとも王者モラエスへの挑戦となるか。
コロナで今後のことは分からないから、いち早くモラエスとやってチャンピオンになりたい
──この試合を終えての率直な気持ちをお聞かせください。
「マクラーレンに勝つか負けるかは、僕にとって重要な事だったので、素直にホッとしています。負けたら終わりだな、と思っていました」
──テイクダウンのディフェンス、がぶりからヒザ蹴りが見事に当たっていました。これは対策してきたことですか。
「そうですね。前回の試合からずっと鍛えていて、コロナで試合が出来なかった期間も、グラップリングとかレスリングもずっとやっていて。そこでやっと(その成果を)見せる機会になったなと思います」
──若松選手の打撃がかなりヒットしていたように思いますが、リース・マクラーレン選手もかなり凌いでいました。どう感じましたか。
「今までの選手とは違って、負けられない気持ちの強さがすごい表われていて、3R目とかは特に、グラウンドでヒザ(蹴り)をやって、たぶん相手が相当落ちかけていたと思うんですが、それでも動いて立ち上がってきました。そういう辺りがトップ選手だなと感じました」
──マクラーレンの動きは、予想通りの展開でしたか。
「最初から組みに引きずり込まれるだろうと思って、そのつもりで練習してきて。ゲームプランとしては全てを練習してきて、何でも対処できるようにしていて、そこで殴って、削ってというのを意識して練習してきました。プランは2つくらい用意してて、1つは打撃でスカッと勝つ。もう1つは、判定まで行ったらどうなんだろうな、と感じていました」
──マクラーレンはどんな選手でしたか。
「以前から会ったことはあって、凄く気持ちの良い選手で好きな選手だったのですが、試合してさらにマクラーレンがいいヤツだって言うのが分かりました。でも、フェイスオフの時ですら、お互い気合い入りまくってたから、気持ちよく戦えました」
──今回の試合で特に苦労した部分はどんなところですか。
「やっぱり、テイクダウンに入ってくること──自分も切れたんですけど──タックルのフェイントとか、プレスをかけてきたので、それに対処するのが一番大変でした」
──実際、試合の中でマクラーレンがグラウンドに持ち込みバックを奪うところまでいきましたが、どのようにコントロールさせないようにしていましたか。
「(完全に)入られる前に対処するって練習から意識してきて、(バックから)足を入れられないとか、手首を掴ませないとか。いつもは、バックをしっかり取られてから逃げていたんですが、それをさせない練習を心がけていました。プレスはすごいあったし、一度マウント取られた時は危ないなって思ったのですが、(残り)時間も数十秒だったので、まあいいかなという感じでした」
──青木真也選手や八隅孝平さんとの練習の成果が出たと。実際にマクラーレンを相手にこれだけエスケープ、スクランブルできたことは、ご自身でも驚いていますか。
「正直、練習ではずっと出来ていたんですが、今まで試合でグラップリングを出したことがなかったので、それが試合でできた。特に、マクラーレンほど技術のある選手とやったことがなかったので、それが試合で対応できたのは自分でもビックリしました」
──今回の新たなパフォーマンスに納得する部分と、KO決着が出来なかった悔しさと、どちらが大きいでしょうか。
「倒すだけではなく、また違う展開にも自分は対応出来ると思えました。KO勝ちだけではなく“競り勝てる”んだぞ、と言うのを見せられたと思います。ここにきて、さらに別の自分を見ることができた。自分の強みが出せたというのが嬉しいし、驚きが大きいです。正直、あまり言いたくないですけど、パンチが当たらなくて判定まで引きずり込まれたら、いつもの自分の悪い癖で負けちゃうかもって不安だったのですが、トップ戦線にきて、自分の強みである打撃以外に、トップ戦線で競り勝てる強みを見つける事が出来たので、これからがワクワクしています」
──試合前に「リース・マクラーレンの心を折りたい」と言っていましたが、折る事が出来ましたか。
「正直、心の声が2R目くらいから聞こえて。自分も折れかけていたんですけど、その更に上を行けたので。自分としては、自分のゲームプランを実行できたのを褒めてやりたいです。以前から『全部で圧倒して相手の心を折る』って言っていたので、それがちゃんと有言実行できたかなと思います」
──試合のなかでグラップリング、スクランブルに開眼したかのように見えましたが、今後ダニー・キンガッドやデメトリアス・ジョンソンらと再戦した時にもその効果を発揮できそうでしょうか。
「そうですね。勝てますね。普通に断言しちゃいますけど。勝てるし、楽しみです。まずは、チャンピオンになりたいです。それで、防衛戦でダニーとかとやりたいです」
──ランキングを見てみると、次は2位のカイラット・アクメトフと対戦の可能性もありますよね。このマッチアップは考えたことはありますか。
「ありますね。全然あります。僕、ダニー・キンガッド、リース・マクラーレン、カイラット・アクメトフの3人と戦わないと、と思っていて。その中でも一番の難関だと思ったのは、リース・マクラーレンだったんです。それを攻略できたので、もう何も怖くないです」
──次は誰と戦いたいですか。
「次は誰が何て言おうと、(チャンピオンの)アドリアーノ・モラエスと戦いたいです。コロナで今後のことは分からないから、いち早くやって倒してチャンピオンになりたいです。それで防衛戦でアクメトフ、キンガッドを倒します」
【関連記事】朝倉兄弟と若松佑弥が濃厚スパーリング