RIZINフェザー級戦線で戦う朝倉未来(トライフォース赤坂)が、次戦についてクレベル・コイケ(ボンサイ柔術)との対戦を希望した。
トライフォース赤坂の堀鉄平代表による「堀塾ちゃんねる」で、朝倉未来は、まず、3月21日に名古屋で行われた『RIZIN.27』について言及。
フェザー級で行われたクレベル・コイケvs.摩嶋一整の一戦について「真嶋選手、強いですね」と口火を切ると、朝倉海も「(一本)取られると思わなかった」と、好勝負だったことを語った。
その上で、未来は「そろそろクレベルと俺になりそうですね。トーナメントやらないっぽいんで。人が集まってないんじゃないですか」と、フェザー級は今秋開催予定のワールドGPまで、日本代表枠を決めるワンマッチが続きそうだとし、あらためて「クレベル、やりたいっすね」と現在、日本で13連勝中の元KSW王者との対戦を希望した。
MMA27勝のうち23の一本勝ちを誇るクレベルについて、堀代表から「取られない?」と問われた未来は、「いや、分からないですけど、僕ももう何年も練習で取られてないので」と、寝技の防御に自信を見せると、「でもクレベルは打撃も強いんで、そこで1発もらっちゃったらヤバいですよね」と、強い寝技を持つがゆえに思い切りよく繰り出される打撃面を警戒した。
2020年11月の「RIZINフェザー級王座決定戦」で斎藤裕(パラエストラ小岩)に判定で敗れた未来は、斎藤との再戦を希望。大晦日に前DEEP王者の弥益ドミネーター聡志を1R KOに下し、王座挑戦権を掴もうとしたが、カイル・アグォン、摩嶋相手に連勝中のクレベルも王者との対戦をアピールしている。
摩嶋を三角絞めで極めたクレベルは試合後、「すぐに次の試合をしたい。自分が考えているのはベルトだから斎藤さんとやりたい。でも彼はずっと逃げている。ベルトを獲ったらずっと試合をしない。朝倉(未来)も同じ。2人とも分かっている。試合をしたら私が勝つ。2人してYouTubeばかり。でもほんとうファイターじゃない。私、待っています」と語っており、未来はそこにアンサーを返した形だ。
ともに斎藤チャンピオンとの対戦を希望するなか、未来は斎藤との試合を実現させるためには「クレベルとやった方が早いですね」と判断。海も「挑戦権を得られる」と兄の戴冠を後押しした。
YouTube企画でボートレースに20万を賭けて910万に増やし、暗号資産「IOST」投資で“億り人”となったことを明かすなど、格闘技以外でも成功している未来だが、闘志は衰えていないようだ。実は、本誌の取材で未来は、対戦相手を選ばないことを語っている。
「今、戦うのは誰でもいいんです。団体が決める相手とやろうと。クレイベル選手でもいい。もちろん斎藤選手と一番やりたいですけど、クレベル選手とやったら面白いんじゃないかなと思います。一度だけ練習したこともあるし、俺が倒すのか、極められるのか──面白い試合になるんじゃないですか」
クレベルがベルトへのこだわりを見せているのに対し、未来にベルトへの執着はない。あるのは、お金で買えないもの。自身の強さへの「納得」だ。
「先に斎藤選手とやって俺がチャンピオンになったとしても、またクレベル選手とやることになると思うんです。いずれやるんだったら別にどっちが先でもいいかなと。ベルトにこだわっているわけじゃないんです。ただ、ベルトを獲ったとしても“自分より強いやつがいる”と思われるのは気持ちよくない。それにクレベル選手とかヴガール・ケラモフって、斎藤選手よりワンチャンあって強いんじゃないかなと思って、そのへん全員とやってからでもいいかなと」。
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斎藤裕はYouTube方向転換「試合にフォーカスしてやるのが本筋」
一方、王者の斎藤裕も臨戦態勢に入っている。
2021年3月末日付けで、修斗世界フェザー級王座を返上。YouTubeの活動も「選手活動に関わるもの」に限定していくという。
自身のYouTubeで斎藤は、修斗世界王座返上について、RIZINでチャンピオンになったことで修斗の王座防衛が現実的ではなくなっていること、さらに修斗のフェザー級戦線を停滞させないことを理由に挙げている。
そして、「5月に試合をする方向で話が進んでいます。今年1年勝ち続けることで、さらに修斗に還元できるものもあると思っています。今年全勝で行きたいと思っています」と、5月23日の東京ドーム大会を次戦に定め、今秋開催のワールドGPを見据えていることを明かしている。
それに伴い、「YouTube活動は少しやり方を変えて、格闘技の選手活動がメインなので、動画を減らして選手活動に関わるものを出していき、今までのような頻度では更新できなくなります」と、YouTubeのための撮影は休止し、選手活動に関わる撮影を行っていくことを報告した。
「選手は試合で勝たないと何もない。ほんとうにこの1年が大事だと思っていて、いま何を優先すべきかを考えたときに、試合にフォーカスしてやるのが本筋だなとずっと思っていました。試合に向けて頑張る毎日を過ごすだけ。練習を一生懸命頑張ります。そして試合で勝ちますので応援、よろしくお願いします」と、決意を新たにした斎藤は、次戦で誰とどんな試合を見せるか。
しかし、5月のRIZIN2連戦に向け、準備を進めるファイターたちにとって悩ましい状況もある。新型コロナウイルスの感染状況だ。
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ドームで「上限5千人」は厳しいが──
4月12日に東京都は「まん延防止等重点措置」として、4月12日から5月11日までのイベントの開催制限を「大声あり」のスポーツイベントについては、「1万人超の施設は5千人まで」「1万人以下の施設は収容定員の半分まで」と発表した。
『RIZIN.28』東京ドーム大会の5月23日(日)時点で、どのような措置が取られるかは不明だが、チケットの先行発売が4月16日(金)に予定されており、主催者は刻一刻と変わる状況に対応する必要に迫られている。
また、大阪府内では4月5日から5月5日まで「まん延防止等重点措置」を実施も、4月13日には新型コロナウイルスの新規感染者が千人を超えたこともあり、吉村洋文知事は来週以降、感染拡大が収まらなければ、政府に「緊急事態宣言」を要請する考えを示している。
RIZINは東京ドーム大会の1週間後の5月30日(日)に丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で、『RIZIN.29』の連続開催も予定しており、こちらも先行発売は4月16日。“まん防”対象地域のスポーツイベントの入場制限は東京と同じ5千人以下に定められており、プロ野球やJリーグでは、チケットの新規販売を見合わせる動きも出ている。
一方、世界では、シンガポール開催のONE Championshipや、F1やMotoGPやといった国際レースでも、選手・関係者と外部の接触を遮断する“バブル”を形成し、厳重な感染防止策を講じた上で大会実施にこぎつけている。
RIZINでは、5月23日(日)東京ドーム大会から「RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント」を開幕することを発表しており、16選手による8試合を東京ラウンドと大阪ラウンドに振り分けて実施することになっている。
しかし、榊原信行CEOは、東京ドーム大会については「上限5千人では厳しい」と発言しており、2度目の延期となった場合は、5月30日の大阪大会からジャパンGP開幕、そして3度目の正直となる東京ドーム大会へと繋ぐプランも浮上してくるだろう。
果たして、5月23日と30日のRIZIN連続開催はどうなるか。主催者もファイターたちも難しい調整を続けている。