スパーで睾丸破裂、筋肉が落ちちゃうんじゃないか
【写真】ピュアレスリングにも挑戦したリトル(左)。表彰台1位はジャングルポケットの太田博久だった。
――リトル選手は、大きな怪我もしていますね。たしかローブローで手術をして。
「2019年の夏に、スパーリングでたまたまファールカップをしなかったんですよ。軽いマスのつもりだったので」
――たまたまマス、ですか(苦笑)。
「あっ、へんな意味じゃないですよ! それが、けっこうヒートアップしちゃって、サウスポーとオーソの形になったときに、ローがバチンと入って、めちゃめちゃ痛くて、40分くらいのたうち回ってて。さすがにこれはおかしいなと思ったので、そのままタクシーで病院行って、病院からまた救急車で違う病院に行ったみたいな形で」
――……辛そうです。どういう診断だったんですか?
「睾丸の破裂でした。もう1個完全にぐちゃぐちゃの状態で、修復不可能で、摘出しました」
――では、今は片方のみなんですね。手術のときは、もう結婚はされていて、心配だったんじゃないですか。
「子供のこととかよりも、やっぱり自分は格闘家なので、睾丸が1個潰れたら、バランスよく動けるのかなとか、男性ホルモンが減って筋肉が落ちちゃうんじゃないかという不安がすごいありました。実際、男性ホルモンの数値は低いんですよ。『薬を飲みますか』と言われたときに、男性ホルモンを入れるとドーピングになるという話もあって、そのままで練習も試合もしてるんですけど……」
──以前は、ネヴァダ州アスレチックコミッションなどは、外傷によって睾丸が外科的に取り除かれた選手や、自然に十分な量のテストステロンを生産できない選手が、テストステロン補充療法(TRT)を行うことを許可していましたが、2014年に禁止されていますね。しかし、確実に数値が落ちてしまうのはハンデにも感じます。
「いまのところ、特に筋肉が落ちたという感じはないです。周囲の心配ということで言えば、妻も『やれやれ』という感じで、気にしてないようです」
──それは、リトル選手が格闘技をすることに理解があるからではないでしょうか。
「たしかに超理解あると思います(苦笑)」
――リトル選手は、実は地上波デビューも果たしていますね。しかもゴールデンタイムに。
「あっ、『炎の体育会TV』ですね」
――2018年の『全日本マスターズレスリング選手権大会』58kg級決勝で、柔道で愛知県大会60kg級優勝というジャングルポケットの太田博久選手相手に、ピュアレスリングで勝負しました。
「あれは前年に、30歳を超えてから社会人でレスリングを始めた一般練習生の方が決勝に進出し、太田選手に敗れていたので、自分も挑戦してみようと思って。一緒に同じ目標を持って、やったことのない技術を一緒に試し合って、それがすごいためにもなったので、続けていきたいと思っています」