【写真】受刑者への指導で感謝状を受けるリトル
中学生になっても小柄で“リトル”と呼ばれた。桜庭和志がPRIDE GPを勝ち上がる姿を見て、格闘技のバックボーンが無いまま、ガッツマンに入門した。“篩に掛けられる”練習のなか、石渡伸太郎ら先輩の背中を追って、アマチュア修斗、プロ修斗、そしてPANCRASEで戦ってきた。
睾丸破裂、『炎の体育会TV』出演、受刑者への指導……気づけばキャリア10年を超え、35歳になっていた。まだ成し遂げていない、強くなれる──そんなリトルに、19歳のホープとの試合が舞い込んできた。
2021年2月22日(月)東京・渋谷TSUTAYA O-EASTにて開催される、ONE Championship「CLASTY Presents Road to ONE:4th Young Guns」での田上こゆる戦のオファーだ。
プロ修斗4戦無敗の新星を相手に“最も勝利を望まれない”十年選手は言う。「おっさんにも未来だらけだから、勝ちは譲れない」と。
大会は「ABEMA 格闘チャンネル」にて完全生中継され、「ONE Super App」にて世界同時ライブ配信が予定されている。
主催者に『勝ってすみませんでした』って言いたい
――今回の試合のオファーを聞いたときはどう感じましたか。
「1月の中旬から末にかけて聞いて、けっこう急だったので、大会自体があるのかどうかも分からないような感覚だったんですけど、『Road to ONE』という言葉を聞いて、これはチャンスだなと思って、すぐ受けたいなと思いました」
――対戦相手が、修斗4連勝中の田上こゆる選手と聞いて、断った選手もいたかもしれません。名前を聞いてどう感じましたか。
「もちろん名前は聞いたことがあって、若くて勢いもある選手だなということも聞いていました。でも、逆に修斗のランカー(ストロー級世界7位)でもあるし、勝つことで、そのレベルに自分の強さがあるということも証明できるわけなので、これはもう本当にチャンスだなと思いました」
――19歳の田上選手に対し、リトル選手は今大会最年長の35歳。そして『ガキには、未来しかない』というコピー。失礼ですが、ここまでベテランが勝ちを望まれていない試合は珍しいのではないかと思いました。
「ハハハッ、完全にこれヒールだなと思って。今回、僕はヒールに徹しようと思っています。逆に燃えますね、本当に。主催者に『勝ってすみませんでした』って言いたいですね」
――19歳という、リトル選手の半分くらいの若さについてはどう思いますか。
「19歳……自分はその歳の頃、まだ試合をしていないですからね。田上選手、BLOWSですよね。2008年、23歳の頃にアマチュア修斗で大宮フリーファイトで初めて試合をして、自分の1試合前が呑谷尚平選手(※2016年に肺がんで他界)が出ていてチョークで勝って、その後に自分が試合して判定勝ちでした。田上選手はBLOWSでもほんとうに新世代(※2015年全日本アマ修優勝)というか、勢いもあって、ガンガン行けてという感じだと思うんですけど、自分もずっとMMAをやってきているし、MMAの試合をすることで、相手にとってたぶん経験したことがないような、攻めとか間合いとかっていうのが結構あると思うので、そこ(年齢差)は経験値で埋めていこうかなと思っています」
――リトル選手のファイトスタイルは前のめりなところもあって、今回、第1試合と聞きましたが、10年選手のMMAで戦う部分と、盛り上げてほしいというバランスで悩むところはありませんか。
「どちらにせよ、僕が勝ったら、それだけで面白いと思うんです。もちろんお客さんが楽しむ試合というのは、僕は意識しないでも出来ると自分でも思っているので、そこはもう変に意識せずに、勝ちに行くことで面白い試合になると思います」
――コロナ前に結婚をされて、今は仕事もしながら練習をされているわけですよね。
「はい。フィットネスジムを2つ経営していて、いろいろ人に動いてもらったり、あと、府中刑務所に運動を教えに行ったりもしています」