MMA
インタビュー

【Road to ONE】無敗の19歳「平田樹選手が注目されますけど、試合が終わったら『田上こゆる、あいつヤバかったな』って」=2月22日(月)渋谷

2021/02/18 13:02
 2021年2月22日(月)東京・渋谷TSUTAYA O-EASTにて、ONE Championship「CLASTY Presents Road to ONE:4th Young Guns」が開催される。大会は「ABEMA 格闘チャンネル」にて完全生中継され、「ONE Super App」にて世界同時ライブ配信が予定されている。 【写真】(C)SUSUMU NAGAO/SUSTAIN  その第1試合に、プロ修斗4戦全勝の期待の19歳・田上こゆる(BLOWS/修斗世界ストロー級7位)が登場する。アマチュアシュートボクシングで日本一となり、全日本アマチュア修斗選手権優勝。プロでも4連勝の田上は、「日本格闘界、5年後の主役たち」をテーマに行われる同大会で、どんなインパクトを残すか。(前回・中村未来インタビュー) 組み、投げのあるシュートボクシングがMMAで生きている 【写真】前列右から3人目が、2015年10月の「第25回全日本アマチュア修斗選手権大会」ストロー級優勝の田上こゆる。その右隣がフェザー級優勝の野尻定由(4勝1分)、その隣がフライ級優勝の宇田悠斗(4勝1分)と負け無しのホープが揃っている。 ──2018年10月に、小田原アリーナでの「第25回全日本アマチュア修斗選手権大会」のときに、徹底した打撃とテイクダウンデフェンスで優勝した田上選手を見て、面白い選手が現れたなと思い、その場でインタビューさせていただきましたが、あの時、田上選手は「堀口恭司選手が好きです」と言っていましたね。大晦日の試合を見て、どう感じましたか。 「やっぱ強いし、好きやなーと思いました(笑)。堀口選手もアマチュア修斗で勝っているじゃないですか。戦い方も打撃ベースの選手で──構え方とかは僕とは違うんですけど──あの大きな怪我から復帰して、正直どこまで回復しているのかな、どういう試合するんかなと思ったんですけど……あんなきれいな勝ち方して、やっぱり、さすが強い人は違うなというところを見せてもらえたなと思います」 ──田上選手も打撃出身です。もともとはシュートボクシング出身で、小1から高2の途中まで及川道場でSBをやっていて、アマチュアシュートボクシングで日本一になった。組み・投げのあるSBの打撃が、田上選手の動きのなかに生きているように感じます。 「及川道場で打撃の基礎をずっと教えてもらってて、それはMMAでも、キックのスパーリングをしたときでも生きているなと実感していますね」 ──2月の修斗で、レスリングで全国高校三冠だった楳沢智治選手の手繰りを、首相撲からこかしたシーンも印象深いです。 「及川道場では首相撲もずっとやらせてもらってて、それは今ほんまにいろいろな場面で使えるなと思いますね」 ──及川道場がシュートボクシング協会を離れて、組み投げ無しのキックの試合が多くなって、よりMMAへの興味が膨らんだようですね。BLOWSに入ったきっかけは? 「ちょうどその頃に総合格闘技に興味を持って、寝技もやってみたいなあと思って、総合をやることにしました。BLOWSのことを調べたら、及川先生と中蔵先生が知り合いだったこともあって、総合をしたいというお話をしたら『いいでぇ』という返答をいただきました」 ──「いいでぇ」というのは中蔵代表らしいです(笑)。田上選手の打撃は堀口選手のような遠間からの鋭い飛び込みとは異なるものの、タイミングのいい打撃が持ち味のように感じます。アマ修のときは、カウンターの跳びヒザ、楳沢戦のときも相手のローに合わせて、真ん中を右ストレートで打ち抜きました。ご自身ではどう感じていますか。 「そうですね。カウンターも得意ですね。そのためにはもっと組み技を強化しないといけないと感じています」 ――12月の永井美自戒選手との試合では2R KO勝ちも、1Rではテイクダウンされました。組みのプレッシャーを感じて思うような動きが出来なかったのでしょうか。 「相手が組んでくるのは分かっていて、これまではそれに対処して戦えていたのですが、あの試合では力が入り過ぎて、パンチに頼り過ぎて蹴りも出せなくて……1Rに何回かテイクダウンされて、尻もちついて、ケージ際で立ちかけた場面もあったんですけど、一個一個、先手を取られて、最終的にはきれいにマウントを取られてしまいました。ちょうど、自分のコーナーのケージ側で『あとラスト40やぞ』という(中蔵)代表の声も聞こえて、しがみついて、とりあえずこのラウンドは乗り切ろうという気持ちで凌ぎました」 【写真】(C)SUSUMU NAGAO/SUSTAIN ――その劣勢の中で2R目に勝てたのは、カウンターの一撃だったと。 「そうですね。1R目に同じような場面で、僕も何発かもらってたんですけど、もらいながらもカウンターを取れて、相手が倒れていたので、このタイミングでもう1回当てれたら倒せるなという感覚はありました。2R目に同じような場面があったので、ここやと思って打ち合いをしたところ、きれいに右のパンチが当たって倒れたという感じですね」 ――前半、相手に前に詰められて固まってしまった。その後、チームではどんな課題を持ちましたか。 「もっとテイクダウン耐性、寝技の強化をしないといけないと実感しました。それは今までもそうやったんですけど、永井選手との試合のときは、得意の打撃も思うように使えなかった。その理由を考えて、それが分かってきて、そこをいま改善していて、次の試合に活かしたところを、成長できたところを見せられたらいいなと思っています。それに、これからは自分からタックルに行けるくらいまで自信をつけていきたいです」 [nextpage] 早くタイトルマッチまで行きたい ――田上選手、まだ10代ですよね。今回の大会は10代・20代の選手が多いので、まだフルタイムファイターではない選手がほとんどです。田上選手は、19歳でプロファイターで、ほかにも仕事をされているのですか。 「お父さんが現場仕事をしていて、そこに一緒に行かせてもらってます」 ――どんな現場仕事が多いのですか。 「父が重量鳶で、重たいタンクをレッカーで吊ったりするんですけど、それを吊るまでの玉掛けとか、そういう段取りをします。足場もたまにやったりとか、自分も鳶をやったりもしますね」 ――重量鳶は専門性が高いでしょうし、現場仕事は常に危険が伴いますね。仕事を終えてからジムに入るのは何時頃ですか。 「僕はいつも大体夜8時過ぎくらいからジムで練習を始めて、10時くらいまではやっていますね」 ――朝は何時からなんですか? 「朝はバラバラなんですけど、基本6時には動いています。ゆっくりな日でも7時には起きてますね」 ――ハードな日常ですね。今回の大会テーマが「Young Guns」で、若くて有望な選手が集まります。その大会に抜擢されたことについてはどう感じていますか。 「今回、まず大会が開催されることを聞いて、すぐにやらせてもらいたいなと思いました。オファーがあって素直に嬉しかったですし、ここは絶対に勝ちたいなと思いました。試合順を聞いたら、1試合目でやらせてもらえると聞いて、1試合目らしい元気な試合を見せていきたいなと思います」 ――及川道場で一緒だった有井渚海選手も、ルールは違えど、同じ大会に出ることについては、どんな思いがありますか。 「僕が及川道場を辞めるまで、ずっと一緒に、最初から最後まで練習してました。それに、去年の試合前の10月、11月あたり、2カ月間くらい、及川道場に打撃の出稽古に行かせてもらってましたし、同じ大会に出ることについては……いろいろ、です。嬉しい気持ちもあるし、負けたくないという気持ちもあります」 ――BLOWSからは、長田拓也選手、岩本達彦選手も出場します。ほかにも強豪選手が揃うBLOWSでの練習はどんな選手と組むことが多いのでしょうか。 「長田選手とは体格差もあるので、そんなしょっちゅうということでもないんですけど、たまに寝技も打撃も、スパーリング一緒に練習させてもらったりはしてます。体格的には、西村(大地)さんとか福島(秀和)さんとも組ませていただきますし、やっぱいろいろな先輩を見てきていて、強い選手もおるし、技術のうまい選手もいて真似したいというか、その取り組み方も見習いたい先輩はいっぱいいます」 ――今回の対戦相手のリトル選手のビデオもある程度見ていると思いますが、率直にどんな印象を持っていますか。 「けっこうオールラウンダーで、寝技も打撃もケージ際もけっこうできる選手やなと思いました。気の抜けない、少し今までとは違うタイプなのかなと思います」 ――オールラウンダーではあるけれど、振ってくるときは振ってくる。そしてレスリングもやりこんでいるベテランです。 「試合の映像も見させてもらったんですけど、僕のほうが打撃をうまいこと当てて、カウンターも狙えるかなとは思います。レスリングは、対処ができるほどの練習をずっと積み重ねてきてるので、今までみたいにめっちゃ焦ることはないと思います」 ――元々修斗から現在はPANCRASEを主戦場にMMAで20戦を戦っています。他団体の選手と対戦することを意識したりもしますか。 「あんまりPANCRASEだからって何かという意識とかはないです。どこの団体の選手でも負けられへんというのは同じなので、やることは一緒かなと思ってます」 ――現在、修斗世界フライ級ランキング7位。今後、上位ランカーと戦うためにも負けられない試合になると思います。この試合を通してどんな目標を描いていますか。 「今回の試合の目標は、一番目立つような試合でもちろん勝って、試合が終わったときには、みんなに僕の名前を覚えてもらえるような試合をしたいなとは思っています。今年の目標は、どの大会に出させてもらえるか分からないですけど、修斗で、まず僕より強いランカーの選手とやらせてもらって、早くタイトルマッチまでいけたらいいなと思ってます」 ――上位ランカーで気になる選手は? 「ランカーで気になる選手は、黒澤亮平選手(5位)、それに本田(良介)選手とは今年中にやって勝ちたいと思っていましたが……」 ――本田選手は3月のDEEP TOKYO参戦が発表されました。 「そうですね、DEEPに行っちゃいましたね。なので、黒澤選手と一番、対戦したいです。いま修斗で僕より上のランカー選手で、元チャンピオンの黒澤選手に勝てたら自信つくだろうと、自分自身は感じています。MMAのストライカー同士として、負けられへんというのもあります」 ――今回は大会名が「Road to ONE」で、ONEのルールが採用されることについてはどう考えていますか。 「グラウンドでヒザありのルールは、ONEに出ることを考えたら、しっかりと戦えるようにしたいです。ストロー級で上位に勝っていって、早く修斗のチャンピオンになって、ONEに行きたい。ONEでどこまで行けるのかを自分でも試したいです」 ――ONE Championship本戦で活躍中の平田樹選手が全面に押し出された大会です。自分にも注目してくれ、という思いもありますか。 「正直ありますね。平田樹選手がだいたいどの記事を見ても書かれてて、悔しいなというのはあるんですけど、試合が終わったら、『田上こゆる、あいつヤバかったな』って一番話題に出させてもらえるような試合をしたいなと思っています!」
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