お互い打たれ強くはない。待てるかどうか
互いのストロングポイントとウィークポイントを挙げながら、扇久保は試合展開を、「お見合いになる可能性もある」と指摘する。
「堀口選手も慎重になるだろうし、そこであんまり焦れて朝倉選手がガッと強引に雑に行ったりすると、逆に堀口選手が仕留めちゃう可能性もあると思う。お互い打たれ強くはないんで、すぐ終わっちゃう可能性もある」
ポイントは「待つことが出来るか」。
「僕がやった感じでは、堀口選手はあんまり“待てないタイプ”なんじゃないかなと。パンパンパンと(牽制して)やって、やっぱりガッて来る。めちゃめちゃフェイント入れてくるけど、思い切りもいい。変なことは考えず、もう常に倒そうという気でいて、迷いなく行く。インタビューでも言葉に迷いが無いのは、全てポジティブに考えているから。それが試合にもそのまま出ていると思う。そこの部分で前みたいにやっちゃうと(カウンターを)合わせられる可能性もある。そこで我慢できるか」
勝負どころで畳みかける強さとともに、「待つ」ことも出来るのが、いまの朝倉海だ。
かつて、和術慧舟會HEARTSでのプロ練習で海と拳を交えている金原正徳は、「最近の海の安定率の高さは『待つことができる』こと。昇侍戦も打ち合いになったときに、パッと打ち返しを見て右ストレートを入れた。堀口戦のときも当てて詰めて、堀口選手が大きく振ってきたのを待ってヒザ蹴りを入れている。ボクシングをやってテクニックがついて、そういう距離感が出来た。待てれば、彼はキックもパンチもボディも何でもできるから、その反応やスピードに対応できる選手はなかなかいない」と、自身のYouTubeで近年の朝倉の進化を評している。
扇久保も「海選手はイケイケなんですけど、やっぱり次男なんで、ズル賢いというところがあるんじゃないかと。お兄ちゃんの悪いところを見て、自分はここを直そうって。それが試合に出ているんじゃないかなと思います」と、朝倉の臨機応変さが強さとなっていると語る。
「有利不利で言ったら、僕は全然、今回は海選手の方が有利だとは思います。色んなことも含めて。手術とか(来日して2週間の)隔離とかもあるし。勢いとか流れってやっぱり、ほんとうの強さ以外のもので決まる場合があるんですよね。試合結果とか。流れってほんとう大事なんですよね……」という扇久保自身は、11月大会で、期待の新鋭・瀧澤謙太を退け、悪い流れを断ち切っている。
“おぎちゃん”は、2人のライバル同士の対戦の勝敗をいかに予想したか。「おぎちゃんねる。」では、勝者と、その理由が明かされている。