キックボクシング
レポート

【新日本キック】勝次が不運なダウンで畠山隼人に敗れ3連敗、ブラボは豪快KO、高橋亨汰が健太に逆転勝利

2020/10/25 21:10
新日本キックボクシング協会「MAGNUM 53」2020年10月25日(日)東京・後楽園ホール ▼第7試合 63.6kg契約 3分3R×勝次(藤本ジム/WKBA世界スーパーライト級王者)判定0-2 ※28-29×2、28-28〇畠山隼人(E.S.G/NJKFスーパーライト級王者)  勝次は2003年にプロデビューし、2015年にキャリア12年目にして新日本キックボクシング協会の日本ライト級王座に就いた。2017年にKNOCK OUT初代ライト級トーナメントへ参戦すると、1回戦の不可思戦、準決勝の前口太尊戦といずれも倒し倒されの大激闘を演じて一気に名を挙げ、決勝では森井洋介に敗れるも大きなインパクトを残した。2019年10月には悲願であったWKBA世界王座をTKO勝ちで獲得。12月にはREBELS王者の丹羽圭介を激闘の末に下したが、2月大会でロンペットY’Z D GYM(タイ)、9月大会で潘隆成(クロスポイント吉祥寺)に判定負けで連敗中。  畠山は2006年5月プロデビュー。2018年6月にNJKF王座を獲得し、昨年開催されたS1ジャパントーナメント65kg級では決勝戦で中野椋太に敗れて優勝を逃したが、今年2月の防衛戦では真吾YAMATOを薙ぎ払うような左右フック連打で2R2分46秒、TKOに下して防衛に成功した。8月にはJAPAN KICKBOXING INNOVATIONのリングに乗り込み、INNOVATIONスーパーライト級王者・橋本悟(橋本道場)を2RにKOで仕留めた。  1R、両者強い右ローを蹴り、ジャブを突きながら右ストレートを狙う。前に出て圧力をかけるのは畠山。ジャブとはいえ重い左、そして右の強打を勝次に放つ。勝次は飛びヒザ蹴りを仕掛けるが、畠山がフックで迎え撃ち、コーナーに詰めて勝次の顔面とボディへ連打を見舞った。  2Rも圧力をかけて前に出るのは畠山。強打が勝次を襲う。しかし、勝次が蹴り続けてきた右ローも効果を表し始める。コーナーへ詰められた勝次は右ストレートで逆襲すると、右ストレート、左ボディで逆に前へ出る。勝次の右が畠山の顔面を捉えた。  3R、パンチの連打で攻勢に出た勝次が、コーナーを背負った畠山に飛びヒザ蹴りを放ったところで右フックを合わせられてダウン。「ダウンじゃない」とアピールする勝次だがこれは受け入れられず。そこから勝次が右ストレート、左フックで猛攻を加え、相打ちになる場面も。畠山も打ち合って激しい攻防となり、勝次が右ローも蹴って優勢になって終了。 (写真)この飛びヒザ蹴りに右フックを合わせられて転倒し、ダウンを取られた しかし、勝次の追い上げはならず判定2-0で畠山が勝利。勝った畠山も納得のいかない表情だった。 ▼第6試合 70kg契約 3分5R〇リカルド・ブラボ(伊原道場アルゼンチン支部/日本ウェルター級王者)TKO 2R 1分35秒 ※左フック×幸輝(インタージム/TENKAICHIキックボクシングウェルター級1位) (写真)最初のダウンを奪ったブラボの左フック アルゼンチンからのキックボクシング留学生ブラボは、前回9月大会で津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム)と接戦の末にドロー。今回は沖縄TENKAICHIで活躍する幸輝を迎え撃った。 (写真)2度目のダウンも左フックの連打 1R、互いに強いローの蹴り合いをする中、ブラボが左ジャブ、左フックをヒットさせていく。左に手応えをつかんだか、ブラボは左を狙い撃ちにし、幸輝がローを蹴ってきたところに左フックを合わせてダウンを奪う。続けて左フック3連打でグラつかせたところでスタンディングダウンに。幸輝が立ち上がったところでラウンド終了。  2R、幸輝はダメージを感じさせないスピードのある蹴りを放つ。さらに強気にブラボと打ち合う。ブラボはしっかりとジャブを突き、左フックで幸輝をグラつかせる。重い蹴りで対抗した幸輝だったが、足を止めて打ち合ったところで幸輝が左フックを放ったと同時にブラボが左フックを振り抜いた! 瞬時に崩れ落ちる幸輝。レフェリーがすぐにストップし、ブラボの豪快なTKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第5試合 62kg契約 3分5R〇高橋亨汰(伊原道場本部/日本ライト級王者)判定2-0 ※48-47、48-48、48-47×健太(E.S.G/WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者)  高橋は極真空手出身で、兄は極真会館第12回全世界空手道選手権大会4位の高橋佑汰。2015年10月にキックボクシングデビューし、多彩な蹴り技で2019年7月に日本ライト級王座に就いた。9月大会ではNJKFライト級2位・野津良太(E.S.G)に初回TKO勝ちを収めている。  健太は2005年1月にプロデビューした大ベテランで、これまでNJKFウェルター級&スーパーウェルター級王座、Krushスーパー・ウェルター級王座、WBCムエタイ日本ウェルター級王座を獲得。長年にわたってNJKFのエースとして団体をけん引してきた。2011年9月にはK-1 WORLD MAXにも出場し、近年はONE Championshipを舞台に世界で戦う。しかし、ONEでは強豪ムエタイ選手との対戦が続き、9月のNJKFではWBCムエタイ日本統一スーパーライト級王者・北野克樹(誠至会)に判定2-1で敗れ、2019年6月以来白星から遠ざかっている。  1R、健太は左右ローでサウスポーの高橋の前足を狙っていく。高橋は顔面前蹴りをタイミングよく何度も決め、健太はフェイントにも警戒する。健太は前へ出ると同時に放つ右ストレートをヒットさせた。 (写真)高橋逆転の右フック 2Rは高橋がワンツーを打って行くが、健太はブロックして右ミドル。左手で高橋の右手を叩いてからの左ジャブ、そして右ヒジを狙う健太。右ボディブローも突き刺す。  3R、ジャブの突き合い、縦ヒジの打ち合いが見られるが、それに続く右のパンチをヒットさせていくのは健太。高橋は左ハイを蹴るがヒットは奪えない。  4R、ジャブを突きまくる健太は焦れて前に出てくる高橋に左フックのカウンターを奪う。さらに右のパンチを顔面とボディへ、ミドルやローも蹴って攻撃を散らし、高橋を翻弄する。高橋も左ストレートをヒットさせたが、健太のペースに。  5R、ジャブ、右ストレートをしっかりと当てていく健太が右ヒジ、右ミドル、左ボディで圧倒的な攻勢。翻弄され、コーナーに追い詰められた高橋だったが、起死回生の右フック。これで健太がダウン。まさかの逆転劇に大きく沸く場内。一気にパンチで襲い掛かり、顔面前蹴りで健太を吹っ飛ばした高橋だったが、スタミナ切れもあり健太を追い込むことができず、判定2-0で高橋が劇的な勝利を飾った。 ▼第4試合 53kgkg契約 3分3R△泰史(伊原道場本部/元日本フライ級王者)ドロー 判定0-0 ※29-29×3△景悟(LEGEND GYM/J-NETWORKアマチュア全日本選手権フライ級優勝)  泰史は2月のWKBA日本タイトルマッチ、9月の心直戦と連敗しており、2020年は試練の年に。今回対戦する景悟はJ-NETWORKアマチュア全日本選手権フライ級で優勝し、プロ戦績も3戦3勝(1KO)と無敗の新鋭。  1R、序盤に泰史が左フックをヒットさせ、パンチで前へ出る。接近してのパンチがキレる泰史は右ヒジもヒットさせるが、景悟が首相撲からのヒザ蹴りで流れを変える。パンチを狙う泰史に景悟はミドルで応戦。  2R、泰史がジャブを突くと必ず左右ローを返す景悟。伊原会長から「蹴り返すんだ!」との檄を受け、泰史もローを蹴り返していく。景悟は左ミドルで応戦。終盤、泰史の右が連続ヒット。  3R、泰史のパンチに左ミドルで応戦する景悟。泰史も右ローを蹴り返す。右のストレート、フック、そして左右ボディで攻勢に出る。景悟はコーナーに詰まりながらも左ミドル、右ロー、そしてヒザ蹴りで必死の応戦。甲乙つけがたい熱戦はドローとなった。 ▼第3試合 女子55.34kg契約 2分3R×七美(真樹ジムオキナワ)判定0-3 ※29-28、28-30×2〇KAEDE(LEGEND)  七美は女子中学生キックボクサーとして早くから注目を集めたが、プロでは1勝5敗1分の戦績と伸び悩んでいる。対するKAEDEはアマチュアで6つのタイトルを獲得してプロ入りし、戦績は2勝1敗。  1R、互いに左右ミドル&ローを蹴り合う両者。ミドルを蹴られれば相手もすぐに蹴り返すという一歩も譲らない展開。KAEDEはワンツーも繰り出す。  2R、蹴り足をキャッチしての攻撃を互いに上手く使い、首相撲になっても崩してヒザを蹴り合う。左ミドルをヒットさせるのは七美だが、パンチはKAEDEが当てる。  3R、左ミドルと右ローで攻勢に出る七美だが、KAEDEはワンツーをヒットさせ首相撲に持ち込むと鋭いヒザ蹴り。下がりながらも蹴る七美にKAEDEはパンチを当てに行き、ミドルも蹴り返す。さらにヒザ蹴り。KAEDEが判定3-0で好試合を制した。 [nextpage] ▼第2試合 女子51kg契約 2分3R〇アリス(伊原道場本部)判定3-0 ※30-29、30-28、30-27×上野hippo宣子(ナックルズGYM)  アリスは現在16歳。日本人の父とイスラエル人の母のハーフで、4歳から伊原道場で練習を積み、2019年3月にプロデビュー戦を勝利で飾った「ミスセブンティーン2018」の美少女モデル。9月のプロ2戦目でERIKOに判定負けを喫し、今回が再起戦。上野はプロキャリア6戦目ではあるが、まだ白星がなく初勝利を目指す。  1R、出会い頭に強烈な右ミドルで快音を場内に響かせたアリス。上野はパンチを振り回して接近するが、アリスも組み付いてクリンチ状態になる場面が目立つ。アリスは前に来る上野にジャブを合わせていく。  2R、パンチに押されると組み付いてしまうアリスだが、離れると右ミドル、右ローをクリーンヒット。上野はひたすら前進してフックを繰り出し、アリスを下がらせる。  3R、ジャブを連続してヒットさせたアリスは右で蹴る。それでも組み付いてしまうが、伊原会長から「ヒザを真っ直ぐ蹴れ!」と声を受けるとヒザをボディに突き刺す。そこからのパンチの打ち合いでもジャブで上野をのけ反らし、右ミドルを蹴って優勢を印象付け、判定3-0で勝利を収めた。 ▼第1試合 女子49kg契約 2分3R×オンドラム(伊原道場本部)判定0-3 ※27-30×2、28-30〇ERIKO(ファイティングラボ高田馬場)  9月大会でアリスに初黒星を付けたERIKOが、今回もアリスと並ぶ伊原道場期待の女子選手オンドラムと対戦。オンドラムは今年2月にデビューしたばかり(1敗)。ERIKOは2勝1敗。  1R、パンチで前に出るオンドラム。互いに右のパンチをヒットさせ合う中、ERIKOがボディへの前蹴りとヒザ蹴りで攻勢に。  2Rもパンチで前に出るオンドラムだが、ERIKOも打ち合い、首相撲からのヒザ蹴り連打でオンドラムの動きを止める。さらに前蹴りで追撃するERIKO。  3R、いきなり首相撲に捕まえてのヒザ蹴りを連打するERIKOだが、打ち合いになるとオンドラムの右フックを被弾するが、再び首相撲に捕まえてのヒザ蹴りを連打。判定3-0でERIKOが勝利した。 ▼オープニングファイトジュニア 女子43.5kg 2分2R×曽我さくら(クロスポイント大泉/NJKF EXPLOSION女子クラス43kg級王者)判定0-3 ※19-20×3〇安黒珠璃(闘神塾/NPO法人全日本グローブ空手道連盟 全日本大会優勝)
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