2025年2月9日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館『K-1 WORLD MAX 2025』の追加対戦カード発表記者会見が、1月31日(金)都内にて行われた。
-58kg契約3分3R延長1Rで、大久保琉唯(K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)vs.竹見浩史郎(JAPAN TOP TEAM)の異色対決が決定。
大久保は、2022年6月の『THE MATCH 2022』で那須川天心の弟・龍心に勝利。9月は初代Krushフライ級王座決定トーナメントを制し、プロ4戦目にして王座に就いた。2023年6月、バンタム級ワンマッチでアマチュア時代のライバル・齊藤龍之介と対戦し延長判定で敗れてプロ初黒星を喫するも、10月に黒川瑛斗を判定で下して再起。2024年7月と9月の「K-1 WORLD MAX 2024 -55kg世界最強決定トーナメント」では準決勝で玖村将史を破る番狂わせを演じたが、決勝で金子晃大にKOで敗れた。12月にはKrush王者の璃明武を破っている。戦績は9勝2敗。
竹見は6歳からボクシングを始め、小学・中学生時代に全国優勝、2016年全国高等学校ボクシング全国選抜大会フライ級準優勝、2018年全国高等学校総合体育大会ボクシング競技会ライト級ベスト16、2018年国民体育大会ボクシング競技会ライト級ベスト8の好成績を残した。大学中退と共にボクシングからも離れたが、もう一度格闘技をやりたいとの想いからアルバイト先と近かったJTTに入門。2024年5月のDEEP浜松大会でプロデビューしてTKO勝ち、9月のDEEPではオープニングファイトのアマチュアSPルールで松井優磨に一本負け。
2年前に『KNOCK OUT』のアマチュア大会に出場したことがあり、反則で減点されて負けたことがあるというが「その頃より圧倒的に強くなっています」と竹見。
宮田充K-1プロデューサーはこのマッチメイクについて「年末の渦中の中で大久保選手から自分も大晦日に加わりたいとの名乗りがあり、RIZINとも協議したが残念ながらふさわしい対戦相手が見つからず大晦日の参戦はなくなりました。次の試合は当初は春くらいと考えていたんですが、Xでいつでも戦える準備があると。早く試合したいとアピールしていたのを見て、2月9日に考えられるのかと聞いたところ即答で行けるということで。それが1月中旬くらいでどんな戦いがいいんだろう、と。
雷神番外地があったが、K-1番外地ではないけれど他流試合の要素が含まれた試合が出来ないかとRIZINに相談して、RIZINから刺客として送り込んでもらう、いい相手がいないかと相談したところ手を挙げてもらえたのが竹見選手でした。JTTと言えば朝倉未来選手率いる国内有数のジムだし、番外地とは違うけれどそういう香りが漂うカードであると思います。
竹見選手も戦うことに恐れがない。このタイミングで、K-1のリングでK-1ルールで、本来は56kgがベストで58kgで作ってきてくれるとのことで。今回の戦いもそうですが、今後のK-1の中で新たな可能性を秘めたカードであると思っています。この場を借りて急遽の呼びかけに竹見選手を送り出してくれたRIZINとJTTに感謝を申し上げます」と、経緯を説明。
大久保は「急遽の試合ですが、自分も大晦日へ向けて準備はしてきて、9日に弟も試合をするので一緒に追い込みしていたので急遽でしたが全然やってやるという気持ちで嬉しかったです。他団体の選手ですが、僕から言わせればK-1のリングは甘くないぞって感じなので、勝ってK-1の強さを見せます」と挨拶。
竹見は「DEEPから来ました。最初は(朝倉)未来さんから電話が来てK-1で戦えるかということでした。僕はいつでも、キックボクシングでもMMAでもベアナックルでも戦う気持ちを作っているのですぐに決めました。甘くないって声もありますが、絶対にKOで勝ちたいと思います」と意気込み。
互いの選手としての印象を聞かれると、大久保は「あまり分からないですけれど、ボクシングをやってたようなのでパンチは上手いのかなって印象と、JTTの練習環境、トレーナーも有名な人がいますよね。僕が思うのはK-1ジムのトレーナーが一番アツいトレーナーで選手のことも考えてくれているので、自分のジムで今年一発目の試合、自分が倒して引っ張っていきたい」とした。
竹見は「綺麗な戦い方をする選手。特に警戒するのは蹴り。そこに自分が対応していきたい」と答える。
58kgという契約体重について大久保は「58kgなんだ、と思いました。一階級違うとパワーが変わると思うけれど、竹見選手も56kgくらいだと思うのでそこに関しては特に思うことなくって感じです」と気にしないとし、K-1ルールであることに竹見は「ビックリはしたけれど、こんなチャンスはない。自分の打撃を見せるいいチャンスだと思います」とこちらも問題なし。
竹見は「ボクシングではもう限界、やることないかなと感じていたが、RIZINを見ていて面白そうだなと思ってMMAを始めました」と言い、「MMAなので全部練習しますが、打撃は山崎秀晃さんと原口健飛さんをコーチにつけてもらって週1回クラスがあって技術を学んでいます」と、元K-1スーパーライト級王者の山崎とRISEのエースである原口から教わっている。
山崎からは「キックボクシングで戦うと厳しい相手なので、MMAとボクシングで培った打撃を出していけるように、相手のペースを崩すことを意識した方がいいと言われました」とのアドバイスを受けたという。大久保が得意とする蹴りへの対応にも「MMAでも蹴りの対処の練習はしているので特に問題はないと思います」と自信を見せる。
大久保は『雷神番外地』に出なかった理由を聞かれ、「12月の試合が終わった後に自分も出たいと言って。もちろん相手がいなかったのもあるけれど、出たいと言ったのが朝久選手と僕だったので、そこでK-1の強さを証明するのは一人でいいかなと。僕が出た場合は知名度とか自己満足になると考えていて。K-1の強さを証明するのはどちらかでいいと思って僕は引いた感じです」と理由を話した。
今回の試合はその延長線上となり、他流試合という位置付け。そこで意識することは「K-1と総合格闘技、他流試合ですが週1回のキックの練習している人に負けるわけがないよって。小さい頃からボクシングをやっているかもしれないけれど、僕も6歳からキックボクシングをやっているし、そこに対する想いが違うかなと。最初にベアナックルでもMMAでもと言っていましたが、僕はK-1に一番根本的に重きを持っているので、そんな選手に負けないよって思います」とプライドを見せる。
これに竹見は「格闘技を全てまとめたのがMMAなので、どんなルールでも勝てます」と反論。大久保の「甘くないぞ」との言葉にも「関係ないですね。僕がパンチでKOするのが盛り上がると思うし、それが僕の強みなのでそれを見せたい」と言い放った。
では、大久保のパンチにはどんな印象を持っているのかと聞かれると、竹見は「速くて上手いだけです」と答え、大久保は「当日分からせます。大丈夫です」と試合で分からせてやるとする。
この試合のメリット・デメリットは何かと聞かれると、大久保は「負けたら去年積み上げてきたものが、金子チャンピオンへの道までのストーリーから若干外れてしまうので、僕は金子チャンピオンに挑むまで負けてはいけないのでそこはデメリット。メリットはKOチャンスが出来たって感じです(笑)」。
竹見は「僕にデメリットはないですね。もしここで倒したら次に大きな試合が決まる相手だと思っているのでそこがメリット」だとし、金子との試合も「もし決まるのであればやります」と大久保を倒してK-1王者に挑みたいとぶち上げる。
完全アウェーでの試合になることには「毎回そんなにアウェーじゃない試合を経験してきていないので、全くなんとも思わないです。そこで勝ってこそ本物だと思う」と強気。
JTTのトップ、朝倉未来からは「ま、いけるっしょ、みたいないつもの感じでした(笑)。信じてくれているのだと思います」と笑った。
大久保にとってはリスクが大きすぎる試合で「もちろんプレッシャーはありますよ。K-1のリングでホームだと思っていますし。世間の声との勝負だと思っていますね。自分はアンチとかも多いんですけれど、そこに対してKOで勝つとか結果で見せるのは逆にいいプレッシャーになっているのかなと思います」と、プラスに考えている。
JTTを支えるファンからのSNSによる攻撃があるかもしれないが、と聞かれると大久保は「あるんじゃないですか(苦笑)。平本蓮くんがアサシンがどうとか言いますけれど。今回の試合も言われるか分からないけれど、そういうのをまとめてひっくり返すと言うか、いい意味で注目されたらいいなって思います」と注目されるならいいと笑った。
では、この試合の先にどうつながるのかと聞かれると「もしかしたら『THE MATCH』につながる可能性もありますし、まだ全然分からないですけれど。目の前の試合一戦一戦に集中していくことが大事なので」と今は先のことは考えないとする。
最後に大久保は「今年一発目の試合で弟も出場するので、兄弟で勝っていいスタートが切れるように頑張ります」、竹見は「普段K-1を見ている人たちは僕のことを知らないと思いますが、衝撃的なKOをして知ってもらえるように精一杯頑張ります」とアピールした。