(C)ACB/Bellator
現UFC世界バンタム級王者ピョートル・ヤン(ロシア)に唯一の黒星をつけた選手、マゴメド・マゴメドフ(ダゲスタン共和国)が、Bellator MMAと複数試合契約を結んだことをスコット・コーカー代表がCBSスポーツで発表した。
“タイガー”の異名を持つ、28歳のマゴメドフ(MMA16勝1敗)は、ACB時代にピョートル・ヤンと2度対戦。2016年3月にマゴメドフがスプリット判定勝ちで空位だったACBバンタム級王座を獲得すると、同12月に初防衛に成功。2017年4月にヤンとの再戦に臨み、判定0-3で今度はヤンが王座を奪取している。
1回目の対戦では、3Rにヤンが後ろ廻し蹴りからそのまま回転しての左フックでダウンを奪取。続くバッティング&ヒザ蹴りでマゴメドフが出血しながらも、レスリング&バックテイクでドミネートし勝利。
再戦では、圧力をかけるヤンに、マゴメドフがサークリングしながらもカウンターをしかけるなど再び大熱戦となり、判定はヤンに軍配が上がっている。2戦ともに必見の内容だ。
散打をベースに、打撃はオーソドックス構えから後ろ廻し蹴り、胴廻し回転蹴りも見せるなど回転系のほかに、カーフキック、左ボディ・左ヒザ、右フックの対角コンビネーション、そして強烈な右ミドルを武器に持つなど多彩だ。
組みでも引手を脇に挟んでの首相撲&ヒジ、何より粘り強いケージレスリングが持ち味で、特に左腕の差しが強く、ハイクラッチのシングルレッグやボディロックで再三ヤンのバランスを崩している。
また、スクランブルにも強く、ヤンが得意とする足払いテイクダウンからのバックテイクに、前転してすぐに腰をずらして正対して立ち上がり、逆にボディロックからバックテイク。あるいはダブルレッグから肩に乗せてのテイクダウンにもすぐに立ち上がるなど、抑え込まれることが少ない。
2戦目の4Rには、ヤンのダブルレッグにギロチンチョークを極め、ニアフィニッシュの場面を作っており、どちらが勝ってもおかしくないタフファイトを繰り広げている。
“異次元の強さを持つ”を言われる現UFC世界バンタム級王者ピョートル・ヤンにとって唯一の敗戦がマゴメドフで、元ACBバンタム級王者のマゴメド・マゴメドフにとっても唯一の敗戦がヤンということになる。ヤン戦以降、マゴメドフは3連勝中で、直近では2018年11月の「ACB 90: Moscow」で、ブラジルのウォルター・ペレイラJr.を1R ギロチンチョークで極めている。