キックボクシング
レポート

【RISE】工藤政英と高橋亮の王者対決は両者譲らず痛み分け、緑川創vsベイノアと寺山日葵vs sasoriは熱戦に

2020/07/19 13:07
【RISE】工藤政英と高橋亮の王者対決は両者譲らず痛み分け、緑川創vsベイノアと寺山日葵vs sasoriは熱戦に

工藤(左)と高橋は延長戦へもつれ込む接戦となったが、ドローで痛み分けに

「RISE 140」
2020年7月19日(日)東京・後楽園ホール

▼メインイベント SuperFight! -60.5kg契約 3分3R延長1R
△工藤政英(新宿レフティージム/第3代RISEフェザー級王者)
ドロー 延長R判定1-1 ※10-10、10-19、9-10 
△高橋 亮(真門ジム/NKBフェザー級王者、元NKBバンタム級王者)
※本戦の判定は30-29、29-29、29-29


 工藤は2018年6月に王者となったが、その後はワールドクラスの相手に3連敗。復活をかけて臨んだ2019年5月19日の『RISE 132』でタリック・トッツ(イタリア)をKOで破り連敗を脱出。7月にはスアキム・PKセンチャイムエタイジムをKO寸前まで追い詰めたタリソン・ゴメス・フェレイラ(ブラジル)をも下した。しかし、9月のONEでムエタイのトップファイターであるパンパヤック・ジットムアンノン(タイ)に敗れた。


 当初は3月大会でキース“スピード”アッツォパルディ(マルタ)との再起戦を迎えるはずだったが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止。今回ようやく10カ月ぶりの試合となる。


 高橋は“高橋三兄弟”の次男で、近年は『KNOCK OUT』にも参戦。2017年12月には小笠原瑛作からダウンを奪って引き分け、2018年5月には宮元啓介、9月には瀧澤博人から勝利を奪い、2019年6月にはホームのNKBでバンタム級に続いてフェザー級のタイトルも奪い、2階級制覇に成功。10月には大ベテランの国崇にもTKO勝利。前戦は2月のNKBでコッチャサーン・ワイズディーを1Rで一蹴した。高橋は自身のSNSで「RISE王者の工藤選手、全力で殴り合いましょう」と殴り合いを要求している。


 1R、サウスポーの高橋は左の強い蹴りを放ち、工藤はローにローを必ず返す。工藤の左フックがクリーンヒットするが、高橋はペースを変えずに強い蹴りを放ち続ける。


 2R、高橋の左ミドルがヒットすると工藤はすかさず左フックからの右ボディで反撃。お互いに有効打を奪えない展開が続いたが、後半になると工藤が得意の左右ボディを連続ヒットさせる。


 3R、高橋の左ローが強烈にヒットしてダメージを感じさせるが、工藤もテンカオを突き刺す。前に出る工藤がボディと顔面へパンチを放っていき、高橋が左ストレート、左フックで迎え撃つ。前に出る工藤がやや優勢かと思われたが判定はドロー。延長戦へ。


 高橋は左ロー、工藤はテンカオとボディブローでお互いのダメージがあるところを攻める。高橋は鋭い左ミドルも放ち、工藤は中盤からやや失速気味。それでも飛び込んでのボディ打ちを見せる。高橋の左ミドルで快音が響き、左ストレートも決まる。工藤も負けじと応戦し、延長Rは三者三様のドロー。文字通りの痛み分けとなった。

▼セミファイナル SuperFight! -72kg契約 3分3R延長1R
דブラックパンサー”ベイノア(極真会館/第2代RISEウェルター級王者)
判定0-3 ※27-29、27-29、26-29
〇緑川 創(RIKIX/WKBA世界スーパーウェルター王者、第8代新日本キックボクシング協会ウェルター級王者)


 RISE初参戦となる日本中量級のベテラン緑川は、新日本キックボクシング協会で日本ミドル級王座とWKBA世界スーパーウェルター級王座を獲得し、K-1 MAX世界王者アンディ・サワーにも勝利した実績を持つ。ムエタイの世界最高峰ラジャダムナンスタジアムのタイトルにも挑戦。本来は3月大会でサモ・ペティ(スロベニア)との対戦が決まっていたが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止。満を持しての今回が初参戦となる。


 ベイノアは極真会館の2018年全日本ウェイト制空手道選手権大会・軽量級で優勝した実績を持ち、キックボクシングには2016年5月から出場し、デビューから7戦全勝でJ-NETWORKウェルター級王座を獲得。その後はRISEに主戦場を移し、2018年11月にRISEウェルター級王座を獲得した。今年3月の12戦目でタップロンにKO負けを喫して無敗記録は途切れたが、9月にはリベンジに成功。12月はシュートボクシングのリングへ乗り込み、判定負けするも海人を苦しめた。


 今年2月大会ではHidekiの挑戦を退けて初防衛に成功。試合後にはRIZIN大晦日への出場を狙うとの発言もした。今回は緑川の言葉にあるようにウェルター級(-67.5kg)から上げて-72.0kg契約での試合に臨む。空手の試合では無差別級でも戦っており、体格差はそれほど苦手とはしないだろう。


 1R、ベイノアは軽快なステップを踏んで回り込み左ローを何度も蹴る。さらに前蹴りと回転技を出して緑川を近付けさせない。緑川が顔面からボディへのパンチを連打すると、ベイノアは打ち終わりにローを返していく。しかし終盤、緑川の右ロングがヒットし、ベイノアがロープに吹っ飛ぶ。さらに右を打ち込んでダウンを奪う緑川。


(写真)緑川が2度目のダウンを奪った右フック


 2R、緑川は倒しにいくがベイノアの右ハイキックがガードの上から響いたか、ガクッと腰を落とす。一気に攻めるベイノアの右ストレートが緑川を吹っ飛ばし、緑川はダウン寸前に。それでもやはりベテランの上手さか、ベイノアにそれ以上攻めさせず打ち合いにも応じてペースを取り戻すと、足を止めての右の打ち合い。その右フックでダウンを追加する。


 3Rはベイノアが前へ出て打ち合いを挑む。緑川もボディと顔面へのコンビネーションで応戦。足を止めての打ち合いもたびたび見られ、場内が大きく沸く。ベイノアは前へ出て攻撃を仕掛けていくが、緑川の右が的確にヒット。飛びヒザ蹴りも放つ猛攻で逆転を狙ったベイノアだったが、2度のダウンの失点を取り戻すことはできず、緑川が判定勝ち。それでもベイノアの健闘に大きな拍手が沸き起こった。


 激闘を制した緑川は笑顔で「初戦でRISEさんにいいカード組んでいただいて嬉しく思います。いきなり王者を当てていただいてありがとうございます。松倉とイ・ソンヒョンの試合を見た時にソンヒョンと殴り合いたいと思って。どんな形でもいいので試合を組んでもらえればと思います。俺がグリーンモンスターです」と、“コリアンモンスター”イ・ソンヒョンとの対戦をアピールした。

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