K-Jeeが左ボディブローで加藤をKO、リベンジするとともにタイトル防衛に成功した 撮影/安村発
「Krush.112」
2020年3月28日(土)東京・後楽園ホール
▼メインイベント(第8試合)Krushクルーザー級タイトルマッチ 3分3R・延長1R
〇K-Jee(K-1ジム福岡チームbeginning/王者)
KO 1R 2分11秒 ※左ボディブロー
×加藤久輝(ALIVE/挑戦者)
※K-Jeeが初防衛に成功。
K-Jeeは福岡を拠点としてデビュー当初はスーパー・ウェルター級で試合をしていたが、2016年からヘビー級に転向。クルーザー級が新設されると再度転向して2018年9月のK-1初代クルーザー級王座決定トーナメントではベスト4。2019年には初代Krushクルーザー級王座決定トーナメントで3試合ともKOして初代王座に就いた。戦績は18勝(15KO)10敗。
加藤はハンドボール出身で日本代表も経験。2009年から大道塾で空道を始め、2010~2014年全日本体力別重量級5連覇と2010・2012・2013全日本無差別優勝を達成。2013年からはMMAに参戦し、HEAT、Bellator、RIZINで活躍。2018年6月からはK-1にも参戦し、K-1 WORLD GPクルーザー級王者シナ・カリミアンには3月のタイトルマッチで敗れたが、これまで3勝1敗の戦績。
両者は2019年12月のK-1名古屋大会で対戦し、2R1分17秒、左ハイキックで2度のダウンを奪った加藤が最後は左ストレートでKO勝ちしている。
1R、序盤はローの蹴り合い。サウスポーの加藤はパワフルな左ストレートでアグレッシブに攻める。左右フックに押されたK-Jeeだが、右の前蹴りがボディに入ると試合の流れが一気に変わった。
慎重になる加藤へローを蹴り、右ストレートをヒットさせるK-Jee。左ボディからの左フック、前へ出攻めるK-Jeeに大振りの左右フックを返す加藤。そしてクリンチ状態からK-Jeeが左ボディをヒットさせると加藤はうずくまり、そのまま立ち上がれずKO。K-Jeeが見事な初回KOでリベンジを果たし、初防衛に成功した。
マイクを持ったK-Jeeは「今日までいろいろな人のサポートがあって何とか勝てました。そしてこういう状況の中で大会を開いていただいた運営側に感謝しています。いよいよ福岡でK-1が開催されます。先週、カリミアンと愛鷹選手がやってカリミアンが防衛して。俺はカリミアンに負けていて今回リベンジできたように福岡でカリミアンにリベンジしてK-1のベルトに挑戦したいのでよろしくお願いします。ファンの皆さんの声も重要だと思っています」と、7月のK-1福岡大会でカリミアンが持つK-1クルーザー級王座に挑戦したいとアピールした。
▼セミファイナル(第7試合)Krushウェルター級 3分3R・延長1R
〇近藤魁成(大成会館/K-1甲子園2017・2018 -65kg王者)
判定3-0 ※30-28、30-27、30-27
×山際和希(谷山ジム/Bigbangウェルター級王者)
近藤は幼少期より空手を学び、難病を克服して2017年に高校1年生でK-1甲子園を制覇。2018年3月にプロデビューを飾り、2018年K-1甲子園を連覇。2勝無敗1分の戦績で2019年5月、木村“フィリップ”ミノルのKrushウェルター級王座に挑戦し、KO負けで初黒星を付けられたが、ヒザ蹴りでダウンを先制してあわやの場面を作り出した。また、8月のK-1大阪大会では格上の松岡力を一撃初回KOで葬っている。11月のK-1ではKrushスーパー・ウェルター級王者ジョーダン・ピケオーの牙城に挑んだが、2R2分40秒、KOで敗れ今回が再起戦。戦績は3勝(3KO)2敗1分。
山際は2009年に全日本学生キックボクシング連盟ウェルター級王者となり、プロデビュー後も順調に勝ち星を積み重ね、2015年6月にBigbangウェルター級王座を獲得(現在も保持)。2017年2月まで11連勝を記録した。K-1 JAPAN GROUPには2013年から参戦し、2017年9月にはK-1初代ウェルター級王座決定トーナメントにも出場した。今回は2019年9月の松本篤人戦以来(判定負け)のKrush参戦となる。戦績は29勝(11KO)13敗4分。
1R、両者慎重な立ち上がり。山際は得意の右ミドル、近藤は前蹴り。近藤は強いジャブから右ストレートにつなぎ、左フックからの右ストレート。山際は右ミドルを連打するが、近藤は前へ出て右ストレートを打ち込む。
2R、近藤は山際の右ミドルに右ローを返し、山際の蹴りに右ストレートを合わせる。フェイントで圧力をかけ、一気に踏み込んでボディから顔面へパンチをつなぐ。後半になると近藤は山際の右ミドルをスネで受ける。もらってもすぐに左フックを打つ。
3R、どんどん圧力をかける近藤は強いジャブから右ボディ、右ロー。山際は左ミドルを蹴るが近藤の圧力に下がる。山際が右ミドルを連打したところで、近藤が右ボディからの右ストレートでダウンを奪う。左右フックを叩きつけて倒しに行った近藤だったが、残り時間は少なく勝敗は判定に。ダウンを奪った近藤が再起戦で勝利した。
試合後のコメントでは「KOできなかったんですが3分3R通じて成長できたと思ったのでよかった。倒そうと思っていたのと3分3R戦いたかったのがあったので、まあダウンが獲れたので」と、3分3Rフルに戦うことを考えていたという近藤。
その理由を聞くと「キャリアが多くないので経験を積むと同時に強い強豪選手に勝っていかないといけないので、経験としてこういう試合をしました。KOするだけじゃなく安定感のある選手になりたいので」と、これから先を見越しての戦い方だったと明かした。