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インタビュー

【RIZIN】「是としない」タイトルマッチで見せていた2人の攻防──サバテロ「劣勢なのに相手の隙を待つなんて理解できない。どんな癖があるのかも分かっていた」×後藤丈治「前はできていなかった対応がサバテロができていた」=バンタム級王座戦

2026/04/13 20:04
 2026年4月12日(日)『RIZIN LANDMARK 13 in FUKUOKA』のセミで行われた「RIZINバンタム級タイトルマッチ」で、王者ダニー・サバテロ(米国)が、挑戦者・後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)に判定3-0で勝利。初防衛に成功した。  しかし、試合後、榊原CEOはフィニッシュに至らないグラウンドの展開を、「サバテロを責めるべきか、後藤選手を責めるべきか、5分3R漬けまくられても……(フィニッシュを)決めろよって。あの戦い方を日本のファンもプロモーターである私も是としない」と斬り捨てた。  初回からテイクダウンを決めたサバテロ。後藤にとってもそれを織り込み済みで自ら打撃に行ったなかでの組みだった。誤算だったのは、サバテロのコントロール重視と進化にあった。  デュアルマストシステムの判定に変わるなか、サバテロがグラウンドでもっと大きな動きを仕掛けてくると踏んでいた後藤は、その際でのいくつかのスクランブルを狙っていたが、サバテロは後藤にそのスペースを与えず。コントロールのなかでも膠着しないように打撃を入れ、後藤のオクトパスガードからの展開なども事前に研究して防御。付け入る隙を与えなかった。  両者は王座戦のなかで何を思い、戦っていたのか。サバテロと後藤の15分間の「CONFESSIONS」。 サバテロ「後藤のオクトパスガードは自分みたいにプレッシャーをかける相手には全く通用しない」 ──試合を終えた率直な感想をお聞かせください。 「最高の気分だよ。今はメチャクチャ嬉しい。日本、特に福岡に来て、こんなクレイジーなファンの前でしっかりと圧倒的な勝利を収めて、この美しい自分のRIZINのベルトを防衛できたら、そりゃもう最高に幸せだよ。残念ながらフィニッシュはできなかった。いつだってフィニッシュを狙っているし、そこに向かってやっている。でも後藤は本当にクソみたいにタフなヤツだ。チャンピオンとして、こういう試合はしっかりフィニッシュする責任がある、みんながそれを望んでるって分かっているから、次は必ずフィニッシュを目指す。  RIZINが今回で4試合目でグラウンドのルールだったり、その体勢、タイミングは色々と慣れてきてる最中だから、この先はしっかりとフィニッシュできるようにしたい。今はとにかく嬉しいし、チームと勝利の喜びを分かち合って祝い、またここに戻ってきて日本のためにショーを見せたい」 ──後藤選手と実際に戦った印象を教えてください。フィニッシュできなかった要因が彼が良かったのか、など。 「そうだな、試合の途中から彼はとにかく生き残ってフィニッシュされないことに徹していたと思う。多くの選手はフィニッシュされないことである意味、モラルビクトリー──自己満足を得ることがある。特にグラウンドではあまり劣勢の立場からリスクを取らず、つまり自分からチャンスを作りに行く展開にしなかった。だからこちらがフィニッシュに行けるような展開も作らせてくれなかった。リスクを取るという意味でも、結局のところフィニッシュについては自分の責任だ。フィニッシュできるようにならないといけない。もっと展開を作ることもできたけれど、これからはもっとやる、という課題も見えている。  でも後藤は本当にタフだ。RIZINで5戦無敗で、元UFCのホセ・トーレスにも勝っている。3連勝中で勢いもあるし、強力な左でKOもしている。決して楽な相手じゃない。世界トップクラスと戦っている。RIZINでタイトル戦をするということは世界最高レベルの相手と戦うということだ。もちろん彼は強い。でも自分はもっと強い。つまり自分が最強であるということは、フィニッシュで証明しないといけない。ただ、もしフィニッシュできなければ、自分は圧倒的に支配することができる」 ──今のお話では、後藤選手がリスクをあまり取らなかったからフィニッシュするのが難しかったということでした。先に試合後インタビューに応じた後藤選手は、「サバテロ選手がもっと自分をフィニッシュするためにリスクを取るだろうと考え、しかしその見通しが違ったために対抗できずドミネートされた」と話していました。では、サバテロ選手自身の作戦としては(優勢なポジションで自ら動くことで)スペースを与えてしまって後藤選手が立ち上がったり反撃するチャンスを与えないつもりだったのでしょうか。 「まず最初に、彼のことはリスペクトしているが、それは負けの美学というか負け犬の遠吠えだと思う。劣勢な立場にいた彼がリスクを取り、立ち上がって勝ちに行くべきなのは当然だろう。試合に勝つつもりだったのか、それともただフィニッシュされないことが目的だったのか? それを言い訳にするのは理解できない。勝つつもりだったのかどうか? 相手の隙を待つなんて理解できない。  まあ彼は好きに言えばいいし、彼自身にも彼のチームにもリスペクトはある。でも自分の目標は常にフィニッシュだ。普通は攻めている最中に相手が立とうとして動いた瞬間に隙ができてチャンスが生まれるものだろ。でも言い訳はしたくない。後藤のせいでフィニッシュできなかったとは言わない。最終的には自分の責任だ。当然フィニッシュする責任は自分にあるし、今日やるべきだった。自分のスタイルは相手を削って痛めつけて支配して、最後にKOかサブミッションで仕留めること。自分はどっちでもいい、一本でもKOでも。ただ相手の顔をボコボコにするのが好きだ。今日はかなり打撃を当てたし、テイクダウンしてスラムして叩きつけた。ただ足りなかったのはフィニッシュだけだ。でもそれは必ず来る。もし後藤が試合後にそういう悪口を叩くんだったら、もう一度やってもいい。ケージでもリングでも関係ないし、今ここで呼んできてやっても全然構わない」 ──先ほどの話からすると、やはり自分がポジションを取っている時に、わざわざリスキーなことをして相手を動かすっていうのは非常に難しいかと思います。後藤選手が下からオクトパスガードを狙っているとき、サバテロ選手がそれまでしっかり(脇を差して)アンダーフックしているのにパッと緩めて軸を無くして、オクトパスバードに入らせなかった展開などがあったのですが、あの辺はもう、その彼の動きもトップを取ってて全部見えていたのでしょうか? 「ああ、自分はそういう部分はかなり真剣に取り組んでいて、対戦相手が決まったら映像もかなり研究するタイプなんだ。ジャンキーというか映像オタク。彼の試合は全部見て、どういうポジションが好きで、どんな癖があるのかも分かっていた。彼のグラウンドへのリスペクトを下げる言い方はしたくないが、彼は下になると少し独特というか、あまり機能しない部分や癖があると思ってる。三角絞めをよく狙って、ホセ“ショーティ”トーレス戦でも狙っていた。たしかにオクトパスガードも試すけれど、ああいう技術は自分みたいにプレッシャーをかける相手には全く通用しない。それを踏まえたうえで、それでも同じスタイルを貫きたいのなら彼のスタイルでそれは自由だから構わない、何か言うつもりはない。ただ、確かにちょっと独特なわけだし、オクトパスガードに行こうとした時に、逆に自分はもっと有利なポジションに移行することもできたと思う。  でも結局のところ、自分はフィニッシュしなければならなかった。フィニッシュできなかったことに言い訳はない。当然、お互い、相手が何を狙っていたか自分が何を狙っていたかに関係なく、スクランブルになってやりたいことをやり合ったとして、そしてどちらかが隙を見せたとしても関係ない。最終的にフィニッシュできなかったのは事実で、それについては本当に申し訳なく思って反省しているし、謝罪する。この先、自分以下のバンタム連中が『アイツはフィニッシュできない』とグチャグチャ言うかもしれない、だが、それは合っている」 ──実際に今日はフィニッシュは取れませんでしたが、それを置いても強さは圧倒的で、ドミネートして強さは見せたと思います。その辺りに満足感はないですか? 「正直なところ満足度は50%くらいだ。最終的にはこのベルトを防衛し、ATTという世界最高のジムに持ち帰るという目標とそれに対しての責任があるし、日本やRIZINを代表するような、圧倒的な戦い方も見せないといけない。それはできたと思う、圧倒的に支配した。そして誰も否定できない事実として、この階級で自分よりグラップリングが強い選手はいない。自分は世界最高のバンタム級だ。そしてRIZINには世界最高のバンタム級グラップラーがいる。つまり世界最高のバンタム級ファイターだ。自分とグラウンド勝負したい選手などいないはず。アジアにも自分に勝てるやつはいない。王者は倒れない」 ──次の防衛戦は、いつまた日本でやりたいと考えてますか? 「1時間後でもいい。今すぐでもやれる。休むのが嫌いなんだ。長い休みも嫌いで、できるだけ短い間隔でやりたい。自分は常に健康だし、怪我していても関係ない。チャンピオンとしていつでも防衛する義務がある。もしボスの榊原代表が電話してきて『サバテロ、今すぐ来てくれ』と言ったら、『電話の必要なんかない、テキストメッセージ1発送ってくれたらいいんだ、もう日本行きの飛行機に乗ってるよ』と言うね。だからいつ防衛したいか? できるだけ早く。次の大会でもいいし、その次でもいい。いつでもどこでも誰とでもやる。  ただRIZINを見渡すと、この階級に挑戦者としてワクワクする相手があまりいない、どいつもこいつも雑魚すぎる。誰を挑発すべきか考えないといけない。だったら団体間のクロスプロモーションがいいとも思う。KSWのチャンピオン? あのクソ野郎をボコボコにぶっ潰す。今日はPFLでセルジオ・ペティスとミッチ・マッキーが対戦したそうだが、両方まとめてやってやる。日本に連れてきて叩きのめしてあの恥晒しどもに、さらに恥を晒せてやるよ。自分にとって一番モチベーションが上がるのは日本やRIZINを代表して他団体と対抗することだ」 [nextpage] 後藤丈治「俺の動きに対してピンを止めてきた」 ──試合を終えた率直な感想をお聞かせください。 「悔しいです」 ──サバテロ選手と実際に戦った印象を教えてください。 「自分が想定してたものと同じところもあれば、違ったところもあったなっていう感じです」 ──その印象によって、プランとして当初考えていたことが上手くいかなかったのか、それとも遂行したものの、相手の方が上回っていたのかなど、敗因について教えてください。 「ランとは違ったのが一番大きいです。RIZINのルール改定とかもあって、自分たちの作戦としてはフィニッシュを大きく狙ってくる場面が絶対にある。例えばグラウンドの展開になっても大きく殴ってきたり極めに来るっていう展開の際(きわ)をかなり練習していたんですけれども、こう“ピンで抑える”みたいな戦い方だったのでちょっとその部分が自分の……なんだろう、(意識の)差を突かれたなっていう、そんな感じです」 ──試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。 「自分のことをもう信じられなくなったら、格闘技を辞めようと思ってるんですけど、まだ信じてるし、リベンジしたいっていう気持ちも燃えてるので、サバテロに勝つんだとか、“ああいう北米レスラー相手にお前なんて無理だろ”っていう風な内容だと思うんですけど、もう俺は絶対諦めないんでやり返していきます」 ──かなり対策は練ってきたと思いますが、サバテロ選手のタックルに関しては実際受けてみていかがでしたか。 「かなりディフェンスも練習してきたんですけど、タイミングがすごい上手かったなって印象です」 ──初回からテイクダウンされて2R以降、それをどうやって防ごうと考えましたか? 「自分の中ではもう受けたらダメだと思って、自分からどんどん逆に作って行こうっていう気持ちは変えずに、今回、自分はやっぱりチャレンジャーなので、もうなんか“いい試合しよう”とか、“何ももらわないように、されないように”とかじゃなくて、もうどんどんリスクを負って前に出て“テイクダウンされないように”じゃなくて、もう、どんどん、どんどん自分で作ろうっていう風には決めていたんですけど、それもやらせてくれずっていう感じでした」 ──インターバル中、セコンドからはどんな指示が飛んでいましたか? 「もっとこう動きを作って、組みの動きを作ってという話とかあったんですけど、動きを作らせてくれないというか、(サバテロが)殴ったり極めに来て、(後藤が)動いたところを極めに来て、それをスクランブル作って逃げるっていうよりかは、俺の動きに対してこうピンを止めて、パウンドも強いパウンドじゃなくてこうやってる(細かく突く)っていうパウンドだったんで。はい、そんな感じです」 ──今の話からすると、隙がなかったという感じですか? 「そうですね。もう徹底してたなって印象です」 ──試合後に会話をされていたようですが、どんな言葉を交わしたのですか。 「俺と彼の話なんで、うん。そこはまあ俺らで大事にしたいとこがあるんですけど。まあ向こうも俺のこと認めてくれてるところもあったし、俺はやり返しに来いよっていうメッセージだと受け取っています」 ──今の作戦的、動き的なことを聞くと、向こうがもう少しやってくるからスクランブルを作ろう、という感じに受け取れます。だとしたら、あのクローズドガードは何だったのかなと思うのですが。クローズドガードを最初取っていたとき、グラウンドヒザとかを打たれたくないからクローズドなのかと思っていたのですけど、でもある程度動いたところでスクランブルだと言うのなら、クローズドガードを続けてガードの中にサバテロを入れたのは何故なのでしょうか? 「クローズドガードして(下から)ヒジを打って、展開ができたところにハーフガードに戻してでそこで動きを作りたかったんですけど、っていう感じです」 ──結局ハーフガードでも、あまり向こうが正直、Bellatorとかで戦ってた時とほぼほぼ変わらないことをしてきたのはやっぱり意外だったのでしょうか。 「そうですね。細かい話ですけど、そのハーフガードの作りも、ハーフガードというかオクトパスガードとかを狙ってたりしたんですけど、そこの対応が自分たちが想定してたものよりも一手先を行っていた感じです」 ──(脇を)潜っていきたかったのに? 「潜っていきたいところと、その後の展開も考えてたんですけど……前はできていなかった対応が(サバテロが)できてたのでそこは想定外でした」 ──試合前、ジムの代理戦争じゃないですけれどATT vs.TRIBEという意識もあったかと思います。そのなかでTRIBEの強さを証明できなかったという、そこの部分に関しての思いはいかがでしょうか? 「いやもう、めちゃくちゃ悔しいです。TRIBEだから足りないということではなくて、このTRIBEで磨くことで絶対にリベンジできるって、そうですね、俺はそう思ってます。今までやっていた練習を全体として変えなきゃいけない部分も今回で分かったので、変えたら絶対立ち向かえるかなと思ってます」 ──敗れたものの日の丸を背負ってタイトルマッチに人生で初めて挑戦されたことで、そこでの成長であったり、メンタルも含めての手応えは何か今のところありますか? 「それはありました。やっぱり……、なんだろうな。今まで常に楽観視して生きてきたというか、最近はずっとそうやってきたんですけど、何回も自分を信じられなくなるタイミングが来て。で、それを越えて。で、また“俺、本当にやれんのか”っていうのを越えて、何回も信じられなくなったり、信じられるようになったりっていう、だんだん、だんだん、自分を信じられるようになってきて。で、いざ、いい心の状態で試合の日を迎えられて入場できたっていうのは、今までよりももっと心の部分では成長できたかなと思ってるので、あとはちゃんと世界水準の技を身につけて、もうそこは逃げないで自分の弱いところとしっかり向き合っていければ戦えると思ってます」 ──去年の北海道大会から今回まで約10カ月で4試合で、かなりハイペースではあったと思います。このペースで続けていくのか、もう少し作り直したいなど、今はどう考えていますか? 「自分は短いスパンでガンガンやっていくのもいいんですけど、今はちょっと試合のことはまだ考えられないですね」
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