ジャパンキックボクシング協会「KICK Insist 11」2021年11月21日(日)東京・後楽園ホール
▼第10試合 Wメインイベント 株式会社秀拓Presents 日泰国際戦 56.5kg契約 3分3R〇瀧澤博人(ビクトリージム/WMOインターナショナルフェザー級王者)判定3-0 ※30-27×2、30-28×ウィサンレック・MEIBUKAI(タイ/MEIBUKAI/元ルンピニースタジアム認定フライ級&バンタム級王者)
瀧澤は2014年10月に新日本キックボクシング協会日本バンタム級王座に就いたが、2017年5月に3度目の防衛に失敗。2018年9月にはKNOCK OUT参戦も果たしている。2020年8月大会でNJKFフェザー級1位・小田武司にヒジ打ちによるTKO勝ち、11月大会ではジョムラウィーに勝利してWMO王座を獲得、今年5月にはコンゲンチャイにもハイキックでTKO勝ちして3連勝。また、シンガーソングライターとしてライブ活動もしていることから、“歌うキックボクサー”と呼ばれている。
ウィサンレックはルンピニースタジアムでフライ級とバンタム級の2階級制覇を成し遂げ、ムエタイ時代のゲーオ・ウィラサクレックにも2度勝利した実績を持つ。ムエタイで300戦近いキャリアを持ち、トレーナーとして来日後も勝利を収めていたが、2017年8月の『KNOCK OUT』で那須川に3RでTKO負け(ヒジありルール)。2020年6月には『RISE』で鈴木真彦に3RでKO負け、9月の『KNOCK OUT』では安本晴翔に2RでTKO負け(-57.5kg契約)、2021年7月は花岡竜に判定負け(-59.5kg契約)と国内トップクラスには連敗を喫している。
1R、瀧澤はジャブと左インローの慎重な出足。ウィサンレックはじりじりと前へ行くが、手足の長い瀧澤に先に蹴られる。右ローを蹴るウィサンレックだが、瀧澤が長いジャブを3連発してすぐに自分の距離を作る。
2Rもウィサンレックは前にじりじりと詰めていき、右ローと左ミドルを蹴る。瀧澤は変わらずジャブを突き、右ローへとつなぐ。ウィサンレックは右ミドル。
3R、前に出てくるウィサンレックにヒジを合わせに行く瀧澤。離れてジャブを当てていき、ウィサンレックが追いかけるような展開。瀧澤が右ストレートから左フックを返し、ウィサンレックが同時に左フックを出したところでダウンを奪う。ウィサンレックが立ち上がったところで試合終了。判定3-0で瀧澤が勝利を収めた。
瀧澤はマイクを持つと「デビューした時からウィサンレック選手と戦うことが夢でした。夢はかなうと思っています。このコロナ禍が終わった後、格闘技は戦国時代に入っていくと思います。自分はそこに切り込んでいく所存です。格闘技に全てを懸けます」と語った。
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▼第9試合 Wメインイベント 日泰国際戦 62kg契約 3分3R〇永澤サムエル聖光(ビクトリージム/ジャパンキック&WBCムエタイ日本統一ライト級王者)KO 2R 1分50秒 ※左フック×トーンミーチャイ・FELLOW GYM(タイ/元泰国イサーンバンタム級王者)
永澤は新日本キックボクシング協会で日本ライト級1位まで昇りつめ、トップランカーとして活躍。ジャパンキック旗揚げ後は2020年1月大会で興之介を右フックでマットに沈めて第2代ライト級王座に就き、9月にはNJKFで鈴木翔也からダウンを奪っての判定勝ちでWBCムエタイ日本統一バンタム級王座も獲得した。しかし、11月に古豪シラー・Y’ZDに判定で敗れ、今年2月の『NO KICK NO LIFE』では森井洋介に判定2-0で惜敗。6月の『スックワンキントーン』でラックチャイに判定勝ちして再起している。
対戦するトーンミーチャイの詳細は不明。大阪のFELLOW GYMでトレーナーを務めながら選手として試合にも出ているようだ。
1R、永澤がローを蹴ると左右の強打を繰り出してくるトーンミーチャイ。永澤はボディ狙いか、コンビネーションをボディに繋ぐ。トーンミーチャイはかなりの強打の左フック。永澤もすぐに右ボディストレート、左ボディ。トーンミーチャイも右ボディから左フックを繰り出すが、永澤の左ボディをもらう。
2R、トーンミーチャイは左フックから右ストレートで前へ出るが、永澤は左ローを蹴りつつ左ボディを狙い撃ち。そして左フックを放つとこれがモロにヒット。トーンミーチャイは立ち上がるも足元がおぼつかず、永澤の一発KO勝ちとなった。
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▼第8試合 Wセミファイナル 73kg契約 3分3R×今野顕彰(市原ジム/ジャパンキックミドル級王者)判定0-3 ※29-30、28-30×2〇ボーイ・OZ GYM(タイ/OZ GYM)
1R、パンチで前に出る今野にボーイは右ミドル。今野の右ストレートが伸びるがボーイは左ミドルを合わせてくる。接近するとワンツーを打ち返してくるボーイ。今野は右フックで反撃。
2R、ワンツーと左右フックの連打で前へ出るボーイは今野が組み付くと首相撲で投げる。さらに左右フックで突進し、首相撲で今野をマットに叩きつけるボーイ。またもラッシュするボーイは左右フックに右ヒジを織り交ぜ、組むと投げる。今野が蹴ると蹴り足をすくって転倒させたり、ヒジを打ちに行ったりとボーイの独壇場に。
3R、ボーイは右ロー&右ミドル、今野は右を合わせに行くが組み付かれてマットに叩きつけられる。ボーイはさらに右ヒジも。今野がワンツーを打ってもすぐに右見ドルを蹴られ、捕まって投げられる。終盤は右ミドルを蹴る→組み付くを繰り返し、ボーイの判定勝ちとなった。
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▼第7試合 Wセミファイナル 51kg契約 3分3R×細田昇吾(ビクトリージム/スックワンキントーンフライ級王者)TKO 2R 0分53秒 ※レフェリーストップ〇阿部晴翔(チームタイガーホーク/WMC日本フライ級3位)
1R、ローとカーフを蹴り合う中、右ストレートの相打ちで阿部がダメージを与える。フラつく細田は組み付きに行くが、パンチをまとめた阿部の右ストレートでダウン。
2R、細田が入ってくるところへ右ストレートを2度命中させる阿部。さらに接近戦での左右フックで細田がダウンし、立ち上がれる様子もなくレフェリーがストップ。阿部が歓喜のKO勝ちを飾った。
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▼第6試合 ジャパンキックvsNJKF交流戦 62kg契約 3分3R×興之介(治政館/ジャパンキックライト級4位)TKO 3R 1分13秒 ※レフェリーストップ〇吉田凛汰朗(バーテックスジム/NJKFライト級1位/ニュージャパンキックボクシング連盟)
1Rは両者ともかなり慎重な出足。終盤、吉田が右ボディストレートを打つと、興之介が左右フックで応戦。
2R、興之介は左右フックを打ち、吉田が右ストレートで対抗する展開。吉田の右ストレートで一瞬腰が落ちる興之介。ラスト30秒、右ストレートでダウンを奪う。ダメージの見える興之介は打ち合いに行くが右ストレートをもらって2度目のダウン。
3R、ダメージのある興之介は吉田のジャブによろける。吉田は右ストレートを顔面とボディに打ち分け、下がる興之介を追っていくとロープを背にしたところで右ストレートを打ち込みダウンを追加。ここでレフェリーがストップをかけ、吉田のTKO勝ちとなった。
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▼第5試合 ジャパンキックvsNJKF交流戦 スーパーバンタム級 3分3R×西原茉生(治政館)判定0-3 28-29、27-29、27-30〇拳大(OGUNI GYM/ニュージャパンキックボクシング連盟)
1R、サウスポーの西原はスピードのある左ストレートと左ミドルで一気に前へ出ると攻撃をまとめる。しかし、拳大の左フックもらってダウン寸前。コーナーへ詰められての連打でも腰が落ちかける。前へ出る拳大に右フックで対抗する西原。ローブローで拳大が倒れ試合中断。再び左ミドルと右フックで攻める西原だが、左フックをもらってグラつき、さらに左フックで吹っ飛ぶようにダウン。
2R、西原は左右ミドルを蹴りながら左三日月狙い拳大はジャブでプレッシャーをかけつつ前へ行くが両者とも1Rほどの手数は出ない。
3R、拳大は右ストレート、西原は右ストレートを打ち合う。前に出ようとする拳大を左ミドルで止める西原。最後まで攻めていった拳大の判定勝ちとなった。
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▼第4試合 ジャパンキックウェルター級 3分3R×正哉(誠真ジム)判定0-3 ※29-30、28-29×2〇鈴木凱斗(Kick Box)
1R、右ローの蹴り合いから鈴木が右ストレートを当てると一気にラッシュ。共にパンチから右ロー。鈴木が連打で距離を詰めていくと今度は正哉が右ストレートでヒット奪い、ラッシュをかけた。
2Rが始まると同時に鈴木が打ち合いを仕掛けて鈴木も応じる。後ろ蹴りを繰り出す正哉に鈴木はコーナーへ追い込んでの連打とヒジ。
3R、前に出て連打する鈴木を左右フック、右ハイで迎え撃つ正哉。互いにパンチをヒットさせるが正哉の迎え撃つ一発が強いか。最後、右フックを打った正哉に鈴木が強い右ストレート。崩れる正哉。判定3-0で鈴木が勝利した。
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▼第3試合 女子アトム級 2分3R〇藤原乃愛(ROCK ON/ミネルヴァピン級6位)判定3-0 ※30-27×2、30-28×ほのか(KANALOA/ミネルヴァアトム級5位)
藤原は3歳で父親の空手道場で空手を始め、小学5年生で伊藤紗弥に憧れてキックボクシングに転向。アマチュアで50戦以上を経験し、アマチュアKNOCK OUT 45kgリーグ戦で優勝。2021年5月のジャパンキックでプロデビュー戦を行い、蹴りを主体としたムエタイスタイルで3勝(1KO)2敗の戦績を持つミネルヴァ・ピン級6位の須藤可純を圧倒。判定3-0(30-27×3)の完勝を収めた。8月大会でも世莉JSKに判定3-0(30-27×3)の完勝と連勝している。
スピードのある蹴りを持ち、特に左の前蹴りは顔面・ボディともにタイミングよく放ち、思い切りもいい。左ミドルキックの威力もある。また、首相撲からのヒザ蹴りもしっかりとしたテクニックがあり、今後注目の女子キックボクサーだ。現在高校2年生。
ほのかはシュートボクシング、ムエロークなどで試合を行い、2020年11月には仙台の『戦場』でKARENと初代DBS女子アトム級タイトルマッチを争っている。アグレッシブなファイタータイプ。
1R、藤原は前足の左でハイ、ミドル、ロー、前蹴りとまるで手のように動かし、ヒットを奪う。左ハイはまるでムチだ。
2R、藤原の左ハイが何度も顔面を捉える。ほのかは組んでのヒザ蹴りに活路を求めるが、首相撲にもしっかり対応する藤原。多彩な前足の蹴りでほのかを寄せ付けない展開が続く。
3R、抜群の距離感で左ミドル、前蹴りを蹴る藤原にほのかはパンチで距離を詰めていくが、藤原は入られると首相撲に持ち込んで崩す。離れると藤原の蹴りの独壇場。判定3-0で藤原が完勝した。
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▼第2試合 53kg契約 3分3R×花澤一成(市原ジム)負傷判定0-3 ※19-20×3〇笠原秋澄(ワンサイド)
前に出て連打から左ボディを決める笠原を花澤は右フックで迎え撃つ。笠原は好戦的。2Rが始まって笠原の攻撃がローブローとなり、倒れた花澤は吐き気を訴える。このローブローによって花澤が試合続行不可能となり、2Rのストップ時点までの判定で笠原の勝利となった。
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▼第1試合 58kg契約 3分3R△大武ジュン(治政館)ドロー 判定1-0 ※29-29×2、29-28△布施有弥(KIX)
デビュー戦の両者。好戦的な布施はスイッチも混ぜながら右ストレート、ヒジを叩きつける。2Rはワンツーで反撃する大武だが、布施の強い右ロー、左ミドルを受ける。3Rはパンチとヒジの打ち合いも、布施の強い右ローが入る。互いに右を当て合い、判定はドローとなった。