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2026年1月24日(日本時間25日)、米国ラスベガスのT-モバイルアリーナにて『UFC 324: Gaethje vs. Pimblett』(U-NEXT配信)が開催される。
米国で新たにパラマウントとのパートナーシップがスタートする『UFC 324』のメインイベントは「UFC世界ライト級暫定タイトルマッチ」として、元UFC世界ライト級暫定王者で元BMF王者のジャスティン・ゲイジー(米国)と、UFC7勝無敗のパディ・ピンブレット(英国)が暫定王座を争うが、会見でゲイジーは「UFCとパラマウントの77億ドルの契約でも報酬は上がっていない」と主張。また、現地道報道によると、「ゲイジーの首の感染症が金曜日の計量時までに改善しなければ、ゲイジーはカードから外され、アルマン・ツァルキアンに置き換えられる」という可能性も示唆されている。そんな中、ゲイジーは「俺が今まで戦ってきた中でも、ピンブレットは間違いなく一番危険な相手の一人だ。ただ、俺は何度も5Rを戦ってきたが、あいつは5Rが別物ってことをわかっちゃいない」と、5Rの王座戦の圧力に慣れていないとした。
▼UFC世界ライト級暫定王座決定戦 5分5R
ジャスティン・ゲイジー(米国)26勝5敗
パディ・ピンブレット(英国)23勝3敗 ※UFC7連勝中
ライト級正規王者のイリア・トプリア(ジョージア/スペイン)は妻のジョルジーナ・バデルは結婚生活が破綻し離婚が迫っており、トプリアは息子と娘の2人の子供のために、家庭に専念することを選んだという。
そんななか、暫定王座戦に臨む“激闘王”ゲイジー(4位)は、24年4月の『UFC300』でマックス・ホロウェイと試合終了間際にマット中央で打ち合いを繰り広げた末に右フックで失神KO負けしたが、25年3月『UFC 313』で負傷欠場したダン・フッカーの代役ラファエル・フィジエフに判定勝ちで再起を遂げている。37歳。
対する5位のピンブレットは、UFC7勝0敗の30歳。人気先行の評価もあったが、24年7月にキング・グリーンを1R 三角絞めに極め、25年4月の前戦ではマイケル・チャンドラーを相手に終始優勢に進めて3R TKO勝ち。一気に評価を覆した。思い切りのいい打撃と、10の一本勝ちをマークする極めの強さが武器。MMA23勝(7KO・TKO/10SUB)3敗。
対するゲイジーはオールアメリカンレスラーでありながら、体幹の強さから繰り出すフック系のパンチやローキックなどの強烈な打撃が武器。前戦では肉弾戦でない打撃戦で競り勝つ“やりすぎない”クレバーさも見せた。MMA26勝(20KO・TKO/1SUB)5敗で一本負けはハビブ・ヌルマゴメドフの三角絞めとチャールズ・オリベイラにリアネイキドチョークの2試合のみ。
チャンドラー相手に打撃で先行し、組みでもバックを奪ったピンブレットは、UFCでは初の5R戦でゲイジー相手にも立ち合い、組み勝つことができるか。UFCのダナ・ホワイト代表は、このゲイジーvs.ピンブレットの勝者が次に「王座統一戦」としてトプリアと戦うとコメントしている。
なお、同級では、UFCライト級ランキング1位のアルマン・ツァルキアンが25年1月の『UFC 311』で当時ライト級王者だったイスラム・マカチェフと対戦予定だったものの、土壇場で負傷し出場を逃しているが、王座挑戦権獲得の有力候補だった。ツァルキアンは11月にダン・フッカーを肩固めで破り、26年1月に王座に再挑戦できることを公言していたが、実現ならず。Xで不満を漏らしている。
ジャスティン・ ゲイジー(ライト級4位)「そこまで脳みそを揺らされてない。だからあと──」
──パディ・ ピンブレット(ライト級5位)が「今まで受けたことのないような痛手を与える」「試合後は身体が別物になる」と話していました。その発言はどう受け止めていますか?
「正直、何も感じない。今の言葉に意味はない。ただ一つ分かるのは、あいつが過信してるかもしれないってことだ。この競技で一番危険なのは、根拠のない自信を持つことだからな。俺が今まで戦ってきた中でも、俺は間違いなく一番危険な相手の一人だってことを理解してないなら、それはクレイジーだ。俺は何度も5Rを戦ってきたが、あいつは5Rが別物ってことをわかっちゃいない」
──あなたは5R想定の試合を何度も経験していますが、パディはそうではありません。その差は大きいと思いますか?
「そうだな。知らないことは準備しようがない。あいつは経験してない。俺はこれまでのキャリアで、少なくとも20回は5R想定の試合をやってきた。トレーニングも、考え方も、戦術もまったく違う。俺は4R、5Rかけて戦いたいし、そこで顔面をミンチみたいにしてやるつもりだ。もっと格上の相手にも、俺はそれをやってきた」
──4R、5Rに持ち込みたいのは、経験の差を活かしたいからですか? それとも、あえて相手を消耗させたい?
「俺は自分のトレーニングを信じてる。高地で練習してるから、もし俺がキツいなら、相手はもっとキツい。あいつは必死にやるだろうし、そうなれば消耗も激しい。過去の3Rの試合を見てくれ。マイケル・ チャンドラー(ライト級12位)戦やラファエル・フィジエフ(ライト級9位)戦は、紙の上では接戦に見えるかもしれないけど、もし4R、5Rがあったら俺は確実に大ダメージを与えてた(※チャンドラー戦=2021年11月『UFC 268』で判定勝ち、フィジエフ戦=2025年3月『UFC 313』で判定勝ち)。それを今回やりたい」
──パディについて「倒した相手が全盛期を過ぎている」という批判もあります。あなた自身はどう評価していますか?
「俺はあいつを本当に強いと思ってる。この競技は何が起こるか分からない。そうやって文句を言ってる連中は、俺たちが背負ってるリスクを一度も取ったことがない臆病者だ。俺は世間の評価なんて気にしない。あいつが危険で、自信に満ちていることは分かってる。それが一番厄介なんだ。ペースの取り合いだから、俺が早い段階で奪って、握り続けないといけない」
──あなた自身、これまで逆境を何度も経験してきました。今回のタイトルマッチは、これまでと違う意味を持ちますか?
「最初に暫定王座(※2020年5月『UFC 249』でトニー・ファーガソンと戦い、第5R3分39秒にTKO勝ち)を獲った時みたいに、ケージにベルトを投げ捨てるようなことはしない。あれは一度で十分だ。今は年を重ねて分かってきた。暫定王座でも紙の上では正規王座と同じだし、次につながる最大の試合が用意される。これは俺のキャリアにとっても、レガシーにとってもデカい」
──マックス・ ホロウェイ(ライト級3位)にKOされたことが、逆に今の評価を下げている面もありますが?
「俺はあのKOを受けて良かったと思ってる。あれがあったから、今こうして叩かれてる。でもその出来事が、この最終章をもっと良いものにしてくれる。俺自身にとっても、コーチや家族にとってもな」(※ホロウェイ戦=2024年4月『UFC 300』で第5ラウンド4分59秒、互いに中央で打ち合いKO負け)
──今回で4度目のタイトルマッチ(暫定含む)になります。過去のキャンプと比べて、変えた点はありますか?
「まず、自転車には乗ってない。前回は事故があったからな。あとは、成功体験を無理に再現しようとしないことだ。試合は全部違う。前に上手くいったことをそのまま当てはめようとすると、今の自分からズレてしまう。だから一試合一試合、ゼロから向き合ってる。それはキャリア初期から変わってない。そして今回、Paramount最初のイベントのメインで、赤コーナーを任されてるのは本当に光栄だ。UFCが俺を信頼してくれている証拠だと思ってる。俺は一番安定していて、一番エキサイティングなファイターだと自負してる。それが、ここにいる理由だ」
──あなたのYouTubeチャンネルで、コーチの一人が「短めのキャンプが完璧にハマった。ここ最近で一番いいジャスティンだ」と話していました。同じ感覚はありますか?
「あるよ。最高の気分だ。まあ、どの試合でも聞かれたらそう言うかもしれないけど、今回は特に、自分ができる限りベストな選択をしてきたと思ってる。フィジエフ戦のあと、大きな試合が来ると分かってたから栄養管理も続けてきた。人生で一番いいコンディションだし、ハングリーさも闘志も全く衰えてない。全部見せる準備はできてる。火の中に歩いていく感覚は、ほとんどの人は知らない。危険があるからこそ、こんなにワクワクするんだ」
──前回の試合以降、Fanatics Fest(プロアスリートと一般ファンが同じ競技に参加して勝敗を競うファン参加型スポーツイベント)にも出場していましたね。あの経験はどうでしたか?準優勝の商品だったフェラーリはどうしました?
「車は現金に換えた。顔を殴られずに稼いだ金としては、人生で一番だったな。俺はアスリートだからな。100人いて2位だった。正直ひどい出来だったのに2位ってのが信じられない。ゴルフが明暗を分けた。あれが男と子どもの差だ。ゴルフをやってて良かった」
──今回が“最後のラン”になるかもしれない、という文脈で語られることもあります。その意識はありますか?
「これが始まりだなんて思ったらバカだ。UFCが俺に6回も王座戦をやらせるわけがない。俺の目標は王座戦に挑んで獲ること。それが今ここにある。でも今この場で、そういう感情の処理はできない。準備はできてるし、最悪の結果も受け入れる覚悟がある。全力を尽くしてきたから怖くない。だから自由に、この瞬間を楽しめる」
──パディは「スカウサー(リバプールの住民)はKOされない」と言い続けていますが、それを覆すのは楽しみですか?
「医者じゃなくても分かる。脳があれば、揺らせば落ちる。頭を揺らして脳が頭蓋骨に当たれば、人は眠る。それを教えてやるよ」
──マネージャーから、コナー・マクレガーの可能性も示唆されました。魅力はありますか?
「今考えてるのは一つだけだ。スカウサーを倒すこと、そしてアメリカを代表して戦うこと。それ以外は頭にない」
──引退についての発言がネットで話題になっていますが?
「俺は引退するなんて言ってない。希望した試合が組まれなかったら、そう考えるかもしれないと言っただけだ。今は違う。俺はここにいる。欲しいものは全部手に入れた。暫定王座は、紙の上では正規王座と同じだし、次につながる。あと何試合やるか? 分からない。一試合ずつだ」
──18歳の夏、家族の伝統に従って銅鉱山で働いたそうですね。その経験は、あなたの仕事観にどれくらい影響していますか?
「実際に働いた経験というより、両親を見て学んだことの方が大きい。父は鉱山で37年半働いて、病欠はたった1日だけだった。母もアメリカ郵便公社で同じように働いてた。人生は楽じゃない。自分がどれだけ恵まれているかを分かって、被害者意識を持たず、毎日現場に行く。それを両親は教えてくれた。一日一日を積み重ねて、前に進む。それが彼らのやり方だった。優しくあることも大事だけど、俺はこの世界では厳しくならなきゃいけない。ただそれは仕事観の話だ。自分を被害者だと思わず、壁を乗り越え続ける。正直、俺はかなり意地っ張りだしな。それがなきゃ、ここまで来れてない。
鉱山の仕事は安定してるし、稼ぎもいい。でも俺には合わないって分かってた。1日14時間、週7日、それを68日連続でやった。もし高校卒業後の最初の年にそれを続けてたら、休みなしで年14万ドルくらい稼げてたと思う。でも、正直きつすぎる。父や祖父2人、兄弟、いとこたちがその仕事をしてることを否定する気は一切ない。ただ、俺は“大きい”とか“優れてる”じゃなくて、違う道に進む人間だと分かってた。
だから人間福祉を学ぶ学校に進んだ。ああいう親に育ててもらえたからこそだと思う。誰もがそんな環境に恵まれてるわけじゃないし、もしそうだったら社会はもっと良くなってたはずだ。でも俺は、支えになれる側になれると思ったからその分野を学んだ。
最終的な目標は、毎日好きな時間に起きられる仕事を持つことだった。今、それを実現できてる。本当に感謝してる」
──これまで対戦相手には常にリスペクトを示してきましたが、今回は少し違う印象もあります。個人的な感情が入っているのでしょうか?
「個人的な感情は一切ない。ただの対戦相手だ。あいつが『引退させる』とか言ってるだけだ。俺があいつの年齢だった頃に学んだのは、相手の火に油を注ぐ必要はないってことだ。俺から口汚く言って、あいつの闘志に火をつける理由がない。あいつも意地が強いだろ。俺たちは意地が強くなきゃ、ここまで来れない。だから余計なことはしない。
今回アンダードッグと見られているのも最高だよ。俺はUFCでこれが15戦目だけど、アンダードッグは10回目になる。これは、俺が最初からどれだけハイレベルな相手と戦ってきたかの証明だ。マイケル・ジョンソン戦から今日までな(※ジョンソン戦=2017年7月『TUF 25フィナーレ』でTKO勝ち)。俺が終わってからこの物語を書いたら、みんな驚くと思う。数字や実績で見落とされてるものが多すぎる」
──もし今回の試合に勝ったら、次は誰と戦いたいですか?
「勝てば暫定王者になる。それは自動的に正規王者との試合につながる。相手はイリア・ トプリア(ライト級王者)だ。彼の個人的な事情でどれくらい離脱するか分からないけど、俺は6月にやりたい。ホワイトハウスのイベントでな。もし準備ができないなら、チャールズ・ オリベイラ(ライト級2位)とホロウェイ(ライト級3位)の勝者とやりたい」
──最初の暫定王座戦から5年以上が経ちました。トニー・ファーガソン戦の頃と比べて、何が変わりましたか?
「正直、大きくは変わってない。この競技は世界一クレイジーだ。子どもの頃から惚れ込んできた。進化するのは選手だけど、UFCも試合の本質も変わらない」
──UFCデビュー時と比べて、MMAとの関係性は変わりましたか?
「変わったな。特にメディアに関しては、いろんな理由で昔ほど話さなくなった」
──UFCで多くのパフォーマンス・ボーナスを獲得していますが、そのお金で一番賢かった使い道は?逆に、後悔していることはありますか?
「14回もボーナスを獲って、合計が100万ドルに届かないのはおかしいと思う。正直、もっと稼げて然るべきだ。もっと賢くお金を使う機会もあったはずだ。でも、今はそれができていないし、実際にやってもいない。今でもダニエル・コーミエーが『この契約でみんなの給料が上がる』って言ってるのを聞いたよ。この契約が成立していなかった場合と比べて、僕は1ドルたりとも多くもらっていない。
一番良かったのは商業不動産に投資したことだ。あと、アリゾナで家を買った。両親のすぐ近くだ。今は妹が住んでる。何より、家族を助けられたことが一番だ。両親や兄弟姉妹に、昔はできなかったクリスマスプレゼントを渡したり、一緒に旅行に行ったりできた。家族と過ごす時間は、二度と取り戻せないからな」
──以前、ジェームズ・ビック戦の後に「あと5つの激闘が残っている」と話していました。今は何回くらい残っていると思いますか?(ビック戦=2018年8月『UFCファイトナイト・リンカーン』でKO勝ち)
「チャールズ・ オリベイラ(※2022年5月『UFC 274』で一本負け)戦は激闘だったし、ホロウェイ戦(※2024年3月『UFC 300』でKO負け)も激闘だった。チャンドラー戦(※2021年11月『UFC 268』で判定勝ち)も、1Rは効かされた。でもそれ以外では、そこまで脳みそを揺らされてない。だから……あと2つくらいかな」







