1R終了間際、互いに腰を落とさせる右を効かせて、この表情。(C)RIZIN FF
2025年12月31日『RIZIN師走の超強者祭り』(さいたまスーパーアリーナ)バンタム級(61.0kg)で、福田龍彌(MIBURO)と安藤達也(フリー)が対戦。
修斗時代には階級違いで交わらなかった実力者同士の試合は、互いにサウスポー構えから、1R終了間際に福田が右前手を当てて安藤に片ヒザを着かせると、すぐに立ち上がった安藤が同じ右前手を返して福田に片ヒザを着かせる、スリリングな展開に。
2R、右を突く安藤が近づくと首相撲に挑むが、両差しの福田は小外がけでテイクダウン。すぐ立つ安藤はコーナーを出るが、序盤に見せていたレベルチェンジの動きが影を潜め、スタンド勝負に。
互いの低い手の位置からの右が交錯するなか、安藤の右のスマッシュに、福田がカウンターの右フックでダウンを奪取! 身体を起してきた安藤に右の踏みつけ。
さらに四つん這いになったところに福田は、中腰で左フックを顔面に打ち抜いて崩れたところをサイドバックからパウンド。すぐにレフェリーが間に入って、福田が2R TKO勝ちしている。
リングで獲物を仕留めた福田は、試合後インタビューで新たに『外来種駆除』として、井上直樹を破り王座についたダニー・サバテロへの挑戦を含む、強豪海外勢との試合を希望。また、安藤は「もう1回“振り出し”に戻る」と、作り直しての再起を誓っている。
福田「戦いの幅は安藤くん、すごくあるけど、僕は逆にシンプルなことに大概の時間をかけて生きているから、そこの差やと」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。
「最高に幸せな時間でした」
──首からかけているその手ぬぐいは?
「さっき安藤君からもらって。控室に挨拶来てくれて。やっぱナイスガイやなと思いましたね。僕もパーカーあげて、ユニフォーム交換して、今ここに至ってます(笑)」
──安藤選手と実際に戦った印象を教えてください。
「やっぱ、マインドもすごいいいし。15分間はなかったけど、すごい濃密な時間で。ホンマに2人でしか作れへん空気感みたいなものを今日はお客さんに提供してあげられたんちゃうかなと思って、感謝ですね」
──そんなヒリヒリした空気感のなかで、決め手となった一発は、狙っていたものが入りましたか?
「まあそうですね、1R目のやりとりのなかで、ほんまは1Rの終わりくらいにあれやりたかったんですけど、やっぱ考えるに、そこの微妙なせめぎ合いみたいなのがあって、でも2Rにあてはめれたって感じですね」
──福田選手の踏みつけもありました。
「はい、咄嗟に入れちゃいましたね」
──あれはもう本能的に?
「はい、“止め刺し”(※捕獲した野生鳥獣にとどめを刺すこと)。すごいタフなのを見てきてるし、ONEとかでもサカボ食らってブッ飛んだあと、その勢いのまま起き上がったりしてるんですよ、安藤君って、過去。それ見たときに衝撃を受けたのを覚えてたから、やっぱすぐにでも隙があったらね、躊躇なく行かないと」
──試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。
「展望で言うと、ホンマに話していた通り、たくさん、旬のうちにこういうヒリヒリをお客さんに提供しまくって現役を終えたいと思ってるんで。貴重な現役生活なので、たくさんいいお仕事もらえたら嬉しいですね。日本を代表して、外国人と戦っていったりとか、そういうこともやらしていただけたら、嬉しいです」
──1R終了後(※1R 終了間際、福田の右で安藤が片ヒザを着き、続く安藤の右で福田が片ヒザを着いた)、グローブタッチをしていました。
「いやなんか、お互い気持ちがマッチしたんですよ、すごい楽しくて、ホンマに楽しくて。いやあ、“マジでこのリングのなかで出会ってくれてありがとう!”と僕は思っていました」
──どちらからということもなくああなったということですね。
「めちゃくちゃ楽しかったですね。なんか脳汁すげえ出てたと思います(笑)」
──日本を代表して外国人選手と対戦したいということでしたが、具体的には?
「いや……、具体的にか。今日、チャンピオン勝つと思うのですけど、もしかしたらね、サバテロさんにも“F●●K! F●●K!”言われてるので、『外来種駆除』っていう名目で、もし今日勝ったり、負けてしもたらでもいいですけど、そういう海外の方とやらしていただいたり、できれば嬉しいと思うのですけど」
──相打ちになるような場面もありましたが、安藤選手の打撃はかなり効きましたか?
「いやまあ、相打ちになっても……試合前インタビューでも言ったんですけどね、『クオリティの差が出た』んかなっていう。相打ちになっても自信持って行きましたね。『相打ちになっても俺の方が取るな』って思って」
──試合中にハグをするような、そういう気持ちになった試合は今までもありましたか?
「(山本)アーセンくんとやったとき。やっぱこう、なんて言うんですかね、マインドが見えるんですよ、その人の。お互い本気でやるから。それがいいもん感じると、アガっちゃいますね(笑)」
──2人の試合は「裏メイン」と言われて、楽しみにしているファンがたくさんいました。会場でも大声援を浴びていましたが、それは数年前ではあまり考えられない状況かもしれません。こういう大きい会場で安藤選手と戦った、ということについて感慨深いものがありますか?
「それはもう僕の人生にとってほんまにかけがえのない時間やったなって思うし。今日のこの短い時間やったけど。人生でこういう時間をもっといっぱい作っていきたいな、という風には思うのでそれを達成すべく、毎日まだ頑張っていこうって強く思い直せた1日になりましたね」
──ファンがもっと増えたと思いますが、生活のペースは変えずに行きたいですか?
「基本的には猟期は、練習ない時間は山に入って、鉄砲かついで山を歩き回っているので、変わらないですね。明日の昼間くらいにはもう山に入って、また狩り始めていると思います」
──狩猟に関しては、いま話題になっている熊と遭遇する可能性というのは……。
「形跡あると探すんですよ。獲りたくて、むしろ。なかなか出会えないです。出会えないんですよ。だからこう、出没しているところが羨ましい気持ちはあります」
──気をつけてください。
「ありがとうございます」
──最後ダウン奪ったあと、サッカーボール狙っているときに安藤選手の向きが変わったら踏みつけに変えていて「楽しい」と言っていますが、楽しさに寄るわけではなく最後まで狩るという部分ですごく冷静だと思ったんですが。
「ありがとうございます。そこの感情に呑まれちゃうとね。ベストな判断できないんで。ほんまに『淡々と一撃必殺を狙う』と試合前インタビューで言ったんですけど、その通りですね、倒れるまで。やっぱ頑丈やったけど、打ち続けたら仕留められるっていう、自分の拳に自信持っているし、それ信じて毎日取り組んできてるんで。それの結果が出てくれたなってところです」
──安藤選手が楽しさのほうに寄ってきていると、戦いながら感じましたか?
「まあそれは、僕も楽しさはずっと持っているから、めっちゃ楽しかったですよ。だから、楽しみながら、自分の研いできたものを、ただひたすら提供し続ける、ただそれだけなんですけど。安藤君もきっと、いろいろ感じてくれたと思うし、それぐらいいい時間やったんで、ホンマに。また日本男児で来年も沸かせられたらいいなって思います。いいファイターやと思います」
──篠塚選手が福田選手に習ったことで腰を下げてあれだけ打てるようになったと話していました。彼の可能性をどれぐらい感じていますか?
「やっぱKrushでチャンピオン獲ってるから、打撃はね、土台は十分あるし。あとは、どんだけ他の部分っていうので、センスもすごいあるし、何よりも心意気、彼の持ってる志にすごい感動したというのが率直な意見なんで。そういう熱い気持ちで格闘技に取り組む、強くなることに取り組むっていう子やったら、練習メンバーのクルーにいてもらってもすごい嬉しい存在やなとは思うし、ぜひ『京都に来る予定あったら、いつでもセッションしようぜ』みたいな。結構こういう僕好みなスキル持ってるから、テイクダウンディフェンスとか強くなったらRIZINファンの人にも、面白いものを提供できるMMAファイターになれるんじゃないかなとは思っています」
──安藤選手が戦前「自分のほうが手札がある」と。テイクダウンを仕掛けてきたのは安藤選手の言う手札の多さだと思いましたか? また、そこを上回ったのは距離なのか打撃のクオリティなのか。
「戦いの幅っていうのはね、安藤くん、すごくあると思うのですけど、僕は逆にホンマにやることシンプルなんで。そのシンプルなことに全て、生きている大概の時間をかけてきてますから、そこの差やと思います、ホンマに。だからもうやってる技とか僕の方が少ないんやろうけど、練習でそればっかり淡々と繰り返してきて、体に染み付いてきた、そういうのの差が出たんじゃないかなと思っていますね」
──具体的な、技術的な説明をお願いできませんか?
「技術的な説明ですか? 僕の方が動きに無駄が少ないってことじゃないかってことだと思うんですけど」
──最短距離で出せる、というような?
「所作に無駄がないってことじゃないかと思います。
──お互いサウスポーで、前手の右手の相打ちもありました。相手にテイクダウンがあるなかで、その相手の打ち気を誘うような場面もあったのでしょうか。
「いや、テイクダウンされへんなって思いましたね、1回組み合ったときに。両差しで崩して逆に僕がテイク取ったと思うのですけど、“組みできひん”って思われがちなんですけどそんなことなくて、練習ではガンガン組むし、ガンガン極めるし。試合で提供したいのはああいう殴り合いっていう、ヒリヒリなんで。僕が試合でやることは決めてるけど、普段は組みも寝技もめちゃくちゃやっているので。そうですね、見せるものを試合前はいろいろ断捨離して、よりシンプルにヒリヒリにこだわってやらしてもらってます」
──ありがとうございました。
「ありがとうございました。オブリガード」
















