MMA
インタビュー

【RIZIN】勝者サバテロ「次も闘犬のような戦いを自分は強制する」×佐藤将光「『置かれた場所で咲く』ように──」

2025/10/02 20:10

ダニー・サバテロ「佐藤が自分の撒いた餌に食いついてきたのはすごく嬉しい。井上の頭の中にももう俺が入っている」

──試合を戦った後の率直な感想をお聞かせください。

「まずは、(日本語で)『ごめん名古屋』。すまない、非常に良くないパフォーマンスだと思いますし、自分としてもだらだらとした非常にブサイクなパフォーマンスだと思います。非常に僅差の判定になったんですけれども、自分としては間違いをたくさん犯してしまいました。このスポーツでは、2つのミスを犯すと自分の勝敗に関わってくると思いますので、そういったミスは許されないなと思っています。

 ただ、良いところを見ますと、たくさんのリングの経験を得ることができたという風に思いますし、自分はやはり効かされてピンチの部分からもしっかりと逆転できる、自分がそういった心の強さを持っているという部分を認識できたというのは、すごく良かったと思います。この試合は非常にハイレベルで技術も高くて本当にたくさんの技術があのリングの中で見られたと思うんですけれども、本当に、一番最初に効かされて逆転をできたということが、しかもこの逆境を、家から24時間離れている、そして自分も効かされた状態、佐藤将光のホームの国、相手の敵地でああいった、本当に逆境、効かされた状態から、自分はまさにこう、獣のように戦って反抗して、あの不利な状況から勝ちを拾った、勝ちを得たという部分に関しては、非常に自分のことを褒めたいと思います。

 もちろんファイターとしてはみんなフィニッシュを狙っていきたいと思うんですけれども、ただもう顔面をPKみたいに蹴られて、そこから勝って逆転をするっていう部分は自分で評価したいなと思いますので、自分はとてもタフなマザーファッカーだと思っています」

──対戦した佐藤将光選手と実際に戦った印象を教えてください。

「彼は非常に経験豊富なベテランだと思います。すごくトリッキーな技とか、いろんな引き出しを持っていて、それはもう事前にわかっていたことなんですけど、まあ実際に戦ってみて非常にハイレベルで非常にタフな選手だと思います。そしてあのたくさん試合の経験があるので、試合をしている総合的な時間がたくさんあるので、そういった選手っていうのは非常に賢くなる、こう老獪なテクニックですごい頭を使った戦い方になってくるので、まあそこがまさに出たんじゃないかと思います。

 その中でも彼は一発でKOできる一撃必殺のヒザだったりとか、いろんな大技を用意していて、それが当たらなければ自分のテイクダウンが入るという部分で、非常に大きなリスクを伴う技を出してきたという部分に関してもそこは評価したいなと思いますし、やっぱり彼はいろんな団体のチャンピオンでもありますし、今のRIZINチャンピオンの井上(直樹)ともやっています。あのピッチ野郎と試合をして非常にいい戦いをしているのも、わかっていますので、自分としては今、現状、RIZINで2回戦って素晴らしいパフォーマンスが1回、そして微妙なパフォーマンスが1回、でもいずれにしろ勝っているという事実は変わらないんで。

 そして自分は適地に乗り込んできて、自分の家から離れている、みんな俺のことを負けろと思っている中で、ああいうふうに効かされ、逆境から帰って勝つ、そういった本当に自分がやっぱりタフなマザーファッカーだっていう部分を誰も否定はできないと思いますんで、そういった部分では、自分がよく頑張ったんじゃないかなというふうには思います。自分が井上選手に勝ってチャンピオンになってからは、佐藤選手とぜひリマッチをしたい。彼をフィニッシュしなきゃいけない。本来だったら今回フィニッシュしなければいけない相手だと思っているので、ぜひリマッチして、本当にフィニッシュをしたいなという風には思っています。

 今はもうリスペクトっていう部分は当然あるんですけど、自分はトラッシュトークするときは本気です。試合前にトラッシュトークしてる時は全然キャラクターでなくて、これは心の底から言ってます。こいつのことが大嫌いだと思ったら本当に嫌いです。なぜならば、自分は試合をするため、目標がある、試合が決まった時はすべてを犠牲にしてすべての時間を勝つために自分は費やしてきます。それを邪魔するものは本当に心から嫌いです。で、今試合が終わって言うと、彼はすごくナイスガイだと思います」

──次はリング上でも指名したチャンピオンの井上直樹選手が、次の『嫌いな相手』になってしまうんですかね?

「そうですね、ナオキ・イノウエが間違いなく次の標的になると思います。願わくば大晦日のさいたまスーパーアリーナになる。俺がベルトを取るっていう部分が次の目標になると思いますので、本当にもう何年も前からこのRIZINのベルトが欲しかったので、その日がようやく来るという風に思います。そしてこのベルトを取る取り方としては必ずフィニッシュでやらなければいけない。自分は日本のファンにフィニッシュを届ける義務がある。それは今夜できなかった。けれども、大晦日、必ずフィニッシュをして、ドデカい花火を上げて、自分の人生の中で最高のパフォーマンスをしなければいけない。

 当然、自分は直近の対戦相手を甘く見てその先を考えるようなことはしない。けれども、太田(忍)選手、佐藤選手とやってきた中で、その後ろでベルトを持っている井上っていうのは、ずっと自分の頭の中にはいて、ずっとヤツのことを考えてきたっていうのはあります。なので、大晦日。みんなに来てもらえなければいけない。自分のことを応援する、それでも自分のことを嫌いな人間も全員来てもらって、これを素晴らしい大会にしたいです。自分が長年夢見たこのベルトを手にするその日を、自分のことが好きな人でも、嫌いな人でも、みんな見に来る必要があると思ってる」

──1Rにサッカーキックを受けてから、一気にスタンディングでのストライキングの時間が減ったと思います。インターバルでのコーナーマンのアドバイスも含めて、プランを変更することに躊躇はなかったですか?

「そうですね。MMAの中では打撃は当たるものなので彼は非常に美しいサッカーボールキックを自分に当てました。むしろ日本代表のサッカーチームに入った方がいいと思うくらいでしたから、それを推薦しておきます。ただ自分の作戦としては何も変わってないです。やはり自分の一番の強みっていうのはコンディショニング、体力だとわかっていますんで、今日それを証明できたと思います。で、自分がやっぱりこう野犬のように、闘犬のように戦い続けるっていう部分も、見せられたんじゃないかなという風に思いますし、自分のそのコンディショニングを使って対戦相手の心を折ったという風に自分は思っています。もしかしたら、そのサッカーボールキックで、彼は自分の足を持ったんですけれども自分はコンディショニングで彼の心を折りました。

 どんどん彼の体が衰弱していて、気持ちも弱っていくのは感じました。自分を止めるためには、まず殺す必要があると思います。サッカーボールキックを当てました、どうぞ。振りかぶって打撃を当てました、どうぞ。10発サッカーボールキックも当ててもいいです。それでファンが喜ぶであれば、ぜひ自分の顔面を蹴っ飛ばしてください。ただ、自分は止まりません。なのでそういった心の強さ、そしてドッグファイトですね。闘犬のような戦いを自分は(相手に)強制をします。なので作戦は1回も変わりません。自分は大きい打撃をもらったけれども、自分は彼の顔にジャブを何発も当ててると思いますので。MMAのいいところは14分50秒勝ってても残りの10秒でひっくり返る可能性がある素晴らしい競技だと思ってますので今回はそういう内容でした」

──テイクダウンした後の処理について、下半身を固めたりバックに取るより、佐藤選手の上半身を固めることを主にしているように見えました。これはやっぱリングとケージの違いだったり、佐藤選手相手に対策していたプランだったのでしょうか。

「両方の要素はあると思います。佐藤選手のためでもあり、リングというのもあると思いますけれど、事前に彼の映像を見たときに、肩固めにオープニングがあると見てたので、まあ、そこは必ず来るだろうなと思っていました。あとは、自分はサッカーボールキックだったり、グラウンドのヒザを狙っていたので、少しずつ自分の上半身を上に上げていって良かったという部分はありました。ただ佐藤選手は非常にそこら辺がうまくて、ノリみたいにくっついてきて、自分をそういう風にさせてくれなかったという部分がありますんで、自分が大きな打撃を当てることをうまく阻まれた、という感じがします。腕も絡まれて、ヒジが本当に全然出なかったんで、やっぱりベテランらしい、すごく老獪なテクニックがあるんだなとは感じました。で、結局はそういった老獪なテクニックを持っている選手、自分がフィニッシュされないための技を持っている選手たちをフィニッシュするのは本当に難しいと思うので、自分としてはそれでもいい経験になったと思います。

 だから自分がベルトを取った時も、彼ともう1回リマッチをして、彼をフィニッシュしたいなと思ってますんで。自分は彼をフィニッシュするべきだと思っていますし、できると思っています。で、たまに1Rで大きな打撃が入ってしまうと、いろんな作戦、考えているものが全てできなくなっちゃう部分があるので、今回はそういった試合になりました。この試合のためにいろんな作戦や武器を用意してきましたが、あの1Rで効かされたことによって全てそれはできなくなり、そして本当にガムシャラに、グダグダの、ドロドロの試合をする必要がありました。もちろんお客さんはみんな一発KOであったり、派手なKOを見たり、それが素晴らしいと思うことはあると思いますが、このように効かされて逆境に陥った選手がドロドロの展開に持ち込んでそこから逆転で勝つっていう展開も非常に面白いんじゃないかなというふうに思います」

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