(C)Zuffa LLC/UFC
2025年8月16日(日本時間17日)米国イリノイ州シカゴのユナイテッド・センターにて『UFC 319: Du Plessis vs. Chimaev』(U-NEXT見逃し配信)が開催され、メインカードの第1試合で朝倉海(JTT)にギロチンチョークで一本勝ちしたティム・エリオット(米国)が勝負を分けた瞬間をU-NEXTに語った(※ティム・エリオット 試合後会見全文)。
▼フライ級 5分3R
〇ティム・エリオット(米国)21勝13敗1分(UFC10勝11敗)11位
[2R 4分39秒 ギロチンチョーク]
×朝倉 海(JAPAN TOP TEAM)21勝6敗(UFC0勝2敗)15位
朝倉は元RIZINバンタム級王者で現UFCフライ級15位。エリオットは同級11位。
朝倉は、2024年12月のUFC初戦で同級王者アレシャンドレ・ パントージャ(ブラジル)のベルトにいきなり挑戦も、2R リアネイキドチョークで一本負け。今回は約8カ月ぶりの再起戦となる。31歳。
対するエリオットは、2016年のTUF決勝で扇久保博正に判定勝ちでUFCと再契約。2023年10月に無敗のムハンマド・モカエフに3R逆転一本負けも、23年12月の前戦では緊急参戦ながらス・ムダルジを1R 肩固めに極めて一本勝ち。その後、前十字靭帯損傷の大怪我を負って試合から遠ざかっていたが、今回は1年8カ月ぶりの復帰戦となる。ギロチン、ダースなどフロントからのチョークでの一本勝ちを5つマークしている。38歳。
📹朝倉海を相手に2Rギロチンチョークで一本勝利を挙げたティム・エリオットより
— U-NEXT 格闘技 公式 (@UNEXT_fight) August 17, 2025
.
💬|1Rにテイクダウンして背中を着けさせてから何もなかったから、勝てる試合だと確信… pic.twitter.com/hjqzTtaMHn
試合の序盤は、スタンドのボクシングで攻勢に立つ朝倉にエリオットは組めず。しかし、1R終盤に朝倉が繰り出した左ハイキックの打ち終わりを掴んだエリオットがテイクダウン。このときの動きで「“この試合は勝てる”と思った」エリオットは、2Rに積極的に前に出て圧力をかけ、朝倉の反撃にあえて半身になって誘い込み、左フックを潜ってダブルレッグテイクダウン。
クローズドガードの朝倉が足を解いてスペースが空いたところにエルボー。そこで体を起こして足を手繰りに頭を下げた朝倉のスクランブルでの立ち上がり際に首をとらえ、得意のギロチンチョークに。
後方に回してマウントとなったエリオットは、背中を着けて防ごうとした朝倉が動かないのを見て、最後は組み手を腕を入れない形の得意のノーアームギロチンに切り替えて、タップを奪った。実はこの流れで、ギロチンの解除も考えていたエリオットだが、「コーナーが『相手がパニックってるからそのまま極めろ」との言葉を受けて、ノーアームで絞めてタップを奪っている。
試合前に朝倉からのテイクダウンや柔術的な仕掛けがないことが楽だと語っていたエリオット。テイクダウンの際での対処も惜しまれる形となった。試合後のU-NEXTと本誌のティム・エリオットとの一問一答は以下の通りだ。
海はレスリング的に立ち上がってきた。もし柔術の立ち上がりやサブミッションを仕掛けてくる相手だったら苦労した
「本当に気分がいい。勝つことができて幸運だったけど、勝っても負けても引き分けても、自分は楽しんでいる。このスポーツが大好きだ。俺はどちらにせよ勝者だ。もし今夜、海に負けても、俺はここに戻ってきて、コーチたちと笑顔で、人生と仕事を楽しみながら過ごしているだろう。負けることの唯一の欠点は、ファイトマネーが少なくなることだけだ(※ウィンボーナスが無い)。俺は格闘技が大好きだから、この年齢で、高いレベルで、こんな素晴らしい相手と戦えるのは本当に幸運だ」
──勝負の展開が変わったのは、1R後半のテイクダウンからです。あなたは、相手の蹴り足を掴むテイクダウンをこれまでも得意としていますが、あそこで朝倉のハイキックを掴んで背中を着かせてサイドポジションを奪ったことで、グラウンドの力量差をどう感じましたか?
「彼を倒そうと思っていた。ただ、彼があんなに強く打つとは思わなかった。ハイキックがすごく効かされたんだ。あと、レッグキックを効かされるなんてことはキャリアでも2、3回しかなくてカーフキックはほとんどもらったことなかった。それは俺がスイッチするからなんだけど。でもコーナーから足元を安定させておくように言われてカーフもらったらめちゃくちゃ痛かった。調整が必要だなった。彼はヘッドキックで俺を捕えたが、それを上に残した。だからテイクダウンを決めた。この1Rの最初のテイクダウン後、彼は背中を下にして落ち着いたんだ。彼が背中を下にすると、本当に自信がついた。“この試合は勝てる”と思ったよ」
──フィニュシュはテイクダウンからの相手のスクランブルにギロチンチョークでした。最初はアームインで後方に回してマウント。途中でノーアームギロチンに切り替えました。右肩を押して組み手を切り替えた動きは、悟られなかったようですね。
「グラウンドからの攻撃力がゼロだったって言うつもりはない。でも彼はどっちかっていうとレスリング的に立ち上がろうとしてた感じで、俺はそこは得意分野だから問題なかった」
──スクランブルには長けていた、ただその際を狙うのが、あなたの強さです。
「もし柔術の立ち上がりやサブミッションを仕掛けてくる相手には苦労するけど、彼がそうしなかったから、俺の自信に繋がったよ」
──見事な一本勝ちでした。朝倉選手がオクタゴンで勝つためには何が必要でしょうか。
「海にあれだけ打撃のパワーがあるとは思っていなかった。あれだけパワフルな打撃があるから、UFCで長くやっていける選手だと思う。素晴らしい選手だと思う。人しても。ほんのちょっとアジャストすればいいだけだ。オクタゴンで戦うのとリングのそれは全然違う。この階級、このプロモーションで本当に足場を固め、経験を積むにはあと3、4試合かかるだろうけど、彼は素晴らしいアスリートで素晴らしい人間だ。いつかおそらくチャンピオンにだってなれると思うよ」
──日本からこの試合に注目したファンにメッセージを。
「特にXの日本のファンたち、ありがとう。俺は一般的にMMAファンから多くの嫌悪感を受けているけど、日本のファンたちと話をし、彼らとの関係を築くことで、少しのモチベーションとファイトゲームを得ることができる。格闘技を愛し、朝倉海を尊敬し、愛しているからといって、ティム・エリオットを嫌うわけではない──そういうファンたちがいることは素晴らしいことだ。日本のファンたちから多くの愛を感じたよ。この1週間、本当に楽しい時間を過ごせた。そんなファンたちがいることは、自分にとって大きな喜びだ」







