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【UFC】チマエフが新ミドル級王者に!デュ・プレシを5R完封。朝倉海が連続一本負け、エリオットのギロチンにタップ。マーフィーがピコをバックヒジKOでUFC9連勝、プラテスもニールをバックヒジKO。ミドル級でペイジがキャノニアからダウン奪う判定勝ち=『UFC 319』

2025/08/17 07:08
 2025年8月16日(日本時間17日)米国イリノイ州シカゴのユナイテッド・センターにて『UFC 319: Du Plessis vs. Chimaev』(UFC Fight Pass/U-NEXT配信)が開催された。  メインは、UFC世界ミドル級王者のドリカス・デュ・プレシ(南アフリカ)の3度目の王座防衛戦。ウェルター級からミドル級に戻した無敗のハムザト・チマエフ(アラブ首長国連邦)が王座に挑戦。初回からテイクダウンを奪ったチマエフがデュ・プレシをクルスフィックスにとらえて削るなど5Rに渡り完封。新ミドル級王者となった。  また、メインカードの第1試合では、日本の朝倉海(JTT)がUFC2戦目で、フライ級11位のティム・エリオット(米国)と対戦。2Rにエリオットが得意のギロチンチョークを極めて朝倉からタップを奪っている。朝倉はUFC初勝利ならず、2連敗に。ここまで、UFC日本人選手の「8月決戦」は、2日にフライ級の平良達郎とバンタム級の中村倫也がフィニュシュ勝利。9日にバンタム級の風間敏臣がKO負けとなっていた。 [nextpage] 『UFC 319: Du Plessis vs. Chimaev』速報 2025年8月16日(日本時間17日)朝7時30分~UFC Fight Pass/U-NEXT配信 ▼UFC世界ミドル級選手権試合 5分5R ※選手名からインタビュー〇ハムザト・チマエフ(アラブ首長国連邦)15勝0敗(UFC9勝0敗)※UFC9連勝[判定3-0] ※50-44×3×ドリカス・デュ・プレシ(南アフリカ)23勝3敗(UFC9勝1敗)※UFC9連勝でストップ※チマエフがミドル級新王者に “DDP”こと王者ドリカス・デュ・プレシは、UFC9勝0敗でオクタゴンで無敗の王者。5歳で柔道、12歳でレスリング、14歳の時にキックボクシングを始め、2013年に19歳でプロMMAデビュー。2018年4月にKSWウェルター級王座を獲得。  2020年10月にUFCデビュー、オクタゴン7戦目の2024年1月、UFC 297のUFC世界ミドル級タイトルマッチで王者ショーン・ストリックランドに挑戦し、5Rスプリット判定勝ち。南アフリカ人史上初となるUFC世界王者に輝いた。2024年8月に、元王者のイズラエル・アデサニヤを4R リアネイキドチョークに極めて初防衛。25年2月の前戦でストリックランドとの再戦に臨み、判定3-0で勝利。2度目の王座防衛に成功している。 (C)Zuffa LLC/UFC  対する挑戦者・チマエフは、5歳からレスリングを始め、10代でロシアジュニア選手権で銅メダルを獲得。18歳の時にスウェーデンへ移住し、2015年、16年の86kg級、18年の92kg級と3度フリースタイルレスリングのスウェーデン選手権で優勝を果たす。その後は柔道やコンバット・サンボにも取り組んだ。  2018年5月、24歳でプロMMAデビュー。Brave CFなどで6戦6勝(全フィニッシュ)の戦績をあげて、2020年、コロナ禍で行われたUFCアブダビ大会ミドル級でオクタゴンデビュー。わずか10日後にウェルター級で2戦目を1R TKO勝ち。2020年9月にミドル級でジェラルド・マーシャートを17秒 KO。22年4月にギルバート・バーンズとのウェルター級戦で判定勝ち。  22年9月のネイト・ディアス戦で体重超過し、代わりのケビン・ホランドと180ポンド契約で一本勝ちすると、以降はミドル級に上げて、23年10月にパウロ・コスタの代役のカマル・ウスマンにマジョリティ判定勝ち。前戦は24年10月のロバート・ウィテカー戦で、アゴ上からのフェイスクランクで一本勝ち。今回のDDP戦で初王座挑戦となる。  組み技出身ながら、キックボクシングではWAKOのK-1ルールで南アフリカ人初の世界王者にもなっているDDP。対するチマエフは、ミドル級随一のケージレスリングを軸にパウンド以外にも右ストレート、右アッパーでのKO記録も持つ。初メインにして、3度目の5R戦だが、これまで4R以降に持ち込まれたことはない。バーンズ、ウスマンとの3R判定では後半に追い上げられており、長期戦になった場合はDDPが有利か。そのためにはDDPも序盤に強いチマエフからサバイブする必要がある。  デュ・プレシのコール中に胸をぶつけに行ったチマエフ。  1R、サウスポー構えからデュ・プレシがオーソになった瞬間にダブルレッグテイクダウンのチマエフ。跳ね上げたデュ・プレシを押さえ込んでノースサウス、頭を抱えるデュ・プレシにヴォンフルーチョークも狙うチマエフ。サイドに出てデュ・プレシの右腕を両足で挟んでクルスフィックスで細かいパウンド!  右で脇差し、マット・ヒューズポジションでこつこつ殴るチマエフ。顔を胸につけてスペースを無くすデュ・プレシは右腕を抜くと、ケージウォーク狙い。足をケージに着かせないチマエフはニーオンへ。そこでブリッジするデュ・プレシ。残り1分。サイドのまま押さえ込むチマエフにデュ・プレシはマウントを防ぎ背中を向けて立ち上がりに。そこでバック狙いのチマエフを股に潜って落としたデュ・プレシだが、際で押さえ込むのはチマエフが上でホーン。チマエフのラウンド。  2R、ともに左の蹴りから、チマエフはダブルレッグからバックテイク。ケージ際で片ひざ立ちのデュ・プレシ。背後から細かいヒザを突くチマエフは、デュ・プレシの立ち際にバックからリアネイキドチョーク狙い。ケージまで動くデュ・プレシ。左足をかけようとするがかけさせないデュ・プレシ。背後からヒザのチマエフ。デュ・プレシは片ヒザ着き。  ボディロックで背後からヒザを突くチマエフ。左足をかけてリアネイキドチョークを仕掛けるが、防ぐデュ・プレシ。立とうとすると足をかけに行くチマエフ。片ヒザ立ちのデュ・プレシは正座に。左腕を掴んだデュ・プレシ。抜いたチマエフはなおもバックコントロール。チマエフのラウンド。  3R、笑顔を見せるチマエフ。スタミナはいかに。開始早々ダブルレッグを仕掛けたチマエフ。ケージまでドライブしてテイクダウン。すぐにサイドを奪い、右で脇差し、1R同様にクルスフィックス狙い。左で頭を抱え込むデュ・プレシだが、チマエフは右腕で両足で挟んでクルスフィックスに!  左脇を差されて右腕を固められ十字架で削られるデュ・プレシ。パウンド、ヒジに動けないデュ・プレシ。ブリッジをするが腕は抜けない。左腕を解除したデュ・プレシの上体を起こしたところにリアネイキドチョークを狙うチマエフ。正座して凌ぐも動けないデュ・プレシは亀に。チマエフががぶってネルソンを仕掛けたところでホーン。ここもチマエフのラウンドに。  4R、観客を煽るデュ・プレシ。先に右前蹴りのチマエフは左ミドルも。続けて足を手繰りに。足を抜いたデュ・プレシだが、背中を見せたところに追ったチマエフがバッククリンチ。ケージ際でバッククリンチのチマエフに、立ち上がり正対するデュ・プレシだが、ダブルアンダーで崩してなおもバッククリンチに移行するチマエフ。デュ・プレシをボディロックで崩して両手を両ヒザをマットに着かせる。  中腰まで戻すデュ・プレシを崩して立ち際を仰向けにさせたチマエフ。背中をマットに着かされたデュ・プレシは後転してケージウォークへ。右で脇差し、押さえ込むチマエフはバックからのヒザもレフェリーが初めてここでブレーク。  スタンドで右ローのデュ・プレシにすぐに組んでボディロックから小外がけテイクダウンのチマエフ! デュ・プレシが片ヒザ立ちとなるもホーン。チマエフのラウンド。  5R、右ローのチマエフ。デュ・プレシはワンツー、左ハイも、ガードのチマエフはボディロックテイクダウン! すぐにサイドからクルスフィックスにとらえて今度はアメリカーナに。  亀になり立ち上がろうとするデュ・プレシを対角の腕を縛ってコントロールするチマエフ。デュ・プレシが立ってもボディロックで崩して両ヒザをマットに着かせる。バックから狙うチマエフに正対したデュ・プレシが初めて上に!  しかし、ここでチマエフは足を手繰りレッスルアップ。そこにギロチンを合わせに行ったデュ・プレシを首を抜いて寝かせてトップになるも、ブレーク。  右カーフのチマエフに、左ミドルのデュ・プレシ。ワンツースリーと繋ぐデュ・プレシはチマエフのシングルレッグをがぶり。レッスルアップしてきたチマエフを小手で投げてマウントに! 背中を見せたチマエフにデュ・プレシはリアネイキドチョークを狙うがチマエフが防ぎ、最後にトップを奪いホーン。  まさかのレフェリーのブレークがあり、デュ・プレシに反撃を許す形になったチマエフだが、判定は50-44×3でチマエフが勝利。新ミドル級王者に輝いた。  試合後、チマエフは「最後の1分で、あの男(デュ・プレシ)が仕留めようとしてきた。フィニュシュできなくてすまない、みんな。でも満足だ。お金をもらわないと、ダナ、送金してくれ。“シット”ベルトよりも。私の国にとってはベルトは重要だけど。 (作戦は?)ただ彼を倒し、上から支配する。ジムでやっているように。あの男は強い。終わらせられなかった。あの男を尊敬する。私の名前を呼んだ唯一のチャンピオンだ。ビッグハートを持つ本物のアフリカンライオンだ」とデュ・プレシに敬意を示した。  また、試合後の会見でチマエフは、グラウンドの最中に喋っていたことについて、デュ・プレシと相手陣営のコーチに話しかけて、アドバイスを与えていたと明かした。 「彼を鍛えていたんだ。少し落ち着いて、試合の途中で彼と、そしてコーチとも話をした。嬉しかった。『よくやった、もっと頑張れ』って言ったよ」と。  敗れたデュ・プレシは「彼はまるで毛布のようだった。強さの問題でもなければ、それほど肉体的な問題でもなく、まるで次の動きを分かっているかのようだった。彼は力を入れすぎずにそれを掴んだんだ。彼は信じられないほどのコントロールを持っている。俺は『背中を下にするか、彼を背中に乗せるか』を決断しなければならなかった。結局、俺はマットに背中を着けて挑んだ。ただ、最後は俺が攻めに出て、バックを取った。勝利の味をほぼ味わうことができた。ハムザットに敬意を表する。彼は100%この勝利に値する。今夜はフェアに俺を倒した。今夜は彼の方が優れていた。でも俺は戻ってくる。ベルトを取り戻しに行く。  来てくれたすべてのファンに感謝します。我々をサポートしてください。あなたたちがいるからこそ、俺たちはこの素晴らしいものを築くことができ、あなたたちがいないと仕事がない。本当に感謝しています。自分はより強く、より良い状態で戻ってきます」と語った。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R〇レローン・マーフィー(英国)17勝0敗1分(UFC9勝0敗1分)※UFC9連勝[1R 3分21秒 KO] ※右バックエルボー×アーロン・ピコ(米国)13勝5敗(UFC0勝1敗)※Bellator12勝4敗  フェザー級6位、UFC8連勝中のマーフィーと、Bellator12勝4敗・UFCデビュー戦のピコが対戦。  1R、ともにオーソドックス構え。先にピコが前に。ワンツーにマーフィーがバランスを崩す。ヒジを打ち左で差して押し込むピコに離れるマーフィー。  左ボディを当てたピコに、くの字になったマーフィーはピコのダブルレッグにニンジャチョークを合わせるが、首を抜いたピコ。ケージ背に立ち上がるマーフィー。  追うピコはケージに詰めて再びダブルレッグテイクダウン。右小手で立ち上がるマーフィー。サウスポー構えになり後ろ蹴り。なおも詰めて組むピコに左ヒザ! それでも組むピコを剥がすが、ピコは右を突いて左ボディ。さらに近づくが、そこにマーフィーは右の回転ヒジ!  ピコが後方に倒れ、マーフィーは鉄槌1発に、すぐにレフェリーが間に入った。2試合連続のバックエルボーでのKO決着に。  MMA17勝0敗1分、UFC9連勝としたマーフィーは、試合後「ああ、瞬間を大事にするタイプで、俺はまさにそれを作り出したんだ。こういう瞬間が必要だった。3週間前に“火消し”を宣言した。自分を信じていた。チャンスがそこにあると分かっていた。次は俺の番。ヴォルカノフスキー!」と王者を指名。 「ピコとの試合で人生で一番辛かった最初の数分間だったと思う。彼は危険な選手だ。でも、彼が何かにぶつかろうとしているのは分かっていた。飛んで行ったんだ。それより少し早くヒザ蹴りをした。彼のタイミングを掴んでいたんだ。だって、彼は常に、常に前に出ているのが分かっていたからね。ああ、彼は攻撃的すぎる。試合前のインタビューでそう言ったんだ。彼の攻撃的なところを逆手に取るって」と語り、「一つだけ言わせてもらってもいいかな? チームメイトのジョーダン・バートンだ。彼はどのキャンプでも、僕にとって最もタフなパートナーだった。UFC欧州にふさわしい選手だ。さあ、チャンピオンシップだ、ダナ、どうか準備しておいてくれ」と語り、5万ドルボーナスも獲得した。 レローン・ マーフィー(フェザー級6位)「これはナンバーワンコンテンダー決定戦だ」(会見) ──ここ最近はダン・イゲ(フェザー級14位)やジョシュ・エメット(フェザー級8位)といったランキング入りの相手と戦い、フェザー級で順位を上げてきましたが、今回はランキング上では位置づけられていないアーロン・ピコとの試合です。ただし、一部では「タイトルマッチを除けばUFCフェザー級最大のビッグネームの一人」と言われています。この評価に同意しますか? また、ピコをどう見ていますか? 「もちろん。ランキングなんてほとんど意味がない時もある。誰もが彼の実力を知っているし、ビッグネームだ。俺にとっては“フェザー級3位”くらいの感覚で見ているし、しっかりした相手で素晴らしいマッチアップだと思う」 ──ピコがBellatorやPFLにいた時の試合は見ていましたか? 彼はプロ戦績ゼロの状態でBellatorと契約しましたよね。 「俺はMMA全般のファンだから、昔から彼の試合は見ていた。勝った試合も負けた試合も全部知ってる」 ──ピコは会見で「やっとUFCファイターになれたと感じている」と話していました。長年ファンからMMAをやっていると言うと“UFCファイター”だと思われ、BellatorやPFLを知らない人が多かったそうです。パトリシオ・“ピットブル”・フレイレやパッチー・ミックスのようにUFCに来た直後は本来の力を出せない選手もいますが、ピコにもそういう影響があると思いますか? 「人それぞれだ。プレッシャーへの対処も人によって違う。だからそれに期待してるわけじゃない。でも可能性はある。世界最高の舞台に立つわけだからね。ただ、ピコは今が全盛期だと思うし、ベストな彼が来ると予想している」 ──PFLの契約解除を求める動きがあり、ピットブルやピコもそれに加わっていました。その時点で、近いうちに彼らとマッチアップする可能性を考えましたか? 「もちろん。いつかUFCに来るだろうとは思っていたし、MMAファイターなら誰もがここを目指す。実力がある者はいずれトップに上がってくる」 ──今回の試合は比較的短い準備期間でした。ピコは本来7月に試合予定でしたが、あなたはいつこの試合の話を受けたのですか? 「2、3週間前だ。だから実質2週間の調整だけど、俺は一年中トレーニングしている本物のプロだから問題ない。準備期間の長さについては、それぞれ長所も短所もある。俺はテクニシャンだから、相手を長く研究できた方が良い面もある。でも例えば12週間のキャンプは体への負担が大きい。あと、同じ相手のことを12週間も考え続ける必要がないのは心身ともに楽だ」 ──ピコは「勝てばタイトルマッチの約束はない」と言っていましたが、あなたはどうですか? 「どうだろうな。勝ってからどうなるかを待つだけだ」 ──ランキング6位のあなたが、ランキング外のピコと戦うメリットは? 「この試合はビッグカードで、ペイパービューのセミメイン。こんな美味しい舞台を断る理由はない。それに彼は無名じゃなくてビッグネームだ。勝てばナンバー1コンテンダーの位置に行ける。もともとピコはモフサル・イヴロイエフ(フェザー級1位)とピコが戦う予定だったけど、モフサルが欠場になって俺が代役として入った。つまり、これはナンバーワンコンテンダー決定戦だよ」 ──今回、フィニッシュを狙っていますか? それとも勝ち方は問わず、とにかく勝利を目指しますか? 「もちろんフィニッシュはいつだって狙う。でも勝ち方は関係ない。勝って、エキサイティングな試合をすること。それが目標だ」 ──もし今回勝てば、UFCでデビューから10戦無敗を維持する、非常に限られたファイターの一人になります。これまでその記録を持つのはハビブ・ヌルマゴメドフやアンデウソン・シウバといった史上最高クラスの選手たちです。あなたにとって、その仲間入りを果たすことはどんな意味がありますか? 「履歴書的にはかっこいいけど、最終目標はタイトルにたどり着くこと。それだけだ」 ──最近、アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(フェザー級王者)がもしアーロン・ピコと戦うなら“床を拭くようにきれいに完封する”とコメントしていましたが、あなたについてはほとんど触れていません。このことについては? 「正直、全く気にならない。ピコが何か言って、それにヴォルカノフスキーが反応しただけだろう。俺にとっては全部ノイズだ。俺は試合に集中してる」 ──今回の記者会見や入場では、ブーイングされると思いますか? それとも声援を受けると思いますか? 「正直、ブーイングの方が好きかもな。デビュー戦でロシアの選手とアブダビで戦った時もブーイングを受けた。そういう時こそ“スイッチ”が入る。今回も相手はアメリカ人だから、こっちがアウェイ扱いになる可能性が高い。それで構わない」 ──大観衆の熱気に飲まれて打ち合いたくなる瞬間はありますか? 「俺は完全に集中してる。ケージに入れば周りは静かになって、相手しか見えない。観客の声は気にならない」 ──今回はセミメインを戦うわけですが、メインイベントについての予想を聞かせてください。 「本当に素晴らしい試合になると思う。ハムザト・チマエフ(ミドル級3位)は化け物みたいな存在で、今まで1分以内にテイクダウンを許さなかった相手はいない。ただただ良い試合を見るのが楽しみなだけだよ」 ──今回の試合前に、他のオファーはありましたか? 「いや、ずっと試合を求めていたけど、ランキング上の相手はみんなケガをしていた。だからこの試合はベストなタイミングで来たオファーだった」 ──あなたはSNSで派手に発信するタイプではありませんが、そのせいでチャンスを逃すことがあったと思いますか? 「間違いなくある。これは今の若いファイターたちへの教訓だ。ケージ外での活動も必要で、それをやらないと道は長くなる。だから本来なら若いうちからやるべきことだ」 ──ファンにまだよく知られていないあなたのことを、一つだけ知ってほしいことは? 「俺がMMAを初めたのは遅かった。22歳からだよ。それでも今は世界6位、セミメインで無敗を維持している。それについて文句を言えるやつはいないだろ」 アーロン・ピコ「左フックが飛んでくるぜ」 ──長年あなたを取材してきましたが、毎回のように「いつUFCに行くのか?」「UFC王者の○○についてどう思うか?」といった質問が出ていました。ですが今、あと数日で本当に「UFCファイター」と名乗れるようになります。今回のファイトウィークは、どんな気持ちで過ごしていますか? 「最高だよ。ようやくここに来られたっていう、この非現実的な感覚と、山あり谷ありのキャリアの末にたどり着いたこの場所で、ただこの瞬間を楽しんでる。初めてのスタッフに会ったりして、とにかくいい時間を過ごしてるよ」 ──パッチー・ミックスがUFC初のメディアデーの時、「この数年間、MMAをやってるって言うと、ファンから“UFCの選手なんだね”って言われるけど、BellatorやPFLを知らない人が多かった」と話していました。あなたも同じような経験をして、やっと「UFCファイター」と名乗れる状況になったのでしょうか? 「そうだね、分かってない人に説明するのはいつも面白いよ。面白い話があって、俺の息子は4歳なんだけど、いつも一緒に試合を観てて、“パパがUFCで試合するよ”って言ったら、“わぁ、やっとプロになったんだね”って言ったんだ。俺も“そうだよ、やっとプロになったんだ”って(笑)。普段は外で何してるのって聞かれても“アーティストだよ”って言って細かくは話さない。でも突っ込まれたら“ファイターだ”って答える。ただ、以前は“この団体で戦ってる”って説明すると“へぇ、じゃあいつかUFCに行くんだね”って言われて、“ああ、いつかね”って答えてた。でも今は“UFCファイターだ”って言える。そうすると“すごいね!”って反応が返ってくる。それは気持ちいいよ」 ──マイケル・チャンドラー(ライト級12位)やマイケル・“MVP”・ペイジ(ウェルター級15位)、パッチー・ミックスのように他団体を経由してきた選手と違い、あなたはBellatorとPFLだけで戦ってきて、いわゆる規模の小さい団体を経験していません。Bellator以外のファイトウィークは今回が初めてになるわけですが、この状況は少し特別に感じますか? 「俺のキャリアはマディソン・スクエア・ガーデンで始まった。あの試合がどうなったかはみんな知ってるよな(笑)。今なら笑えるけど、当時は笑えなかった。でもここまで来る道のりは簡単じゃなかった。本当にこれは自分がやりたいことなのか、何度も自問したけど、答えはいつもYESだった。やめるという選択肢は一度もなかった。UFCに行くことは分かっていたけど、それがいつになるかは分からなかっただけ。今振り返れば、キャリアの始まりから今に至るまで、全てがこのタイミングのためにうまく噛み合ってきたんだと思う。これからやるべきことはたくさんあるけど、心も体もすべて準備できてる」 ──当初はモフサル・イヴロイエフ(フェザー級1位)と7月26日(現地時間)にアブダビで対戦予定でしたが、今はレローン・マーフィー(フェザー級6位)になりました。キャンプの流れとしては、長いひとつの準備期間のように感じますか? モフサル戦に向けてピークを作ってから、また全く別の相手・場所に向けてピークを作る必要があったわけですが。 「俺のコーチ、グレッグ・ジャクソンは“プロセスに留まれ”って常に言ってる。試合がキャンセルになるのもそのプロセスの一部だ。だからそこまで心配はしなかった。ハンター(UFC幹部)とも話して、“できるだけ早く試合を組む”って言われたんだ。レローンと8月16日(現地時間)に組むかもしれないって聞いてたから、減量も維持しつつ、7月26日用に体重を落としてた分をちょっと戻すために数日休んだ。実際はいいタイミングだったよ。S&Cコーチのサム・カラベダにも連絡して、カロリー調整やら何やらプランを作った。結果的に、アブダビのカードに向けて準備してた時より今の方がコンディションはいい」 ──レローン・マーフィーはUFC無敗で、直近2試合は接戦ながら判定勝ちを収めていますが、一部ではジョシュ・エメット(フェザー級8位)やダン・イゲ(フェザー級14位)の勝ちだったという声もあります。彼をどう評価していますか? 「16戦無敗には理由がある。UFCで無敗、タフな相手と戦ってきてる。試合に向けて、俺とチームにはやるべきことが山ほどあるし、相手を軽く見るつもりはない。彼の試合数と俺の試合数はほぼ同じだし、俺は地方団体の裏庭みたいな場所じゃなく、キャリアの最初からビッグステージで戦ってきた。だからこの瞬間のために準備はできてる。あとは試合のためにやるべきことをやって、仕事を片付けるだけだ」 ──あなたはトレーニングラボでサム・カラベダとやってきたことについて話していましたよね。そこにはハムザト・チマエフ(ミドル級3位)やアルマン・ツァルキャン(ライト級2位)もいたそうですが、彼らとどんな練習をして、それがあなたのメンタルやファイトスタイルにどう影響しましたか? 「彼らと一緒に練習できたのは光栄だよ。今なら分かる、なぜ彼らが世界トップなのか。アルマンはライト級1位だし、ハムザトは今回のメインイベントで世界タイトル戦を控えてる。同じ志を持つ人間と一緒にいるのはいいもんだ。ジムに来たら全員が本気で、最高を目指してる。練習やメニューでも競い合って、お互いのレベルを引き上げられた。それに、彼らは本当にいい人たちだ。ハムザトはケージに入れば人を“壊す”タイプだけど、普段は人への接し方を見ても分かる通り、すごく優しいんだ。それが俺が一番尊敬してるところだよ。アルマンも、“一緒にドリルやらないか?”って聞くと必ず“行くよ”って来てくれる。別に義務じゃないのにね。彼らは自分を限界まで追い込む“キラー”だけど、人間としても誠実で素晴らしい。それが間近で見られたのは本当に良かった」 ──あなたはハムザトがこの試合に勝つと信じていると思いますが、どうやって勝つと予想しますか? 実際に練習で見て、そのレスリングがドリカス・デュ・プレシ(ミドル級王者)にとってどれほど厄介だと感じましたか? 「彼は厄介な相手だよ。ハムザトがサブミッションで勝つ可能性もあると思うけど、5ラウンドになってもドリカスにプレッシャーをかけ続けられるスタミナもある。簡単なことじゃないけど、彼は今回のキャンプを本気でやってきたのが分かる。体を限界まで追い込んでるし、ベストを尽くしてくれるはずだ。俺はハムザトがサブミッションで勝てると思う」 ──フェザー級ではタイトル挑戦を主張できる選手が何人かいますが、この試合の勝者もその一人になり得ます。そんな中、アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(フェザー級王者)とあなたの煽り合いが注目を集めていますよね。あなたはFox Sports Australiaに“彼をKOする”と言いましたが、彼は“レスリングでは俺が圧倒できるし、アーロンのチャンスは一発を当てるしかない。それ以外なら俺が完封する”と返しました。この発言への感想は? 「5ラウンドなら俺は左フックか右を当てて倒せると思う。でも俺はこの団体に入ったばかりだ。彼の注目を集められるのはいいことだけど、今はレローン・マーフィーを倒すことだけに集中してる。そこが全てだ。もちろんヴォルカノフスキーは簡単な相手じゃないのは分かってる。ただ、彼が戦ってきた中で俺ほどのハイレベルなレスラーはいなかった。だから俺との試合が待っているよ、と伝えたい」 ──もしこの試合に勝てば、すぐにタイトルマッチがあるという話はUFCからありましたか? 「特に具体的なことはない。ただ、“仕事を果たせば、その先には大きなことが待ってる”とは言われてる。それだけだし、それに集中してる」 ──改めてヴォルカノフスキーについてですが、まず今回の試合が先なのは分かっています。ただ、UFCのベルトをかけて、この階級の歴代最強とも言われる彼と戦える可能性がある。これは特別なことですよね? 「すごくワクワクするよ。彼の存在は、俺を毎朝ベッドから起こす理由のひとつだ。練習に行くたびに、“いつかヴォルカノフスキーと戦う”って思ってきたからね。“完封してやる”なんて彼の声は、正直、俺にとっては最高の音楽みたいなもんだ。そのまま俺を過小評価しててくれ。その間に俺はどんどん強くなるし、起きた瞬間から“どうやってお前を倒すか”を考えてる。それを想像すると笑顔になるよ」 ──ある意味、アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(フェザー級王者)は、あなたを名指しすることで“もし勝てば次はこの相手だ”と道を示してくれているようなものですよね。これは変な質問かもしれませんが、あなたは非常に高いスキルを持っていると分かっています。それでもUFCの舞台に少し慣れる時間を取る方が良いと思いますか? それとも彼に呼ばれたらすぐにでも戦いたいですか? 「いや、今回勝ったら、ヴォルカノフスキーとはすぐ戦いたい。なんでわざわざ回り道する必要があるんだ? 他の相手とやってる間に何かあってタイトルマッチが延期になるリスクだってある。今はいいポジションにいる。勝てばトップに直行できる。上から“ベルトをかけて戦え”って電話が来たら、“もう少し慣れてから”なんて絶対言わない。トレーニングキャンプ含めて、ファイターには常に故障のリスクだってあるんだから、ベルトへの明確な道があるなら迷わず行く」 ──UFCデビューではプレッシャーを感じる選手も多いですが、MMAファンの反応という面で聞きたいです。パッチー・ミックスがマリオ・バティスタ(バンタム級8位)とやった時、試合前はパッチーを応援していたファンが、試合後は手のひらを返してブーイングしていました。レローン・マーフィーの前戦もApexでブーイングされていて、今回はファンが“マーフィーに負けてほしい”という空気で、あなたがその役を担うような状況です。ファンの支持が一気に変わる可能性や、そのプレッシャーについてはどう考えますか? 「正直、プレッシャーはある。俺自身、最高レベルで戦うために大きなプレッシャーを自分にかけてるし、やってきた準備も膨大だ。だからプレッシャーはつきものだけど、ファンがどう思うかはあまり気にしない。全員を満足させることはできないし、MMAファンは容赦ない。だからそういうのはあまり読まないし、自分でコントロールできることに集中する。大きな勝ちを挙げればファンは喜ぶだろう。もし相手にブーイングがあって俺に声援が飛ぶなら、それは悪くない。アメリカで戦うし、相手はイングランドから来るんだから、ファンが味方してくれるのはプラスだ」 ──パッチーやパトリシオ・フレイレがUFCデビュー戦で負けたこともあり、Bellator出身の選手を懐疑的な目で見る人もいます。あなたがUFCフェザー級のトップ戦線では戦えないと思う人へのメッセージはありますか? 「特にメッセージはない。ただ、パッチーやパトリシオ・“ピットブル”・フレイレは素晴らしいファイターだけど、俺はアーロン・ピコだ。俺の試合を見てくれれば分かる。それが俺のメッセージだ」 ──サム・カラベダのトレーニングについてですが、彼は元数学教師で、すべてが数学的かつ詳細にモニターされていると聞きます。様々な数値を毎日計測してくれるそうですが、実際の方法はどうなっていますか? 「良い質問だけど、それは彼に直接聞いた方がいいな。とても細かいデータ管理で、心肺機能、食事、体の仕上げ方、すべてを最高レベルに持っていきたいなら、トレーニングラボに行って彼と一緒にやってみれば分かる。俺から詳しいやり方は説明できないけどね」 ──あなたは2017年に“Bellatorの超新星”としてデビューしました。それから8年経ってUFCに来ましたが、この道のりをどう表現しますか? 「タフな道だった。ここに来るまで楽じゃなかったし、大きな敗戦も経験した。“自分にこれができるのか”と疑った時期もあった。でも諦めずにやり続けて、ブランデン・ギブソン、グレッグ・ジャクソン、サム・カラベダといった最高のコーチたちに囲まれて、ただひたすら練習した。結果、直近10試合は勝ってるし、2017年の俺とは完全に別人だ。それを今回の試合で見せられると思う」 ──最後の質問です。私がこれから言う言葉を完成させてください。“Don’t blink because…”(瞬きするな、なぜなら…) 「左フックが飛んでくるぜ」 [nextpage] ▼ウェルター級 5分3R〇カルロス・プラテス(ブラジル)22勝7敗(UFC5勝1敗)[1R 4分59秒 KO] ※右バックエルボー×ジェフ・ニール(米国)16勝7敗(UFC8勝5敗)  1R、ともにサウスポー構え。プラテスは後ろ蹴りを腹に。ニールの飛び込みにはサークリングしてかわす。詰めるニールに左カーフのプラテスは右前手フックも。  いきなり左で飛び込むニールに、右を返したプラテスは、左テンカオも。右ジャブの刺し合い。プラテスは右ボディ、左ヒザ! さらに打点の高い左後ろ廻し蹴りも。  ワンツーで前に出たプラテスはヒザ蹴りも、そこで組んだニール。突き放したプラテスは左ヒジを突くと、残り10秒の拍子木に、右のバックエルボー! ニールが後方に大の字に倒れて、レフェリーがストップした。1R残り1秒のKO勝利。  ファイティングナードの眼鏡をかけたプラテスは「最高の気分だ。でもまずは、あの人たちと話をしたい(※ケージサイドのダナ・ホワイトの近くに歩き)明日は俺の誕生日だ。ブラジルで試合をさせてほしい。それから、友人のマルコス・デグリとも契約してほしい。、LFA(フライ級)暫定王者でブラジルでP4P1位だ。どうか一緒にリオで戦わせてほしい。 明日はパーティーだ。『カルロスはもう終わりだ』と言う人が多い。『彼はスモーカーーでパーティー好きで、チャンピオンにはなれない』と。でも俺はタバコを吸い続け、酒を飲み続けてもチャンピオンになれるってみんなに証明してやる。最高の人生を楽しむために、今もタバコを吸って、パーティーをし、ウイスキーを飲んでいる。 (ダナ・ホワイトから聞いたが、10月11日にリオで試合が決まって、5万ドルのボーナスももらえるそうだが)リオでホームのアベンジャー、カルロス対レオン・エドワーズでどうだい。彼への敬意は分かってるだろう。しかし、今がまさにその時だ」と語った。 [nextpage] ▼ミドル級 5分3R〇マイケル・“ヴェノム”・ペイジ(英国)24勝3敗(UFC3勝1敗)Bellator17勝2敗[判定3-0] ※29-28×3×ジャレッド・キャノニア(米国)18勝9敗(UFC11勝9敗)  キャノニアは、2連勝後にナッソーディーン・イマボフ、カイオ・ボハーリョ相手に2連敗。25年2月の前戦でグレゴリー・ロドリゲスに4R TKO勝ち。41歳。  ペイジは、Bellator17勝2敗。24年3月にUFCデビュー。ランカーのケビン・ホランドに判定勝ちも、6月の2戦目でイアン・マシャド・ギャリーに判定負け。25年2月にミドル級でシャラ・マゴメドに判定勝ちで再起。37歳。  1R、ともにオーソドックス構え。半身でガードを下げた構えのペイジに、詰めるキャノニア。ステップで回り、右ボディを入れるペイジは、キャノニアのダブルレッグの押し込みもペイジが両脇を差し返すと支釣込足で崩して離れる。  キャノニアの左右をステップでかわすペイジだが、そのまま詰めるキャノニアは左ロー。そこにペイジはカウンターの右を打ち込みキャノニアがダウン! 立たせるペイジは右アッパーを突き上げる。さらに右にキャノニアはダブルレッグもケージ背に凌ぐペイジ。外がけテイクダウン狙いも残すキャノニア。ダウンを奪ったペイジのラウンドに。  2R、キャノニアの左右の前進をかわすペイジ。右ボディ、アッパーも。右で差して組むキャノニアにケージ背にするペイジは突き放して離れる。右アッパーで飛び込むペイジ。キャノニアの右の飛び込みをかわすが、そのまま押し込むキャノニア。右で差すもペイジは左手を掴んで組ませず。右で差して離れてホーン。このラウンドもペイジに。  3R、左ジャブを見せて、右インローを当てるペイジ。右アッパーから入り、キャノニアのワンツーの打ち返しは頭を振ってかわす。  ペイジはスーパーマンパンチで飛び込むがスリップ。そこでトップを取ったキャノニアはハーフからマウントへ。その際でいったん背中を見せてから正対してハーフに戻したペイジ。キャノニアは左脇に頭を突っ込み、肩固めを狙い、キムラクラッチに移行。腕を戻すペイジだが、マウントを奪うキャノニアはアメリカーナに移行。ここもかわしたペイジは潜り狙い。剥がしたキャノニアはハーフからパウンド。ペイジは残り40秒を凌いでホーン。すぐに立ち上がった。  判定は29-28×3で1、2Rを取ったペイジが勝利。試合後、ペイジは「1R目と2R目は良かったが、3R目では本当に攻め込まれたが」と問われ、「3R目ではもう少し攻めたいと思っていた。馬鹿なミスをしてしまったけど、彼は上からの攻撃が本当に強いんだ。知ってる? シカゴ、あなたたちの前で戦うことは本当に光栄だった。このサポートは本当に大きな栄誉だった。素晴らしい。いつもベストを尽くしてパフォーマンスを提供しようとしている。予想とは違ったけど、あなたたちが楽しんでくれたことを願っています。}(185ポンドに留まるつもりか?)私はまだ170ポンドへの考えがたくさんあります。頭から消えるまで。このミドル級で固定するのは難しいけど、素晴らしい試合があれば、またここに戻ってくるでしょう」と語り、最後に「唯一無二の存在、MVP」で締めた。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R ※選手名からインタビュー〇ティム・エリオット(米国)21勝13敗1分(UFC10勝11敗)11位[2R 4分39秒 ギロチンチョーク]×朝倉 海(JAPAN TOP TEAM)21勝6敗(UFC0勝2敗)15位  朝倉は元RIZINバンタム級王者で現UFCフライ級15位。エリオットは同級11位。  朝倉は、2024年12月のUFC初戦で同級王者アレシャンドレ・ パントージャ(ブラジル)のベルトにいきなり挑戦も、2R リアネイキドチョークで一本負け。今回は約8カ月ぶりの再起戦となる。31歳。  対するエリオットは、2016年のTUF決勝で扇久保博正に判定勝ちでUFCと再契約。2023年10月に無敗のムハンマド・モカエフに3R逆転一本負けも、23年12月の前戦では緊急参戦ながらス・ムダルジを1R 肩固めに極めて一本勝ち。その後、前十字靭帯損傷の大怪我を負って試合から遠ざかっていたが、今回は1年8カ月ぶりの復帰戦となる。38歳。  朝倉海が先に入場。コーナーマンに兄の朝倉未来はじめ、柔術家の竹浦正起、打撃トレーナーの小倉將裕がつく。続けて赤コーナーのエリオットがケージイン。マット上で足をシャッフルするステップを見せる。  1R、ともにオーソドックス構えから。サウスポーにスイッチも見せるエリオットは右の前蹴り。朝倉は逆ワンツーの飛び込み。エリオットは関節蹴り。左インロー。朝倉はワンツーの右を見せる。バックキックのエリオットをかわして右ボディ打ちの朝倉。エリオットの左ハイはブロック。  ワンツースリーフォーと4連打の朝倉。エリオットは頭をずらすもケージ背に。両手を前に構えるエリオットはシングルレッグ狙いも深追いせず。ワンツースリーの朝倉にクリンチのエリオット。離れる朝倉は右ボディも。  さらに離れて右ボディ。エリオットは跳びヒザもかわした朝倉。ボディ打ちから左ヒザで前に! いったん下がったエリオットだが押し戻し。マットに手を着いてのセンチャイキックのエリオット。かわした朝倉は左ハイを当てるも、その蹴り足を掴んでのテイクダウンが得意なエリオットは倒してサイドに。寝技になるとブーイングの今日のシカゴ大会。  エリオットは左で枕、右で脇差しヒジを打ち込み、クルスフィックスも狙える状況も、朝倉が右手を抜いて、エリオットがヒジを打ち込んだところで朝倉はヒザを立てて手を着いて立ち上がりホーン。朝倉のラウンドに。  2R、サウスポー構えから両手を前に回すエリオット。左フックを見せる。ジャブからワンツーの朝倉。エリオットは徐々に圧力をかけるが、朝倉は右カーフ。  左右の大振りフックを見せるエリオット。朝倉の打ち終わりに左をヒット。さらに左はかわした朝倉は跳びヒザも遠い。エリオットのテイクダウンプレッシャーに右に回りながら打つ形になる朝倉。  詰めるエリオットは左アッパーは空振り。さらに左フックもそこに右を当てる朝倉。頭を上下させて足をスイッチして歩いて近づくエリオット。朝倉を誘い込んで左ストレート。かわす朝倉は右ボディ!  朝倉の大きな右とエリオットの左が交錯。手を下げてドミニクステップで出入りのフェイントのエリオットに朝倉は右ストレート。エリオットはニータップでテイクダウンし、すぐに立ち上がる朝倉の背中に乗るが、両足はかからず。着地したエリオットに朝倉は正対して離れる。  朝倉はジャブ。スイッチを繰り返すエリオットはそれをあえて半身になって誘い込むように避けて後退、朝倉は右から左フックで前に。それを潜ってマット中央でダブルレッグでテイクダウンしたエリオット。朝倉はクローズドガードで背中をマットに着ける。  インサイドからこつこつ脇腹にフジを突くエリオット。右で枕にすると、朝倉は足を解いて右ヒザを胸に当てて突き放す。振りかぶって右ヒジを落とすエリオット。そのエルボーのスペースで体を起こした朝倉はスクランブルで、左手をマットに着いてエリオットの右足を取りにレッスルアップへ。  その際でエリオットはがぶりから右手で朝倉の首を抱えて左手で朝倉の右腕をオーバーフックしてクラッチしてアームインギロチンチョークで後方に回す! そこで首と対角に飛ぼうとした朝倉に左足をかけて越えさせず。そのままマウントに。  エリオットは抱えていた朝倉の右腕を解除し、ワンハンドで首を抱えて右半身で絞る。さらに朝倉の右肩を押してマットにつけて、そのスペースで左腕を差し込み、得意のノーアームのギロチンに。朝倉は左手でクラッチを剥がそうとするがエリオットの腕はタイトに喉下に入っており、朝倉は一度は右側にブリッジを試みたが動けず。右手で、タップした。  ケージの中でインタビュアーのジョー・ローガンから「RIZIN2度王者の朝倉海にこの結果は素晴らしい」と聞かれ、エリオットは「ああ、本当に幸運だと思ってるよ。こんなに長くこの世界にいられること。でも、良い相手がいるからこそ、俺はその相手に挑むことができるんだ。今夜は本当に良い相手だったから、本当に良い夜だったよ。  もし彼の唯一の目的が、俺の頭を殴ってノックアウトすることだと思ってるなら、大きな間違いだ。顔面への攻撃は得意だ。でも、最も重要なのは楽しんでいることだ。楽しんでいるなら、危険だ。 (これはキャリアで最も素晴らしい勝利の一つか?)いや、全ての試合が俺にとって最高の勝利だ。負けたとしても、俺は勝っている。俺は、大好きな仕事ができる。大好きな人たちと仕事ができる。UFCのおかげで子供と多くの時間を過ごすことができている。そして、俺はこれからも続けていく。そして、この後、新しい契約が結ばれると思う」と語った。  また、U-NEXTの解説を務めた金原正徳は放送席で「“なんで負けたんだろう”って考えてて。ちょっと言っていいですか。(練習などに)携わっていないので何とも言えないんですけど、やっぱ俺は階級だなと思っちゃうんですよね。あんなに腰軽いと思わないし、クリーンテイクダウンを取られるてるの今まで見たことなかったので、そこ(階級)の部分は大きいんじゃないかなと。本人自身の強さが、本当にこの階級で合ってるのかなと。もちろんUFCってレベルが高いっていうのもあるけれども。このままフライで終わるよりは、1回ちょっとバンタムで勝負してほしいなって。ここで言うのは違うかもしれないけど、いろいろ考えちゃって」と、フライ級で本来の出力が出ていないのでは、と語っている。 [nextpage] 【プレリム】 ▼ミドル級 5分3R〇バイサングル・ススルカエフ(ロシア)10勝0敗(UFC1勝0敗)※8月12日のDWCSで ムルタザ・タルハに1R TKO勝ち[2R 2分01秒 リアネイキドチョーク]×エリック・ノーラン(米国)8勝4敗(UFC0勝1敗)※CFFCウェルター級王者  1R、ともにオーソドックス構え。詰めるススルカエフが左前蹴り、右ロー。ノーランは左アッパー、右フック。左右スイッチするススルカエフ。左ジャブのダブルから左ハイ。ブロッキングのノーランは左フック。ガードして組んだススルカエフは四つで組んで崩すも残すノーラン。離れ際にバックヒジもかわしたススルカエフ。  左ジャブの刺し合いから、ススルカエフは右ストレート、右カーフでケージ背にさせてダブルレッグテイクダウン。バッククリンチから再三崩すと、ノーランは立ち上がり、クラッチを切って離れる。ワンツーの右はノーランもススルカエは笑みを見せる。  左三日月蹴りを当てたススルカエフ。右で差して崩すも小手のノーランは残す。ハイキックのススルカエフにノーランは右から左を当てるとススルカエフは上体が流れて後退。ノーランはバックヒジからヒザで詰めてホーン。  2R、右前蹴りのススルカエフは左インロー! 崩れたノーラン。バックについたススルカエフに前転足関節狙いも潰したススルカエフが上に。ススルカエフの肩固め狙いから亀になったノーランにバックマウントからパウンド! リアネイキドチョークをパームトゥパームで絞めると、ノーランがタップ。  8月12日のDWCSで ムルタザ・タルハに1R TKO勝ちでUFCとの契約を決め、4日後の今回の試合にも緊急参戦のススルカエフは、10戦全勝。初の一本勝ちに。ジョー・ローガンから連戦について問われたススルカエフは「9月にも出場できる。デイナ、僕の名前があなたにとって発音が難しいと言いました。覚えてほしい、僕の名は『バイサングル』だ」と語った。 [nextpage] ▼ミドル級 5分3R〇ミハル・オレクシェイチュク(ポーランド)21勝9敗(UFC9勝7敗)[1R 3分03秒 TKO]×ジェラルド・マーシャート(米国)37勝20敗(UFC12勝12敗)  1R、ともにサウスポー構え。詰めるオレクシェイチュクに、シングルレッグのマーシャート、切られてガードも付き合わないオレクシェイチュク。  左を突くオレクシェイチュクにマーシャートは遠間からダブルレッグも切るオレクシェイチュクは左アッパー、左フック。マーシャートはガードに引き込もうとするが、付き合わないオレクシェイチュク。左フックから右、左でダウンを奪うとパウンド連打! ガードが効かないマーシャートにレフェリーが間に入った。 [nextpage] ▼女子ストロー級 5分3R〇ルーピー・ゴディネス(メキシコ)14勝5敗(UFC9勝5敗)[判定3-0] ※29-28×3×ジェシカ・アンドラージ(ブラジル)26勝15敗(UFC17勝13敗)  1R、ともにオーソドックス構え。右カーフから詰めるアンドラージの右の打ち終わりに右を当てるゴディネス。アンドラージはワンツーからシングルレッグ狙いも切るゴディネスは左ジャブ、右ローを当てる。  ゴディネスの右に反応し切れていないアンドラージ。ゴディネスは右ロー、ストレート。アンドラージは左フックをガード上に。ゴディネスはワンツーから右ミドルをヒット! さらに右オーバーハンド! 被弾したアンドラージだが左右フックで前に。打ち合いのの中で左フックを当てる。  2R、ワンツーから詰めるゴディネスはボディロックから小内刈テイクダウン! マウントに。亀から立つアンドラージは正対。ゴディネスも中央でのスタンドに戻す。ジャブ、右ミドルハイのゴディネス。アンドラージは右フックもガードのゴディネスは左フックから右をヒット! アンドラージのローに左を合わせる。  アンドラージのダブルレッグを切ると、アンドラージの左右を潜ってダブルレッグに入るゴディネス。ケージに詰めてホーン。1R同様にゴディネスのラウンドに。  3R、ゴディネスの右の打ち終わりに左を合わせるアンドラージ。ゴディネスの組みを切ってワンツー。右ストレートの打ち合いで前に出るアンドラージだが、ワンツーの右を返すゴディネス。アンドラージも詰めて右アッパー、左右フックで詰める。  左の相打ちからあとが無いアンドラージが左右を突き前に。ゴディネスのダブルレッグを切って右ボディ。ゴディネスも右を返すと、アンドラージは間合いを詰めてワンツーの右を被弾しながらも左から右でゴディネスをケージに詰めて右フック。アンドラージのラウンドに。 判定は29-28×3でゴディネスが勝利。UFC2連勝とした。 [nextpage] ▼ライト級 5分3R〇アレクサンダー・ヘルナンデス(米国)17勝8敗(UFC9勝7敗)[1R 4分58秒 TKO] ※右ストレート→パウンド×チェイス・フーパー(米国)16勝4敗(UFC8勝4敗)※UFC5連勝でストップ  ライト級、UFC5連勝中のフーパーは25歳。25年4月の前戦はジム・ミラーに判定勝ち。ヘルナンデスはレスリングをバックボーンにフェザー級からライトに戻して、オースティン・ハバードにスプリット判定勝ち、25年3月の前戦でカート・ホロボーに判定勝ち。32歳。  1R、長身サウスポーのフーパーはバックフィストから。オーソのヘルナンデスに右前蹴り。ヘルナンデスは右ミドル。フーパーは左関節蹴り。その蹴りにヘルナンデスは右ストレートを狙う。  長い前蹴りから中に入るフーパー。右サイドキックにはヘルナンデスが左を当てる。ワンツーに左に回るヘルナンデス。フーパーは左バックフィスト。右前足を上げながら近づく。その入りに右を打つヘルナンデスにシングルレッグのフーパー。足を抜くヘルナンデス。  ワンツーはまだ遠い。フーパーは遠間からダブルレッグ狙い。さばくヘルナンデスに、右関節蹴りのフーパー。そこにヘルナンデスは右ストレート。サウスポー構えにスイッチして右前手フック。さらにフーパーが真っ直ぐ詰めて左を伸ばしてきたところに右ストレート! ヒザから崩れダウンしたフーパーがガードを取ろうとしたところにヘルナンデスは右ストレートからパウンドでレフェリーが間に入った。 [nextpage] ▼ライト級 5分3R〇ドラッカー・クロース(米国)16勝3敗(UFC10勝3敗)[判定3-0] ※29-28×3×エドソン・バルボーザ(ブラジル)24勝13敗(UFC18勝13敗)  1R、ともにオーソドックス構え。左ローから詰めるクローズに、右カーフのバルボーザは右オーバーハンド。右カーフのクロース。右を振って組んで押し込み、足を踏む。両脇を差すバルボーザは体を入れ替え、ヒザ。クロースも踵でヒザにヴァレリーキック。首相撲ヒザ。バルボーザはボディ打ちから離れる。  右から左ボディのバルボーザ。さらに右ローにその打ち終わりに組むクロース。右で差して体を入れ替えヒザを打ち離れるバルボーザ。  右後ろ蹴りのバルボーザ。詰めるクロースの組みを剥がしたバルボーザだが手数が少ない。右ローを蹴るバルボーザ。クロースは左フックでケージに詰めてバルボーザが体を入れ替えホーン。バルボーザのラウンドか。  2R、前に出るクロースは後ろ廻し蹴りを見せる。右ストレートから左フックをさばくバルボーザだが、なおも詰めるクロースは左フック! さらに右でケージ背にしたバルボーザに組んで足の甲にフットスタンプ。  離れた両者。バルボーザは右カーフ。クロースは左フック。左右から組んで押し込み。右ヒジ。ケージ背にするバルボーザはヒザも単発。クロースは右フック。バルボーザは右ストレート、右後ろ蹴りを腹に突くが、間合いを詰めるクロースは左右から詰める。バルボーザが体を入れ替えて細かいヒザでホーン。クロースのラウンドに。  3R、右オーバーハンドをガード上に突くバルボーザ。その打ち終わりにワンツーからシングルレッグ。差し上げてケージに押し込むのはバルボーザ。両差しでヒザ。ケージづたいに離れるクロース。  右カーフのバルボーザ。クロースは右ストレート。バルボーザも右を返すと、クロースも右を当てて前に。そこにバルボーザはジャブ&ロー。インローも。追うクロースも右カーフを2連打! 身体が崩れるバルボーザ。左右で詰めるクロースに体を入れ替えたバルボーザ。突き放したクロース。中央でともに後ろ蹴り。クロースがなぜか側転を見せてホーン。  判定3-0(29-28×3)でクロースが勝利。12月のヨエル・アルバレス戦のTKO負けから再起を果たした。バルボーザは24年5月のリローン・マーフィー戦に続き判定負けで2連敗に。 [nextpage] ▼女子フライ級 5分3R〇カリーニ・シウバ(ブラジル)19勝5敗(UFC5勝1敗)[判定3-0] ※29-28×3×ディオネ・バルボーザ(ブラジル)8勝4敗(UFC2勝2敗)  女子フライ級11位のシウバ。DWCSからUFCデビューし、3連続1Rフィニッシュで4連勝も、24年11月の前戦で元PANCRASE女王のヴィヴィアニ・アラウージョに判定負けでUFC初黒星。  バルボーザは、元柔道ブラジル代表。UFC2勝1敗で、25年4月の前戦はディアナ・ベルビツァに肩固めで一本勝ち。  1R、ともにオーソドックス構え。ワンツーで詰めるシウバに、バルボーザはスイッチを見せながら前にワンツースリーの左フックに繋ぐ。ブロッキングのシウバが押し戻すとバルボーザは左前蹴り。左ボディジャブ。シウバも右前蹴りを返す。  右カーフのシウバ。バルボーザの詰めに左を突くと、ともにワンツーの打ち合い。先にシングルレッグはシウバも、切るバルボーザ。シウバは右前蹴りを腹に。バルボーザは左ジャブ。さらに踏み込んで大外刈からボディロックテイクダウン! すぐにバックを奪うと両足フックでリアネイキドチョーク狙いも残り20秒。拍子木に腕十字もホーン。  2R、ジャブ&ローのバルボーザ。先に詰めるシウバ。バルボーザのハイキックを掴んでテイクダウンも、立つバルボーザは首投げ。それをすかしてバックにつくシウバ。バルボーザは正対して右で差してケージに押し込む。四つから体を入れ替えたシウバだが、戻したバルボーザが押し込み。両差しのシウバの崩しに、バルボーザは首投げを合わせてテイクダウン。下のシウバは両腕を入れての三角絞め。下からヒジ。クラッチが外れ、バルボーザが上からパウンド。  3R、遠間から左ジャブのバルボーザ。ニータップから組んで首相撲ヒザ。離れるシウバは詰めるが、バルボーザはそこに左アッパー。シウバは左フックから右。近づいたところで左で差して払い腰テイクダウンのバルボーザ。下のシウバはゴゴプラッタ、フットチョーク。抜けたバルボーザとスクランブルからニンジャチョークも。ここも下になって逃れたバルボーザは足を手繰るが、バックを奪うシウバがボディトライアングル。そこで正対して上はバルボーザ。鉄槌のバルボーザに、下からヒジのシウバ。そのままホーン。  判定3-0(29-28×3)でシウバがバルボーザとの再戦でリベンジ。  シウバは観衆の判定のブーイングに「2Rは勝ったし、3Rでは3回も彼女を仕留めかけた。他に何をしてほしい? 3Rまで彼女と立ち向かう必要があったことを証明したんだ。もしそれが十分でないなら、他に何が必要なんだ?(ゴゴプラッタ、ギロチンチョークについて)これらのポジションはすごく気に入った。ただ、いくつかの調整が必要で、ジムに戻って練習し、試合を終わらせて人々が望むものを提供したい」と語った。 [nextpage] ▼TUF 33 フライ級トーナメント決勝 5分3R〇ジョセフ・モラレス(米国)13勝2敗(UFC2勝2敗)[2R 三角絞め]×アリビ・イディリス(カザフスタン)10勝1敗(UFC0勝1敗)  1R、ともにオーソドックス構え。先にモラレスが中央に。イディリスは前蹴り、後ろ廻し蹴り、跳びヒザ蹴りも掴んだモラレスがケージに押し込み。四つに。体を入れ替え合い、ヒザを突き、小外がけテイクダウンのイディリスに、小手巻き戻すモラレス。  再び四つに。ヒジを打って離れる。右前蹴りを腹に突き、左ハイ、バックフィストのイディリスだが、ボディロックから小外がけテイクダウンのモラレス。ハーフから肩固めを狙いつつパスガード、マウント。亀になるイディリスにバックからボディトライアングル(4の字ロック)に。着地してキムラで回して再びバックに。リアネイキドチョークを狙う。  2R、先に圧力をかけるモラレスに、左のかけ蹴りを見せるイディリス。組んで崩しのモラレスにすぐに戻すイディリスは回転系の蹴り。モラレスはワンツーで詰めてダブルレッグ。差し上げ四つに持ち込むイディリス。離れ際にともに右を打つ。モラレスは右ボディから前に。イディリスは下がりながら左の蹴り。しかし、モラレスはボディ打ちから腹にヒザを突き、回るイディリスに右ストレートでダウンを奪う!  立ち際にバックに回るモラレスだが、イディリスは横に落とすと下のモラレスは三角絞め! タップを奪った。チームアルファメールのモラレスがTUF33フライ級トーナメント優勝でUFCとの契約を掴んだ。  試合後、モラレスは「母と息子と妻は群衆のどこかにいる。まだ彼が見えない。母にビールを買ってくれ! 息子よ、母にビールを買ってくれ。ジョー・ローガンと一緒にいるよ! (アンダードッグだったがTUF優勝で)友達が賭けると言っていたけど、お金が欲しいならいいけど。でも、本当に言いたいのは、この8年間は本当に大変だった。多くの試練を乗り越えてきた。素晴らしいチーム、素晴らしい家族、ここにいるチームがいる。6カ月前にチルと出会ったけど、20年知り合いだったかのように扱ってくれた。ユライア、ジョーイ、ボクシングコーチ、チームアルファメールの皆、俺たちは世界一のチームだ。エルクグローブアカデミー、SACステートコンバット、感謝すべき人がたくさんいる。これが待っていた瞬間だ」と語った。
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