MMA
インタビュー

【RIZIN】金原正徳、引退発表後の全ての言葉「最後こうやって散れて、格闘技人生を終えることは自分の中で満足いってる」「自分で褒めてやりたい」

2025/07/28 17:07
 2025年7月27日(日)さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り』の第13試合RIZINフェザー級(66.0kg)5分3Rで、YA-MAN(TARGET SHIBUYA)に3R2分51秒、TKOで敗れて引退を発表した金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA)。  試合後のインタビューでは、記者たちから多くの質問がされ、金原は完全燃焼したことを告げた。また、会見には“ニコイチ”だとする盟友の所英男も途中から同席した。 本当に最後YA-MANで良かった ――試合を終えた率直な感想は? 「まず、デビューして22年、50何戦かして、本当にたくさんの方に応援してもらって。最後、勝てなかったですけど、こうやってリングに上がれて4万人の前で戦えたことを本当 に幸せと思います。負けたらやめようと自分の中で決めて。前回ね、鈴木千裕選手に負けた時にやめようと思ったんですけども、やっぱ自分の中で…もういいでしょう、怪我があって不完全燃焼って部分があったので、もう1度と思ってYA-MAN戦を決めて、家族にも周りにも反対されながらも最後このリングで戦えたことを本当に嬉しく思うことと同時に、最後こうやって散れて、格闘技人生を終えることは自分の中で満足いってることなんで、本当にたくさんの応援ありがとうございました」 ――YA-MAN選手とは実際戦ってどんなファイターだったか? 「試合前には言わなかったんですけども、実は1年前、鈴木千裕戦が決まった時にYA-MANにスパーリングパートナーをお願いして、1回練習したことあるんですよね。本当にいい男だし、ファイトスタイルも好きだし、ダウトベック戦を見て、あ、こいつとやってみたいなと本当に思ったし。まだ1年前だけども、まだまだMMAファイターとしてはたくさんノビシロがある中で、1年前とどんだけ強くなってんだ、MMAできんのかっていうことを昨日の計量の時に言わせてもらいましたけど、本当に自分が組んだことがあった1年前よりもダントツに強くなっていて。本当に彼が格闘技に真面目に向き合ってるところを自分が体験して、本当に最後YA-MANで良かったなと改めて今思います」 ――31勝で今回のも含め 16敗5分けトータル52試合のMMAでの戦績。 「よくやりましたね。自分で褒めてやりたいです。今回は試合決まってタイに1人で飛んで、毎日毎日寝る前に自分に今日はよく頑張った。正徳、今日頑張ったと自分にポジティブに言い聞かせて。起きて『よし、今日も頑張るぞ』と自分にずっと自分で言い聞かせて。このリングに上がれて、本当にたくさんの方に応援してもらって、嬉しいというか良かったなというか。もう現役選手ではなくなるんですけども、最後、所英男を見送らないといけない、見届けなきゃいけないなっていう、最後があるので、英男君がもう1回試合したりする時はまだ自分も動けるような体調を維持していきたいなと思うんで。本当に2人でやってきましたからね。そこは見届けたいなっていう想いもあります」 ――引退するというのは 2回目になるんですが、3回目は? 「もうないでしょう(笑)。セコンドに冗談で次はライト級ですみたいなこと言って。さっきサトシに会った時も『次お前とやるからな』って冗談で言いましたけど、もうよくやったでしょう。20何年もよくやったよ。自分で自分を褒めてあげたいですけど。褒めてあげるけども、まだね、俺より先の先輩の所英男がいるので何とも言えないですけど、英男君より先にやめるとは思わなかったけど、あのおじさんもやめなそうだしな。先にやめちゃうって感じっすね。でも楽しかったです。本当にRIZINには感謝しかないです。  UFCにリリースされて格闘技人生を彷徨ってる時にRIZINに来て、今こうやってフェザー級が盛り上がってきてね、自分も一瞬ではあったけども台風の目に入れたし。もう老害になる前に若手に譲らなきゃいけないし、それが最後YA-MANで良かったなっていうのもあります。また違った角度でね、今度は格闘技界を盛り上げるというかサポートしながら、自分でしかできないこともあると思うので、格闘技界には老害にならない程度に携わっていきたいなと思ってます」 ――今日の試合で勝ってたら引退してなかった? 「本当に思い出がいっぱいですよね。勝ってたらやってたかもしれないですし、負けることを考えてリングに上がることはないので。勝ってやめてもいいかなっていうのは、少なからずどっちにしても最後だ、最後だってのはずっと言い聞かせてました。だからいかに万全な状態で上がれることを。でも良かったです。100%の体調でリングに上がれたので。思ったよりパンチもらって我慢できたなっていう。ちょっと俺行けるんちゃうってちょっと思ったんですけどね」 ――飛びヒザ蹴りもクリーンヒットした。 「ねえ。あれいいヒザだったですよね。見ました? あれで勝ってたはずなんすけどね。2R追いすぎて疲れちゃった。強かったな、YA-MAN。いい男っすね。最後までずっと僕のマイクをリング下で聞いててくれてね。いい男ですよね。ああいう男で最後やめれてよかったです。今トラッシュトークとかいろんなものが流行ってるけど、僕にはああいうのできないのでね、YA-MANでよかったなっていうのはあります」 ――リングに上げた息子さんたちには、この試合で引退するかもっていうのは事前に伝えていた? 「誰にも話してないです。妻と、試合決める前にもう1回だけやっぱやりたいからって言って。当然ですけど、妻を始め子供だったり、自分の母ちゃん父ちゃんは格闘技やることにはずっと反対してるので。怪我や後遺症が出てからじゃ遅いのでっていうのもあったし。そんなのはね、格闘技やってる間は死ぬかもしれないし。でもまだやりたい自分も、やりきれていない自分もあったし。ああやって子供の前で戦ってる父ちゃんを、最後勝てなかったですけど、勝ってる姿を見せてあげたかったですけどね。自分の役目というか、あとは子供が有名になってくれることを父ちゃん見守りながら…まだ自分の後輩もいるしね。今度は選手としてじゃなくて指導者として、このRIZINに選手を上げたいなっていうのは思ってます」 ――YA-MAN選手は息子に敵討ちに来いって言っていたが? 「あ、言ってました? だって10歳でしょ? YA-MANもうやってないでしょ。20年ぐらいやってくれればね(笑)。そういうのはストーリーありますよね。鈴木千裕にしてもそうだし、YA-MANにしてもそうだし、自分に勝った選手。いや、でも格闘技はやらしたくないな。危ない。僕の代でおしまいにします」 [nextpage] 日本人が強くあってほしい ――52試合戦ってきましたけども、今振り返って1番思い出に残ってる試合をあげるとしたら? 「いや、ないよ。やっぱ10代の頃には10代の厳しさがあったし、20代は20代の頃の厳しさがあったし、30代、40代、指導者になったりとか。その場、その場で支えられてるものだったり、支えてるものの状況が違うのでね、この試合が1番いいっていうのはないですし。だから本当に、今日は今日の試合が1番いいと思ってるし。どの試合っていうのはないですけどね。本当どれもいい思い出でした。自分は選手としてエリートでなかったし、勝ったり負けたりの選手だったけども、こうやって日本のメジャー団体に色々いくつか出させてもらって、RIZINも含めてUFCだったりとかで、本当にそれぞれがいい思い出だったし、それぞれがいい記憶に残ってるし。どれもいい思い出でしたね」 ――スタジアムバージョンのさいたまスーパーリーナで引退できたっていうのは何か? 「これは申し訳ないですけど、ゴールドジム大森でも新宿FACEでもスーパーアリーナでも戦ってる時はそんなに意識するもんではないので。あとあと見て振り返ってみれば、KIDさんと2009年にやった時もスタジアムバージョンでしたけども、そん時も別にたくさんの人に見てもらったから、ゴールデンタイムでやったからとかどうこうはなかったんで。いつか振り返った時に、ああ、こんな人いたなっていうのを、映像で改めて見ると思うのかなって感じがしますね」 ――これから格闘技界にこうなって欲しいってことってありますか? 「やっぱ世界一であってほしい。これは変わらないことだし、UFCでまだね、日本人がベルトを巻けてないっていうのが現状だと思うし。今自分が戦ってきたフェザー級のRIZINの中で見てもトップは外国人だし、日本人が強くあってほしい。この気持ちは変わらないかなと思いますね。だから自分は離れてしまいますけど、ライバルだったものがね、いつか手を組んで一緒に練習したりとかそうやって手助けできることも、いつかは来るかもしれないのでね。  その時は自分のキャリアで得たものをそういう人たちに伝えられればいいと思うし。J-MMAが、RIZINが本当にトップであって欲しいっていう願望は自分は変わらないので。そのためにはUFCでね、日本人選手が、RIZINに出てた朝倉海選手とかね、そういう選手たちがベルトを巻けることが一番いいのかなっていうのは、遠くから今度は見守ってたいなと思います」 ――戦って思ったYA-MAN選手の強さとはどんなところ? 「やっぱり気持ちが強いですね。1R自分も追っかけるつもりなかったですけど、YA-MANは1R結構疲れてたし、2R目で勝負しようかなと思って自分も2R目、追っかけすぎてしまって、YA-MANもへばっていたんですけどね。3R目に自分が先に心折れてしまった。これはもうYA-MANの気持ちだと。本当に試合で強い選手だなって思いました。本当にいい男でした」 ――見届けるといった所選手に何か伝えたいことは? 「彼に何言っても、頑固おやじなんでね、何言ってもダメだと思うんで、本当に最後満足するまでやり続けて欲しいなと思うんですけども。そこは僕がストップをかけながら、でも彼には彼の人生があるし、僕には僕の人生があるし、最後納得いくまで、多分満足行くことはないと思いますけど、納得するまでやるならやり続けてほしいし、自分も最後まで面倒見るつもりではいます」 ――RIZINという舞台で、自分の最後の試合を終えられたことに対してはどんな思いが? 「間違いなく今日本の格闘技界で一番盛り上がってるのはRIIZNだし。自分はいろんな団体を渡り歩いていろんなことを経験して、今の時代も含めてね、SNSだったりとかも含めていろんなことを体感したり、いろんなものを経験させてもらったんですけども、やっぱ今のこの熱量っていうのは特別だと思うし。その中でも中心にいれたことは、自分が最後頑張れた、自分自身褒めてあげたいなと思うし。  このままね、ブームとしてMMAを終わりにして欲しくないしね。そのためにはUFCだったり世界で勝てる選手、日本人がもっと育って欲しいなっていう思いは変わらないんでね。いろんな見方だったり、いろんな見られ方ってのもあると思いますけども、やっぱ格闘技やってる以上は強さが全てが正義だと思うんで、そこはぶれずに皆さん頑張って欲しいなっていうのは思います」 [nextpage] MMA楽しいよってみんなに伝えていきたい ――金原さんのキャリアは諦めなかったっていう点が印象に残ってて。そこはご自身でも誇りに思っているところ? 「そうですね。自分はエリートじゃないし才能が特別あるわけでもなかったし、負けず嫌いというか、負けてたまるかこの野郎、みたいな精神だけはずっと持ち続けてきたんで、だからこそ諦めきれなかったっていう部分があるんでね。あと、もういいでしょうっていうところも、多少は休ませてあげたいなってのはありますね」 ――今の若い子を見て諦めずにやればいいのにとか? 「それ言っちゃうと老害になっちゃうんでね。だから追っかけすぎることはないですよね。今のジムの若い子たちにもっと練習しろよとか、もっとやれよとかって思うこともないし。結局は自分の人生なんで。俺はサポートするしかないので、自分の背中を見てこうやって自分の試合を見て後輩だったり息子とかが何かを感じてくれればいいなっていうのもあるんで。そういった意味で、別に俺がこんだけやったんだからお前もやれよとか思わないんで。あとは指導者として伝えられるものは伝えたいし、背中を見てついてこいよみたいな感じですね」 ――MMAは引退しても、例えばクインテットみたいなグラップリングの方は? 「いや、もうちょっとやっぱ首の怪我が…ごめんなさい、嘘です。怪我があるのでなかなか練習に打ち込むのが難しいかなと思うんで、多分手術すると思うので。そうなってくると格闘技を現役の選手してやるのは正直厳しいかなと思うんで、なんかまた違ったことで。格闘技は難しいかなと思います」 ――階級を上げてサトシ選手にやろうって言った時、サトシ選手は何と言っていた? 「鼻で笑われました(笑)。1回組みに行ったんですけどね。ダブルレッグでサトシに行ったんですけど絶対無理だなって思いました」 (所英男が呼ばれて登場) 所「まだ受け入れられてない自分がいて、まだなんか今の会見もちょっと受け入れられない自分がいます」 ――金原選手は所選手をサポートしていくとおっしゃっていた。次の自分の試合っていうのも具体的になってきそう? 所「そうですね。やりたいなと思います。憧れの金原さんがこんな頑張ってやってきたんで、僕もちょっとやりたいですよね」 ――金原選手が先に引退すると思ってた? 所「思ってないです」 「いや、あんたが長すぎるんでしょ(笑)」 ――所選手も1年試合されてないので期待してるファンも多いと思いますので、金原選手の気持ちも背負ったところで意気込みを。 所「やってきたアレが違うんですけど、でも同じ時代を一緒にやらせてもらって、こんな晴れ晴れとして、またさらにファンになったというかかっこいいなって思ってます」 ――金原選手から現役を続ける所選手に改めて一言お願いします。 「自分はプロになってから、ZSTでずっとトップで走り続けてた所英男がいて。追い越したと思ってもまた先行くしね。先に自分がまさかやめるとは思ってなかったですけども、自分は満足するまで、納得するまでやり続けたかったですけども、納得するというか、満足するまでは駆け抜けられたんで、所英男君も最後まで自分が納得するところまでやり続けて欲しいなっていうのはあります。結局自分が最後決めるところなんで、もうやめなよって言っても自分が納得すれば満足させながら最後までやってほしいなっていうのは偉そうですけどあります」 ――今まで応援していただいたファンにメッセージを。 「20何年か、もう細かい数字出てこないです。わかんないですけど、本当に長い間いろんな団体に出させていただいて、最後RIZINで骨を埋めることができて、本当に今日こうやって大きい舞台で最後試合させてもらったこと、そしてたくさん声援をいただいたこと本当に感謝しております。ありがとうございました。  選手としてリングに戻ってくることはありませんが、自分のジム、アルファの後輩だったり、所さんだったり、まだ役目はたくさんあるし、格闘技の魅力を違った角度でまたみんなに伝えていけたらいいなっていう風には思っておりますので、MMAは最高だよと、MMA楽しいよっていうのを競技としてみんなに伝えていきたいなっていう風に思っております。本当に長い間たくさん応援していただきありがとうございました」
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