歳を取ってからも頭をはっきりさせていたい
本誌インタビュー後に、会見が行われ、ロイヴァルはあらためて、ヴァンについてやタイトルマッチについて語っている。そして、ファイトスポーツにおける「脳震盪」についても発言しており、ここで紹介したい。
──MMA14勝2敗でUFC7勝1敗、UFC4連勝中のヴァンの戦績をどう見ていますか。
「彼の経験は追いついてきてる。俺は“相手は新人だ、初めてケージに入るんだ”なんて思わない。この男は試合を積み重ねてきた。彼は今年の最大のイベントで戦ってきた。そういうことだ。ジョシュア・ヴァンとマネル・ケイプを比較すると、彼らの最高の勝利は同じだ。彼らがもたらすものは少し似ている。ジョシュア・ヴァンはケイプをもっとクールな方法で倒すかもしれない。まだ戦うのが難しい相手がいる。まだ俺から全てを奪おうとする若者がいる。最も危険な人間は、失うものが何もない人間だ。彼は失うものが何もない。全てを得ようとしている。俺は全てを失う可能性がある。だから、どんな状況でも怖いんだ。これは俺のUFCでの初めての経験だと思う。トップ10外と戦うのは初めてなんだ」
──今回のオッズが再びアンダードッグとしてスタートしたことに驚きはありましたか。
「でもすぐに逆転したよね? 俺はまたアンダードッグに戻ったけど、全然驚いてないよ。正直、俺はUFCで最も軽視されているファイターだと思う。マット・シュネルに対してはフェイバリットだったけど、俺のキャリア全体がそうだった。LFAでも常にアンダードッグだった。本当に何も変わらないけど、ファンや誰かが何かしら理由をつけて軽視している感じがする。でも、それは関係ない。試合に勝つたびに、“ああ、こうなった”とか“モレノが過剰反応してる”とか言われる。俺の方が彼より多くの試合を戦ってきたのに。どうでもいい。薔薇をくれないなら、そのクソを受け入れるだけだ」
──王者パントージャとの再戦を得るために声を挙げることが必要だと思っていた?
「ここにいるのは次戦がタイトルマッチの声明を出すためで、お金を稼ぐためだ。このキャリアにおいて、ボーナスを得るため、ここからより多くのお金を稼ぐためさ。ジョシュア・ヴァンも同じだ。この試合はハイライトシーンだらけになると思う」
──この試合に勝利し、もし王座戦が実現する機会を得たら、どう展開するつもりですか。
「俺は自信がある、本当に。パントージャを倒せると思う。俺がそれを成し遂げる者になると思う。あの試合から多くの調整が可能で、多くのことを学び、やるべきことが多く、次回の対戦で彼を倒す方法のアイデアがあると感じている。それが彼を倒す鍵になると思う」
──メインイベントはどう予想しますか。
「インイベント(イリア・トプリアvs.チャールズ・オリベイラ)の予想は、当然ながら大きなタイトルマッチで、本当にボーナスが奪われないことを願っている(笑)。本当に興奮する試合だよ。自分より強い相手を予想するのは嫌なので、頭から離しておくけど、心の中では、オリベイラが人生の残りの試合を全て勝ち、引退しないことを願っている。オリベイラを愛しているし、みんなもそうだろうけど、どうなるかは分からないね」
──ところで、NHLのネイサン・マッキノンに会ったそうですね。土曜日の試合に来るとも。
「ホッケーは地球上で一番好きなスポーツだから、本当にクールだった。史上最高の選手の一人を見られるのは。そんなハイレベルな思考やマインドを持つ人、特別な個人と出会えるのは本当にクールだ。そんな人と肩を並べるだけでもクールだよ。ボクシングでもそうさ。テレンス・クロフォードのそばを通りかかった時、興奮しないように努めたんだ」
──あなたはボクサーから学び、試合前に彼らの動きを真似ることが好きだと教えてくれました。今回のジョシュア・ヴァン戦に向けて、どのボクサーを観ていましたか?
「ジョシュア・ヴァン戦に向けては、過去数週間ほぼ同じ。ただ、中谷潤人から多くのことを盗んできた。サウスポー構えのボクサーはたくさんいるけど、最近、日本のボクシングを深く掘り下げていて、中谷潤人は、リーチが長いボクサーで、彼はレンジを活かして、その利点を最大限に活用するから、自分が活用できる人物だと思ったんだ。俺のカットマンは彼のコーチでもあるルディ(エルナンデス)だから、その点も嬉しかったよ」
──最後に、あなたは脳震盪についてかなりオープンに話していましたが、このスポーツで誰も話したがらない“黒い秘密”みたいなものですよね。なぜそのように話すことが重要だったのか、そしてひどい脳震盪から回復する過程はどうだったのか教えてください。
「これは常に真剣に受け止めてきた問題なんだ。16歳からスパーリングを続けてきたけど、昔は『中世の時代』と呼んでいた。つまり、人々がノックアウトされるのを見て、次の週にスパーリングに戻るような状況だった。何が正しいのか分からないけど、少なくともそんな状況は間違っている。だから、少しでも打たれたらスパーリングを休むようにしていた。頭には常に超慎重だった。格闘技って、みんな怪我をするものだよ。何人の格闘家がこのレベルまでたどり着けるのか、わかるだろ? みんな少し興奮してたり、殴られたり、どこかで何らかの形で怪我してるんだ。
でも、脳震盪はみんな隠す。俺にとってこれは最大の問題だ。手首を折って戦ったこともある。足首を折って戦ったこともある。ブーツを脱いで、その週に戦ったこともある。わかるだろ? 俺はそれをオープンにしていた。つまり、タイトルマッチのチャンスを手に入れるために、ブーツを履いて松葉杖で歩いていた。足が折れていたのにその試合に勝った。キャリアの最初期から、肩の関節唇が裂けていた。グラップリングやレスリングはせず、ただ試合に間に合うように祈っていた。そして連続して、ジョシュア・ヴァンが今やっているように、キャリアをブーストして目指す場所に行くために試合を受けてきた。
でも、これらのことは乗り越えられるけど、頭の中は別だ。戻れないものがある。だから俺にとって、脳を揺らして時間を取ることは非常に重要だ。俺のチームは本当に先を見据えていた。神経科医と協力していた。脳震盪を受ける前、ベースラインの検査を全て済ませて何が変化したのか、何が起こっているのかを確認していた。コロラドの神経科医は本当に素晴らしい。3人が定期的に協力し合い、毎日サポートしてもらっている。彼ら全員に感謝している。そして、それは俺の日常のルーティンの一部にもした。自分が吃音にならないように。すでに半分は吃音気味に話しているから。新しい人を見ると緊張するんだ。歳を取って吃音で困りたくない。頭をはっきりさせていたい。UFCは世界で一番好きなもので、ここにいるのは素晴らしいけど、この後の人生もある。家族が成長するのを、姪が成長するのを見たいんだ。これらの全てを見守りたい。そして、吃ったり震えたり、そんな人間にはなりたくない」



