誰が相手でも“完全にメンタルを折ってやろう”
「でもサウスポーで来るかは分からないでしょ。なのでその日にならないと、どんな動きをしてくるかは分からないし、どう戦い方を変えてくるかも分からないし。そこは臨機応変になんでも対応できるように色んなパターンだったり、色んなものは僕ではなく、僕のチームが対策を練っているので、そのチームを信じていますし、僕は僕の動きをして、プラスでチームの対策を取り入れているだけなので、これと言って“対サウスポー対策”っていうのはないですね。
僕、対サウスポーに対して『苦手ですか?』って聞かれることってよくあるんですよ。『左同士だからこう』みたいな浅い会話、僕はあまり分からなくて。左でも条件は一緒じゃないですか。前の手が当たりやすいとか、ジャブ開いている方同士とか。向こうもそうじゃないですか。だから一緒だと思っています」
――そういう発想というのは、やはり中村選手の格闘技のベースが日本拳法にあるからなのでしょうか?
「ていうよりかは、空手があるからですかね。空手で死ぬほど、数え切れないほどの試合数をこなしているので。次のポイントになるのが、立ち合いのところで、相手はめっちゃ集中していると思うし、手足の長さだったりとかまともに勝負してこないで自分の距離だけでやろうとしているのは、目に見えて分かっているので、その手の長さや足の長さだったりの細かいところで言うと、日本拳法が自分の良いポイントになっているかなと思いますけど。立ち合いの部分だけですね」
――中村選手の試合の前に、RIZINの札幌大会のメインイベントに出た木村柊也選手という日本拳法出身の方が出ますが、この選手のことはよくご存知ですか?
「知ってはいます。関わりは数回あって、一緒に練習もしていないので、お互いに知り合いって感じですね。今一緒のジムに所属しているとかでもないですけど、志は同じ人かなと。そういう選手かなと思っています」

――日本拳法がベースにあったら、キックボクシングに行ってもMMAに行っても、羽ばたける可能性が高くなるという風に思いますか?
「高くはないと思いますよ。日本拳法を頑張って格闘技を職業にしたい人の夢をぶち壊してしまうかもしれないですけど、現実を言えば、日本拳法と格闘技のMMAだったりキックボクシングとかボクシングとかは全く別物なので。バチンと当てて終わる競技なのか、バチンと当ててもパンチや蹴りが飛んでくる競技なのか。やっぱり“効かすと倒す”と“バチンと打ち込む”っていうのと、“プロテクターが付いてるか付いてないか”というのでは、全てが違いますよね。
僕は日本拳法の良いところも取っているし、極真空手で死ぬほど体の打たれ強さだったり、パンチ力や持久力とかキック力とかをトップ取るまで物凄いやってきたので。それが日本拳法でも活かされて、日本拳法は4年しかやっていないですけど、パンパンパンとチャンピオンを獲って辞めましたけど。空手は10何年やっているので、そこは日本拳法をやっているからっていうのはないですね。ただ日本拳法でも、死ぬ気で相手を壊しにいってる人間は勝てるかもしれないです」
――中村選手もそうじゃないですか?
「僕は誰が相手でも“完全にメンタルを折ってやろう”と思ってやっているので、それは競技が変わっても一緒なので、活躍できているんじゃないんですかね」
――先日、大相撲の岸和田場所に行って色々なヒントを得たっていう話も聞きました。
「大相撲の協会の方にも応援していただいているので、関わりを持たせていただいているんですよ。大相撲を極めた人の立ち合いだったりとか集中力だったり、気持ちの部分とか心構えだったりとか、色んな事を取り入れるところはありますよね。あとは格闘技って拘ると、ステップを踏むという典型的な固定概念があるんですけど、僕はそれを全て消してやっているので、そういう所では取り入れる部分は沢山ありました」
――この間の大相撲岸和田場所では宇良関の立ち合いとかがあったんですよね。
「宇良関がすごいトリッキーな動きを見せていて、体の神経伝達というか連動をしていたので、『おっ!』ってなったところは帰ってから格闘技に取り入れるためにすぐやりましたよね」
――そう考えたら、極真空手、日本拳法、相撲と色んな格闘技からエッセンスを今の自分がやっているキックボクシングに取り入れているという事になりますね。
「前の試合が終わってほとんど無傷だったので、元々怪我していた所を治療しつつ、できる練習をするためにタイで10日間練習して、次に向けたテクニックだったり自分の弱点を消しに行ったりしていました。だからムエタイも全て僕の技術の中に含まれ始めているので、どんどん強くなりますよね(笑)」



