今物凄いハングリー精神が剥き出し

――今回のタイ遠征には、自分の弱点を消すために行っていたという事ですね。
「そうですね。どっちかと言うと長所を伸ばすと言うよりかは、長所はもう自分のメンタル次第で完成しているところがあるので、あとは落とさないように磨きつつ研ぎ澄ましていく一方で、弱い部分から目を背けていた部分を去年の9月からずっと見つめ直してやっていたから、1回戦ではどんな状態であれど、“圧倒して勝つ”っていうのはできたかなと思います。『絶対に俺が勝つでしょ』って言ってますけど、油断もしていなければ笠原選手を弱いと思ってもいないので。それにちょっとでも差を離していくために、そこと向き合ってやり続けています」
――中村選手の話を聞いていて、ワイルドに見えて実は細やかで色々な事を考えながら調整しているように見えるのですが、ご自分ではいかがですか?
「生活はワイルドですよ。でも格闘技はワイルドさだけでトップにはいけると思うんですけど、“トップで居続ける”のはできないと思っているので、僕はトップで居続ける人間なのでまた一つ進化するためにっていう所ですよね。口だけだったらなんぼでも言えるので、試合の日に見てもらえたら分かります。本気を出させてもらえたらありがたいなとは思います」
――もう一方の準決勝は気になりますか?
「気にはしていないですけど、知ってはいます」
――当日も自分の試合だけに集中して、そっちの試合に注視することはなさそうですか?
「そりゃそうでしょ。皆そうだと思いますよ」
――トーナメントに出る選手は勝った方を気にしてると言いますよね。
「僕は全く気にしてないですよ。だって他のこと気にしていたら相手に失礼でしょ。フルパワー以上で倒しにいきますよ」
――あと最近は減塩生活にトライしたと聞きました。
「それ誰から聞いたんですか?」
――SNSに上がっていました。
「最近気分で動きすぎて覚えてないな(笑)」
――どんな効果があったんですか?
「減塩生活では、必要なビタミンとミネラルは摂っていますけど、そういうのって心とか気とかが大事だと思うので、そういうのがストレスに変わらずに自分から進んでストイックと言われているようなものにできているので、普通に楽しくできています。めっちゃストイックだと思っていた食事も普通になって、その中でどうやったら美味しくなるかを考えて作ったりするのも楽しかったりしていて。そうするとクオリティは良いし塩分が低くなっていって、素材の味も楽しめています。だから野菜とか肉とか『これは美味いで!』っていうのがあったら皆んなに教えてもらいたいです」
――減塩料理を教えてほしいんですね。
「減塩というか、素材だけだったら減塩も何もないじゃないですか。逆に何かあれば送ってもらって買いたいぐらいです。素材のありのままをどう楽しめるかを最近考えたりしていて、だから蒸し料理をすると気分的に外食っぽくなるので、それを楽しんだりしています」
――苦しみの中に楽しみを生み出している感じがしますね。
「自由を求めてはいるんですよ。不自由だから自由を求めているのかなと思うし、自由になったら人生が面白くないと思うので、不自由でこそ正解かなと最近は思っています。その中で“不自由をどれだけ充実させるか”だなと思っているので、そういう意味では試合に対してもハングリー精神が剥き出しですよね」
――そうすると決戦の時だけ不自由な鎖を解き放つという事ですね。
「そうです。僕が無名の時とかお金がなかった時の私生活が物凄い苦しかったんですけど、すごくハングリー精神が剥き出しで捻くれていたんですよね。悪い意味ではなく、そう思えたのも今その感覚が戻ってきているからなんですけど、今物凄いハングリー精神が剥き出しなので、多分すごいですよ。それが言いたかっただけです。
物凄いハングリー精神が上がっていて『なんでこんな所に出なあかんねん。俺はもっとでかいやろ』っていうのを結果で見せてやろうって思いながらずっとやっていたので、その余計な邪念がなかった時にカムバックしている感じなので、めっちゃ楽しみにしておいてもらえたらと思います。当日はギラギラしていますよ」
――前回の仕留め切れなかったチャンヒョン戦は反省したんですか?
「反省しました。『あそこでこういったら』とか『この時にこういう風な気持ちになっていた』とか。当日も寝れなかったですし、当日にすぐ反省し始めて次に向けてやりつつ、治療も完璧に完治させてっていう感じです。連戦なので、大きい怪我じゃなければ、怪我は誰にでも付きものだと思うので、大きい怪我だけしないように限界までギリギリまで突っ走ります。周りにサポートしてもらって、なんとか体をケアして、F1のピットストップのような事をずっとやってもらっていて、『もう1回走ってこい!』みたいな感じで、自分が生かされている今に感謝しています」
――それなのに巷の人たちは笠原選手の評価が高いですけど、そんな人たちに一言お願いします。
「それは良いんじゃないですか。否定する気も『何やコラ』って言うつもりもないし。ただそう見えるんじゃないですか?今までの穴だらけの僕を見ていたら、そう見えてもしょうがないだろうし、『噛み合うな』とか
『これはいるな』とか思う事はあると思いますよ。そう思う気持ちは分かりますけど、本質的な所を見たら見る目がないなと思います。自分が1番自分に期待しているし、自分の増している強さを知っているので。僕がこうやって言えるだけで、当日まで皆んなは分からないと思うのでしょうがないとは思います。でも、その意見があるからこそ俺の試合がABEMAで数字がめちゃくちゃ伸びている証拠なので。負けてほしいと思っている奴らも“見とけよ”って思っています」

――RISEのチャンピオンで、相手はシュートボクシングのチャンピオンで、RISEのリングで世界1を決めるために戦う事になりましたね。
「あの1回戦を見たら分かったでしょ。完全に僕が逆指名させてもらいましたけど、チャンヒョン選手vs.僕が実質の決勝戦だったでしょ。見たら分かるんですけど、どんどん相手は弱くなっていくんですよ。それに対して自分がどれだけ強くなっていけるかなんですよ。自分が油断していったら絶対にどこかで足元をすくわれるので、その自分との戦いをコントロールしないと世界1になる資格はないんですよ」
――対戦相手と相手のバックにあるシュートボクシング協会という、大きいものに対してのメッセージはありますか?
「悪いことを言って良いんだったら、笠原選手の入場曲がJ-REXXXっていうアーティストの曲なんですけど。バカ正直にどうこうみたいな歌詞を入れて、気合を入れて『俺は純粋やで』ってフリしてますけど、シュートボクシング自体も汚いんですよ。僕からしたら、何も綺麗な所なんてカケラもないんですよ。正直者がどうとか、皆んなずる賢いから成功している奴ばっかりなのに、シュートボクシングもキックボクシング界も格闘技界もそうやし。
言ったら悪いですけど、金とか知名度とか名誉が全てと言われている時点で、頭がおかしいんですよ。俺がそれに対してめちゃめちゃハングリー精神もあるから、言い方はめっちゃ悪いですけど、それだったら俺は金も地位も名誉も全て手に入れてから言いたい事を言ってやるし、“この世の中を正してやるわ”って俺は思っているので。そういう意味では嘘で塗り固められたものを壊す良いきっかけになったので、ぶち壊しに行きますよ」
――今回減量の調子はいかがですか?
「1カ月前にいつもの試合の1週間前の体重になったんですよ。だからほとんど減量は終わったんですよ。いつも1週間前は66~67kgくらいなんですけど、それが5月前にはその体重になってクオリティをバッチリ上げているんです。ずっと節制して頑張って蒸し野菜しているので」
――スーパーヘルシーですね。
「だから減量がないというか、落ち過ぎているわけでもないので、完璧に仕上げにいこうと思っています」
――そこからの方が楽ですもんね。
「その方が怪我しても無理して動かなくてもいいし、自分のペースで肩の力も抜けるし、試合モードでそのクオリティで3Rを集中してやるとかも身についていくので、イメージも湧いています」
――あとは計量に遅刻してこなければ大丈夫ですね。
「それだけはいつも心配されるので、引き続き心配していてください(笑)」


