MMA
インタビュー

【PFL】菊入正行、元暫定王者ローガン・ストーリーとトーナメント準決勝の大一番へ「簡単には退かない。戦う気持ちを作ってきた」

2025/06/12 08:06
 2025年6月12日(日本時間13日朝9時30分~)米国テネシー州ナッシュビルのナッシュビル・ミュニシパル・オーデトリアムにて、『2025 PFL World Tournament 5: Semifinals』(U-NEXT配信)が開催される。  ウェルター級ワールドトーナメント準決勝では、日本の菊入正行(NEVER QUIT)が、強豪ローガン・ストーリー(米国)と対戦する。 ▼PFLワールドトーナメント ウェルター級準決勝 5分3Rローガン・ストーリー(米国)170.6 lbs菊入正行(NEVER QUIT)170.4 lbs  トーナメント一回戦では、Cage Warriors ウェルター級王者にしてTUFにも出場したヤニス・バサール(ギリシャ)を2R終了時、TKOで破った菊入。  今回の準決勝の相手は、NCAAディビジョン1でオールアメリカンに4度選出されたカレッジレスリングの猛者にして、元Bellator世界ウェルター級暫定王者のローガン・ストーリーとなった。  過去最強の相手との大一番の前に、菊入にインタビューした。 1回戦で組みを試していた ――いよいよ13日(金)のPFLウェルター級世界トーナメント準決勝に向かう菊入正行選手です。米国行き前のインタビューありがとうございます(※取材は5日)。現地入りはいつになるのですか。 「日本で金曜日まで練習して、日曜日の8日に出発します」 ──今回の大会会場はテネシー州ナッシュビルのナッシュビル・ミュニシパル・オーデトリアムです。ナッシュビルに行かれたことは? 「ないですね。今回はどこ経由だったかな?(笑)なんか15時間くらいかかるそうで」 ──15時間……大変ですね。月曜からのファイトウィークで減量幅は? 「86kgくらいから落としているんで、170ポンド(77.1kg)からタイトルマッチ以外はプラス1ポンド(約0.45kg)許容で、77.5kgくらいまでOKなので……トータルでは8.5kgくらいですかね。最後の水抜きは82kgぐらいからやります」 ──4.5kgくらいを最後の水抜きで落とすと。 「そうですね。4kgとか、だいたいいつも通りっていう感じですね」 ──菊入選手はいつも海外でどのような食事でリカバリーするのですか。やはり日本から持ち込んだものでしょうか。 「今まで直近3試合を海外でやってるんですけど、全部リカバリーで、現地に牛角があったんですよ」 ──Bellatorがホノルルとサンディエゴで、4月のPFLがフロリダのオーランドでした。どこにも牛角があったと。 「はい。その3大会全部、牛角食って3連勝してるんですけど……ナッシュビルに牛角が無いですよ! 俺の勝負飯が(苦笑)」 ──牛角のパックがありますけど、肉は持ち込めませんよね……。 「なんで、ご飯パック持っていって牛角のタレとか買って行こうと思ってます!」 ──なるほど。4月のトーナメント1回戦はCage Warriors王者のヤニス・バサールとの対戦でした。菊入選手の打撃の距離感、そして組みに繋ぐ動きが効果的に感じました。 「正直、それまであまり組みには自信がなかったので、練習ではかなり組みをやってきていて、それを試合で発揮する機会が少なかったので、このトーナメントで勝つために、バサール相手に組みに行かなかったら、たぶん自分から組みに行くことはないなと思って、自分から組みに行きました」 ──1発勝負のトーナメントの中で組みを試していたとは……。 「そうですね。これを勝ったら次に誰が来るかと予想するじゃないですか。ローガンの相手がジョセフ・ルシアーノに変わった時点でローガンが上がってくるなと思っていたので、自分から組みを試せるのは、ここだなと」 ──なるほど。先も見据えて実戦で組んでおいた。菊入選手の組みにはレスリングのほかにも首相撲や、足技などさまざまな要素が入っていて、それがバサール戦でも見ることが出来ました。ムエタイクリンチ的に上で組んだり、シングルレッグからニータップと小内刈を合わせたテイクダウンも見事でした。 「あれも練習ではちょくちょくやっていて。柔道も強い安藤(晃司・NEVERQUIT代表)さんがすごい小内刈が上手なので、それを真似して自分なりに。小内だけじゃ倒せないから、そこから繋がる動きがいくつかあったりはしますね」 ──それが菊入選手の打撃と混ざっている。「出来ているか自分では分からないですけど、相手の打撃のプレッシャーが強かった時にも組みを混ぜて戦って。打撃だけで行きすぎて被弾しないように。同時に行くときは行ってラウンドを取らないといけないと考えています」 ──そのバランスを考えながら、菊入選手の打撃と組みのMMAがあると。バサール戦では、その攻防で主導権を握り、相手の負傷により2R終了時 TKO勝ちしました。何が起きていたのでしょうか。 「試合中は特に異変は感じなかったんですけど、2Rの終わり頃、ダブルレッグに行った時にバサールが『ヒザが外れた』『立てない』みたいなことを言ってたんです。でも最後は普通に立って歩いていたので、大丈夫かなと思っていたら、昨日手術を終えたみたいで、インスタ見たら手術して車いすに乗ってましたね」 ──やはり足を傷めたのですね。さて、そうして1回戦を突破。準決勝までは約2カ月の間隔しかありませんでしたが、トーナメントゆえに怪我等で延期できない反面、コンスタントの試合というのは……。 「次、次っていう感じで試合が決まってくれるのは嬉しいですよね」 ──菊入選手自身、2度の網膜剥離や手術もあり1年半、試合が空いたときもありましたね。そういうなかで、次の準決勝の相手はカレッジレスリングベースでMMA17勝3敗の強豪ローガン・ストーリーになりました。 「バサールに勝った後に『ローガン、カモン!』って言ったんですけど、まあそのまま勝ち上がってきてくれたって感じです」 [nextpage] 簡単には下がらない。ローガンと戦う気持ちを作ってきた 【写真】本計量時の両者の写真。半日後のセレモニアル計量と比べてほしい ──そのストーリー戦に向け、NEVERQUITに加え、4月に内藤由良選手や天弥選手らに話しを聞いたときに、菊入選手とも練習していると聞きました。ファイトキャンプ入りしての練習環境はいかがでしたか。 「そうですね。ただ、試合が決まってから練習相手をお願いしようと思っていた選手たちの怪我が多くて、なかなか一緒に練習できなかったんです。でもローガンみたいな相手は、もともと日本にはあまりいないんで、試合で起こりそうなシチュエーションを細かく分けてスパーリングで、いろんな人に頼んでやってもらって、その対策も練りながら試合のイメージを作ってきました」 ──ストーリー選手のような体型の人とも? 「DEEPに出ている米田(奈央)選手がめちゃくちゃ組みが強くて、ウェルターからミドルに上げるようで、通常体重が95kgくらいあるんです。その米田さんにガンガン組んでもらいました。米田さんとスパーすることで、フィジカルトレーニングにもなりましたね」 ──あの内藤由良選手がウェルター級に下げてPANCRASEでゴイチ・ヤマウチ選手に70秒で敗れたことは、どうとらえましたか。 「そうですね、内藤君の負けは自分的にもめちゃくちゃショックで……。やっぱり彼がどれぐらい強いのかっていうのは、一緒に練習していて僕も分かっているので。ただ、あの負け方は、事故みたいな部分もあったので、正直、自分の中ではもっと見たかったっていう気持ちが大きかったんです。それで、自分が世界にやり返すとか、そういうのはないですけど、日本が世界で通用する最重量級がライト級かギリギリウェルター級というイメージがあるなかで、その認識を覆したいという思いはあります」 ――そんななか、今回の準決勝の相手ローガン選手は、オーソドックス構えで、ときにパンチを振りながら組んだり、相手の打ち返しにも巧みに組んだりもする、MMAレスラーです。どのようにとらえて対策を練ってきましたか。 「もう寝かされたらやばいなって。でも、スタンドでも組まれるプレッシャーに負けないように練習してきました。やっぱり下がっちゃうと、ローガンのプレッシャーで押し込んで壁際で押さえつける、相手の一番強い形になると思うので、なるべくそれはさせないように。簡単に下がらないように立ち合えば、自分の変則的な打撃は相手にとってもやりにくいはず。  ローガンは組むとコントロールも上手だし、ケージレスリングで壁に押し込んで相手が動けなくなっている状況を結構見るので、やっぱりあの押し込みが相当強いのかなって。逆に、あそこでローガンが休んでるのかなとも思うんですよね」 ──たとえ組まれてもトップキープされずに相手を休ませない形にしたいと。 「そうですね。そのためにシチュエーションスパーをして、気持ちも作ってきました」 ──17勝3敗、その黒星は元Bellator王者のヤロスラフ・アモソフに判定で2度、無敗のシャミル・ムサエフに2R KO負けが1度のみです。そしてもう一つの準決勝はジェイソン・ジャクソンvs.無敗のサッド・ジーン。このウェルター級の世界のトップ勢に勝つことは大きな勝利になると思います。 「自分がBellatorを見始めた時のトップ選手たちがここに出ている。最初は不思議な感じがしたんですけど、こうして海外で3連勝して、前回のPFLでも練習して勝っていくうちに、相手も同じ生き物、人間だなって感じがしています。だからビビっていてもしょうがない。もちろん技術も大事なんですけど、格闘技は気持ちの部分が大きい。その気持ちが持てるように自分は毎回作り上げているんで、今は全然ローガンに勝つ自信もありますし。反対側の山から上がってくる2人にもしっかり戦えるっていう自信がありますね」 ──学生キック出身で、盲腸で入院した時にコナー・マクレガーを見て初めてMMAに興味を持った菊入選手が、「組み技経験ゼロ」からNEVERQUITで作り上げたMMAで、ローガン・ストーリーに勝ったら、それは浪漫ですね。 「日本人でもウェルター級で活躍できるっていうのを、日本を含む世界や日本の人たちに伝えられたらと思います。それでウェルター級で日本でいま戦っている人たちが、もっと世界でも戦えると挑む気持ちを持ってもらえるような試合ができればと思います。僕が必ず、ローガンを超えます! ぜひ日本からもU-NEXTで見てください」
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