第2部の第11試合であるメインイベントでは、ONE世界ライトヘビー級(※93kg)選手権試合として、王者アウンラ・ンサン(王者/ミャンマー)に、現ヘビー級王者のブランドン・ベラが挑戦する。
ともにアジアにルーツを持ち、米国でMMAを学んだ両者は、キッズからの「試合が終わったら2人は友達になれますか?」の質問に「約束するよ。今でも友達だし、イベントの後もこれからも友達さ」(ベラ)、「嫌いで戦うわけじゃない。家族を養うためなんだ。ブランドンとは今でも友人だし、最高の格闘技を見せるつもりだ」(ウサン)と、互いをリスペクト。
34歳のンサンは、「まだ大学生だった頃から彼のファンだった。テレビで応援していたんだ。そしてブランドン、誕生日おめでとう!」と1977年10月10日生まれで41歳の誕生日を迎えたベラを祝福。ベラが駆け寄りハグする場面も見せた。
▼第2部 第11試合 メインイベント ONE世界ライトヘビー級(※93kg)選手権試合 5分5R○アウンラ・ンサン(王者/ミャンマー)[2R 3分23秒 TKO]×ブランドン・ベラ(挑戦者/米国)
ンサンが持つライトヘビー級王座のベルト獲得に名乗りを挙げたヘビー級王者ブランドン・ベラ。試合前から「アウンラ」コールで沸く場内。様々な民族衣装のファンがンサンとベラを両国国技館で迎える。
1R、ウサン、ベラ、ともに最初はオーソドックス構え。後ろ蹴りを見せるウサン。サウスポー構えに変えたベラはウサンのローをかわすと右ロー。しかし、ウサンも右ロー! ベラも左ミドル。しかしウサンは近距離に近づき左右! ベラも首相撲からヒザ! スイッチして回るベラは左ミドル! ウサンも右で飛び込む。しかしベラも左ヒジで迎撃。
2R、右ローを突くウサン、さらに左右ラッシュ! しかしベラも首相撲ヒザ! ウサンはインローを蹴る。左ミドルを蹴るベラ。オーソに戻したベラにウサンは右ロー! ベラは右アッパー! しかしウサンも左右で前へ! フックの連打から互いにバックヒジもウサンの右ヒジにベラが崩れ、ウサンはさらに右! マットに倒れたベラにパウンド連打! 浴びたままのベラを見てレフェリーが間に入った。
試合後、ウサンはケージのなかで、「トーキョー、アリガトウ!」と語ると、ヘンリー・フーフトらコーチ陣に感謝の言葉を述べた。敗者のベラは右ローキックを浴びた左足をひきずってケージを去った。
◆ブランドン・ベラ「ずっと夢だった二階級制覇を、チャンピオンと戦うことに、とてもエキサイトしています。ヘビー級チャンピオンを保持し続け、ライトヘビー級王座も勝ち獲りたい。アウンラ・ンサンは私と同じような生い立ちで尊敬しています。人生で最も大切な試合になります。この試合に向けて、休日は2日だけ、それも移動日というクレイジーな日々を送ってきました。コーチも仲間も。そのことでどれだけ相手をリスペクトしているか分かると思います。
学校で『イマ、ナンジデスカ?』という日本語を習いました。なぜか、この言葉を覚えています。それは私のためにあった言葉でした。今、私は『イマ、ナンジデスカ?』と聞かれれたら、それは『私のための時間です。夢をかなえる時間です』と答えることができます。ンサン、誰が相手になるかとハラハラしたと思う。試合を受けてくれてありがとう。(キッズからの質問「試合が終わったら2人は友達になれますか?」)約束するよ。今でも友達だし、イベントの後もこれからも友達さ」
◆ウンラ・ンサン「2度目の来日になります。誇り高き人々、日本のファンの前でまた戦えることを光栄に思います。今回、ブランドンが『戦いたい』と言ってくれて感謝しています。まだ大学生だった頃から彼のファンでした。前回の日本での試合から、6カ月以上ずっと練習してきました。ONEのジャカルタ大会からONEで戦ってきました。2014年のことです。ONEは格闘技の価値を認め、アスリートをリスペクトしてくれます。スタッフは敬虔で、ファイターに敬意があります。このイベントに参加できて嬉しいです。格闘技の未来はこのONEにあります。日曜日に会いましょう。
(新空手のキッズからの質問「試合が終わったら2人は友達になれますか?」)ブランドンと同じさ。これは仕事、嫌いで戦うわけじゃない。家族を養うためなんだ。ブランドンとは今でも友人だし、最高の格闘技を見せるつもりだ。そして、ブランドン、誕生日おめでとう!(1977年10月10日生まれ・41歳のベラが駆け寄りハグする)」
(ミャンマーのファンに)ほんとうに厳しい練習でまったく休みなく、朝昼夜と練習してきた。ブランドンは10年前にテレビで見ていた(UFC)選手で、応援していたんだ。そして今、僕は彼とケージの中で戦う。頑張れば努力はかなう、それをミャンマーの人々に伝えたい」
▼第2部 第10試合 ONEライト級(※77.1kg) 5分3R○青木真也(日本/Evolve MMA)[1R 0分54秒 アナコンダチョーク]×ホノリオ・バナリオ(フィリピン)
青木は5月の前戦でクリスチャン・リーにTKO負け以来の再起戦。ライト級王座陥落後の初戦の相手は14勝9敗のバナリオ。2012年からONEに参戦しているバナリオは、ONE初期は連敗に苦しんだものの、2016年からONE5連勝。2018年9月にアミール・カーンにRNCで一本負けし連勝が途切れたが、2018年11月にラフール・ラジュに判定勝利。しかし、2019年は1月にローウェン・タイナネスに1R TKO負け。8月にパク・デソンに判定負けと2連敗中だ。
1R、観客から、この日初の選手コール「青木! 青木!」を受けた青木真也。サウスポー構えの青木とオーソドックス構えのバナリオ。
ダブルレッグから右で差した青木が金網まで押し込むと、いったんバナリオの体を起こしてから前方にテイクダウン! バナリオの立ち際を首をアナコンダチョークにとらえると、いったんクオーターネルソンで首を下に落としてから、再びダースチョークに組み直して、後方に回して絞め上げると、青木の腹の下で絞められたバナリオがタップした。
試合後、青木は「36歳になって、家庭壊して、好きなことやって、どうだ、おまえら羨ましいだろう? とにかくいいもの作るために、クリエイティブのライバルたちに勝つために必死に頑張る。みんな愛している」と3月大会と同じセリフを引用して語り、場内を沸かせた。
◆ホノリオ・バナリオ「こんばんは。東京に来るのは初めてで伝説的なアオキ選手と戦うことは光栄で興奮しています。(向かい合った印象は?)スターなのにとても謙虚でした」
◆青木真也「何回やっても試合は怖いです。やりたくないです。でもみなさんも仕事をしたくなかったり、怖いことがあるように、僕も格闘技が好きですけど、すごく怖いからみなさんと同じようにやっていきます。そのなかで、何か伝わるメッセージを残せればと思います。(モチベーションは?)好きだからただやってます。格闘技しかできないから、格闘技でしか生きていけないからやっています。(向かい合った印象は?)対戦相手を前にして言いたくないです」
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▼第2部 第9試合 ONE世界バンタム級(※65.8kg)選手権試合 5分5R○ビビアーノ・フェルナンデス(王者/ブラジル)[2R 2分16秒 リアネイキドチョーク]×ケビン・ベリンゴン(元王者/フィリピン)
ビビアーノは『DREAM』でバンタム級とフェザー級の二階級王者として活躍。ONEには2012年8月から参戦し、2013年10月にバンタム級暫定王座、同年10月に正規王座を獲得した。以降、7度の王座防衛に成功(2016年1月にはベリンゴンと初対戦し一本勝ち)、14連勝を飾っていたが、2018年11月にベリンゴンにスプリット判定で敗れて防衛&連勝記録がストップ。1勝1敗で迎えた3戦目は2018年3月に両国国技館で行われ、ベリンゴンが後頭部のヒジ打ちによる反則負けを喫し、王座陥落している。
1R、ともにオーソドックス構え。右ローを突くベリンゴン。ビビアーノも右ローを返す。左ジャブを突くビビアーノ。ベリンゴンも右のカーフキック。しかしビビアーノはダブルレッグテイクダウン! ハーフから背中を着かすビビアーノ。左で脇差し右で枕に巻くと、まずは固めて細かくボディにパンチ。ベリンゴンは下から足をからめるとスペースの空いた瞬間に足を戻し、そこにサッカーキックを打ち込んできたビビアーノをかわして立つ。
2R、ベリンゴンの右ミドルを掴んで押し込むビビアーノ。片足立ちのベリンゴンはエルボーを突くが、若干乗りすぎに。そこに潜って後方に投げるビビアーノ。サイドを奪うビビアーノに背中を見せて亀になるベリンゴンにビビアーノは左腕をのどもとにくこませ、リアネイキドチョークをパームトゥパームで組んで極めると、ベリンゴンはビビアーノの腿をタップした。
試合後、4度目対決を制し、戴冠したビビアーノは「アイラブジャパン、トーキョー!」と挨拶した。
◆ケビン・ベリンゴン「この第100回大会という歴史に残るイベントに参加できることをとても光栄に思います。日本にはたくさんのファンがいて、2度目の日本で、ビビアーノと4度目の試合を戦います。100パーセントの準備をしてきました。日曜日を楽おしみに」
◆ビビアーノ・フェルナンデス「日本に戻って来るのはいつも楽しいことです。親しい人もたくさんいるし、(チームメイトの)DJもいます。チャトリCEOが『ONEは格闘技のホームである』という言葉に同意します。2009年に日本でのMMAキャリアをスタートさせました。2011年までにフェザー級とバンタム級のチャンピオンになりました。ケビンとは4回目の戦いになります。前回の試合で脳震盪を起こして、チャトリに『戦えるかどうか分からない』と言いました。そのときチャトリは、『人生で一番大切なのは健康と家族だ』と言ってくれました。ONEは私のことをちゃんと考えてくれている、ONEはアスリートを守ってくれる、と思いました。100パーセントでなく、300パーセント、1000パーセントの準備が出来ています。最高の試合をします」
▼第2部 第8試合 ムエタイ世界フライ級タイトルマッチ 3分5R○ロッタン ・ジットムアンノン(王者/タイ)[判定2-1]×ウォルター・ゴンサルベス(挑戦者/ブラジル)
ムエタイ世界フライ級タイトルマッチ。
王者は、8月2日のマニラ大会でジョナサン・ハガティからダウン奪い判定勝利でベルトを巻いた“破壊神”ロッタン ・ジットムアンノン(タイ)。対する挑戦者は、ブラジルのウォルター・ゴンサルベスに決定した。
名門シッソンピーノンジムでサガットペットを師に持つWPMF世界王者のゴンサルベスは、「Mx Muay Extreme Championship」でも60kg級王者に輝いており、左右スイッチから相手の蹴り足を掴んでのパンチやバックフィスト、スーパーマンパンチなど、アグレッシブなファイトスタイルが持ち味。好戦的なロッタンと噛み合うこと必至で、シッソンピーノン所属らしく、ムエマッド、フィームースタイルのどちらの相手でもしっかり戦える強豪だ。
オープンフィンガーグローブのケージムエタイ戦。
1R、ともにオーソドックス構え。左右ローを突くロッタン! 右ローを返すゴンザルベス。しかしゴンザルベスはサウスポー構えにするとロッタンの左前手が目に入り中断。再開。
ロッタンの詰めにゴンザルベスはボディロックからテイクダウン。しかしロッタンはワンツーから右ミドルで前へ。下がるゴンザルベスを追い、ゴンザルベスの右ローを掴み右ストレートを叩き込む。
2R、追うロッタンはオーソから強い左ミドル! ゴンザルベスは蹴り足を掴んでのパンチを狙う。ロッタンの左ハイを掴み右ストレートを打ち込むロッタン! さらに金網に詰めての右縦ヒジも狙う。ロッタンの左ミドルをオープンフィンガーグローブで掴んで軸足払いを見せるゴンザルベス。
3R、4R、左右のフックが多くなるロッタン。追い回すが回るゴンザルベスに来い、とジレる。打ち合いのなかで右を返すゴンザルベス。しかし4R、ロッタンは左フック! ゴンザルベスはフラッシュダウンもすぐに立つゴンザルベスにダウンは取らず。お返しとばかりにゴンザルベスもボディロックから振り回してテイクダウン! 前がかりになるロッタンにゴンザルベスはフックの脇をくぐる。
5R、ハグから右手をハイタッチしてからファイト。いきなり首相撲ヒザの両者。ロッタンの入りにゴンザルベスはサウスポー構えから左ストレート! 右ハイを当てる。追うロッタンは左ミドルをヒット。しかし近づくとゴンザルベスはパンチ潜りクリンチ。
ゴングに両者ともにケージの上に乗り、勝利をアピール。
判定は2-1に割れ、現王者のロッタンがゴンザルベスを下し、ONEムエタイ世界フライ級王座防衛に成功した。
◆ウォルター・ゴンサルベス「こんばんは、ここで戦えることが光栄です。タイで最強の選手と戦えることがとても楽しみです」
◆ロッタン・ジットムアンノン「こんにちは、日本のファンの皆様。この世界王座を日本で防衛することが楽しみです。これまで厳しいトレーニングを重ねてきて、自信もあります。万全の準備をしてきました。失望はさせません。ムエタイの強さを見せます。私の戦いはとても楽しく、勝利で終わりたいと思います」
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▼第2部 第7試合 フェザー級キックボクシングワールドGP決勝 3分3R○ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)[判定3-0]×サミー・サナ(フランス)
ONE Super Seriesキックボクシング・フェザー級ワールドGP準決勝では、ジョー・ナナタワットを1R 2分50秒 KOに下している元K-1 WORLD MAX世界王者ペトロシアン。左の打ち終わりに右ジャブを入れて、同じ位置にノーモーションで左ストレートを打ち込むと、後方に崩れ落ちたナタワットは10カウントも立ち上がれず。ペトロシアンは静かに勝ち名乗りを受けていた。
同じくフェザー級ワールドGP準決勝で、ジャバル・アスケロフを判定2-0で下したのはサナ。長身から長い左ミドル、右ロー・ヒザ、右ストレートを武器にアスケロフを完封している。
身長差は12cm、サウスポー構えのペトロシアンにオーソドックス構えのサナ。前手でさっそく距離を掴んだペトロシアンは左ミドルを2発ヒット! しかしサナの右ローはペトロシアンの金的に入ってしまう。
再開。右のテンカオで前に出るサナ。さらに右ミドルも。ペトロシアンは右で距離を掴み、左ミドルを当てるが、サナの右ミドルにペトロシアンがスリップダウンする。
2R、左ミドルを当てるペトロシアン、さらに左奥足ロー!「下がりながらも圧をかけている」(那須川天心)というペトロシアンに対し、サナは右のテンカオ。さらにペトロシアンの前手に左フックをの合わせを狙う
3R、前に出るサナはフェイントかけて右ヒザ、右アッパーも入れて乱戦を狙う。しかしペトロシアンは右に回り込み温存していた左ストレート! あとは距離を制して右回りでワンツー。左ミドルと危険は冒さず。自分は当てて、相手の攻撃はもらわない。GPで勝ち上がった強さを決勝でも披露した。
判定は3-0で、この10年でわずか2敗の“ドクター”ペトロシアンがフェザー級キックボクシングワールドGP優勝。賞金1億円を獲得した。
◆サミー・サナ「東京の皆さん初めまして。今回、このような大会に出場できて光栄です。世界規模のイベントになる、この大会を愉しみにしています」
◆ジョルジオ・ペトロシアン「こんばんは、日本に10年ぶりに戻って来れて嬉しいです。この大会に参加できて感動しています。私のキャリアの中でも最高の試合をしたい。ここ日本では思い出深い試合を数多くこなしてきました。ONEという世界最大のプロモーションで戦うことを光栄に思います」
▼第2部 第6試合 ONEヘビー級(※120kg) 5分3R×マウロ・チェリリ(イタリア)[判定0-3]○アルジャン・ブラー(カナダ)
ヘビー級戦では、マウロ・チェリリ(イタリア)とアルジャン・ブラー(カナダ)が対戦する。
フォークスタイルレスリングとも共通性があるというインド相撲のクシュティ王者で、インド系カナダ人初の五輪代表選手であるブラーは、2012年ロンドン五輪フリースタイル120kg級に出場。2010年にインドで行われたコモンウェルスゲームで金メダル、2007年のパンナム大会では銅メダルを獲得している。2014年にプロMMAデビュー後、2017年9月からUFCに参戦し、3勝1敗の戦績をあげたが、インドにMMAを広めるため、UFCとは契約を更新せずにONEに加入した。チェリリとは8月のマニラ大会で対戦予定だったがキャンセルとなり、今回が仕切り直しの一戦となる。
MMA13勝3敗のチェリリは、2018年11月に今大会のメインに登場するブランドン・ヴェラに1R KO負けしたものの、2019年3月にアラン・ンガラニに1R TKO勝ちで復活を遂げており、ONE参戦前の5連勝の頃の勢いを取り戻せるか。
1R、ともにオーソドックス構え。チリリの右にグラつくブラー。しかしブラーはクリンチ。そしてジャブ。チリリもヒザ、オーバーハンドを返す。クリンチアッパーはチリリ。
2R、詰めるチリリ。しかしブラーの指が目に入り中断、再開。左ボディから右フックのコンビネーションはチリリ。ブラーはクリンチから右アッパー、右ロー。互いに手数が減り単発になる。3R、右アッパー、右フックで詰めるブラー。徐々にチリリの顔が腫れるが、チリリも左右で押し返しゴング。
判定は、中盤から圧力をかけコンビネーションを的確に当てたブラーが勝利。
▼第2部 第5試合 女子アトム級(※52.2kg)5分3R○山口芽生(日本/RIKI GYM、和術慧舟會GODS、Hybrid Fighter、Team Teppen)[判定3-0]×ジェニー・ファン(台湾)
V.V Meiは、MMA20勝11敗1分のベテラン。現在3連勝中で、2018年5月のアンジェラ・リー戦後は負けなしの状態だ。今回の対戦相手のジェニー・ファン(台湾)とは2017年6月に対戦しており、Vがリアネイキドチョークで一本勝ちしている。
ともにアンジェラ・リーと対戦しており、V.V Meiは2戦ともに接戦の末の判定負け。ファンは2015年5月のプロデビューから5連勝も、その後はリー、V、ジナ・イニオン、ジヒン・ラズワンを相手に4連敗中。女子アトム級戦線では、女王リーが朝大会でシャオ・ジンナンを挑戦者に迎え、虎の子のアトム級ベルトの防衛戦に臨むため、同日の夜大会でVは、しっかり王座挑戦をアピールしたいところだ。
アンジェラ・リー、シャオ・ジンナン、イステラ・ヌネス、さらに中国のリン・ホーチン、マレーシアのジヒン・ラズワンあたりの台頭も見逃せないアトム級戦線で抜け出すのは誰か。
1R、ともにオーソドックス構え。右ストレートを伸ばす山口にファンも右ローを返す。先にダブルレッグは山口も切るファンに、ここは深追いはしない山口。左を伸ばすファン。ファンの右ローを掴んでテイクダウン、すぐにバックを奪う山口。マウントへ。しかしパウンドの空間で腰を切るファンはガードの中に入れる。右の強いパウンドは山口! さらにボディ打ち。下のファンが手首を掴むと山口はヒジ狙い。下からファンも鉄槌を狙う。
2R、右のスーパーマンパンチを狙うファン。さらに前足に右ロー! その4発目を掴んだ山口はテイクダウン! しかし腰に足をつけたファンは柔術立ちでスタンドに。右ローを当てるファン。さらにワンツーで入る山口の打ち終わりに右を狙う。再びダブルレッグテイクダウンは山口。中腰からパウンド・鉄槌を入れるが柔術立ちするファンは右ローを連打!
3R、ファンのワンツーに右ストレートを入れる山口。しかしファンは右ロー! さらに右ロー。3発目の右ローを掴んだ山口はテイクダウンからハーフで鉄槌。右で脇差しパスガードでサイドへ。ヒザを顔面に入れると、クルスフィックで腕をフックするとパウンドへ。しかし、ファンもエビを打つと腰を切って戻してガードに戻して立ち上がりスタンドに。最後はファンが圧力をかけたところで試合終了。
判定は3-0で、再三テイクダウンからポジションを奪った山口が勝利。試合後、マイクで「判定じゃなくて一本でフィニッシュしたかったんですけど、勝ったことでチャトリ(CEO)さんにお願いがあります。アトム級のチャンピオンに挑戦させてください」と、アンジェラ・リーとの対戦をアピールした。
◆ジェニー・フアン「こんばんは。今ここにこうして会見でいること、そして東京で戦えることにエキサイトしてとても光栄です。日曜日は最高のコンディションを整えて戦います。前回から非常に厳しい練習をしてきました。いい試合をしたいと思います」
◆山口芽生(V.V Mei)「この100回大会という大きな大会に出場させていただくことは、私にとってすごく大きな意味のあることです。女子の総合格闘技がまだあまり注目されていない時代から続けてきた選手の心からの気持ちを見せたいです。今回の試合、必ず良い勝ち方をして、ONE女子アトム級のベルトにチャレンジさせてもらうように良い試合を見せたいと思います。
会見に、今まで自分がテレビで見たような選手が並び夢のようで信じれないという気持ちもあります。格闘技を止めずに続けてきた甲斐があったなと感じます。それを、表現する場を作ってくれて嬉しいです。チャトリ代表にも感謝します。
第2部の5試合目ということで、PANCRASEと修斗の王者対決の後で、かなりレベルの高い試合の後なので、その後で女子の試合ということで、チャンピン対決に負けない勢いのある試合をしたいと思います」
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▼第2部 第4試合 ONEストロー級(※56.7kg)5分3R○猿田洋祐(和術慧舟會HEARTS)[2R 0分59秒 TKO]×北方大地(パンクラス大阪稲垣組)
ストロー級では猿田洋祐(和術慧舟會HEARTS)が北方大地(パンクラス大阪稲垣組)と対戦。修斗王者の猿田は19勝9敗3分。ONEで3戦を戦っており卓越したフィジカルとレスリング力を武器に、2019年1月にはジョシュア・パシオを下してONEストロー級王者となったが、3カ月後のダイレクトリマッチではハイキックに沈み王座陥落、今回が再起戦となる。
対するパンクラス王者・北方は2010年のデビュー以来ほとんどの試合をパンクラスで戦い、20勝8敗1分2ノーコンテスト。2016年には砂辺光久にRNCで敗れたが、以降は5連勝。2019年7月には砂辺をTKOでリベンジを果たし、ストロー級のベルトを巻いた。打撃を得意としながら寝技でも一本を取れる力を持つファイターだ。
1R、ともにオーソドックス構え。北方の2回目のワンツーにニータップでタイクダウンした猿田。まだ上半身は金網に立てる北方だが、右脇下に頭を入れる猿田は右横にテイクダウン! ハーフガードの北方に背中をつかせる猿田。金網まで這う北方は上半身を立てに行こうとするが、その瞬間に左脇に頭を入れてバック狙い。しかし北方も左でオーバーフックして立ったところでゴング。
2R、左のヒザを当てた北方。右の打ち合いから左ハイ、さらに空いた右足でも廻し蹴りも、北方の蹴り足を猿田が掴んでテイクダウン! クローズドに入れギロチン狙いも首を抜いた猿田はインサイドガードの中から右から左の鉄槌! これがまともに入り、意識が飛んだ北方に猿田はさらに左の鉄槌! レフェリーが間に入った。
対抗戦の星を五分に戻した猿田は、「英語でいいですか、サンキューダイチ・キタカタ、サンキューエブリワン、デスイズ・シュート、ディスイズ・ニンジャ、デスイズ・ヤマトダマシイ!」と、王座陥落時に着用したニンジャコスチュームを今回も入場で貫いた意地を見せると、続けて、「4月にベルトを失ったなんですけど、人生はいいことも悪いこともあって、またベルトを獲り返します。ベルトに挑戦させてください!」と王座奪還をアピールした。
◆猿田洋祐「日曜日のためにこの2カ月間、しっかり、悔いのない準備をしてきました。あとは試合をするだけという感じですね。修斗とONEのベルトを巻いた人間の強さをしっかり見せたいと思っているので、ぜひ会場に観に来てください」
◆北方大地「本音で言いたいんですけど、修斗のチャンピオンとやるとか、ONE100回記念とかは正直、僕のなかではどうでもよくて、さっきの記者会見のスーパースターたちを見て、自分はまだまだやなと、すごく悔しい思いでした。このONEのなかでスーパースターになれるように、次、しっかりクリアしたいと思います」
▼第2部 第3試合 ONEバンタム級(※65.8kg)5分3R○佐藤将光(FIGHT BASE)[2R 4分30秒 TKO]×ハファエル・シウバ(ブラジル)
修斗vsパンクラスの対抗戦。いずれも日本の老舗プロモーションである両団体が威信を懸けて4人のチャンピオンを送り出し、対決に臨む。
まずバンタム級では、鋭い打撃を武器にONEでも活躍し現在4連続KO勝利中の修斗世界王者・佐藤将光(FIGHT BASE)が、圧倒的なテイクダウン能力とグラウンドテクニックでパンクラスのベルトを守るハファエル・シウバ(ブラジル)と対戦。
1R、いきなり右ローをカーフに打つ佐藤。シウバもダブルレッグから組み付きすぐにバックへ。左足をかけていくと後方への投げ。しかしすぐに佐藤も立つ。シウバはシングルレッグ。ダブルレッグで怒涛の攻め。力を使う。金網背に両足を広げ、シウバの頭を股の間・腹の下に置く佐藤は鉄槌。
さらにダブルレッグ、シングルレッグで押し込むシウバだが。佐藤のヒジ。さらに長い手でシウバの足首をつかみ、離れ際にヒジ!
2R、圧力はじりじりかけるシウバだが、スタミナ温存か、跳びヒザは佐藤。先にバックフィストを見せて去った佐藤が押し戻したところに低いダブルレッグテイクダウンはシウバ。すぐに立つ佐藤のバックに回るが、佐藤も金網背に正対。シングルレッグで足を手繰るシウバに佐藤は鉄槌連打! なおも押し込むシウバを突き放した佐藤はヒザ! さらに左右ラッシュ! 回ろうとするシウバを追い詰めラッシュからの右ストレートにシウバが崩れ、レフェリーが間に入った。
佐藤は試合後、「デイズ・イズ・シュート! アイビリーブ・マイセルフ! チームを信じ、毎日トレーニングをしてきた。(最後は)行けるとき仕留めてやろうと思った」と、対抗戦修斗初白星の喜びを語った。
◆佐藤将光「日曜日に修斗のチャンピオンがONEでも、世界のトップにもしっかり通用することを見せつける1日になると思います。観てください」
◆ハファエル・シウバ「大きな大会で素晴らしい相手と戦えてここで試合ができて幸せです」
▼第2部 第2試合 ONEウェルター級(※83.9kg)5分3R×エルナニ・ペルペトゥオ(ブラジル)[判定0-3]○手塚裕之(日本/ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)
修斗vsパンクラスの対抗戦。ウェルター級では修斗ブラジルの王者でUFC参戦経験もあるエルナニ・ペルペトゥオ(ブラジル)が、高い身体能力と一発の破壊力を持つパンクラス王者・手塚裕之と激突。両団体の王者はONEという舞台でどのような戦いを見せるのか。
1R、ともにオーソドックス構え。強い右ローはペルペトゥオ。手塚はダブルレッグを走るが切られる。バックフィストはペルペトゥオも手塚はブロック。左ボディから右フックを返す。右の後ろ廻し蹴りはペルペトゥオで空振りも鋭い。
右ボディを突く手塚。ペルペトゥオの左ミドルもスウェイでかわし、手塚から圧力をかけるようになる。右から入り左ボディで追う手塚にサークリングするペルペトゥオ。手塚は右跳びヒザ、右ハイも浅いが前に。
2R、右ローを先に打つのは手塚。しかし長い右を突くペルペトゥオ。下がる手塚はダブルレッグは切るも仕切り直しに。手塚の打ち終わりに右はペルペトゥオ! さらに左ロー、左ボディもヒット。詰める手塚。互いに手数は減るが、ラウンドの後半に強い手塚が詰めて右の跳び蹴り。しかしペルペトゥオは長い右が脅威。手塚はサークリングで避ける。
3R、右ローは手塚。体を一回転させるペルペトゥオ。手塚は中央を取り先に圧力をかけていく。右ローを返すペルペトゥオ。右ハイを返す手塚。ワンツーも振る。さらに左ボディ。ペルペトゥオはミドルも蹴り足をつかんだ手塚がテイクダウン! すぐに得意のラバーガードを狙うペルペトゥオだが、そこは警戒済みの手塚。頭を抱えてくるペルペトゥオにヒジを連打でヒット! さらにインサイドガードからパウンド連打。手塚が尻を着いた状態時に下のペルペトゥオが蹴り上げし、注意。
判定は3-0で手塚が勝利。パンクラスに2勝目をもたらした手塚は、「今日は台風ですげー大変だったのに来てくれてありがとうございます! 楽しんでいってください」と挨拶した。
▼第2部 第1試合 ONEライト級(※77.1kg)5分3R×松本光史(フリー)[判定0-3]○久米鷹介(ALIVE)
修斗vsパンクラスの対抗戦。ライト級では松本光史(フリー・36)と久米鷹介(ALIVE・34)が対決。修斗王者・松本はグラップリングを得意としながら、最近では打撃でのKO勝利も多いオールラウンダーで20勝8敗。パンクラス王者・久米は22勝5敗4分で、グラウンド&パウンドの泥臭いファイトスタイルが持ち味。
1R、ともにオーソドックス構え。左ジャブで詰める松本に久米は右ストレートをヒット! そのまま押し込む久米だが、突き放す松本。さらに左から詰める久米。左で差すが突き放す松本。右の高いサイドキックは久米も左目上から出血。バッティングか。松本は押し込み右を刺すとドクターチェック。
再開、いきなりシングルレッグでテイクダウンした久米はすぐさまバックへ。足を4の字フックに組み、リアネイキドチョークへ! さらに残り時間を聞いてか久米は腕十字へ。松本は腕をロック。
2R、左のトリプルでラッシュをかける久米。松本は右を差して組むも小手に巻く久米は凌ぐ。スタンド。ダブルからシングルレッグの久米だが、切る松本はバックに。リアネイキドチョークを狙う。久米の左目上の出血が多くなるが首は防ぐ。4の字ロックに変える松本。たすきがけからチョークを狙う。
3R、ジャブ突く松本に久米は左を振りながらダブルレッグで押し込み、尻下でクラッチしテイクダウン! 首をがぶり、すぐに久米は頭にヒザを突く! さらに上の足も抱えてヒザ。松本の動きに合わせてリアネイキドチョーク狙い。4の字ロックの久米は背後から拳を落とし、さらに背後からヒジも。久米の首を抱え前に落とそうとする松本。久米は何とか落ちずバックキープ。
判定は序盤、そして最終Rにも攻勢となった久米が判定3-0勝利。対抗戦初戦はパンクラスが1勝。試合後、久米は、「素晴らしい修斗の王者でしたので、しんどい試合でしたけど、勝利できてよかったです。松本選手ありがとうございました」と挨拶し、セコンドの日沖発のジムstArtのTシャツを掲げた。
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大沢ケンジが解説! 修斗vsパンクラス王者対決の見所・前篇「佐藤将光vsハファエル・シウバ」「エルナニ・ペルペトゥオvs手塚裕之」=10.13『ONE:CENTURY PART II』両国
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