第2部の第11試合であるメインイベントでは、ONE世界ライトヘビー級(※93kg)選手権試合として、王者アウンラ・ンサン(王者/ミャンマー)に、現ヘビー級王者のブランドン・ベラが挑戦する。
ともにアジアにルーツを持ち、米国でMMAを学んだ両者は、キッズからの「試合が終わったら2人は友達になれますか?」の質問に「約束するよ。今でも友達だし、イベントの後もこれからも友達さ」(ベラ)、「嫌いで戦うわけじゃない。家族を養うためなんだ。ブランドンとは今でも友人だし、最高の格闘技を見せるつもりだ」(ウサン)と、互いをリスペクト。
34歳のンサンは、「まだ大学生だった頃から彼のファンだった。テレビで応援していたんだ。そしてブランドン、誕生日おめでとう!」と1977年10月10日生まれで41歳の誕生日を迎えたベラを祝福。ベラが駆け寄りハグする場面も見せた。
▼第2部 第11試合 メインイベント ONE世界ライトヘビー級(※93kg)選手権試合 5分5R
○アウンラ・ンサン(王者/ミャンマー)
[2R 3分23秒 TKO]
×ブランドン・ベラ(挑戦者/米国)
ンサンが持つライトヘビー級王座のベルト獲得に名乗りを挙げたヘビー級王者ブランドン・
1R、ウサン、ベラ、ともに最初はオーソドックス構え。後ろ蹴りを見せるウサン。サウスポー構えに変えたベラはウサンのローをかわすと右ロー。しかし、ウサンも右ロー! ベラも左ミドル。しかしウサンは近距離に近づき左右! ベラも首相撲からヒザ! スイッチして回るベラは左ミドル! ウサンも右で飛び込む。しかしベラも左ヒジで迎撃。
2R、右ローを突くウサン、さらに左右ラッシュ! しかしベラも首相撲ヒザ! ウサンはインローを蹴る。左ミドルを蹴るベラ。オーソに戻したベラにウサンは右ロー! ベラは右アッパー! しかしウサンも左右で前へ! フックの連打から互いにバックヒジもウサンの右ヒジにベラが崩れ、ウサンはさらに右! マットに倒れたベラにパウンド連打! 浴びたままのベラを見てレフェリーが間に入った。
試合後、ウサンはケージのなかで、「トーキョー、アリガトウ!」と語ると、ヘンリー・フーフトらコーチ陣に感謝の言葉を述べた。敗者のベラは右ローキックを浴びた左足をひきずってケージを去った。
◆ブランドン・ベラ
「ずっと夢だった二階級制覇を、チャンピオンと戦うことに、とてもエキサイトしています。ヘビー級チャンピオンを保持し続け、ライトヘビー級王座も勝ち獲りたい。アウンラ・ンサンは私と同じような生い立ちで尊敬しています。人生で最も大切な試合になります。この試合に向けて、休日は2日だけ、それも移動日というクレイジーな日々を送ってきました。コーチも仲間も。そのことでどれだけ相手をリスペクトしているか分かると思います。
学校で『イマ、ナンジデスカ?』という日本語を習いました。なぜか、この言葉を覚えています。それは私のためにあった言葉でした。今、私は『イマ、ナンジデスカ?』と聞かれれたら、それは『私のための時間です。夢をかなえる時間です』と答えることができます。ンサン、誰が相手になるかとハラハラしたと思う。試合を受けてくれてありがとう。(キッズからの質問「試合が終わったら2人は友達になれますか?」)約束するよ。今でも友達だし、イベントの後もこれからも友達さ」
◆ウンラ・ンサン
「2度目の来日になります。誇り高き人々、日本のファンの前でまた戦えることを光栄に思います。今回、ブランドンが『戦いたい』と言ってくれて感謝しています。まだ大学生だった頃から彼のファンでした。前回の日本での試合から、6カ月以上ずっと練習してきました。ONEのジャカルタ大会からONEで戦ってきました。2014年のことです。ONEは格闘技の価値を認め、アスリートをリスペクトしてくれます。スタッフは敬虔で、ファイターに敬意があります。このイベントに参加できて嬉しいです。格闘技の未来はこのONEにあります。日曜日に会いましょう。
(新空手のキッズからの質問「試合が終わったら2人は友達になれますか?」)ブランドンと同じさ。これは仕事、嫌いで戦うわけじゃない。家族を養うためなんだ。ブランドンとは今でも友人だし、最高の格闘技を見せるつもりだ。そして、ブランドン、誕生日おめでとう!(1977年10月10日生まれ・41歳のベラが駆け寄りハグする)」
(ミャンマーのファンに)ほんとうに厳しい練習でまったく休みなく、朝昼夜と練習してきた。ブランドンは10年前にテレビで見ていた(UFC)選手で、応援していたんだ。そして今、僕は彼とケージの中で戦う。頑張れば努力はかなう、それをミャンマーの人々に伝えたい」
▼第2部 第10試合 ONEライト級(※77.1kg) 5分3R
○青木真也(日本/Evolve MMA)
[1R 0分54秒 アナコンダチョーク]
×ホノリオ・バナリオ(フィリピン)
青木は5月の前戦でクリスチャン・リーにTKO負け以来の再起戦。ライト級王座陥落後の初戦の相手は14勝9敗のバナリオ。2012年からONEに参戦しているバナリオは、ONE初期は連敗に苦しんだものの、2016年からONE5連勝。2018年9月にアミール・カーンにRNCで一本負けし連勝が途切れたが、2018年11月にラフール・ラジュに判定勝利。しかし、2019年は1月にローウェン・タイナネスに1R TKO負け。8月にパク・デソンに判定負けと2連敗中だ。
1R、観客から、この日初の選手コール「青木! 青木!」を受けた青木真也。サウスポー構えの青木とオーソドックス構えのバナリオ。
ダブルレッグから右で差した青木が金網まで押し込むと、いったんバナリオの体を起こしてから前方にテイクダウン! バナリオの立ち際を首をアナコンダチョークにとらえると、いったんクオーターネルソンで首を下に落としてから、再びダースチョークに組み直して、後方に回して絞め上げると、青木の腹の下で絞められたバナリオがタップした。
試合後、青木は「36歳になって、家庭壊して、好きなことやって、どうだ、おまえら羨ましいだろう? とにかくいいもの作るために、クリエイティブのライバルたちに勝つために必死に頑張る。みんな愛している」と3月大会と同じセリフを引用して語り、場内を沸かせた。
◆ホノリオ・バナリオ
「こんばんは。東京に来るのは初めてで伝説的なアオキ選手と戦うことは光栄で興奮しています。(向かい合った印象は?)スターなのにとても謙虚でした」
◆青木真也
「何回やっても試合は怖いです。やりたくないです。でもみなさんも仕事をしたくなかったり、怖いことがあるように、僕も格闘技が好きですけど、すごく怖いからみなさんと同じようにやっていきます。そのなかで、何か伝わるメッセージを残せればと思います。(モチベーションは?)好きだからただやってます。格闘技しかできないから、格闘技でしか生きていけないからやっています。(向かい合った印象は?)対戦相手を前にして言いたくないです」