20歳の総本部内弟子で“1級”ながら2024全日本無差別を制した中上悠太朗(青)の豪快な投げ
2025年5月25日(日)東京・豊島体育館・地下競技場にて、全日本空道連盟主催『2025北斗旗全日本空道体力別選手権大会』の開催が決定した。
空道(くうどう)とは道衣と顔面防具を着用のうえで、突きと蹴りはもちろん頭突きやヒジ打ち、道衣を掴んでの打撃・投げ・寝技によって争う“着衣総合格闘技”。今大会は身長(センチ)と体重(キロ)の数値の和(体力指数)によってクラス分けを行う体力別大会として行われる。入場は無料。
<-230クラス>
2015、2016、2017、2018、2019、2021、2022年、2024年と全日本‐230クラス8連覇を達成した目黒雄太のV9なるか?

【写真】目黒雄太
目黒は、全日本選手権の開催されなかった2020年(コロナ禍のため)、2023年(世界選手権実施のため)も含めて考えれば、現時点で10年間階級別全日本の王座に君臨しているわけであり、45年間の北斗旗の歴史においてこのような選手は他に誰もいない。
一方で、半年前の全日本無差別準決勝において、自身より23kg重い、体重90kgの西尾勇輝の上段回し蹴りを浴びて一本負けを喫し、担架で場内を後にして以来の復帰戦であること、32歳という年齢から考えて、今回こそ、押し寄せる後進の波に彼が呑み込まれるのではないかという懸念もある。
今大会では、ここ数年、目黒と常にトップを争ってきた佐々木龍希が、今年に入って父である佐々木亮一・大道塾小樽支部支部長が急逝したことに伴い支部運営を引き継ぐことになったため欠場するが、それでも目黒包囲網は厳しい。

【写真】大西凜駿
4歳からの空道歴と、高校レスリング競技実績をもち、2021年に18歳で目黒と全日本の決勝を争い、その後、大学生時にはキックボクシングやMMAにも取り組み、大道塾総本部内弟子となり、佐々木とも名勝負を繰り広げてきた大西凜駿(22歳)。

【写真】鈴木誠士
半年前に佐々木と旗の割れる試合を演じ、今大会の東北予選を制している鈴木誠士(20歳)。全日本ジュニア制覇を経て北斗旗に挑む柵木来斗(18歳)&山田凌雅(22歳)。昨年の全日本体力別での佐々木との準決勝判定で旗を1本得て連盟強化選手ランクBに選出された田中脩斗(21歳)。10代~20代前半の挑戦者たちは、この1年間の間にも、見違えるような成長を遂げていることだろう。

【写真】田中脩斗
いつか敗れた目黒が「これで試合は最後にします」と語り、観る者が「もっと眼に焼きつけておけばよかった」と後悔する瞬間がやってくるのかもしれないが、それが今回とならない保証はない。
<-240クラス>

【写真】谷井翔太
前回(2024年)優勝の谷井翔太(34歳)、前々回(2022年)優勝の伊東宗志(28歳)、円熟の時期を迎えつつある両者が再び決勝で相まみえるか?

【写真】伊東宗志
何度となく対戦している両者、サイドステップを交え中間距離を保って硬いパンチを浴びせるスタイルの伊東に、MMAプロ競技でもキャリアを重ねる谷井が、距離を潰して密着し「塩漬け」にする展開で連勝を収めている。同じ轍を踏まないために、伊東がどんな戦略をみせるか、その点に注目したい。

【写真】佐々木惣一朗
しかし、両者が再戦するためには、全日本ジュニア優勝経験をもつを佐々木惣一朗(21歳)&曽山隆聖(20歳)、半年前の全日本無差別でベスト8入りを果たした佐々木虎徹(20歳)、2023世界ジュニアU19 ベスト4の佐々木翼(19歳)、今大会関東地区予選を制した藤澤純也(21歳)ら、新世代のスピードをねじ伏せることが必要な条件となる。

【写真】佐々木虎徹
一方、3年連続U19 全日本優勝のパーフェクトスコアを残し、成人のカテゴリーに昇格するや2018世界選手権でジョージアのパワーファイターと対戦、その後2023ヨーロッパ選手権優勝、2023世界選手権準優勝、2024ユーラシアンカップではロシア代表と鎬を削り3位と、国際大会で活躍しながら、全日本では決勝進出の経験のない曽山遼太(25歳)には、一度はエベレスト(世界の頂点)より美しい富士山(日本の頂点)からの眺めを味わってほしいところ。



