MMA
インタビュー

堀口恭司が「ジャパントップチーム」について言及。朝倉兄弟の改革の可能性と「難しい」(堀口)理由は──

2023/10/24 15:10
 2024年1月21日(日)に『TOP BRIGHTS』(群馬県オープンハウスアリーナ太田)の旗揚げ大会を開催する堀口恭司(アメリカントップチーム)が24日、オンライン会見。朝倉未来が起ち上げた「ジャパントップチーム」について言及した。  現在、アメリカントップチーム(ATT)には、日本から牛久絢太郎が加入し、9月の『RIZIN.44』で萩原京平に判定勝ち。金太郎も合流するなど日本人選手の参加が増えてきている。DEEP二階級制覇王者の元谷友貴もATT入りし、11月11日の『DEEP 116 IMPACT』でのCORO戦に向け、ファイトキャンプを行っている。  その元谷が対戦するCOROは現在、妻の伊澤星花とともに、朝倉未来が所属する「ジャパントップチーム」(旧トライフォース赤坂)に合流し、出稽古に臨んでいる。  朝倉はジャパントップチーム(JTT)について、「海外のメガジムのような環境を作ることに決めた。UFC選手を教えているレスリングコーチや打撃コーチを招聘し、日本の中でも組み技のトップクラスのコーチをここに呼ぶことが決定した」とし、BRAVEの宮田和幸代表、UNITED GYM TOKYOの中村K太郎代表らが指導と練習を行うことを発表していた。  その7年前の2016年から、練習環境を考慮した結果、KRAZY BEEからアメリカントップチームに移籍し、単身フロリダに渡っている堀口は、朝倉の「ジャパントップチーム」のネーミングについては「まあ別にいいのかな、と思います」としながらも、「自分が作りたかったという気持ちは?」と問われ、「いやあーなんか……もちろん日本でジムやりたいなとかはありますけど、あんまりやったところで経営がうまくいかないと思う。もちろん強い選手を、日本人を勝たせたいという思いはありますけど、現実的に考えて(日本でメガジムは)難しいなと思います」と語った(※26日の会見では「ジャパントップチームと謳ったからには、一番いい設備を整えないとダメなんじゃないですかね」とも語っている)。  堀口が言う「経営が難しい」のなかには、MMAのメッカが米国にあることと、その市場ゆえにメガジムが成立している背景が含まれている。  アメリカントップチームでいえば、不動産で巨万の富を築いたオーナーが存在し、同じフロリダのキルクリフFCも、医療組織をバックにエナジードリンクとCBDドリンク会社がジムの命名権を獲得するなど、ジムに大きな資金が入っている。  その資金をもとに、最先端のスポーツ科学が導入されたトレーニング施設を揃え、プロ指導に特化した各分野のコーチと、それをまとめるヘッドコーチが在籍している。その人材も巨大な市場のなかで淘汰され、担当選手たちの勝敗が収入に直結することで、責任とモチベーションが発生している。  そういった人材と技術のアップデートが、本場トップチームであるがゆえに、潤沢に集まり機能しているのも事実だ。  米国ATT内でジャパントップチームを作りつつある堀口は、「自分はジム経営よりは、アメリカントップチームでコーチしたりとかは将来的にあるかもしれないですね」と、語るにとどめている。  それでも朝倉チームが、日本国内で資金を集め、JTTを起ち上げることには意味がある。エリー・ケーリッシュのように日本での仕事にモチベーションを持って指導する海外コーチを招聘し、きめ細やかな技術を持つ日本のMMAの知の集積により、できる環境のなかで世界に対抗していくことは、とくに軽量級においては練習相手も多くチャンスがあると思われる。そして決して資金が潤沢ではない国や地域でも、チームとしての工夫によって強さを得ている選手は少なくない。  そのチームを腰かけではなく、継続的にどのように機能させていくか。 [nextpage] シバターはJBTと揶揄するが──  シバターは23日のYouTubeで、いつもの毒舌で「朝倉未来がケラモフに負けたのとかも踏まえて、大規模なジムの改革というか練習環境の改善みたいなものは必要だなと感じたんだろうね。まずは名前から『ジャパントップチーム』と変えていこうと。でも負け越しもいいところ。この結果を持って『我々、ジャパントップチームに改名します』はダサすぎんだろと。“ジャパンボトムチーム”だよ、現状。その結果がついて来てなさすぎる」と揶揄しながらも、その内容について厳しい指摘もしている。 「色々改革をするんだよね。いろんなジャンルのプロを呼んで。『ジャパントップチーム』は日本最強の選手を作る環境になるんだってことなんだけど、ズレてんだよな。寝技の練習するんだったらさ、もうロータス世田谷が一番良くない? 絶対。寝技で日本で一番技術がある人たちが集まっていて、あの一番選手層が厚くてちゃんと密度の濃い練習できてんのはロータス世田谷だと思う。(JTTが)やろうとしていることも、どこのジムだってやってるよ。和術慧舟會だってパラエストラだって。レスリングはレスリングの専門家が、柔術は柔術の専門家がコーチングしてくれるって、日本のどこのジムでもやってるからね。それを今更、あのジャパントップチームではそういうコーチを採用しますみたいに言うのはズレている」と、狭い地域の日本の出稽古文化のなかにもトップチームはある、と主張した。  シバターが言う環境が、実際にジャパントップチームでは今後、どう変化していくか。それは、周囲が想像するより大きな変化になる可能性も秘めている。何より、朝倉チームがYouTubeやそのほかの事業で得た資金を格闘技に投資していくことは、日本格闘技にとって、プラスの方が大きいはずだ。  堀口は米国を拠点に、日本の『TOP BRIGHTS』でも若手を育成し、海外の未知強を招聘し、クオリティの高いMMAを日本のMMAに持ち込もうとしている。そして、朝倉兄弟も新たな試みで、日本でも強くなる環境を作ろうとしている。それぞれの今後の動向に注目だ。
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