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インタビュー

【UFC】UFCデビュー戦に臨むパトリシオ・ピットブル「噛まれたら倍にして噛み返す──それが俺の戦い方だ」=4月13日(日)『UFC 314』で5位ヤイール・ロドリゲスと対戦

2025/04/11 14:04
 2025年4月12日(日本時間13日朝7時)、米国フロリダ州マイアミのカセヤ・センターにて『UFC 314: Volkanovski vs. Lopes 速報』(U-NEXT配信)が開催される。  同大会のメインカード第3試合で、Bellator世界二階級制覇王者のパトリシオ・ピットブル・フレイレ(ブラジル)がオクタゴン初戦を迎える。  PFLでの試合、日本での大晦日の試合が決まらないなか、リリースを求めたパトリシオは、2024年3月のBellatorのジェレミー・ケネディ戦の3R TKO勝ち以来、1年1カ月ぶりにケージのなかに戻る。UFCでも対戦を断られるなか、フェザー級5位のヤイール・ロドリゲス(メキシコ)が、世界戦と同じ日にパトリシオと戦うことを望んだ。  勝者が、アレクサンダー・ヴォルカノフスキーvs.ディエゴ・ロペスの王座戦の勝者に挑戦するかもしれないフェザー級戦。パトリシオ・ピットブルの本誌&U-NEXT個別インタビューと、会見の言葉も併せて紹介したい。 ヤイールとの一番の違いはバイオレンス。練習では3人のパートナーを招聘した ──パトリシオ・"ピットブル"・フレイレ選手です。あなたはBellatorで大きな成功を収めていたにも関わらず、UFCで戦おうと思ったのはどのような理由からでしたか。 「UFCはこの競技の中で一番大きくて、一番伝統のある団体だ。俺のキャリアの棚にまだ飾れてない唯一のトロフィー、それがUFCだ。だから、そこを獲りに行く為だ」 ──パトリシオ選手にとってUFCとは? 「言っただろ、俺の人生をかけてきたこの格闘技の世界で、UFCは最高の舞台だ。だからこそ、俺にはその場所で戦う資格があるし、そこに立たなきゃならない」 ──Bellatorで戦っていた間も、UFCでもチャンピオンになれる自信はありましたか。 「もちろん。自分がUFCでも王者になれるっていう自信はずっとあったし、誰とでも戦う覚悟もあった。俺は自分が世界一だと信じてる。だから相手を選ばず、誰が来ても戦うつもりでいる。UFCでも、いつでも誰でも試合ができる」 ──UFCでの目標は? 「ベルト。もちろん、それだけだ」 ──3月にUFC参戦の話があり、対戦相手がわからないまま試合の準備を進めていたかと思います。今回の試合に向けてキャンプは2度行ったことになるのでしょうか。 「いや、キャンプは1度で済ませる事ができた。12週間と少し長いけど、素晴らしいキャンプができたんだ。身体も強く仕上がってるし、ケガもちゃんと管理できてる。万全の状態だ」 ──他団体の強豪がUFCに来ても、初戦でなかなか本領を発揮できないという意味の”UFC Jitter”という言葉もありますが、自信はありますか? 「もちろんきちんとパフォーマンスができる自信はある。未来のことは誰にもわからないけど、俺は“やられたらやり返す”って本能を失ったことはない。噛まれたら倍にして噛み返す──それが俺の戦い方。それは絶対に変わらない」 ──そんななか、今回フェザー級ランカーのヤイール・ロドリゲスとの試合のオファーが来た時、どう思いましたか? 「最高だったな。ヤイールはその階級でトップ5にいる選手だし、その日にはフェザー級でタイトルマッチもある(アレクサンダー・ヴォルカノフスキーvs.ディエゴ・ロペス)。この階級でのデビューとして、タイミングも相手も完璧だったよ。ここで勝てばタイトルショットに近づくから」 ──ヤイールという選手に対する印象は? 「ダイナミックなファイターだよな。背が高くて、距離をとって蹴りを多用してくる。でも俺はそれを詰めてぶち壊しに行くよ。俺の戦いを見せてやる」 ──ヤイールはサウスポーでテコンドーベースの変則的なスタイルも持ちます。それに合わせたスパーリングパートナーは用意しましたか? 「ああ、3人のパートナーを呼んだんだ。全員ヤイールと同じくらいの身長で、スタイルも似てる。1人はブラジル北東部、1人は北部のベレン、もう1人はダゲスタン出身だ。いろんなスタイルを持った連中で、ヤイールを完璧に再現できたよ」 ──ヤイールとの試合で、ご自身のどこが勝っていると思いますか? 「一番の違いは、“バイオレンスさ”だ。俺の方がヤツより、はるかにバイオレンスなんだよ。レベルが違う。俺がKOするか、フルラウンド、一方的に攻め続ける」 ──今回も兄のパトリッキーがセコンドにつくのでしょうか。 「あぁ、もちろんだよ。自分の試合にはいつもつくし、彼の試合には自分がつく。それがこれまでずっとやってきたことだ」 ──さきほど話された通り、今回のメインイベントは同階級のヴォルカノフスキーvs.ロペスですが、どう予想しますか? 「ロペスは今、波に乗ってる。でもヴォルカノフスキーは絶対に侮れない。最初のラウンドがどうなるかで流れが決まるだろうな。どっちに転んでもおかしくないと思っている」 ──ところで、柔術家のマスター・フランシスコ・マンスールがあなたのジムで指導したようですね。UFC参戦前にグレイシーの帯を巻く彼との時間は、どんな刺激がありましたか? 「ああ、親子で来てくれたんだ。フランシスコはエリオ・グレイシーから赤帯を授与された、世界でも最高位の柔術家だ。グレイシー一族以外ではたった6人しかいないうちの1人さ。俺の師匠の師匠、いわば格闘技界の“祖父”みたいな存在だ。彼が俺たちのやり方を認めてくれて自信にもなったし、ゲームプランや自分の道が間違ってないって確信したね」 ──最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。 「オブリガード、日本! いつも応援してくれてありがとう。俺の試合、ずっと支えてくれて感謝してる。これからもみんなの応援を頼りにしているよ! ぜひ、U-NEXTで俺の試合を観てくれ! 日本!愛してるぜ。マイアミで会おう!」 ──ところで以前、日本では鈴木千裕選手とも戦いましたが、また彼と戦いたいという思いもありますか。 「今はUFCで自分の階級で戦う事に集中してるけど、挑戦はいつでも歓迎だ!」 [nextpage] パトリシオ「ヤイール戦用に空手のトレーニングを再開した」(会見) ――UFCのファイトキットを着てメディアデイに登場されました。今週のファイトウィーク、特に初めてUFCのショーツを着た感想を教えてください。 「俺のキャリアの中で、この瞬間をずっと待ってた。だから今、すごく嬉しいよ」 ――ここまで、想像していた通りの展開ですか? もちろん試合がメインですが、記者会見やメディアデイなど、それ以外の部分については、これまでのBellatorでのキャリアと比べていかがですか。 「Bellatorでも良い経験をしてきたし、日本のRIZINも大きな舞台だった。でも、UFCにいるっていうのはやっぱり特別だよ」 ――対戦相手のヤイール・ロドリゲスはダイナミックなファイターです。どんな準備をしてきましたか。彼がこれまでの相手と違う点は? 「今回のキャンプで一番大きな変化は、空手のトレーニングを再開したことだ。俺にはエリカ・サントス(※Karate Combat参戦中)っていう、ブラジルでも有名な空手の指導者がいてね。彼女と一緒に、ヤイールのスタイルに特化したトレーニングを積んできたよ。彼のダイナミックな動きや独特なスタイルに対して、しっかり準備してきた」 ――マイケル・ビスピンが「パトリシオはこれまでに蓄積されたダメージが心配」とコメントしていました。それについてどう思いますか? 「マイケル・ビスピンは格闘技をよく理解してる人物だし、彼の意見には敬意を持ってる。でも、俺自身はキャリアの中でそれほど大きなダメージを受けてきてない。ノックアウトされたのは一度だけ(※2023年の『超RIZIN』に70kg契約で緊急参戦。鈴木千裕に1R TKO負け)。それも試合も含めて、ジムのスパーリングでもだ。身体のケアには常に力を入れてきたし、フィジカルの維持にも取り組んできたからな」 ――アーロン・ピコがUFCと契約したというニュースが出ました。かつて対戦の噂もあった彼の参戦について、どう感じていますか? 「去年、日本で彼と戦う予定だったけど、それは実現しなかった。だから、今回のニュースはすごく楽しみだよ。あの試合を実現させたいと思ってる。彼は素晴らしい選手だし、どちらがBellator最強だったか、はっきりさせたいね」 ――ファンの間では「2人ともUFCに来ないと試合が実現しないなんて面白い」と言われています。Bellatorでは長年できなかったのに、UFCに来た途端に期待されるという状況について、どう思いますか? 「正直、なんであの試合が実現しなかったのか、俺にもわからない。ピコがタイトル戦線に絡めなかったってのはあるかもしれないけど、あの試合は普通に成立してたはずなんだ。UFCでこの試合を実現させたい。ピコにとっては、ちょっと冷や水を浴びせる形になるかもしれないけどね」 ――ケイラ・ハリソンやMVP(マイケル・ヴェノム・ペイジ)のように、他団体からUFCに来た選手たちは「ファンに知られているか不安だった」と言っていました。あなた自身は、ファンの反応に驚いたりしましたか? 「俺自身、そこまで気にしてなかった。試合に集中してるからね。ただ、格闘技を追いかけてるファンたちにはちゃんと認識されてると感じてるし、UFCっていう舞台は他の団体に比べて注目度も高いから、より多くの人が俺のことを知ってくれてるのは嬉しいよ」 ――Bellator時代は、ブラジルで試合をしたいと言っていましたが、実現しませんでした。UFCは年に一度か二度ブラジル大会を開催しますが、UFCとはその点について話しましたか? 「俺としては、UFCブラジル大会で試合をしたいっていう気持ちは強く持ってる。これまで一度も叶わなかったけど、今なら可能性がある。UFCとはまだその話はしていないけど、俺はいつでも準備できてるよ」 ――最後にもう一つ。何年か前にヴォルカノフスキーが100万ドルの賭けの話をしていましたが、それについて最近話しましたか? 「先月ラスベガスでの記者会見のときに、俺のほうから彼に声をかけて『まだその賭け、生きてるのか?』って聞いたら『まだ有効だ』って言ってたよ」 ――PFLがBellatorを買収したとき、あなたは試合が組まれないことに不満を持っていました。もし違う状況だったら、今でもBellatorに残っていたと思いますか?それとも、UFCに来るのは元から夢だったんですか? 「俺はずっとUFCに来たいと思ってた。ただ、現実的にチャンスがなかった。でも、Bellatorにいた間は、契約通りにすべてが進んでいたし、チャンピオンとして契約が延長されていた。それが自分の責任だったから、俺はそれを守ってきた。俺にとって一番大事なのは、自分の言葉と名誉だ。でも、PFLが買収してからは、自分が求めている形で契約が尊重されていないと感じたんだ。だから、これはチャンスだと思って動いた。でも、俺は彼らの成功を願ってる。格闘技界が生き残るためには、他の団体も必要だからな」 ――今UFCに来て、いろんな可能性が広がっていると思いますが、同じブラジルのレジェンド、ジョゼ・アルドとの試合の話も出ていますね。彼は今バンタム級ですが、あなたにとって興味あるカードですか? 「アルドは長い間チャンピオンとして戦ってきた。俺もそうだ。彼はUFCで、俺は別の団体で。今は同じ舞台にいるから、ブラジルでその試合をやるのも面白いかもしれない。俺の希望というわけではないけど、UFCがその試合を提案してくれるなら、俺は喜んで受けるよ」 ――マイケル・チャンドラーがさきほど「あなたに謝った」と話していましたが、どういう内容だったんですか? 「ああ、さっき話しかけてきて、『あのときはちょっと言い過ぎた、いろいろ辛い時期だった』と言ってきたんだ。俺の兄貴と戦った後に、感情的になってたみたいだな。でも、彼のほうから謝ってきたし、俺はその謝罪を受け入れたよ。男として、そういう姿勢には敬意を持ってる」 ――パディ・ピンブレットがUFC PIであなたに連絡を取ったそうですね? 「ああ、ベガスで連絡をくれて、PIでいろいろ見たりした。でもお互いスケジュールが合わなかったから、そこまで深く絡めなかった。彼はチャンドラー戦に向けて、俺の助けを求めてくれたんだ」
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