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インタビュー

【UFC】堀口恭司がUFC復帰間近か「すごくいい方向に進んでいる」──米報道ではフライ級11位のウランベコフと対戦の可能性も

2025/03/21 19:03
 現RIZINフライ級王者の堀口恭司(アメリカン・トップチーム)のUFC復帰が具体的に動いている。  2013年10月にUFCデビューした堀口は、4連勝で当時の王者デメトリアス・ジョンソンと対戦。5R残り1分で腕十字で敗れ、UFCフライ級王座戴冠ならず。しかしその後も3連勝。2016年11月にアリ・バガウティノフに判定勝ち後、当時のUFCフライ級戦線縮小に伴い、オクタゴンを離れ、2017年4月からRIZINに参戦していた。  この間、20試合を戦い、RIZINとBellatorでバンタム級王座を戴冠。現在5連勝中でフライ級のベルトも巻いているが、本誌の取材に堀口は、RIZINとは単発契約に移行していること、大晦日のエンカジムーロ・ズールー戦がRIZINでの最後の試合になる可能性を示唆していた。 (C)RIZIN FF  そんななか、米国の『MMA FIGHTING』記者でもあるアリエル・ヘルワニが21日の配信で、堀口恭司が6月のUFCアゼルバイジャン大会で復帰する可能性があること、対戦相手がフライ級11位のタギル・ウランベコフ(ロシア・16勝2敗)になることなどを語っている。同大会では、3月に負傷欠場したダン・フッカーの代役としてジャスティン・ゲイジーと激闘を繰り広げたばかりのラファエル・フィジエフ(アゼルバイジャン)の出場も検討されているという。  番組でヘルニワは、「日本が誇る人気者の堀口恭司は、多くのファイターが高く評価するファイターだ。アメリカン・トップチームでは、彼を“完璧なチームメイト、プロフェッショナルな友人”と呼んでいる。アゼルバイジャン大会でウランベコフ戦の可能性はあるが、今はとても流動的だ。カタール大会でこのカードが組まれるという話もあったからそこに戻るかもしれない」と中東での大会か、アゼルバイジャンでの復帰戦が検討されているといい、現UFC世界フライ級王者アレッシャンドリ・パントージャを擁するATT内でも、堀口のUFC復帰は望まれていることを語る。 (C)rinyaman 「堀口がUFCフライ級に戻ったら、それはとてつもなく素晴らしいことだ。その階級には同門でメインのトレーニングパートナーでもあるアレッシャンドリ・パントージャがいる。彼らはライバルだが、これまでもそのこと(対戦する可能性)をオープンに話してきたし、彼らの関係において潜在的な問題になることはなかったと思う。巨大なジムだからね。トレーニングパートナーもコーチもたくさんいる。彼らは通常、それ(同門対決)をうまく機能させる方法を見つけることができる。ともあれ、堀口はUFC復帰に向けて動いている。彼らがそれを成し遂げることを期待しよう」(ヘルニワ)  本誌の取材でも、堀口がUFC復帰に具体的に近づいており、RIZIN側も常々、そのときのために送り出す準備をしていることが分かっている。正式に移籍決定となれば、堀口はフライ級王座を返上。2025年のフライ級GPは、空位の王座を賭けて、世界の強豪16人を集めて行われることになる。 [nextpage] このジムは「キラールーム」なんだ(パントージャ) (C)GONG KAKUTOGI  堀口については、2024年12月にラスベガスで朝倉海に一本勝ちしたパントージャが本誌の取材に、試合前に堀口のサポートが大きかったこと、そしてATT同門対決が実現するなら快く受けることを語っている。 「恭司と話したときにこう伝えたんだ。『もし君がUFCに来てタイトルをかけて試合がしたいなら、僕は君の友達だけど喜んで受けるよ。ベルトをかけて君と対戦できるのであれば光栄だ』と。彼のことが大好きさ」と、オクタゴン復帰の際には、王者として挑戦者・堀口を迎え撃つ用意があるとした。  ATTでは同門のタイトルマッチは織り込み済み。これまでもそうしてきた通り、もし同門対決となったら、コーチとチームを分けて、タイトルマッチに臨むことになる。それまでは、互いに切磋琢磨する練習仲間だ。 「このジムは“キラールーム”なんだ。試合に向けて、アドリアーノ・モラエスと練習する機会があった。アドリアーノは僕を1Rで2回フィニッシュさせることができる。彼はONE日本大会で再びベルトを手に入れるつもりだ(※3月23日・若松佑弥との王座決定戦)。僕はジム内でアドリアーノに勝って、ホリグチを“殺す”必要がある。それが今の僕の目標で、もっと良くなる必要がある。ジムには優秀な選手がたくさんいて、僕のコーチであるマルコス・パルンピーニャは世界最高のコーチだ」と、堀口につくマイク・ブラウン同様に、チームをまとめるパルンピーニャとともに、ATT内での同階級のライバルたちとも試合を行う覚悟を示している。  その前に、堀口はUFCで難関を潜り抜ける必要があるか。 (C)GONG KAKUTOGI  今回、対戦相手候補として名前が挙がったダゲスタン出身33歳のウランベコフは、ハビブ・ヌルマゴメドフのイーグルスMMA/AKAで練習。2020年10月にUFCに初参戦するとブルーノ・シウバに判定勝ち。22年11月にネイト・マネスをギロチンチョークで下すと、23年12月にコーディ・ダーデンにもリアネイキッドチョークで一本勝ち。2025年1月にキャリア8戦全勝だったクレイトン・カーペンターに判定勝ちで現在、UFC3連勝中(UFC5勝1敗)の強豪だ。  実は、昨年末の本誌の取材でUFCランカーを語っていた堀口は、ウランベコフを高く評価していた。  身長170cmでリーチ178cm、幼少時からレスリングを学び、2014年の世界コンバットサンボ選手権で57kg優勝。オーソから懐の深い打撃と四つ組みからの強いテイクダウンを武器に、ギロチンチョークなど9つの一本勝ちを誇る。フライ級ランカー内で対戦を嫌がられる選手の一人で、近年MMAグラップリングの比率を増やしている堀口にとって厄介な相手となるが、ATTのジョスエ・フォルミーガが2024年10月にウランベコフとのグラップリングマッチで勝利しており、堀口のウランベコフ対策の力となるだろう。 (C)GONG KAKUTOGI  本誌『ゴング格闘技』3月号(NO.336)でのロングインタビューで堀口は、UFCの返答について「すごくいい方向に進んでいると思っているので、海くんが行ったことによって日本の中でもすごくペイパービューが売れて、UFC内でも日本がマーケットとして視野に入ったという、開きかけた扉を開けて、自分がチャンスを掴みたいなとは思っています」と、展望を語り、戦いたい相手を問われ、「チャンピオンになりたいんで、今はパントージャしかいないですよね」と、きっぱりと語っている。  また、報道を受けた21日のYouTubeでは、「UFCと今交渉していて、榊原(信行CEO)さんもそのことを知っていて応援してくれてて、いい流れできてますが、まだわからないので、皆様にいい報告ができたらいいなと思っています。(RIZIN香川大会に来場の可能性は)そうですね。元谷(友貴)さんが『セコンドについて』っていうのも言ってたし、もしかしたら行くかもしれないっていう感じです」と答え、進展次第では日本のファンの前で「いい報告」をする可能性も出て来た。  現在、UFCフライ級には、平良達郎(5位)、朝倉海、鶴屋怜の3人の日本人選手が参戦中で、元RIZINとしては、マネル・ケイプ(6位)、ラマザン・ テミロフ(13位)がランキング入りしている。UFC日本大会の機運も高まるなか、果たして、堀口恭司の悲願はかなうか。 [nextpage] UFCフライ級ランキングと今後の試合(2025年3月21日付) (C)Zuffa LLC/UFC 王者 アレシャンドリ・パントージャ(ロイバルに判定勝ち。12.7 朝倉海に2R 一本勝ち)1 ブランドン・ ロイバル(10.12 平良にスプリット判定勝ち、3.1 ケイプ戦を負傷欠場)2 ブランドン・ モレノ(11.2 アルバジに判定勝ち、3.29 エルセグと対戦)3 アミル・ アルバジ(11.2 モレノに判定負け)4 カイ・カラ・フランス(8.17 エルセグに1R TKO勝ち)5 平良達郎(10.12 ロイバルにスプリット判定負け)6 マネル・ケイプ(7.27 モカエフに判定負け後、12.14 シウバに3R TKO勝ち、3.1 アルマバイエフに3R TKO勝ち)7 アレックス・ ペレス(6.15 平良に2R TKO負け)8 スティーブ・エルセグ(8.17 カラフランスに1R TKO負け、3.29 モレノと対戦)9 アスー・ アルマバイエフ(10.19 マテウス・ニコラウに判定勝ち、3.1 ケイプにTKO負け)10 ティム・エリオット(2023.12.9 スムダルジに肩固めで一本勝ち)11 タギル・ウランベコフ(2023.12.9 ダーデンにRNCで一本勝ち、1.18 クレイトン・カーパンターに判定勝ち)12 ブルーノ・シウバ(7.20 ダーデンに2R TKO勝ち、12.14 ケイプに3R TKO負け、3.8 ヴァン戦を欠場)13 ラマザン・テミロフ(3.1 ジョンソンに判定勝ち)14 チャールズ・ジョンソン(10.19 スムダルジに判定勝ち、3.1 テミロフに判定負け)15 ジョシュア・ヴァン(12.7 ダーデンに判定勝ち、3.8 鶴屋怜に判定勝ち)↓ 朝倉海(12.7 パントージャに2R RNC一本負け)※前回更新時 14位
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