2025年3月23日(日)さいたまスーパーアリーナ『ONE 172: TAKERU vs. RODTANG』(U-NEXTで独占PPVライブ配信)に出場する選手の個別インタビューが、19日(水)都内にて行われた。
第6試合のONEライト級(77.1kg)5分3Rでエドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)と対戦する青木真也(日本)が出席。
フォラヤンとは過去3度戦い、青木の2勝1敗。4度目の対決を前に「何もないところから4回も引っ張ったのはよくやったと思います」との感想。
4度目となるとお互いの手の内を知っているのでやりにくいのでは、と聞かれると「そんなのどうでもいい。勝った負けたが全てのことではやってないから」とする。
「僕はフォラヤンに対して思い入れがあって、彼もそれを酌んで試合をしてくれて。その中でフォラヤンが日本で拍手で迎えられてほしいと思います。気持ちよくやって終わりたいです」
自分に対して希望するものは、との問いには「ないない。僕が起こしたことを皆さんで勝手に介錯してやっていだければ」とした。
前日にはプロレスの興行に出場し、「MMAの試合5日前にプロレスの試合に出たのは初めてかもしれない」と言い、「楽しいんだよね。みんな滑った転んだ、勝った負けたでやってるじゃん。バカらしくない? やれvs.世界とかバカらしい。俺は俺で表現やってて、エドゥアルド・フォラヤンと15分間で自分の想いも彼の想いも、2人でしか作れないものも。で、僕のこれからも表現したいですね。15分しか尺がないから。その尺の中で自分に後悔ないものを作りたいですよね」と、他の選手たちとは目的が違うという。
今回の試合前にも関わらずプロレスにも出たのは「正直、やらないと生きていけない。格闘技だけやってられない。つまらなくて。面白くなくて。DEEPの佐伯繁がいいことを言っていて。なんでDEEPにRIZINに出ていたある程度の選手が出るのって聞いたの。ギャラも下がって、そんなのやる必要ないじゃんって。そうしたら『みんな場所が欲しいんだ』と。お前もプロレスがなかったら、表現する場がなくて自己承認欲求が抑えきれずにおかしくなるだろ、と言われたんですよ。それと一緒で、自分が何か表現したい、出したいって欲求が抑えきれないから無理だ、やらないと生きていけないですね。表現しないと生きていけない。だから、ONEで年に1回、くれるかくれないかの仕事を待ち続けていられないですよ」との理由を話す。
MMAもまだまだ続けていくと会見で宣言し、それへ向けてこの試合で判断したいことがあるのかとの質問には「それすらもないかな。好きでやっているだけなので。また身体が動いて気持ちがやりたくなったらやる。やりたくなければやらないし」と、先のことは分からないとした。
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必要とされるために合わせる気はない
この試合でONEに一区切りをつけるとの気持ちは変わらないのかと聞かれると「変わりないです。変わりないし、マッチメイクと場所を見てあまり必要とされてないことを重々承知しているんですよ。いらないと言ってもいいし、それも分かっている。それも踏まえたうえで自分がやりたいことをやっていく。必要とされるために合わせる気はないですね」と、自分がどう思われているかは分かっているが、合わせる必要はないとする。
青木真也の試合を見たいと言っているファンに向けてはどういう気持ちで戦うのか、と問われると「今回、自分の気持ち、自分が今置かれている状態をどう表現するかと考えた時に、入場曲を変えてやろうと思ったんですね。そうしたら青木真也じゃないわけでしょ。それはONEに対する最大のシュートだと思ったんですよね。でもそれは結局、俺なのか、俺とONEなのか、俺とチャトリの確執でしかなくて、お互いのぎくしゃくでしかない。客に関係ない話だから。客はさいたまスーパーアリーナで青木真也が『バカサバイバー』で入場して来るのを待っているからそれを全うするだけですね。ちゃんと仕事はする」と、入場曲を変えてスカしてやろうとの考えもあったが、ファンのことを考えて思いとどまったと打ち明ける。
「15分試合で表現する。それくらいしかないかな。ちゃんとやってちゃんと帰りますよ」と、仕事はきっちりとやり遂げるとした。
長くONEで戦ってきて人間的に変化はあるかとの質問には、「正確には2003年からMMAやっているんですけれど、プロ格闘技は2006年からなんですよ。2006年から自分の名前と格闘技で仕事してるけれど、みんな『やりきった』って言うじゃん。やりきってない。やりきったって領域までやれた人は何人いるのって首を傾げるところがある。やり切ったと言えるところまで触れていて、それによって成熟、見えなかったものが見えたのはあるんじゃないですかね。みんな、勝ち負けから逃げたって思っているんじゃないですか。それで表現とか言い始めたって。でも俺は20年も勝った負けた滑ったってやってきての今だから。誰に言ってるんだろうと思います。分からないでしょう。言っても分からないから、言うけれど同意してくれとは思わないです」と話した。
「プロレスも格闘技も文章もネットもYouTubeも全部一緒。俺が一番一生懸命やってるんじゃないですか。みんな格闘技を一生懸命にやっていると言うけれど、全部含めて俺が一生懸命に一番生きてるんじゃないですかね」
試合へ向けて、自分のファンにどういうところを見て欲しいかと問われると「みんなずっと青木真也に思い入れがあって、みんな僕が入場して試合をしたら喜んでくれると思う。青木真也の試合が見たくて切符を買って観に来てくれる客しか相手にしてないから。そこに対していいパフォーマンスをやる。八百屋と一緒で、自分の物を作って自分の物を買ってもらって商売しているから。買ってくれる人にありがとうと言っているだけなんだよ。常連の人を大事にしているだけなので、通りすがりで騒いでいるファンとか再生回数だけ上げていくヤツは迷惑なんだよ(笑)。俺はそういう競争から抜け出したくて表現やっているんですよ」との考えを話した。
今後、またMMAをやるとしたら自分が表現できる相手であり、場であったらやるつもりかと聞かれると「やりたい。やりたいですよ、やっぱり。言ってもやっぱり楽しいので。この1カ月半、練習して楽しかったですね。だから場所が整えばやりたいですよ。これからは自分の趣味でやりたいです。場所と相手が整って意味があるならやりたい」とした。