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2025年2月8日(日本時間9日)の『UFC 312: Du Plessis vs. Strickland 2』(U-NEXT配信)のメインイベントにて、ミドル級王者ドリカス・デュ・プレシ(南アフリカ)に、同級1位のショーン・ストリックランド(米国)が挑戦する。両者は2024年1月以来の再戦となる。前回はデュ・プレシがスプリット判定で勝利している。
▼UFC世界ミドル級選手権試合 5分5R
ドリカス・デュ・プレシ(南アフリカ)22勝2敗(UFC8勝0敗)※UFC8連勝中 185lbs/83.91kg
ショーン・ストリックランド(米国)29勝6敗(UFC16勝6敗)185lbs/83.91kg
デュ・プレシはキャリア22勝でUFC8戦全勝。フィニュシュが20勝(9KO・11一本)と高い決定率を誇る。2024年8月の前戦では、元王者のイズラエル・アデサニヤを4R リアネイキドチョークに極めて一本勝ち、初防衛戦に成功している。
今回対戦するストリックランドとは2024年1月に5Rの王座戦で対戦し、挑戦者だったデュ・プレシが接戦を制し、南アフリカ初のUFC世界王者に輝いている。
その後、ストリックランドは2024年6月にタイトル戦経験者で当時7位のパウロ・コスタと対戦。圧力をかけてコスタを左に回らせ続けてスプリット判定勝ち。王座挑戦をモノにした。デュ・プレシのV2成功なるか、それともストリックランドが王座に返り咲くか。
同級では、2025年2月1日にナッソーディン・イマボフ(フランス)が、元同級王者イズラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)を2R TKOに下して2位に。また、2024年10月にロバート・ウィテカーを1Rチョークで下したハムザト・チマエフが3位に。イマボフに敗れたアデサニヤが4位につけている。
新王者の首を狙う者が順番待ちのなか、ベルトを巻くのは? 大会を配信するU-NEXTから現地インタビューが届いた。
デュ・プレシ「ずっとこの再戦を望んでいた。『前回の勝利は運でもなんでもない』ってことを証明したい」
──今日着ているTシャツ(「TRUMP PREFERS CHAMPIONS」(=トランプは王者を好む))についてコメントはありますか?
「そうだな。まず、トランプが再選されたことはすごいことだと思うし、俺は彼を素晴らしい大統領だと思ってる。で、俺も王者だし、トランプは『“王者”をチームに迎えたい』と言っていた。彼がXで発信していてね。南アフリカ出身のイーロン・マスクにも敬意を表したい。彼も正しいことをやっている。トランプは“王者”を好むんだ」
──前回のショーン・ストリックランド(ミドル級1位)との試合は僅差(判定2-1 ※48-47×2, 47-48)だったと言われていますが、同じ戦い方をすればまた勝てると思いますか? それともまだ上積みが必要だと思いますか?
「前の試合で勝つためにやるべきことはやったと思ってる。でも相手も今回、さらに良くなるために仕上げてくるだろうし、俺も同じように成長しなきゃいけない。大きく何か変えるというよりは、今までやってきたことをもっと高いレベルでやる必要があるって感じだ。あれから1年あったから、その間にすごく成長もできたしね。細かな動きを洗練したり、さらにフィジカルを上げたり。パワー面は十分あると思ってるけど、正確性とか落ち着きとか、そういう部分は確実にレベルアップできた。
これが2度目のUFCタイトルマッチだから、5ラウンドをしっかり戦い抜く経験値もある。もちろん、“前回と同じ相手だ”と思い込むのはよくない。あいつも対策を変えてくるだろうし、こっちもヤツがどんなファイターか分かってる。ショーンのチームにはすごく優秀なエリック(ニックシック)ってコーチがいて、作戦を立てるのがうまい。でも、うちのコーチ陣も負けてない。結局、お互いがさらに磨きをかけた状態でぶつかる試合になると思う」
──ストリックランドはパンチをショルダーロールでいなしたり、前蹴りで距離を取ってきたり、独特な打撃のスタイルを持っています。2度目の対戦になるのは、向こうのスタイルに慣れるという点で少し有利でしょうか?
「その可能性もあるけど、逆に“こういう相手だろう”と決めつけすぎて、違うスタイルで来られたら対応しづらいってリスクもある。だから、“2度目だから同じ感じだ”と思うのはナメてるのと同じで、今回も世界最高のショーンが来ると思っているし、俺はいつも“世界最高の相手が来る”って想定で戦う。実際、イズラエル・アデサニヤと戦ったときもそうだった。アデサニヤが絶好調で来てる中で勝ったからね。今回も最高のストリックランドを相手に勝ちたい。あいつのスタイルがどうこうというより、こっちが自分のやるべきことをしっかりやって、世界最高の自分を出す。それが王者としての戦い方だと思う。どっちの“ベスト”が本当に上か、それを見せたい」
──あなたのファイトスタイルについて、イズラエル・アデサニヤやロバート・ウィテカー(ミドル級5位)は“醜い戦い方”と評していたり(※「下手なのにすごく強い」と証言)、デイナ・ホワイトは「白人が踊るようだ」と表現していました。どう受け止めていますか?
「見た目がどうであれ、有効ならそれでいいだろ(笑)」
──イスラム・マハチェフ(ライト級王者)がアルマン・ツァルキヤン(ライト級1位)との再戦に際し、「1度目は僅差だったと言われているのが気に入らないから、もう疑いを残さない決着にしたい」と話していました。あなたとショーンの再戦にも、そういう意識はありますか?
「そういう部分は確かにあるし、そうでもない部分もあるって感じだな。というのも、俺のキャリアで判定決着は2回だけなんだけど、どっちの試合結果にも自分としては納得してるんだ。前回の試合は初めて3ラウンドを超えて戦い切った試合だったっていうのもあって、“オクタゴンで世界レベルの相手を相手に5ラウンド戦い抜ける”って自分に証明できた意味が大きかった。
練習ではいくらでも5ラウンドやれるって思ってても、実戦でやるのはまるで別物だからね。一番驚いたのは“スプリット判定(2-1)だった”ってことさ。俺自身はあれがスプリットになるとは思ってなかったし、そこだけがちょっと意外だったんだ。ストリックランドはスプリット判定決着が8試合あるんだ。判定がスプリットというのは“コイントス”みたいなところがあって、何度もスプリットを経験してるといつか不運に当たることもある。今回は運が俺に味方したからこうして再戦が実現してるわけで、結果的にはすごく嬉しいよ。
実はずっとこの再戦を望んでて、ハムザト・チマエフ(ミドル級3位)の話が出るまでは“ストリックランドともう1回やらせてくれ”って言ってたんだ。最終的にこっちの試合が実現して本当によかったと思う。前回の試合で彼が勝ってたと信じてるファンもいるし、俺はそこにケリをつけて、“あれは運でもなんでもない”ってことを証明したい。25分のうち23分は前に出続けて戦ったし、実際に戦いに行ってたのは俺のほうだからな。
俺自身を除いたら、ストリックランドはミドル級のベストファイターだと思うよ。ディフェンスも上手いしタフだし、まともにヒットしても普通の選手みたいにはダメージを感じないタイプだ。いわば”頂点捕食者”(=天敵や捕食者を持たない肉食動物)で、俺にとってもキャリア最大の試合になる。けど俺だって自分を頂点捕食者だと思ってるし、同じエリアにいる2頭が出会ったら、そりゃ暗闇での殺し合いみたいになるだろ。どっちが出てくるか、楽しみでしょうがない。もしまた判定までもつれたって、今度は“俺が世界最強だ”ってはっきり示せる試合になるはずだよ」
──パウロ・コスタ(ミドル級11位)対ショーンの試合では、コスタが普段のように強引な突進をしなかったことに驚く声もありました。ショーンの戦い方がそうさせたのでしょうか?
「そうだね、まさしくその通りだと思う。ショーンは俺が前にも言った通り“いじめっ子”タイプのファイターだ。これは悪い意味じゃなくて、彼は前に出てジャブを打ち込みながら、自分のペースを相手に押しつけるのがうまいんだ。相手は“そんなに強烈な一撃じゃないから平気”と思っているうちに、どんどん下がらされて、気づけばポイントを奪われている。2ラウンドぐらい過ぎてから“ヤバい、負けてるかも”と思っても遅いわけさ。結局、一発に頼るしかなくなって、無理をして崩れたりする。
実際、ショーンはそうやって試合を組み立てて、アデサニヤを倒したし、コスタに対しても同じことをした。コスタがいつもみたいにガンガン前に出られなかったのは、ショーンが自分のやり方でコスタの動きを封じ込めたからだよ。あれを“コスタがうまく戦えなかっただけ”と見るんじゃなくて、ショーンの作戦がハマった結果なんだと思うね」
──前回のパース大会でイズラエル・アデサニヤを倒したあとのことですが、メディア席に向かって「俺に逆張りしてたやつら、ざまあみろ」みたいなことをおっしゃっていました。そういう批判的な意見は普段から気にされているのでしょうか?
「気にしてるってわけじゃないけど、目に入ることはある。暇なときにX見たりして、『へえ、こんなこと言ってるのか』って笑うこともあるし、予想を外した連中をからかったりするのは、ちょっと痛快だろ(笑)」
──カマル・ウスマン(ウェルター級2位)が最近、「アフリカの王は3人でなく、4人だ。ドリカスもそこに含まれる」とコメントしていました。かつてはかなりイズラエル寄りだったと思いますが、それを聞いて嬉しく思われますか?
「もちろんだよ。カマルとかフランシス・ガヌー、それにイズラエル・アデサニヤはUFCの中でも抜群の実績を持つ“アフリカの王”と言われる選手だ。そのグループに自分も認めてもらえたっていうのは、すごく光栄だと思う。世界的に見ても王者になれるのはほんの一握りだし、アフリカ人王者としての価値は大きい。俺自身、南アフリカで生まれ育って、今もそこを拠点にしているから、その誇りを持って闘っているよ」
──ストリックランドが「前の試合で受けた頭突きが流れを変えた」というような発言をしていましたが、どう受け止めていますか?
「試合映像を見れば分かると思うけど、あれは俺の右拳が当たっただけで、頭突きじゃない。彼が“ここで頭突きされた”っていう場面より前に、すでにあいつの目は出血してたんだ。試合中、パンチが当たって出血したことを明確に覚えているんだ。レスリングの展開で頭同士がこすれることはあるけど、あれであの出血が起きたわけじゃない。ちゃんとパンチを当ててたのが現実だよ」