王者になっての第一戦を国際戦、そしてメインで迎える大谷(C)KNOCK OUT
2025年2月9日(日)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2025 vol.1』(U-NEXT配信)のメインイベントで、ニュージーランド南島ISKA王者リード・ミラー(ニュージーランド)とKNOCK OUTBLACK -63.0kg契約3分3R延長1Rで対戦するKNOCK OUT-BLACKライト級王者・大谷翔司(スクランブル渋谷)のインタビューが主催者を通じて届いた。
大谷は陸上自衛隊徒手格闘部隊出身。2016年にデビューし、2020年8月にJAPAN KICKBOXING INNOVATIONライト級王座に就いた。2023年6月はKrushに乗り込んで児玉兼慎から判定勝ちしたが、9月のKNOCK OUT-BLACKライト級王座決定戦で久井大夢に敗れた。12月には再びKrushで大沢文也に延長戦の末に勝利、2024年12月、セーンダオレックとの再戦でTKO勝ちし、第3代KNOCK OUT-BLACKライト級王座に就いた。戦績は22勝(13KO)10敗3分。
3月30日(日)あなぶきアリーナ香川『RIZIN.50』への出場も決定。RIZINには2022年4月以来2度目の参戦となる。
Krush王者と倒し合いがしたい
──年もまたいでちょっと時間も経ってしまいましたが、改めて王座獲得おめでとうございます。
「ありがとうございます」
──改めて前回のセーンダオレック・Y'ZD戦を今振り返ると?
「やることをやって臨んだんですけど、テーマに挙げた、試合に対するマインドという部分で、自分が考えていたようにいい方向に転んだなと思います。『絶対に勝つんだ』という気持ちは大事なんですけど、その中でもちょっと楽観的な、『いけるっしょ』みたいなマインドが混ざった状態が、自分的には力を出し切るという意味ではいいようにハマったなという感じでしたね。そこがコントロールできるようになったというのが、一つ成長かなと思いました」
──そのマインドはこれからも使えそうですね。
「そうですね。自分の性格に合ったマインドの持っていき方を見つけられたなと思います。それをコントロールするのはけっこう難しいんですけど、そこをこれからもテーマに掲げてやっていこうかなと思いますね」
──12月1日にベルトを獲得して、最高の形で年末年始を迎えられたと思いますが、王者としての日々というのは、違うものですか?
「そんなに大きく変化するということはなかったんですけど、ベルトを獲ったことで、ちょっとずついい方向に転んでるなというのは感じていて。その中で実際ベルトを獲って日々生活していく中で自覚というか、見られている時も見られていない時も、王者として生活していくことを心がけています」
──そんな中、今回は戴冠後第1戦としてリード・ミラー戦が組まれました。チャンピオンとして外国人選手を迎え撃つにあたってはどう受け止めていますか?
「現役を続けていく中で、海外の選手とやってみたいという気持ちもありましたし、実際オセアニア系の選手とは初めてなので、そこは一つ経験でもあるし、これから『KNOCK OUT』を背負って戦っていく上で、絶対に落とせない試合だなと思っています」
──改めて、一番警戒する部分はどういうところですか?
「映像を2試合ぐらいしか見ていないんですけど、若くてアグレッシブで、とてもいい選手だと思います。1年ぐらい前の試合だと思うんですけど、若い選手って1年あったらすごく化けたりもすると思うので、そこから成長している可能性もあるから、映像より2段階、3段階ぐらい強い相手を想定して準備していってます」
──自分としては、どう戦ってどう勝ちたいですか?
「最終的にはKOするんですけど、前回の試合からもそうですし、自分の成長に対する周囲の目のハードルも上がっていると思うんですよね。倒し方も問われるので、そこは意識して。意識しすぎると空回りしちゃうので、またそこもちょっと難しいんですけど、そのハードルは必ず越えてみせます」
──最終的には周りの目というより、自分との戦いなんですかね。
「そうかもしれないですね。あとは、今いろんなところで『6月の代々木第二大会で、Krushと対抗戦をやらせてほしい』と言わせてもらってるんですが、そこに向けてやっていく中で、自分は圧倒的強さを見せて振り向かせたいと思ってるんです。そこは大きなテーマかなと思ってますね」
──Krushといえば、今月はライト級で8人参加のワンデートーナメントもありますよね。同じライト級で、そことも比べられることになるかと思うんですが。
「Krushでは今、ライト級がすごい激戦区だと言われていて、もちろんいい選手は揃ってますけど、飛び抜けてる選手ってあんまりいないと思っていて。はっきり言うと中の上ぐらいの選手が揃ってると思うし、トーナメントのメンバーを見ても、正直、西京佑馬選手以外は楽勝かなと思ってます。注目して見ているのは西京佑馬選手だけですね」
──対抗戦を実現させるためにも、いい勝ち方が必要ですね。
「そうですね。強い選手とやりたいというのが一番なんですけど、実際にベルトを持ってる同士の負けられない状況の中で倒し合いをしたいという気持ちが強いです。実際、Krushチャンピオンにはこだわりもリスペクトもあって、2回参戦してるんですけど本当に好きなリングだし、そこのチャンピオンとリスペクトを持って倒し合いをしたいなと思ってます」
──そう思うと、防衛戦じゃなくても、どの試合ももちろんですが気は抜けないですよね。
「はい。それを実現させるまでは、絶対負けられないですね」
──そしてもう一つ、ちょうど先日、3月末のRIZIN香川大会出場が発表されました。それもある中で、負けられない要素が増えたのかなと思うんですが。
「その意味でも絶対負けられないし、実際カードは発表されてるんですけど、まだ僕は対戦相手の詳細とかは見ないようにしてるんです。全部2月9日に集中してるので。もちろん先は見据えてるんですけど、今は目の前の相手だけを見ています」
──では、その試合のことを考えるのは2月9日に勝ってからということですね。
「映像も見ないようにしていますし、実際、今は香川の相手のことは全然知らないんですよ。DEEP☆KICKのチャンピオンというのは聞いたんですけど、スタイルとか、オーソドックスかサウスポーかもまだ知らないので、そのへんは終わってから対策を立てていこうかなと思っています」
──ただ周囲からは、RIZINで、しかも四国での試合ということで、反響が大きいのでは?
「まだ発表されたばかりだから分からないですけど、周囲とか地元の反響は、RIZINに初めて出た時(2022年4月、力也に1RTKO勝利)に比べると、ちょっと薄くて。『やっぱりKNOCK OUTのベルト獲ってるから、出るよね』みたいな感じで、みんなに連絡しても前回の初参戦の時とは反応が違うんですよね。『うん、行くわ』みたいな軽いノリだったので、そのへんはうれしいんです。逆に認められてきたというか、大きな大会に出ても驚かれなくなった感じなので」
──ああ、なるほど。
「自分自身もそんなに浮き足立ってないし、RIZINという大きい舞台ではありますけど、やっと地元で試合ができるという喜びぐらいで、特に何か変わった心境はあまりないですね。一つの試合として受け入れることができてます」
──もう一つ、後楽園ではメインということになりますが、そこについては?
「これまでもメインイベントで試合したことは何回かあったんですけど、タイトルマッチとか梅野源治戦は青コーナーだったんですよね。今回は赤コーナーじゃないですか。やっぱり本当の意味で『メインを張る』というのは、赤コーナーの選手としてちゃんとリングに立つっていうことだと思ってたので、それが叶ってメチャクチャうれしいですね」
──逆に責任感みたいなものは感じてますか?
「かなりあります。そこも含めて、自分がいいパフォーマンスを出すためにはどういうマインドでいったらいいのかっていうことを、自分自身、常にテーマに掲げて調整していってますね。もちろん肉体的なコンディションも含めてなんですけど、そこはかなり重要になってくると思うので。そういう意味では何回か失敗もしているので、その経験を元に作っていこうかなと思います」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょうか?
「やっぱり『成長』ですかね。自分は成長が止まったら現役をやめようと思っているんです。勝敗関係なく、勝っても成長していなかったらやめていくし、逆に負けても成長していってる自分が感じられたら続けようと思ってるので。僕が現役でいる間は常に『成長』というものをテーマに掲げて、『大谷、成長してるな』というところを、今回は前の試合から2ヵ月ぐらいという短い期間なんですけど、その間の成長、ベルトを巻いて変わった姿というものを見てほしいですね」