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【UFC】3連敗のアデサニヤ「私はまだ生きている」、解説のビスピン「彼がトップの座にいた時間は終わった」

2025/02/03 23:02
 2025年2月1日(土)日本時間23時から、サウジアラビのANB Arenaにて『UFC Fight Night: Adesanya vs. Imavov』(U-NEXT配信)が開催された。  メインイベントでは、35歳の元ミドル級王者アデサニヤが、2019年2月のアンデウソン・シウバ戦以来のノンタイトル戦を戦った。  シウバに勝利後、ケルヴィン・ガステラムに勝利し暫定王座を獲得したアデサニヤは、その後、実に12試合をミドル級とライトヘビー級で「王座戦」を戦っている。  ミドル級ではアレックス・ペレイラとの2戦で1勝1敗。その後、2023年9月にショーン・ストリックランドに判定負けで王座陥落。2024年8月には、ストリックランドから王座を獲得したドリカス・デュ・プレシに挑戦し、4Rにリアネイキドチョークで一本負けで王座奪還ならず。2連敗中だった。  対するダゲスタン出身フランス国籍の28歳のイマボフは、UFC3連勝中。2023年1月にストリックランドに判定負けも、クリス・カーティスとのバッティングNCを経て、ロマン・ドリーゼに判定勝ち、ジャレッド・キャノニアを4R TKO。2024年9月の前戦でブレンダン・アレンを判定で下している。  試合は、1Rにイマボフのテイクダウンを切って上を取る場面も見せたアデサニヤが、ジャブ&右カーフキックをヒット。イマボフの右アッパーストレートを被弾しながらも、左ミドルを返して、ジャッジ3者が10-9でアデサニヤを支持する初回に。  しかし、2Rにアデサニヤのミドルを掴んだイマボフが間合いを崩し、アデサニヤがオーソにスイッチした瞬間に右オーバーハンドを当てると、金網背にヒザを着いたアデサニヤに左アッパー。ダウンしたアデサニヤが背中を見せたところにイマボフがパウンドを連打しKO勝ちを決めた。  勝者は、「僕の方が優れたストライカーだと証明できたはず。(2月8日に王者ドリカス・デュ・プレシにショーン・ストリックランドが挑戦するが)次は僕の番だろう。ベルトをかけた試合がしたい。この1年でトップ5に2度勝ち、2度ともフィニッシュしている」と王座挑戦をアピールした。 [nextpage] アデサニヤ「もう少し時間をかけるべきだったかもしれない」  そして、3連敗を喫した元王者は、試合直後に、ESPNの番組でインタビューに答えている。 「失望している。ファンやチームを失望させるのは嫌だし、チームも僕のことを誇りに思ってくれている。でもね。スリリングな苦しみだよ」と敗戦を語ったアデサニヤ。 「今回のファイトキャンプや試合で何が起きていたか?」と、異変を感じていたかと問われると「それを知る必要はないと思う。本当にキャンプに参加しなければ、ここまで到達することはできないし、これほど素晴らしく深くて、イライラすることも感じることもできない。それを理解できるのはごく限られた人たちだけだ。すごく素敵なゲームだけど、同時にバカげたゲームでもある」と、様々な要因を自身が引き受けるべきとした。  序盤はアデサニヤのものだった。 「彼は私のような男になることに興奮しているに違いない。でもやっぱり、1Rに自分がすべてをコントロールしているときはいい感じだった。今思えば、もう少し時間をかけるべきだったかもしれない。ただ、彼が疲れているのは分かっていたから、休ませたくなかったんだ」と、攻め急いだことを認める。 (C)stylebender  そして2RのKO負け。3連敗でミドル級王座奪還からさらに遠のいたことは間違いない。しかし、アデサニヤのモチベーションはチャンピオンシップではなく、格闘技の冒険を高く、深いレベルで行うことだ。再び試合に復帰するかどうか、その答えはすぐには出ないと言う。 「(次に何をするかは)分からない」とアデサニヤは語る。「冷静になってからいろいろ考えないと。まずは少しリラックスして、試合を控えているチームメイトを助けて、それから自分がどうしたいかを考える。いずれにせよ、そうするつもりだったんだけどね。試合をしてくれたナッソーディンに感謝したい。(「カムバックを期待する」の声に)すぐにではないけどね」と、落ち着き払った口調で語った“ラスト・スタイルベンダー”はその後、あらためて自身の試合を見返す動画をアップ。「私はまだ生きている」と、つぶやいている。 [nextpage] キック&MMAで15年のアデサニヤについてビスピンは「ファイトキャンプは試合よりも過酷だから──」  7月22日に36歳の誕生日を迎えるアデサニヤの敗戦について、UFC解説の元ミドル級王者のマイケル・ビスピンは、「アデサニヤがトップに立つ時間は終わった」と、ピークアウトを指摘する。  試合会場からホテルまでの道のりを自撮りのYouTube動画で撮影したビスピンは、アデサニヤのダメージの蓄積を語った。 「アデサニヤの序盤は信じられないようだった。超アグレッシブに攻め、いいショットを放ち、キックも素晴らしかった。スピードがあり、距離が短く、相手にダメージを与え、コントロールし、テイクダウンを阻止していた。  でも“どう始めたか”ではなく、“どう行ったか”だ。1R終了間際にイマボフのアッパーが炸裂した。驚嘆の右アッパー。2Rに右オーバーハンドで、彼のアゴを打ち抜いた。そして左フック。さらに数発のパウンドを打ち込んで試合終了。アデサニヤはナッソーディンにノックアウトされて終わった」  とくに、UFCのような世界最高峰の舞台でささやかれる「35歳限界説」。今年36歳になるアデサニヤが再び王座戦線にからむことは難しいとビスピンは言う。 「私は最大の敬意を持って言うけど、アデサニヤはこのスポーツで絶対的な伝説だ。もっと重要なのは彼が独創的だということ。彼は唯一無二だ。確かに、これまでも偉大なキックボクサーはいたし、これからも偉大なキックボクサーは出てくるだろうが、彼のような才能とカリスマ性を持つ選手がイスラエル・アデサニヤほどのショーを披露できるだろうか? アレックス・ペレイラを破ったときの退場からブレイクダンス、試合後のスピーチまで鳥肌が立つほどだ。あれは決して忘れないだろう。イスラエル・アデサニヤはそれを成し遂げたんだ。彼は伝説になった」と、最大限の賛辞を惜しまないが、一方で元王者の落日も語る。 「彼は殿堂入りするだろうし、また戦うことになるかもしれないが、UFCのミドル級王座やあらゆるベルトをかけて戦うことはないと思う。トップの座にいた時間は終わった」  その理由は、キックボクシングとMMAを合わせた約15年にわたるキャリアで蓄積された身体的な負担にあるという。 「最高レベルでの長いキャリアは、試合だけでなく、身体に大きな消耗をもたらす。トレーニングキャンプは試合よりも過酷だ。試合に勝てばまた次の試合に出るが、アデサニヤが相手を圧倒し、レッグキックを使って、ただ相手を圧倒し、簡単に打ち負かすのを見てきた。  しかし、トレーニングキャンプではそうはならない。そうでなければ、上達しない。悪い癖がついてしまうからね。プッシュされ、相手に倒され、レスリングされ、グラウンドで殴られ、チョークで絞め上げられる必要がある。足首や脚をひねられる。顎にパンチを受ける。最高レベルでこれをやるには、それに応じたトレーニングをする。それが身体に負担をかけるんだ。そして確かに、彼はオクタゴン内でいくつかの打撃を受けている。今夜もそうだった。さらに、このレベルに到達するために何年もトレーニングを積んできたことと相まって、それが問題となる」と、試合のみならず、トップに立ち続けるための練習が、アデサニヤを削らざるを得ないとした。 「おそらく、一つの時代が終わったのだろう」──そう語り、隻眼のビスピンはサウジアラビアを後にしている。
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