キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】“ヒジあり”トーナメント制覇を確信する壱・センチャイジム「これは全て筋書き通りです」というその理由

2024/12/27 20:12
【KNOCK OUT】“ヒジあり”トーナメント制覇を確信する壱・センチャイジム「これは全て筋書き通りです」というその理由

KNOCK OUT-REDの帝王としてトーナメント制覇に臨む壱

 2024年12月30日(月)神奈川・横浜武道館『KNOCK OUT K.O CLIMAX 2024』(U-NEXT配信)にて、「KICKBOXING JAPAN CUPスーパーバンタム級トーナメント」に出場するKNOCK OUT-RED同級王者の壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。

 沖縄出身の壱は空手をベースに持ち、ボクシングを経て上京してムエタイを始めた。2008年11月の『MuayThaiOpen』でLPJNバンタム級王座に就き、2019年12月に岩浪悠弥に敗れるまで14連勝をマーク。2022年11月に「第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント」を制して王者となった。2023年8月の初防衛戦で古村光に敗れて王座を失ったが、2024年4月のリマッチで王座奪還。6月にはムエタイの激闘王と呼ばれたチョークディーから勝利を収め、7月の『ONE Friday Fights』で初参戦初勝利。11月の1回戦では嵐に判定勝ちした。戦績は28勝(10KO)9敗1分。

会長にはめちゃくちゃ『愛』を感じた


──11月の1回戦、嵐戦を改めて振り返ると?

「最初のトーナメント発表会見での勢いがすごかったから、試合でもガンガン来てくれるのかなと思ったら全然来なくて、そういう意味では意表を突かれました。嵐君が勝つには殴り合いしかないと思っていたので、そこに持ち込みたいんだろうなと予想していて、カウンターのパンチやミドル、ヒジを狙っていたんですけど、フタを開けてみたら彼の方が下がる展開で。そこで「『あ、今日はそういう感じね。俺はそれには乗らないよ』という感じで、ミドルや前蹴りなどの長い攻撃を中心に戦いました」

──あれだけ煽っておいて、試合ではヒット&アウェイで来るということ自体が作戦だったと思いますか?

「いや、これは結局僕に問題があるんですけど、僕は相手に合わせるので、どんな相手も出てこれなくなっちゃうんですよね。僕とやる選手って、みんな派手さがなくなるというか。古村光君にしろ、大野貴志選手にしろ、爆発力がある選手がみんな、僕の前に立つとシュンとなっちゃうんです。『金でももらってんのか』ってぐらいに。そうやって相手の光を消すところが自分のよさなのかなと、最近は思うようになりましたね。圧力だったり相手に合わせるポジショニングだったりで、嵐君も出られなくなったんじゃないかと思います。僕がやってきた相手と比べたら、嵐君は体も小さいし、戦績も浅いので、そこで出鼻をくじかれたんじゃないかと」

──あの日、嵐選手に対するセンチャイ会長の怒りが尋常じゃなかったですよね。会見の時、それからSNSで壱選手自身も不快感は示していましたが、センチャイ会長は勝った後も怒りが収まらない様子でした。そのあたりの感情は、試合に影響しましたか?

「正直、僕自身は1ミリも影響していなかったです。僕は私生活のこととかが影響しないタイプで、人生でも意外と傷ついたこともないし、本当に鈍感なんですよ。だから今回も影響は全くなかったです。でも、リングに上がるまではものすごくイライラしてましたよ」

──そうなんですね。

「会場で向こうの陣営とすれ違う時とか、入場前に待機している時とかもめちゃくちゃイライラしてました。そこは今までと違う感情でしたけど、いざ試合が始まってみたら関係なくて、普通の試合として挑むことができました。そして会長には、めちゃくちゃ『愛』を感じました」

──「愛」ですか。

「自分がその立場になった時に、教え子が中指を立てられたとして、あそこまで熱くなれるのかなと。会長って、立場もある人じゃないですか。その人が、教え子がバカにされたという理由だけで、あの後楽園ホールの、お客さんがたくさんいる前で大声を張って全方面と戦えるということに感動しちゃったんですよ。正直、その感情が一番すごくて。これは言っていいのかどうか分からないですけど、会長の僕への思いを露わにしてくれた嵐君に感謝すら感じました」

──そうですか!

「これはちょっとした裏話なんですけど、試合を終えて家に帰ったら、会長から電話がかかってきたんですよ。ちょっと冷静になったらしくて『今日は熱くなりすぎちゃって、壱君の勝利ムードに水を差してたらごめん』と言われて。そこもグサッときたんですよね。改めて、『会長、大好きだ!』と思いましたね」

──いい話ですね。

「確かに嵐君はスポーツマンシップに欠けていたところがあったんですけど、今の時代、知名度を得たり盛り上げたりするためには、目立たなきゃいけないと思う気持ちはすごく分かるんです。でもその目立ち方が、将来に繋がらないと思うんですよ。あそこで『死ね』って言ってみたり中指を立てたりしたら、セカンドキャリアにも影響すると思うし、親御さんたちが子供たちにやらせたいと思わないですよね。だから10年後、20年後に関わることだと思っていて。そこでイラつく部分はあったんですけど、いろんなことに気付かせてくれたし、今は『ありがとう』と思っています」

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