計量日の朝に100gも落ちなくて、飛んで、起こされての繰り返しで救急搬送された
──試合を3週間後に控えたいまのコンディションは?
「めちゃめちゃコンディションいいですね。いままでのどの試合とも違って、ほぼ減量なく新しい感覚で、身体も軽く感じるし、パワーもある。減量の心配なく練習にも打ち込めています。試合していない間はすごい筋トレもしましたし、全体的な成長を感じています。前回の試合から11カ月半空いて復帰戦になるので、ここから目指す世界一まで止まらずに行きたいです。その第一歩という感じです」
──現在の練習環境は?
「グラップリングはIGLOOとロータス世田谷で。MMAは住村(竜市朗)さんと、打撃はBattle Boxで良太郎先生の指導を受けています。大きい選手とはシビサイ頌真選手やスダリオ剛選手ともやっています」
──3月の『RIZIN LANDMARK 9』でのストラッサー起一戦で体重超過。何が起きていたのでしょうか。
「(計量日の)朝イチに残り3kgで、3回湯舟に入って、1回はめちゃくちゃ熱くして、もう裸で入れないからサウナスーツを着て入ったんですけど、汗が一滴も出なかった。起きた体重と昼に計った体重が全く同じでした。ほんとうに身体がもう100gも落ちなくて、最後の水抜きの風呂に入ったときは、入ってちょっとリラックスしたら飛んで……起こされての繰り返しで、ダメだとなって救急搬送されました」
──今回、階級を変えるのは自身の判断でしたか。
「僕からというか、前回の計量失格でRIZINさんにすごく迷惑をかけましたし、それでもしばらくはウェルター級で戦うつもりだったんですけど、ほんとうにいろんなことが重なり、気付くまでちょっと時間がかかったんですけど、準備が整ってなかったというか、いろいろやらなければいけないことがあって、ウェルター級で戦うのを(いったん)諦めて、いろんな人に相談して階級を上げましょう、ということになりました」
──上の階級でも勝てると?
「僕の目指す位置は、UFCチャンピンを目指しているので、UFCチャンピオンのベラル(ムハマッド=現UFC世界ウェルター級王者)選手を見たときに、UFC以外なら全然、上の階級でもやっていけるだろうし、それを考えたときに、こうして上の階級でもやっても勝たないといけないと思って階級上で戦うことになりました」
──今後の階級は?
「これからRIZINでは、出来ればミドル級でやっていきたいです。UFCではウェルター級でやると決めているので、今回はいったん減量のプレッシャー無しで試合に臨んで、すでに練習後には92.5kgくらいになっています」
──ライトヘビー級は柔術のときと同じです。ご自身ではウェルター級とどちらがしっくりきますか。
「ずっと周囲から言われているのが、僕がベストコンディションの体重は90~92kgだと。この階級でも柔術のときは(道衣込みで)減量はあったので、今回の試合ではほぼ減量はないですし、体調も動きも、コンディションはいいですね。今までよりいい感じで動けている自覚はありますね。試合が続くと、相手対策の練習になりますが、11カ月間、強くなることだけに集中して練習できたので、すべてにおいて強くなっているという感覚です」
──対戦相手のマルコス・ヨシオ・ソウザ選手との接点は?
「マルコス選手は僕が10歳のときに1回練習したことがあります。一時期、子供の頃に僕が所属していたチームとボンサイ柔術が一緒になったときがあって、そのときに僕が浜松に行っていました。僕が10歳とか11歳のときで、マルキーニョス選手とは1回だけ肌を合わせて、そのときはもう……話にならなかったですね(苦笑)。マルキーニョス選手も全盛期で。
子どもの頃から目指す位置にいたというか、日本のトップ柔術家でもあったので、憧れてきた選手で、MMAでもチャンピオンになって、キャリアを築いてきた選手との試合が楽しみというか……僕、ボンサイ柔術の選手がすごい好きでやり辛いこともあるけど、やっぱりプロになれば仕事に過ぎないので、プライベートの問題じゃなく、あそこで自分たちのベストを尽くすという気持ちで挑みます」
──先にどちらが「対戦する」と決めたのでしょうか。
「僕が聞いたのはあっちがやる、と聞いて。でも僕は(メルビン)マヌーフとの試合から相手を選ばないと決めていて、誰とでもやるスタンスでいるので。おそらくマヌーフより嫌な相手はいないだろうし。柔術の試合でもサトシ先生やクレベルが、対戦相手のセコンドに入っていたことは何度もあったので、そこはもう仕事だと思って、あの日だけは敵というか」
──同じ日系ブラジル人同士で戦う。どのくらいの距離感だったのでしょうか。
「マルコス選手にも良くしていただいたんですけど、正直、ボンサイのなかではすごく親しいというわけじゃないですね。サトシ先生、クレベルとはどちらかというと仲がいいのですが、それほどではない。もちろんRIZINのほかの人に比べたら親しいですが。
ただ、RIZIN初戦で阿部(大治)さんと戦うことになった時も、試合が決まる1週間前まで練習していて、僕は戸惑っていて、阿部さんと話しをして、『試合が終わっても何も変わらないし、どちらも得をすること。そんなに考えなくていい、気にせずやろうぜ』と言われて。ずっと毎日一緒に練習している人とは試合し辛いですけど、それ以外は、仕事なので誰とでもやる感じですね」
──対戦相手としてのマルキーニョス選手の印象は?
「マルコス選手は、パワフルかつダイナミックな柔術で、僕はどちらかというと動き回る柔術で、もうちょっとモダンなので違いますね。僕は下からも結構得意なんですけど、マルキーニョスはどちらかというとテイクダウンして上が得意な選手ですね」
──柔術家として挑む形になりますか。
「今までの相手と全然違って、寝技が全然ずば抜けている選手ですけど、それでも自分の寝技の方が強いところを見せたいです。MMAの選手として強くなった自分を見せたいです。組みとかだけでなく、打撃、レスリングも、すべてにおいて。(KO勝ちも?)そうですね。穴があれば全然、KOする可能性もあるかと思います」
──どんな試合にしたいですか。
「僕は5試合していて、全部、1Rで(一本を)取っているので、その成績を伸ばしたいですね。1Rで決着したい」
──15歳差のある試合になります。かつての先輩をどう越えたいと思っていますか。
「1R連続決着記録を伸ばせればいいですが、2Rに行けば、初めてのインターバルという経験も出来る。とにかく勝ちたいです。なるべくミスの少ない試合をしたいというか、UFCで戦うことを考えたら、下になって極めても正直、納得しないです。下からの柔術はUFCでは通用しないし、UFCに行ってから直しては遅いので、なるべく課題の少ない試合にしたいです。理想の試合は、安西戦のようにテイクダウンしてバックを獲って極める。そういうミスのない試合をしたい。相手はトップ攻めが得意ですが、トップの取り合いでも負けちゃいけないと思っています」
──ところでかつてRIZINで戦っていて、元UFCライトヘビー級王者のイリー・プロハースカ選手とも日本で練習していましたね。いかがでしたか。
「世界は遠いけど近い、という感じです。めっちゃ強いですね。元UFCチャンピオンだから当たり前ですけど、壁レスと軽い打撃のスパーだけでしたが、今は手が届かないですけど、でもチャンピオンに直に触ってみて現実を見て、93kgのチャンピオンになれるというわけではないですけど、正しいことをやっていけば、自分もたどり着ける、UFCで戦えるという気持ちにもなりました」
──試合翌日にはタトゥーを入れるそうですね。
「試合の次の日には名古屋から帰るのですが、僕がタトゥーを入れているところが名古屋なので、無事であることを祈って予約しました。右腕の内側なので、絶対にタトゥーできない状況にはならないかなと思うんですよね。ヒジを折ってもここで止めることができる。僕はブラジル人でクリスチャンなので、イエス・キリストのタトゥーを入れる予定です」