(C)ONE Championship
2024年8月23日(金)タイ・バンコクのルンピニースタジアムにて、『ONE Fryday Fights 76』(U-NEXT配信)が開催された。
第1試合では、ONEライト級(77.1kg)サブミッショングラップリングで、世羅智茂(CARPE DIEM)が出場。マゴメット・マティエフ(ロシア)と対戦した。
世羅は『ONE Fryday Fights』シリーズ初出場。MMAプロモーションでは、2020年のコロナ禍に『Road to ONE:2nd』に出場し、ケージグラップリングで青木真也と判定無しのドロー。また、2023年にはGLADIATORで実施のPROGRESSフォークスタイルグラップリングのウェルター級暫定王者決定トーナメントで決勝進出。
近年は、ADCC世界大会出場を目指し、2023年11月にシンガポール開催の『ADCCアジア&オセアニア予選』の77kg級3位に。2024年5月にタイ開催の『ADCCアジア&オセアニアトライアル』に出場し、キルギスのマゴメド・ヤルバエフにポイント3-0で敗れている。
試合後は、CARPE DIEMバンコクでも指導を行っている世羅はタイ3度目。ADCC2次予選後、2カ月ほど前にオファーを受けた世羅は、タイ在住ロシア人のマゴメット・マティエフと対戦する。
「相手は強い」と世羅が評するマティエフは、MMAも戦っている33歳のロシア人。世羅はグラップリングで一度判定勝ちしており、STRELA TEAMチームの黒帯で、タイではPhuket Grappling Academyで練習。2023年12月のADCCタイオープン・アブソリュート級で優勝しベルトを獲得している。
身長186cmの長い手足を活かしてボトムからラバーガード、足・腕関節をアグレッシブに仕掛け、サイドを取らせてのバギーチョーク、トップからも横三角、腹固め、クルスフィックスとバックだけではない攻めも得意とする。
ADCCのようにポイント制(前半はポイントがつかない)とは異なり、ONEサブミッショングラップリングは一本勝ちかジャッジ判定で勝敗が決まる。ジャッジはキャッチの回数が多い選手を勝利とするルールだ。
近年レスリングも強化してきた世羅が、ONEサブミッショングラップリングでどんな動きを見せるか注目だ。noteでは「何よりキャリアの終盤にグラップリングが盛り上がってくれたのはラッキーで。コロナ禍で青木(真也)選手や岩本(健汰)君と戦い、クインテットも注目度が上がった。柔術と並行してグラップリングも好きでやってきた」と記していた世羅は、自身のネットラジオでも、「ADCCに対抗したCJIもものすごい盛り上がりで、グラップリングのブームは来ている。ONEにやっとというか、運よく僕の番が回って来たという感じ」と、今回の参戦を語っている。
▼ライト級 サブミッション・グラップリング 10分
〇世羅智茂(日本)
[1R 3分06秒 三角絞め]
×マゴメット・マティエフ(ロシア)
1R、首を抱えたマティエフに世羅は外してスタンドに。組み手争い。「脇を差されたら小手投げだぞ」というセコンドの声。
世羅は右手を頭後ろに、左手を手首を持って引き込み腕十字! 顔に足をかけるマティエフを外して、ヒジを伸ばすが、マティエフも脇を開けてブリッジでうつ伏せになりながら外して上に。
デラヒーバ狙いの世羅に潜らせなかったマティエフだが、世羅は足を手繰り尻を着かせると、先に立ち上がり首を抱えてパス狙い。そこに後転しながら足を掴んでトップになるマティエフ。
両足を抱えた世羅に腰を切ったマティエフはトラックポジションからバック狙いも、そこで腰をずらしてガードにする世羅。
長い手足でハーフから左で脇差しパスガードを狙うマティエフは、いったん右に腰を大きく切ってパス狙い。脇を戻してフルガードにした世羅は、右手で首を抱えてから、対角のマティエフの右脇に差し込み、左手でもマティエフの脇を押し上げ、自身の左足を抜いて肩口に上げると、三角絞めに!
マティエフの右足を手繰り、相手の左腕は内側に流さずとも右手で左脛を引き付けタップを奪った。
試合後、リング上でインタビューを受けた世羅は、「最初に、サワディーカップ! 勝って嬉しいです」とタイ語で挨拶。
続けて日本語でフィニッシュの三角絞めについて「作戦のなかに入ってはいなかったけど、あそこからの三角は得意なのでやりました」と語った。
ケイド・ルオトロが頂点に立つ階級で、グラップラー世羅はどこまで登るか。