シビアだけどフェアな状態で戦える(朝倉)
(C)Zuffa LLC/UFC
厳格なアンチ・ドーピング・プログラムのようだが、USADA管理のときに比べ、ファイターへの負担が減っている部分もある。
USADAでは、選手から提供されたサンプルの総数と、選手に対して行われた検査セッションの両方がチェックされていたが、新しいUFC ADPの下では、検査セッションのみがカウントされている。
また、禁止物質リストの追加情報などは、新たなUFCアンチ・ドーピング・プログラムのオンライン・ポータルにて、英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、ロシア語、中国語、日本語、韓国語など、多言語によるポリシー情報が掲載され、確認ができるようになっている。
「1年以内に摂った薬とかも全部提出して、風邪をひいたときも薬を飲む前にUFCに報告して、返事来るまで飲めない。摂取物はめちゃくちゃ気を付けてます」という朝倉だが、その検査体制に信頼感もあるという。
「3週間後とかに結果が来る。何回クリアすればいいのかな、まだ試合もしてないのに」と苦笑しながらも、「でもこんくらいやらないと確かにダメだよね。RIZINもこのくらいやってほしいですけどね、ほんとうは。正々堂々と戦える。シビアだけどすごくフェアな状態で戦えるなと」と、ドーピングを行うファイターへのけん制になるとした。
近年では、アナボリックステロイド以外にも、ボディビル用サプリメントとして「合法ステロイド」とも呼ばれるSARMs(選択的アンドロゲン受容体調節因子)等が、女性化乳房症予防、ホルモンバランス調整・臓器へのダメージを緩和する“ケア剤”とともに服用されるケースが多く、そのサイクルを組むことで、ドラッグテスト日から逆算してパスする手段も増えている。五輪スポーツも含め、高価な経費がかかるドラッグテストとドーピングの抜け道は日々、巧妙化・複雑化しており、鼬ごっこではあるが、抜き打ちチェックであれば、これらの使用の抑止力になることはたしかだ。
また、米食品医薬品局(FDA)は、SARMsを含む製品に関して、摂取者に肝毒性など命に関わる副作用が発生したケースがあること、心臓発作や脳卒中などのリスク上昇につながる可能性があることも声明として発表している。
実は、UFCファイターの制裁を決定するコンバット・スポーツ・アンチドーピングでは、UFC内での身体強化薬の使用/乱用に関するあらゆる情報を報告できる内部通報ホットライン、通称“タレコミ・ライン”も設けている。
「俺はいつでもなんでもいいよと自信満々だから」と笑顔を見せた朝倉は、いよいよのUFCデビューに向け、「いい練習が出来てます。楽しみです、試合が。引き続き、発表をもう少々、お待ちください」と、プーケットの日差しで焼けた肌と、引き締まった身体を見せている。
このほかにも、朝倉が語る“検体採取を悩むかもしれないケース”や、検体採取の瞬間の実態などは、KAI Channelにて確認できる。