デュ・プレシ(会見)「練習中のスタンガン? 今はもっと強力なやつを使ってる」
──互いのトラッシュトークもありましたが、アデサニヤに対する今の気持ちは?
「確かに彼にとっては個人的なものになってると思うよ。自分が真実を話したことに対して、彼がすごく怒ってるんだ。ただ事実を言っただけだ。自分が言ったことは100%事実で、彼がそれをすごく個人的に受け取ったんだ。だから、彼は怒っている。でも、そんなことは気にしない。結局のところ、自分はここにビジネスをしに来たんだ。自分のビジネスは勝つことで、防衛することじゃない。守り抜くことではなく、勝つことが全てだ」
──イズラエル選手は独特のフェイントや動作で「解きにくい大きなパズルのようだ」とみなされていました。そしてあなたも同じように、独自のスタイルを持っていますね。
「特にこのレベルになると、それが求められると思う。つまりチャンピオンと挑戦者の戦いでは、全員が強くて、打撃もレスリングも、グラップリングも十分に上手い。誰もがそれぞれの分野で優れているんだ。例えば、グラップリングが得意な人もいれば、打撃が得意な人もいる。でも、みんな全体的に優れていて穴が無い。重要なのは、誰が試合で良いプランを立てているか。そして、プランが崩れたときに、誰が新たな答えを導き出せるかだ。2人のファイターを、2つのパズルとして見ることもできる」
──イズラエル選手のストリックランド戦をどう見ましたか。
「正直に言うと、あの試合はイズラエルの調子が悪いと思っていた。でも、俺がストリックランドと戦った後、その試合に対する認識が変わったんだ。彼と戦ってみて、ストリックランドがどれほど打ちにくい相手かを実感したよ。イズラエルの打撃にはボリュームがない。彼は精密な一発を狙うタイプで、動いて動いて、そして一撃を打つ。だが、ストリックランドとの試合では、彼の打撃が全部外れていた。ストリックランドは防御が本当に上手いんだ。俺がストリックランドと戦った時、すぐにそれを実感した。
俺は打撃のボリュームで彼を捉えて勝つことができた。でもイズラエルは単発だ。だから、打つたびに彼は外してしまった。2、3発打っても、全部外れていたんだ。最初は、あの試合はイズラエルが不調だと思っていたけど、ストリックランドと戦った後、もう一度その試合を見返してみたら、イズラエルにとっては相性が最悪だったということが分かったよ」
──では、次の挑戦者がストリックランド選手だと考えられていることについては?
「正直に言うと、ストリックランドとの試合が今回になると思っていたし、実際にそう言ってもいた。でも、正直なところ、自分はファンが見たいと思う相手を倒しに来ているんだ。だから、今回イズラエルと戦うことが嬉しいよ。なぜなら、業界のほとんどの人が、この対決を見たいと思っているから。それが、人々が見たがっている試合であり、結局のところ、我々はエンターテインメントを提供しているんだ。観客を楽しませることが自分たちの仕事であり、チケットを買ってくれる人々、ペイパービューを購入してくれる人々を楽しませるために戦っているんだ。
だから、ストリックランドが出てきてもロバート・ ウィテカーが出てきても、どちらと戦っても構わない。ただ、それぞれの良し悪しがある。ストリックランドと戦うことは多くの人が見たがっているけど、それはリマッチで新鮮味に欠けるかもしれない。でも、UFCがそう決めるなら、問題ない。無敗のカムザット・ チマエフとも、スタッツ的にはビッグファイトになるから面白いだろう。ウィテカーは、レジェンドだから悪くないが、これもリマッチだ。だから、この3人と戦うにしても、良い点と悪い点がある。自分にとって一番重要なのは、“次のベストな相手”と戦うことだけだ」
──ところで、練習でスタンガン使っているとか。
「まあ、世界チャンピオンになるのは簡単じゃないってことだよ。あれは最近始まったことだとみんな思ってるみたいだけど、そうじゃない。もう2年半以上はチームの一部になってるんだ。ただ、今までそれを撮影したことがなかっただけだ。なぜ撮影しなかったのか分からないけど、他の人たちから見たら確かにクレイジーに見えるかもしれないね。
何度か同じミスをすると、昔はコーチがローキックを蹴っていたんだ。彼のローキックはすごく強烈で、そのローキックを食らうことになる。でもそれはトレーニングに支障をきたすから、スタンガンの方がマシなんだ。スタンガンはその瞬間はすごく痛いけど、すぐに終わるからね」
──いつキャンプにスタンガンを導入することを言われたのですか。
「正直、最初に使われた瞬間は覚えてないんだ。でも、彼がジムに来て『これを持ってきたぞ』って言ったとき、俺はただ『オッケー、これが今からのやり方だな』って思ったよ。みんな笑ってたけど、『笑うのはやめとけ』って言ったんだ。俺はコーチを12年も知ってる。決まったことは変わらない。これからはスタンガンを食らうことになるんだって覚悟を決めた方がいいって。実際、俺たちはスタンガンをアップグレードしたんだ。前のやつに慣れてしまって、あまり効果がなくなったから。コーチ自身も試して、『これは痛いけど、それほどでもないな。もっと強いのを用意しろ』って言ったんだ。だから、今はもっと強力なやつを使ってる。かなり本格的なスタンガンさ」
──ミスをしたら、すぐスタンガンを当てられる?
「いや、そんな感じじゃない。彼は歩き回っていきなりビリっとするわけじゃないんだ。まず警告してくれる。例えば、『手が十分に高くない』とか、『顔をカバーできてない』とか言われるんだ。自分ではカバーしてるつもりでも、ちょっと低かったり、足の位置が悪いとか、ベースが正しくないとか、身体が後ろに倒れすぎてるとか、アゴが上がってるとか、いろいろな理由がある。で、彼は警告して、もう一度警告して、3回目には『これで2回警告したぞ』と言われるんだ。そしてただ横になって、足の下にテーザーを当てられる。これで終わりだよ」
──ラグビーのスターたちが、あなたのウォークアウトに参加するとの報道がありました。
「スプリングボクス──俺たち(ラグビー南アフリカ代表)のナショナルチームだ。彼らは4度の世界チャンピオンで、しかも連覇中なんだ。彼らが土曜日にオプタス・スタジアムで試合をする。そして、そのチーム全員が日曜日に俺の試合を見に来るんだ。彼らは俺のヒーローであり、国中のヒーローなんだ(※デュ・プレシはラグビー経験者、ポジションはフランカー)。そんな彼らが俺のパフォーマンスを見に来るなんて、本当に大きな特権だよ。4~5週間前にUFCにお願いしたら、彼らはすぐに動き出してくれた。UFCには本当に感謝してる」
──歴史的に、王者が誕生すると、その出身国でMMAが大きく盛り上がることがあります。
「国内のMMAジムがどんどん増えて、質も向上しているのを見るのは本当に素晴らしいことだよ。俺がキャリアを始めたEFCでは、ローカルな才能と国際的な才能を生み出すための素晴らしいプラットフォームがあった。アフリカでも同じで、現地の競技レベルやファイターの質が向上しているのが分かる。そして、これまで世界から真剣に見られていなかった南アフリカ出身のファイターが持っている才能が、注目されつつあるんだ。世界中の団体が、南アフリカのファイターに注目するようになった。彼らは、UFCの世界チャンピオンがいる南アフリカには何か特別なものがあるに違いないと考え始めた。今では、南アフリカやアフリカ全体のファイターが、こうしたMMAプロモーションからもっと注目を浴びるようになってきた。これは素晴らしいことで、ファイターがフルタイムでこのMMAに取り組み、家族を養い、UFCに進んで世界チャンピオンになるという夢を追いかけることができるようになったんだ」
──デイナ・ホワイト代表はあなたがイズラエルに勝ったら南アフリカでの大会を開催する、とも言っています。
「イズラエルに勝つ。そして、デイナが言ったことは100%本当だと信じている。もし南アフリカ人ファイターが世界タイトルを獲得したら、UFCを南アフリカで開催すると言っていたことも知っている。でも、それが簡単じゃないことも分かっている。多くのことが整わなければならないんだ。南アフリカのスポーツ大臣が試合を観戦しに来る。UFCを南アフリカ、そしてアフリカに初めて招致するために必要なことをするために来るんだ。
これは何年も前から持っていた大きな目標で、UFCをアフリカ、そして南アフリカに招致したいと思っていた。それが実現するなら、それは自分の人生においてもう一つの大きな目標が達成されたことになる。でも、自分はタイトルを防衛しに行くんじゃない。前にも言ったけど、オクタゴンでは、ベルトは空位だと思って、勝ち取るつもりで戦っている。そのベルトを勝ち取るために命を懸ける覚悟をしていた男2人が、再び命を懸けてそのベルトを手に入れるために戦うんだ」
──つまり、これはベルトのためだけの戦いではないのですね。
「その通りだ。これは自分のキャリア全体にとって本当に大きな部分を占めている。自分自身を超えたものなんだ。もちろん、ベルトも重要だよ。ベルトを持つことで、南アフリカが初めてUFCを開催することが検討されているんだからね。それに、ベルトはこれまで何年もかけてやってきた自分自身の努力も象徴している。このベルトにはすべての意味が込められているんだ」
──今回の会場となるオーストラリアの印象は?
「オーストラリアが大好きだ。いつも言ってるんだけど、文化が一番の違いだと思う。どこに行ってもそうだね。別の国で面白いと思うことが、その国ではそうでもなかったり、逆に不快に感じられることもある。でも、オーストラリアに来たときに感じたのは、人々や文化がとても似ているということだ。オーストラリアのファンや人々のユーモアも南アフリカにとても似ていると思うんだ。それが南アフリカのコミュニティがここでうまく順応できる理由でもあるし、多くの人がオーストラリアに移住する理由でもあると思う。
だから、オーストラリアが大好きだよ。今まで訪れた場所の中でも、トップレベルにお気に入りの場所だ。オーストラリアは初めてだけど、本当に楽しんでる。天気も素晴らしいし、食べ物も最高だ。試合が終わってからの食事を特に楽しみにしてるよ。でも、最高なのは肉の質だね。自分にとっては、肉の質は本当に大事なことなんだ。そしてもちろん、ビールの質もね。楽しみは試合後に取っておくよ」
──あなたが勝ち続けても、実力を疑問視するファンがいる。ネットの声を気にしていないことは知っていますが、イズラエルに勝てば実力を証明できると思っていますか?
「ネット上の声は本当に気にしてないよ。俺が気にしているのは、この試合に勝つことだ。この試合が他の試合より特別だとは思っていない。どの試合も、デビュー戦でも今でも、オクタゴンに入ったときにはそれが自分にとって一番大事な試合で、人生最後の試合だと思って戦っているんだ。俺は勝つために、あるいは勝つために死ぬ覚悟で毎回戦っている。だから、誰と戦うかとか、インターネットの意見がどうとかは全く関係ないんだ。これが俺にとって必要な証明なんだ。ネットの荒らしやソファに座ってるだけの奴が俺の実力を判断するわけじゃない。俺の偉大さを証明するのは、ここにあるベルトだけだ」