パディ・ピンブレット(ライト級)「数週間前は自分でも問題があると感じていた」
──イギリス大会の参戦が多いが、今回は自宅に近い分、違いはある?
「今回は南じゃなくて北だからね。南の試合は4時間のドライブだったけど、今回は40分のドライブだから、楽しみだよ」
──ボビー・グリーン、またはキング・グリーンと戦うことについて、彼の名前の変更についてどう思う?
「彼が40歳近くになって名前をキングに変えるなんて、恥ずかしいよ。大人になれって感じだね」
──グリーンに勝つことで、ランキング入りして実力を認められると思う?
「いや、どんな試合でもベルトを手に入れるまでは、人々は俺を疑い続けるだろう。最後の試合でトニーと戦ったときも含めて、勝っても負けても何かしら文句を言われたしね。でも、俺はただ自分の力を証明するだけだよ」
──数週間前にコーチたちが、精神的にこの試合に臨む準備ができていないとして、君を試合から外すことを話していたと言っていたが?
「自分でも問題があると感じていたし、頭の中でいろいろなことが起こっていた。ポールに言われた時は、腹が立って不満だったけど、彼は俺のコーチで、第二の父親みたいな存在だから、俺のためを思ってのことだった。そこからは、これまでで最高のキャンプのひとつを過ごせた。4、5、6週間前は最悪のキャンプだと思っていたし、これが一番厳しい試合になると思っていたけど、最後の数週間は質の高いトレーニングができたし、またオクタゴンに入って、あいつを倒すのが楽しみだ」
──ファイトウィークで、精神的な問題を話す理由は?
「もちろん、胸の内を話すことで楽になるけど、二日前がリッキーの命日だったから、最近またそのことをよく考えるようになったんだ。最近もリバプールで若い奴が自殺したし、若いMMAファイターのコナー・リッチンズも3カ月前に自殺した。彼は俺よりも若かった。だから、こういう話をすることが必要だと感じるんだ。正直に言うと、スカイスポーツがそのインタビューを公開したのを見て、一部の反応が本当にひどいんだ。『PRのためにやってるだけだ』とか言ってる人たちがいるけど、そんなプレッシャーを自分にかける理由がいるのか?
自殺した友達が何人もいるし、俺自身も過去にそれについて考えたことがある。だから、こういう話をする必要があると感じているんだ。もっと多くの人が自殺しないようにしたい。特に男たちが誰にも話さずに自殺するのは悲しい。俺の言葉に対する反応の中には、『ただ自殺すればいいじゃん』みたいなのもあった。だからこそ、話さなきゃいけないんだ。男たちが話さないのは、こういう反応があるからだ」
──グリーンは過去最大の難敵?
「正直に言うと、ジャレッド・ゴードンが今までで一番手強い相手だった。ジャレッドは信じられないほど過小評価されている。実際、俺もその試合前に彼を過小評価していた。彼を簡単に倒せると思っていたんだ。でも、第1ラウンドで俺が怪我をしたとき、試合は全く違う展開になった。それが今までで一番厳しい試合だった。ここにいるみんなも俺がその試合に負けたと思ってるかもしれない。でも、試合を見返すと、非常に接戦だったけど、実況をつけずにみると俺は勝ったと分かる。でも、実況有りでみると、俺が負けたと思う人が多い理由がわかったよ。ジャレッドはグリーンにも勝っていたが、頭突きでKOされてしまった。だから、ジャレッド・ゴードンが過去最も強い相手で、グリーンじゃない」
──あなたの挑発に乗り、グリーンがグラップリングで挑んでくる可能性は?
「いや、彼は分かってるだろう。でも、面白いことに、『お前はグリーンと打撃でやり合うのが怖いんだ』とか言ってる人がいるんだよね。俺は、彼の頭を吹っ飛ばそうとしてるのにだよ。ただ、もし彼が本当にグラップリングで俺に挑んでみたいなら、やってみればいい」
──UFCとの契約がほぼ終了するとも明かしていたよね?
「なんで俺がUFCを離れるって思うんだよ。あの話はすごく誤解されている。俺が何をやっても、人々はそれを曲解して違う話にするんだよ。何かやる度に、みんなが話を捻じ曲げて、『あいつは誰々の顔面にクソをした』とか言ってくるんだ。何をやっても、文脈を外して話すやつがいるんだよ。俺が言ったのは、UFCが新しい契約をくれるのは当然だけど、もし数百万ドルでデカいYouTuberとボクシングの試合ができるなら、やるってことだよ。誰だってやるだろ。でも、UFCが俺を手放すわけがないだろ。冗談じゃないよ」
──カスタムショーツが届いたと聞きました。
「やっと届いたんだ。何週間か前は少しイライラしてたんだよ。マネージャーから電話が来て、ボビーが赤を選んだって言うんだ。俺は赤が使えないんだって。なんで?って感じでさ。白とか黒じゃなくて赤が着たかったんだよ。だからオレンジのショーツを着られるように、マネージャーに頼んでみたんだ。でも結果的にはうまくいったよ。ボビーが赤を着たいなら好きにすればいい。これまでケージウォリアーズで赤を着て戦って、2回負けたことがあるし、ジャレッド・ゴードンとの試合でも赤を着てたし、トニーとの試合も赤だったけど、どちらも際どい試合だったって言われるんだ。だからオレンジを着られて嬉しいよ。ケージウォリアーズでやってたみたいに、良い感じにフィニッシュしたい」
──グリーンはガードを下げて、何度かKO負けをしていることについてどう考える?
「彼は俺のストライキングを過小評価してるし、パワーも軽く見てると思う。正直言って、俺自身もここ数カ月まで自分のパワーを信じてなかったんだ。でも、ボクシングコーチのクリスや、JMLのコーチたち、ポール、アダム、デイブ、そしてスパーリングパートナーたちが最近、俺がどれだけハードヒッターかを教えてくれた。グリーンはドリュー・ドーバーにKOされて、その前にもジェイリン・ターナーに多くの打撃を受けてひどいKO負けをした。それに、彼はアゴが弱いと思う。グラップラーのジム・ミラーには勝ったけど、第1ラウンドでジム・ミラーにやられかけたしね。俺が彼のアゴに打撃を当てたら、絶対に立ち上がれないと思う。彼はまるで板のように硬直するよ」
──精神的に困難な時期の周囲のサポートについては?
「前にも言ったけど、もし俺の妻がいなかったら、俺はここにいなかっただろう。彼女がいなかったら、俺はとっくに命を絶っていたと思う。家族やチーム、友達が支えてくれている。昨日か今日、インタビューに出たけど、それ以来、俺の友達や昔からの仲間たちから、たくさんのメッセージが来てるんだ。彼らが俺を気にかけてくれているのが分かるし、それが嬉しい。数週間前は本当に苦しかったけど、今は気分が良くなってきている」
──あなたはヘナート・モイカノとの試合を望んでいたが、彼はブノワ・サン・デニと対戦予定。この勝者と戦いたい?
「正直に言って、ヘナートが勝っても負けても、彼と戦いたいね。試合前の盛り上がりはおそらく史上最高に面白いと思う。彼は本当に面白いキャラクターで、彼と一緒に『The Ultimate Fighter』のコーチを務めるシーズンがあったら、絶対に素晴らしいものになると思う。みんなそれを見たいと思うはずだ。彼は本当に魅力的なキャラクターだし、ヘナートと戦うのは楽しみだ。
実は、ブノワ・サン・デニにも約6カ月前に、イギリスに来て一緒にトレーニングしないかと誘ったんだ。俺もパリに行って彼とトレーニングするつもりだった。距離的にもそんなに遠くないし、短いフライトだから、お互いの技術を向上させる良い機会になると思う」
──11月1日から施行のルール変更については?
「12-6のエルボーは合法化されるべきだと思う。ずっと前から言ってるけど、あれはバカげたルールだよ。あれで失格になるのはおかしい。ジョン・ジョーンズのことを無敗だと言っているけど、彼は絶対にその敗北を控訴して取り消すべきだよ。彼が控訴して、その敗北はなくなるだろう。そして、地面に手をついているだけではなく、ヒジや肩、膝も地面についていないとダウンした相手と見なされないようにルールが変更されるみたいだね。正直に言うと、自分も前に手をついて、ヒザ蹴りを避けたことがあるけど、この変更には完全に同意する。そうあるべきだよ。ダウンした相手に対する膝蹴りにも賛成だし、踏みつけはダメだけど、サッカーキックにも賛成だよ。それが試合をさらに面白く、刺激的にすると思う」
──ネクスト・ジェンMMAでの練習については?
「スパーリングパートナーは素晴らしいよ。特に他のジムに行く必要もなく、ライト級、フェザー級、ウェルター級の才能ある選手たちがマット上にいるからね。ルーク・ライリーはグリーンのスタイルを完璧に再現してくれたよ。スパーリングするとき、彼はスイッチするし、サウスポーからオーソドックスに変わるし、ガードを下げたまま戦う。ルークはこれから大きく飛躍する大きな才能を持っていて、みんなもすぐに彼の凄さを知ることになるだろう。本当に素晴らしいし、まだ若いんだ。それに、リアム・アロイにも大きな感謝を伝えたい。彼は若手のサウスポーで、このキャンプで多くのラウンドとシミュレーションをしてくれた。本当に感謝してるよ」
──ところで今回の髪型は?
「今回もコーンロウにする。髪が動くと、ちょっとしたパンチでも大げさに見えるからね。ジャレッド・ゴードン戦を見返すと、彼が軽いパンチを当ててるのに、解説では『効いている』なんて言ってるんだ。でも実際にはほとんど当たってないんだよ。髪が動くからそう見えるだけなんだ。だから今後はずっとコーンロウにすることにした」
──ところで以前にアンフィールド(リヴァプールFCのホームスタジアム)で試合をしたいと言っていましたが?
「アンフィールドの人たちとはたくさん話してるよ。クラブのCOOとも話して、彼らも開催に前向きなんだ。何度も言われている。試合を見に行くときはレジェンドラウンジに座ってるし、ボードルームにも行ったことがある。クラブのCEOとも話したけど、彼らはやりたがってる。だから、UFCが彼らと連絡を取って実現してくれたらいいなと思ってるよ。俺のタイトルマッチを待つ必要はないし、ノンタイトルでも満員にする自信がある。アンフィールドは今60,000人収容だけど、フロアにも座席を設ければ70,000から80,000人は収容できる。そして、その全席を埋めることができると確信している」
──ところで父親として初めての試合で、変化はある?
「もちろん、少しは変わるよ。今は自分だけのことを考えているわけではなく、家族のために食卓におかずを並べなければならない。だからこそ、この試合に勝つ必要がある。子どもたちの食べ物を、ボビー・グリーンに奪われるわけにはいかない。この試合に勝って、次のレベルに進むために全力を尽くす。それが単純な理由だよ。家族を養うためには、彼に負けるわけにはいかない」