▼セミファイナル IMSA世界フェザー級王座決定戦 3分5R
×ヨードクンスック・ムーバーンチョンブーン(タイ)
TKO 4R 2分09秒 ※ヒジによる3箇所カット
〇カイト・ルーククロンタン(キング・ムエ)
『ONE』や『RWS』などの新興イベントではなく、5R制のいわゆる“トラディショナルムエタイ”においては福田海斗の右に出る者はいないであろう。戦績は既に90戦に届き、そのほとんどがタイでの試合という、まさにタイのギャンブラーに認められたナック・ムエである。
2022年の同大会ではクマンドーイ・ペッティンディーアカデミーからダウンを奪っての判定勝ち、昨年大会はペッティンディーアカデミー所属のガイパー・ポーヴィセットジムとIMSA(国際ムエタイスポーツ協会)フェザー級(126ポンド)王座を争ったが判定負け。しかし今年は1月25日(木)のラジャダムナンスタジアム『スックペッティンディー』メインイベントで過去惜敗している強豪センソン・エラワンを下しリベンジ成功。強豪ひしめくタイのトップ戦線で長く活躍を続けている。
ヨードクンスックはタイ東北部スリン県出身の29歳、2016年にオムノーイスタジアム認定スーパーバンタム級王座を獲得、その後2017年のラジャダムナンスタジアム創立記念年興行でメーティー・ソージョートイペッドリュウを3RKOで下してラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王座も獲得した。長くスーパーバンタム級のトップ選手として活躍し、サミンダムやゴントラニー、ラムナムムーンレックといったトップ選手達と鎬を削ってきている。
パンチよし、蹴りよし、ヒジ・ヒザにも隙が無い、超一流のテクニックを持つコンプリートファイター。ベテラン選手とはいえ、2021年にはオートーコースタジアム認定フェザー級のタイトルも奪取、また今年1月には『THAI FIGHT』にも出場しブラジル人選手に完勝しており、業界では“過去の選手”といった認識ではなく、いまだトップの実力を持つヨード・ムエ(超一流選手)。
1R、互いにジャブ、ロー、前蹴りで探りを入れる両者。ヨードクンスックが早くも左フックを強打してくると、カイトは強い右ローを蹴る。ヨードクンスックが左ミドルを蹴れば、カイトも蹴り返す。しつこく右ローを蹴っていくカイトは左ミドルもヨードクンスックの右フックに合わせて蹴る。じりじりと前に出るカイトが右ストレートを3発当てて初回終了。
2Rはいきなりロープを背にするヨードクンスックが左ミドルハイ、顔面前蹴りを蹴る。カイトは左ミドルをキャッチすると左の縦ヒジ。右ローを蹴りつつ、右ボディストレートも打つカイト。左ヒザから左右フック、さらに右ボディストレートを打つカイト。前蹴りでもボディを攻める。左ミドルを蹴るヨードクンスックだが、パンチの打ち合いではカイトに分があるようだ。
3Rが始まると同時に首相撲の展開となり、カイトがヒジを打つ。その後もヒジとパンチで攻めていくカイトにヨードクンスックは足払いもカイトは崩れない。前に出てヒザを突き刺すカイトはヨードクンスックの左右ミドルをブロックして左ミドルを当てる。パンチで前に出るカイトにヨードクンスックは前蹴りと左ミドルで応戦も、カイトの左右フックをもらう。
4Rも前に出てヒジとヒザでロープを背負うヨードクンスックを攻めるカイト。左右の縦ヒジの乱れ打ちでヨードクンスックが流血し、ドクターチェックとなる。再開後、ヨードクンスックは左ミドルと左右フックで勝負を賭けるが、カイトもパンチとヒジ、ヒザで前へ出る。ヒザで入ってヒジにつなげるカイト。ここで2度目のドクターチェックに。ストップがかかり、カイトのTKO勝ちとなった。
カイトの腰には昨年の王座決定戦で逃したIMSA世界フェザー級王座のベルトが巻かれた。「今日はもうちょっとカッコよく勝つ予定だったんですけれど、もっと練習が必要だということに気づかされました。またタイでしばらくは活動することになると思いますけれど、年に一度はこうして名古屋で試合もします。ぜひ僕のことを覚えてくださってタイの方でも応援してくださると幸いです」とカイトはマイクで語った。