ムエタイ
レポート

【ONE FF】プラジャンチャイが人生無敗の男に初黒星を付け王座統一、スーパーレックが横綱相撲で完勝、ナバティが一撃KOで21戦無敗となり本戦契約もゲット、ペッタノンがラマザノフを圧倒TKO、パコーンが元ルンピニー王者ラフィを初回TKO、ヨードレックペットが削り合いを制して連敗脱出、坂口魁斗が好試合でシャンテン破る

2024/06/28 22:06
 2024年6月28日(金)タイ・ルンピニースタジアムにて『ONE Friday Fights 68』(U-NEXT配信)が開催された。  フライデーファイツシリーズだが、9月27日(金)の武尊(team VASILEUS)参戦大会と同じ「テントポール大会」として、ルンピニーの主軸大会のひとつとして行われる。 ▼第12試合 ストロー級 キックボクシング 世界タイトルマッチ 3分5R〇プラジャンチャイ・PK・センチャイ(タイ)[判定3-0]×ジョナサン・ディベラ(イタリア/カナダ)※プラジャンチャイが新王座に就く。  プラジャンチャイは元ラジャダムナンスタジアム認定フライ級王者、元ルンピニースタジアム認定バンタム級&スーパーバンタム級王者。ボクシングでもWBAサウスアジア・バンタム級&フェザー級王座に就いている。スピードがあり、ハイレベルなテクニシャンタイプのムエタイトップファイターの一人。  2021年7月のONE初参戦で、いきなりサムエーに挑戦して判定勝ちでストロー級ムエタイ世界王座に就いたが、2022年5月の初防衛戦でジョセフ・ラシリにTKO負けで陥落。2023年1月の『ONE Friday Fights 1』で再起戦を行い、コンペットに勝利した。6月にはサムエーをもKOして暫定王座に就くと、12月にラシリとの王座統一戦を初回KOでリベンジに成功し、王座返り咲きを果たした。戦績は340勝52敗3分。また、プロボクシングでも3戦3勝。  ディベラは格闘家だった父に2歳から教えを受け、極真空手の黒帯を取得。アマチュアキックボクシングで20勝(17KO)無敗、アマチュアボクシング6勝無敗の戦績を収めてキックボクシングのプロに転向すると現在までISKA北米王座やISKAインターコンチネンタル王座を獲得。GLORYにも出場した。ONEとは2020年に契約を結んだが、新型コロナウイルスの影響のため試合が出来ず、2022年6月にモントリオールでボクシングの試合に出場して判定勝ち、その1カ月後にはカナダのキックボクシングの試合で2R KO勝ちを収めた。  2022年10月にONE初参戦を果たすと、いきなりONE世界ストロー級キックボクシング王座決定戦に抜擢され、ジャン・ペイメンを判定で破り新王座に就いた。2023年10月にはダニエル・ウイリアムスを判定で破り初防衛に成功。しかし、4月5日の『ONE Friday Fights 58』での2度目の防衛戦前にハイドレーションテストの検体を提出できず、計量が許可されなかったためプラジャンチャイとの試合は中止、王座は剥奪となった。戦績は12勝(4KO)無敗。  1R、サウスポーのディベラがジャブを出しながら前へ出て左ロー、プラジャンチャイもサウスポーに構えて左ミドルを蹴り、オーソドックスに戻ると右ストレート。またもサウスポーに構えるプラジャンチャイは右ミドルを蹴っていくが、ディベラのスピードのあるパンチがプラジャンチャイを脅かす。ディベラのスピードあるパンチのコンビネーションが際立った。  2R、プラジャンチャイの右ミドルに左ストレートを返していくディベラ。プラジャンチャイはディベラのパンチにテンカオと右ミドルを合わせに行き、パンチの引き際には右ハイを蹴る。プラジャンチャイの左ローにはディベラが左ストレートを合わせる。ディベラのワンツーをガードしてヒザを突き刺すプラジャンチャイ。ディベラの蹴りはスネでガードするプラジャンチャイはヒザを巧みに当てていく。  3R、プラジャンチャイは右ミドルでディベラの左腕を蹴る。プラジャンチャイが蹴り、ディベラの蹴りはかわす。ディベラはジャブから左ボディストレート。ボディに狙いを絞ったディベラは左右でボディを叩いていくが、プラジャンチャイも右ミドルをボディに入れる。右ミドルをどんどん蹴っていくプラジャンチャイ。  4R、プラジャンチャイが左右フック、パンチからヒザにつなげていく。一瞬にして距離を詰め、ヒザを突き刺していくプラジャンチャイにディベラはパンチを出すことが出来ない。ディベラのワンツーには右ミドルを合わせ、ヒザを刺すプラジャンチャイ。完全にリズムに乗ったプラジャンチャイが、ディベラのパンチをほとんどもらうことなくヒザと右ミドルを当てていった。  5R、ディベラはジャブを突いて左ミドル、プラジャンチャイは右ミドルを蹴ってヒザにつなぐ。プラジャンチャイの右インローにバランスを崩すディベラ。プラジャンチャイが右ミドルを当て、ディベラが左ミドルを返すとプラジャンチャイはスネブロック。打ち合いになってもプラジャンチャイがパンチのヒットを奪う。  しかし、ディベラのワンツーがプラジャンチャイのアゴを跳ね上げる。プラジャンチャイは右ヒザを2発。プラジャンチャイにローをブロックされ、転倒するディベラ。打ち合いになるとプラジャンチャイがワンツーをヒットさせる。最後は余裕を見せてステップを踏んだプラジャンチャイ。  判定は3-0でプラジャンチャイが勝利、人生無敗の男に初黒星を付けた。ムエタイ王座とキックボクシング王座を統一したプラジャンチャイは「ベストを尽くした。出来るだけ長く防衛したい」と勝利者インタビューに答えた。 [nextpage] ▼第11試合 フライ級 ムエタイ 3分3R〇スーパーレック・キアトモー9(タイ)[判定3-0]×ゴントーラニー・ソー・ソンマイ(タイ)  2024年9月6日(日本時間7日)米国コロラド州デンバーのボール・アリーナ『ONE 168: Denver』にて、一階級上のONEバンタム級(-65.8kg)ムエタイ世界王者ジョナサン・ハガティ(英国)のタイトルに挑戦する、ONEフライ級(-61.2kg)キックボクシング世界王者スーパーレック。そのタイトルマッチ前哨戦として、ゴントーラニーと対戦する。  スーパーレックは、ルンピニーのフライ&バンタム級王座、WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王座のほか数多くのタイトルを獲得した名選手。2012年にはタイのスポーツ省が認定するムエタイMVPにも選ばれている。2017年6月、2018年8月と2度来日経験があり、ヤスユキにハイキックでKO勝ち、小川翔にヒジによるカットでTKO勝ちと圧倒的な強さを見せつけた。  ONEでは2020年7月大会でONEムエタイ世界フライ級1位にいたパンパヤックを判定3-0に破り、変わらぬ実力を発揮。2021年2月にイリアス・エナッシが保持するONEフライ級キックボクシング世界タイトルに挑んだが、判定3-0で敗れている。2022年の「ムエタイ・フライ級ワールドGP」では決勝へ進出するも、パンパヤックと両者が体重オーバーとなり、判定2-1で勝利するも優勝者は無しという珍事となった。2023年1月にダニエル・プエルタスに勝利してONEフライ級キックボクシング世界王者となり、3月にはダニエル・ウィリアムスをKOして初防衛に成功。  9月にはONEフライ級ムエタイ世界王座を懸けたタイトルマッチで王者ロッタンと対戦するはずだったが、スーパーレックが前日計量で体重超過したためキャッチウェイトでのノンタイトルマッチでロッタンと対戦。スーパーレックが2Rにヒジ打ちでダウンを奪い、判定3-0で勝利している。さらには2024年1月、ONE日本大会で武尊の挑戦を受け判定3-0で勝利、ONEフライ級キックボクシング王座の防衛に成功した。現在11連勝中。戦績は137勝29敗4分。  ゴントーラニーは2018年にラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王座、2022年に同ライト級王座に就いているサウスポー。サオトーとサオエークにも勝利し、2021年4月にギンサンレックに敗れるも2022年3月の再戦ではTKO勝ちで制している。2023年2月の『ONE Friday Fights 6』に初参戦すると、ギンサンレックを左フックでKOして返り討ちにし、その後はシャーゾット・カブトフ、内藤大樹、パルサ・アミニプール、シャリフ・マゾリエフ、そして日本でもお馴染みのジャオスアヤイを破り破竹の6連勝を飾っている。  1R、ゴントーラニーはサウスポー。両者とも前手で相手を触りつつ、右ローを蹴っていく。スーパーレックは左へ回り込みながら右フック。さらに回り込みながらの右アッパーからの左フック。ゴントーラニーは左ミドルを蹴る。スーパーレックは左手で相手の右手を抑えながら右ミドル。  スーパーレックに右ミドルを蹴られると、左ストレートを返そうとしたゴントーラニーだがこれは空振りに。ゴントーラニーの左フックをダッキングでかわしたスーパーレックは、身体を起き上がらせるとすかさず右ヒジ。ゴントーラニーは左ミドルを蹴って離れる。  2Rもスーパーレックは左へ回り込みながらショーとパンチを打つ。さらに右ミドル。左手でゴントーラニーのブロックを叩くと右縦ヒジを叩き込む。前へ出るゴントーラニーは左ミドルハイを蹴り、左ストレートにつなぐがスーパーレックを捉え切れない。ならばと首相撲持ち込んだゴントーラニーが左ヒジ。  離れるスーパーレックは左フックから右ヒザ。右ミドルハイを蹴ると右の縦ヒジでゴントーラニーを転倒させる。圧をかけるスーパーレックにゴントーラニーは左フック。スーパーレックは右ストレートを打ってそのまま右ヒジ。ワンツーの連打から右ハイを2連発。インから右ストレートをねじ込んでいくスーパーレック。  3R、スーパーレックは左手でゴントーラニーの右手を抑えながらの右ストレート、右ハイ。ゴントーラニーは左ミドルを蹴るが、そのリターンに右ストレートをもらってしまう。前に出るスーパーレックが右ヒジ。スーパーレックは三日月蹴りのような右ミドルを何発も蹴る。前に出るゴントーラニーが左ミドルを蹴るが、目立ったヒットを奪うことはできない。スーパーレックは右三日月を蹴り続けて下がり、ゴントーラニーに逆転のチャンスを全く与えずに試合終了。  判定3-0でスーパーレックが横綱相撲で完勝した。リングサイドで観戦していたロッタンに「明日会おう、サッカーやろうぜ」と笑いかけるスーパーレック。ハガティに対して「お前にとって簡単な試合にはならないぞ」とメッセージを送った。 [nextpage] ▼第10試合 バンタム級 ムエタイ 3分3R×スーブラック・トー・プラン49(タイ)[1R 1分54秒 KO]〇カムラン・ナバティ(ロシア)  スーブラックは2023年6月の『ONE Friday Fights 20』で初参戦。タンヌンウンに2RでKO勝ちすると、8月にイタリアのレニー・ブラジに3RでTKO勝ち、9月に鈴木真治にKO勝ち、12月にクレイグ・コークレイにKO勝ちと4連続KO勝ち&3連続ボーナスの激闘男で人気がある。2024年1月にFight Nightで本戦初登場するとステファン・コロディに判定勝ち、4月にはウラジーミル・クズミンにも判定勝ちとONEでの戦績は6戦全勝(4KO)。  ナバティはアマチュアムエタイのIFMA世界選手権や欧州選手権で金メダルを獲得し、ロシア・ムエタイカップでは5度優勝。『RCCフェアファイト』を主戦場として同団体のフェザー級トーナメントで優勝。同タイトルは2度の防衛に成功した。  2023年9月の『ONE Friday Fights 35』に初参戦するとポンシリ・PK・センチャイに判定勝利。2024年3月の2戦目もアバター・PK・センチャイにTKO勝ちと連勝。5月にはクラップダムとの対戦が決まっていたが中止となった。戦績は20勝(7KO)無敗。  1R、ナバティはサウスポーのスーブラックに対して左へポジショニング、右でボディを打って行く。前手を伸ばしてけん制するスーブラックだが、ナバティは素早く距離を詰めて右ボディストレートを入れる。軽快なステップを踏むナバティはジャブ、右ミドル。スーブラックが左フックを打ち返してくるとそれをかわして左フック一閃。スーブラックは吹っ飛ぶようにダウンし、一撃KO勝ちとなった。  21戦無敗をマークしたナバティは「誰とでも戦える準備は出来ている。ノンオー、俺と戦おう」と話し、35万バーツのボーナスを受け取ると、10万ドルの本戦契約も手にした。 [nextpage] ▼第9試合 バンタム級 キックボクシング 3分3R〇ペッタノン・ペットファーガス(タイ)[2R 1分15秒 TKO]×アラヴァディ・ラマザノフ(ロシア)  ペッタノンは358勝56敗1分という驚異的な勝利をあげている36歳のベテランムエタイ選手。7歳からムエタイを始め、14歳でラジャダムナンとルンピニースタジアムのメインイベントを務めるほどに成長。THAI FIGHTやSUPER MUAYTHAIなどで数多くの外国人選手との試合経験を積み、2016年6月と2017年8月の2度、Kunlun Fightで大和哲也に勝利している。  2012年にWMC世界-66kg級王座、2015年にIPCC世界ムエタイ67kg級王座に就き、2017年Enfusion -67kgトーナメント優勝、2018年武林風World Cup -67kg優勝、2019年武林風ワールドカップ -67kg準優勝などの実績を持つ。2020年9月のONEデビュー戦でカピタンに開始わずか6秒でKO負けを喫したが、2021年9月にジャン・チェンロンから勝利を収めると2022年11月にONEキックボクシング世界バンタム級王者・秋元皓貴に挑戦して判定2-1で王座を奪取。  しかし、試合後に禁止薬物の陽性反応が出たためタイトルは剥奪、1年間の出場停止処分を受けて今回が復帰戦となる。38歳。  ラマザノフは、国際アマチュアムエタイ連盟(IFMA)の世界王者に3度輝くと18歳でデビューして連勝を重ね、2018年10月、ONEスーパーシリーズでONEデビュー。ルンピニースタジアムの二階級王者で、後のONEムエタイ世界フェザー級王者のペットモラコットからダウンを奪う判定勝利。2019年12月には、ジャン・チェンロンと「ONEキックボクシング世界バンタム級王座決定戦」を戦い、右ストレートでダウンを奪う判定勝利で戴冠した。  2021年1月にカピタンにKO負けで王座陥落も、2022年9月の再戦ではスプリット判定でリベンジを果たした。2023年1月のONE Friday Fightsではノンオーの持つONEムエタイ世界バンタム級王座に挑戦もKO負け。3月のマブルド・ツピエフで連敗を喫したが、2023年9月にアレッサンドロ・サーラを初回KOし、再起を飾った。  1R、前に出るのはサウスポーのペッタノン。独特のステップを踏むラマザノフは長いリーチからジャブ、右ストレートを放ち、ペッタノンはそこにカウンターを合わせに行く。ラマザノフが右ローを蹴るとペッタノンは左ミドル。飛び込んだラマザノフの右ストレートがヒットし、左フックもヒット。ペッタノンは左ストレート、左ミドルで再び前へ出ていく。  2R、バッティングがあり、頭部を気にするラマザノフだがレフェリーは試合続行を要求。前に出るペッタノンが左ストレート、ラマザノフは右ストレートを返す。ペッタノンはボディも打ち、顔面へとつないだかと思えば左ローを蹴る。 ペッタノンの左ミドルを右足を上げてスネで受けたラマザノフだが、ここから前へ出るペッタノンが一方的に攻める展開となり、ラマザノフは防戦一方に。ラマザノフは戦意喪失で背を向けてしまい、足を気にして戦わないためレフェリーはカウントを数え、ラマザノフが試合を続行する意思がないと見てストップした。  ペッタノンが圧倒的な強さで復帰戦を勝利で飾った。 [nextpage] ▼第8試合 フェザー級 ムエタイ 3分3R〇シャドウ・シンハ・マウイン(タイ)[判定3-0]×ジミー・ビエノ(フランス)  シャドウはラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級王者。同タイトルは2022年2月にフリオ・ロボと王座決定戦を行って勝利し、手にしたもの。2022年にはラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)のウェルター級リーグ戦で優勝。2024年2月のFriday Fightsに注目の初参戦を果たしたが、マムカ・ウスビャンに判定負けを喫した。4月はエリック・ヘアーにダウン寸前まで追い込まれるも、右ハイキックで逆転TKO勝ち。  ビエノはアマチュアムエタイを経て2013年にタイでプロデビュー。ペッブンチュー、シンマニーらムエタイトップファイターらとの対戦を経験し、2019年4月には外国人として4人目のルンピニースタジアム王者に就いた。2016年にはWPMF世界王座(-72.5kg)、2017年にはWBCムエタイ世界王座(-72.5kg)、2018年にはWMC世界王座も獲得するなど、フランス人ムエタイ選手としてトップの地位を築く。  ONEには2022年5月に初参戦してペットモラコットの持つONEムエタイ世界フェザー級王座に挑戦したが、判定2-1で惜敗。10月のニコラス・ラーセン戦では勝利したが、ONEにはこの試合以来の出場となる。前戦はフランスでユセフ・アソウイクに判定で敗れた。また、2021年9月にはUAEウォリアーズ22でMMAデビューも果たし、ダニエル・ドンチェンコに勝利。185cmの長身を誇る。  1R、圧をかけていくのはサウスポーのビエノ。シャドウは右ロー、右ハイを蹴るが、ビエノはスウェーでかわす。シャドウの蹴り足をキャッチしての見事なコカしも見せる。左ストレートをボディと顔面へ伸ばすビエノに、シャドウも右ストレートを返す。左ミドル、左ストレートを打つビエノにシャドウも右ストレートを返す。  2Rになるとシャドウが前へ出ていき、右ミドルをヒットさせていく。ワンツーを返すビエノだが、すぐにシャドウが右ミドルでビエノの腕を蹴る。さらに左フックから右ストレート、右縦ヒジを打つシャドウ。前へ出るシャドウにビエノも下がらずヒジを打ち合う。 シャドウの強烈な左ヒジがヒット、すかさず左ストレートを打つシャドウ。どんどん前へ出て首相撲を混ぜながら左ヒジを当てていくシャドウにビエノは下がる。首相撲に疲れを見せるビエノにシャドウは右ボディストレートを突き刺す。シャドウの右ボディストレートに身体をくの字にさせるビエノ。  3R、ビエノのワンツーにシャドウが右ストレートを返すとこれがクリーンヒット。大きく後退するビエノにシャドウが詰め、右ボディストレートとヒジ、さらに首相撲で削る。 ブレイクになるとすぐに前へ出て首相撲&ヒジで攻めるシャドウ。左ボディからの右ストレート、さらにヒジで前へ出るシャドウにビエノもワンツーを返すが力が感じられない。完全に疲労したビエノにシャドウは前へ出て左右ミドル、右ストレート、そして首相撲。  シャドウが前半の劣勢を盛り返す底力を見せ、判定3-0で勝利を収めた。 [nextpage] ▼第7試合 バンタム級 ムエタイ 3分3R〇パコーン・PK・センチャイ(タイ)[1R 2分15秒 TKO]×ラフィ・ボーヒック(フランス)  パコーンは9歳からムエタイを始め、2008年にラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級王座、2013年にタイ国プロムエタイ協会ライト級王座、2014年にルンピニースタジアム認定ライト級王座、同年にはWMCライト級王座とYOKKAO -65kg級王座も獲得。さらには2016年にWKU世界-67kg世界王座とThairathTVのウェルター級王座、2017年にフェニックスファイティングチャンピオンシップ王座、2022年にはBOMウェルター級王座とWPMF世界ウェルター級王座も獲得。  2013年にはタイ・スポーツ局が選ぶMVPにも輝いた。2022年からはエイワスポーツジムにてトレーナーとして吉成名高や品川朝陽ら日本人選手を育成しながら選手活動も行い、ムエタイのみならずK-1でも2023年3月に第7代Krushスーパー・ライト級王者の鈴木勇人、6月に第8代Krushスーパー・ライト級王者の佐々木大蔵に連勝している。2024年3月にはアリ・ビーストを初回TKO。戦績は193勝(8KO)45敗5分。  ラフィはサバットからムエタイに転向し、2012年からタイのシンパトーンジムに所属してムエタイを学んだ。2014年2月にMAXムエタイ -67kg世界トーナメント優勝、2016年5月にWBCムエタイ世界スーパーライト級王座奪取、そして2017年6月にはポンシリ・PKセンチャイムエタイジムを判定で破り、ルンピニースタジアム認定ウェルター級王座を奪取した。タイ人以外でルンピニーの王座に就いたのは、ムラッド・サリ、ダミアン・アラモスに次いで史上3人目の快挙。  同王座はノンタイトル戦でKO負けしたため剥奪されたが、2017年12月の王座決定戦で勝利して取り戻す。その後は4度の防衛に成功。ONEには2023年4月の『ONE Friday Fights 12』で初参戦し、タパオカオ・シンマウィンに判定勝ち。しかし、2023年7月のクラップダム戦がアイポークによる無効試合となってからは、ONEで2連敗を喫している。戦績は83勝(37KO)27敗1分1無効試合。  1R、右ローの蹴り合いからスタート。ラフィの右ローにパコーンはジャブを合わせに行く。ラフィは右カーフも蹴り、パコーンの右足を狙い撃ち。パコーンはステップを踏んで右ストレートを打ちながら前進。ひとまわり大きいラフィに左フックをヒットさせると、ラフィの右目に当たったかラフィが目を抑えながら後退。  このチャンスを見逃さなかったパコーンが一気に前へ出て、ラフィの右ミドルをキャッチすると払ってバランスを崩しながら右フック。ラフィがダウンし、即座にレフェリーがストップ。パコーンが元ルンピニー王者を全く問題にせず勝利した。  パコーンは35万バーツ(約150万円)のボーナスも手にした。 [nextpage] ▼第6試合 バンタム級 ムエタイ 3分3R×シブムン・シッチェブンタン(タイ)[判定1-2]〇タイソン・ハリソン(豪州)  シブムン・シッチェブンタン=シップムーン・シットシェフブンタムは2017年5月に当時ラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王者だったT-98に挑戦、判定勝ちで王座を奪った。また、緑川創とは2度対戦して1勝1分(ラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王座決定戦で勝利し、2度目の王座に就いている)、日菜太にはKO負けを喫した。  一時は引退してYouTuberとなり150万人の登録者がいたが、2022年に現役復帰。『ラジャダムナン・ワールド・シリーズ』のスーパーウェルター級リーグ戦で準優勝を飾った。戦績は78勝(26KO)23敗2分。ONEには2023年9月に初参戦したが、ミゲル・トリンダージに初回KO負けしている。  対戦相手のタイソン・ハリソン(豪州)はセーンティアンノーイジムを拠点とし、タイで試合を積んでいるオーストラリアの新鋭選手。左右ミドルを主体として前へ出て、左手を伸ばして首を捕まえに行く典型的ムエタイスタイルでありながら、右ストレートからヒジ&ヒザで畳み込むアグレッシブさを兼ね備えているタイプ。一部ではジョン・ウェイン・パー二世との呼び声もある期待の若手だという。  ONEには2023年1月の『ONE FRIDAY FIGHTS 1』から参戦。セクサンと判定2-1の激闘を繰り広げると、『11』では来日経験もあるランボー・モー・ラッタナバンディットをKO。『18』のポンシリ・PK・センチャイ戦では判定で敗れるも、『27』のタパオガオ・シンハ・マウイン戦では初回KO勝ち。2023年9月にはクラップダムに初回TKO負けとなった。  1R、ハリソンはどんどん前へ出て圧をかけていく。サウスポーのシブムンは下がりながら左ミドル、左ボディストレート。ハリソンはワンツーを繰り出し、シブムンは左ローを蹴る。ハリソンがバックスピンエルボーを放つとシブムンも負けじと右ヒジ。 どんどん前に出てくるハリソンだが、シブムンはしっかりとパンチやミドルを当てていく。ハリソンは左ボディ、右ボディ。シブムンも負けじとヒジ、左ストレート。長いリーチから繰り出されるハリソンのワンツーにのけ反るシブムン。  2Rも前に出てくるハリソンがロープを背負ったシブムンに右ヒジを繰り出すが、シブムンも強気に打ち合う。シブムンは左ミドルを蹴ってはすぐに右手を伸ばしてハリソンが入れないようにする。シブムンは首相撲からのヒザも使ってハリソンを削っていく。 圧が弱まってきたハリソンだが、それでも右ボディストレートを打つ。シブムンはハリソンが近付いてくると左ストレートと左ヒザでけん制し、首相撲に持ち込んでのヒザ蹴り。  3R、右ストレートで突っ込んだハリソンが、コーナーを背にしたシブムンへバックスピンエルボー。これが効いたか、シブムンは防戦一方となったが、すぐにヒジで逆襲。さらに左ボディストレートを突き刺すとハリソンの前進がさらに弱まる。ハリソンが近付くと首相撲からのヒザ、離れれば左ミドル。 下がって距離を保ち、左ミドルを蹴るシブムンにハリソンは再びバックスピンエルボー。シブムンは左ミドルだ。残り10秒、お互いに笑顔で手を挙げて勝利をアピールした。  判定は2-1と割れ、ハリソンが大接戦を制した。 [nextpage] ▼第5試合 キャッチウェイト (140 LBS) ムエタイ 3分3R〇ヨードレックペット・オー・アトチャリア(タイ)[判定3-0]×コムアウット・FAグループ(タイ) “ザ・デストロイヤー”ことヨードレックペットはラジャダムナンスタジアムでライト級(2015年と2017年)とスーパーライト級(2021年)の2階級制覇、ルンピニースタジアムでも2017年にライト級王者となり、2大スタジアム王座を同時に保持した。2015年12月にラジャで梅野源治と対戦してTKO勝ちしたが、2016年10月の日本での再戦では判定で敗れラジャ王座を奪われた。2018年4月のKNOCK OUTでは初代王者・森井洋介にTKO勝ちしてKNOCK OUTライト級王座を奪取。同年にはタイのスポーツ界で権威のあるサイアムスポーツ社認定のタイ・スポーツ大賞のムエタイ部門でMVPを獲得している。  ONEには2023年7月の『ONE Friday Fights 2』から参戦し、シルビュー・ヴィテズにTKO勝ち、『9』でサマン・アシュリをKO、『17』でもデニス・ピューリックにTKO勝ち。『25』のジョーダン・ゴッドフレッドセン戦では判定2-1で苦戦を強いられて勝利。その後はムアンタイ、タギール・カリロフに連敗を喫している。88勝35敗3分(KO数は不明)。  1R、サウスポーのヨードレックペットは右ロー、コムアウットは左ローを蹴っていく。しばらくローの応酬が続き、ヨードレックペットは左ボディストレートも打つ。ヨードレックペットの左ミドルにコムアウットはしつこく左右ロー。左右フックも使うが、コムアウットは徹底して左右ローを蹴っていき、ヨードレックペットがローを蹴ると右フック、右ヒジ。ヨードレックペットは左右フックからの左アッパーも。  2R、ヨードレックペットが左ローを蹴ると細かく連打を返すコムアウット。さらに右ロー。負けじとヨードレックペットもワンツー・左アッパーと左ロー。コムアウットの重い右ミドルが決まる。ヨードレックペットがジャブから右アッパーを打てば、コムアウットは右ストレート。 前に出るコムアウットにヨードレックペットも下がらずその場で打ち合う。至近距離でパンチとヒジを打つ両者、ヨードレックペットはボディやアッパーを交えてパンチのコンビネーションを多用する。前に出て右ミドルと右ストレートを交互に放つコムアウット。後半はコムアウットの手数が目立った。  3Rが始まってすぐ、前手を伸ばしたヨードレックペットの指がアイポークになり、試合は中断。ヨードレックペットの左ミドルにコムアウットは右ストレートを返し、前へ出てパンチで攻めるとヨードレックペットも左フック。前に出て手数を多く出すのはコムアウット。ヨードレックペットは左ボディ、左アッパー。コムアウットが左ヒジを打ったところで、ヨードレックペットが左アッパーの3連打。 これにコムアウットがグラつきながら下がっていく。大チャンスに詰めるヨードレックペットが左ボディ、右フック、左アッパーで攻めるが深追いはしない。コムアウットは右ミドルで応戦し、じりじりと詰めるヨードレックペットは左ボディから右フック。コムアウットが右ミドルを蹴ってヨードレックペットの一方的な展開にはさせず試合終了。  判定3-0でヨードレックペットが勝利し、連敗から脱出した。 [nextpage] ▼第4試合 キャッチウェイト (132 LBS) ムエタイ 3分3R×ポンペット・PK・センチャイ(タイ)[1R 2分52秒 TKO]〇スリヤンレック・ポー・イェンイン(タイ)  スリヤンレックはラジャダムナンとルンピニーの2大殿堂でランキングに名を連ねたほか、タイのテレビマッチである『ワンソンチャイ』フェザー級王者の肩書を持つ。パンチを得意とするハードパンチャーで、激闘派ファイターとして名を馳せ、2019年12月のK-1名古屋大会に初来日では当時K-1スーパー・バンタム級王者の武居由樹と対戦。合計3度のダウンを奪われて判定で敗れるも、そのたびに立ち上がって武居に反撃。3R終盤には猛反撃に出て武居をヒヤリとさせた。2020年2月にも再来日したが、軍司泰斗に判定で敗れている。ONEには2023年7月の『ONE Friday Fights 25』から参戦し、2024年3月まで4勝2敗。  両者は3月に対戦し、ダウン応酬の末にポンペットが判定勝ちしている。この試合は両者ボーナスが出るほどの激闘だった。  1R、じりじりと前に出るのはスリヤンレック、ポンペットは右ローと左ミドルを蹴る。ポンペットの強烈な左ミドルにスリヤンレックは右ボディストレートを返す。ミドルを多用するポンペットに対し、パンチで攻めるスリヤンレックが右ストレートをヒットさせる。  これにロープを背負ったポンペットが左フックを返し、右フックでスリヤンレックをグラつかせる。しかし、今度はスリヤンレックが右ヒジでポンペットをグラつかせ、足を止めての激しい打ち合いに。ヒジも混ぜながら打ち合う両者に場内もヒートアップ。  思い切り右フックを振り回すスリヤンレックは、右ボディを打ってからの右フックを直撃。ポンペットは眠るように倒れ、レフェリーが即座にストップ。スリヤンレックがKOでリベンジした。スリヤンレックは今回もボーナスを獲得した。 [nextpage] ▼第3試合 キャッチウェイト(132LBS)キックボクシング 3分3R×ラン・シャンテン[判定0-3]〇坂口魁斗(立志會館)  魁斗こと坂口は立志會館・坂口立起館長の実子で“西の天才”と評されているシュートボクシングのテクニシャン。2020年2月に笠原友希に惜敗するまでは負けなしの8連勝を記録していた。同年11月には兼田将暉にRKSスーパーフェザー級タイトルマッチで勝利、2021年7月には門口佳佑からも勝利を奪った。同年10月にHOOST CUP日本フェザー級王座を獲得すると、RISEで梅井泰成、安本晴翔をも破り2023年10月に門口とRISEフェザー級タイトルマッチで対戦したが判定で敗れた。前戦は元Krush王者の新美貴士とドロー。戦績は14勝(1KO)4敗1分。  シャンテンは2020年GLORY OF HEROES -57kg級トーナメント優勝、2021年WLF武林風-57.5kg級トーナメント準優勝、2023年中国キックボクシング選手権-57kg級第3位などの実績を持ち、2023年12月のK-1に初来日。金子晃大と対戦し、判定負けも善戦した。  1R、好戦的に前へ出てきてワンツーを打つシャンテンに坂口はジャブで迎え撃つ。互いに右カーフを蹴り、パンチにつなぐ。シャンテンはインファイトを仕掛けて至近距離で左右フックを回転。坂口もコンビネーションとテンカオで迎え撃つ。シャンテンはかなり荒々しく左フックを打ってから左右を回転、坂口もジャブを当てて右ストレート、左フックもヒットさせた。  2Rもワンツー、左フックで攻める坂口はシャンテンの前進に合わせてテンカオを突き刺していく。ジャブと右ストレートで距離をとる坂口だが、シャンテンの左インローを急所にもらってうずくまる。再開後、次々と右テンカオを突き刺していく坂口。シャンテンも思い切り左右フック、左ボディを叩きつけてくる。 至近距離での打ち合いで右ストレート、右フック、左ボディの坂口。右ストレートからの左フックでシャンテンの頭が跳ね上がると、攻勢を仕掛ける坂口はスーパーマンパンチもヒットさせる。さらも右カーフでシャンテンが大きくよろめくと右カーフを連打する。  3R、シャンテンはサウスポーになり、左ミドルを連打。しかし、オーソドックスに戻るとすかさず坂口がヒザ蹴り、右カーフ。シャンテンはバックハンドブローを放つが空振り。坂口が左フックの連打から右カーフ、シャンテンは大きくよろめくが倒れない。右ストレートで逆襲するシャンテンに坂口はワンツーから左ボディ。さらに右ストレートから左ヒザ。右フックやストレートも何度もクリーンヒットさせる坂口だが、シャンテンは最後まで耐え抜いた。  判定3-0で坂口が激闘を制した。 [nextpage] ▼第2試合 ONEストロー級 MMA 5分3R〇若林耕平(日本)8勝1敗1分[判定2-1]×サンラン・ガーシー(中国)14勝3敗 [nextpage] ▼第1試合 キャッチウェイト(143LBS)ムエタイ 3分3R×上野優翔(team NOVA)[1R 2分05秒 KO]〇橋本亮汰(NEXT LEVEL渋谷)  優翔こと上野優翔はタイに住み、ムエタイの本場で練習と試合を重ねて2023年11月にKNOCK OUT初参戦。オープンフィンガーグローブマッチで元WMC世界&WPMF日本スーパーバンタム級王者の鷹大をテンカオでKOに葬ってみせた。戦績は28勝(6KO)10敗。  テレカ∞こと橋本はKrush、NO KICK NO LIFE、Bigbang、REBELSなど様々なリングに出場。2023年12月にはKROSS×OVER KICKライト級王座に就いた。  1R、上野が右ミドルハイ、左ミドル、左ローと蹴りを多用。橋本はジャブを伸ばして右ロー。上野は長いリーチで橋本のローに左ロングフック。橋本は右ローを蹴っていき、上野はジャブと左ミドル、前蹴りで距離を取る。  落ち着いた様子で蹴りを放っていく上野にじりじりと間合いを詰めていく橋本。左ミドルと前蹴りで距離を詰めさせない上野だが、橋本は飛び込んでの左フックをヒットさせる。続いて、橋本はローの蹴り合いから伸びるジャブ、そして右フックを打ち抜くと上野は真後ろにバッタリと倒れ後頭部を強打。橋本が一発KO勝ちを飾った。
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