パントーハに対しての自分の強味は、僕のレンジとアングルだ
──強い組み技と柔術があるから、スタンドでもあの距離で戦える。そして抜群のディフェンススキルがある。3月のフライ級9位のマット・シュネルとの試合では、フィニュシュの左フックの前に、シュネルの左をかわして、右ボディストレートからの左フックでした。あの攻防、コンビネーションはいつも練習している賜物でしょうか。
「いつも顔面とボディはミックスするようにしているよ。格闘技をして、ボクシングをもっと深く学んでいくと顔面ばかり狙っていたら相手のディフェンスが安易になるし上手くディフェンスされるだろ? だからガードを開かせる為にも顔面やボディで変化をつけながら、ガードの腕を上下させるようにしている。全てをディフェンスする事は無理だからね。それが自分にはすごく合ってるんだ」
──そしてあなたには、長い蹴りと柔術もある。今回の対戦相手のパントーハの打撃は、MMAらしいパワフルな左右に、蹴ることもできて、首相撲ヒザもあります。それに対し、エルセグ選手の強みをどう感じていますか。
「パントーハに対しての自分の強味は、僕のレンジとアングルだと思う。彼が大きくワイルドな打撃を打って来ても、自分は自分の距離を保てるし、僕のスペースまで動かせてそこで仕留められるはずだ」
──そしてあなたも柔術黒帯です。UFC入りを決めたEternal MMAでの最後の試合、平井聡一郎戦でも相手の最初のテイクダウン狙いを切ってバックを奪い、リアネイキドチョークを極めました。長い手足で首系のサブミッションも多いですが、寝技の部分でも後手に回らない自信もありますか。
「もちろん。あの試合は国際戦だった事もあってちょっと緊張していた。だからどうなるか想定できなかった、もちろん勝つつもりだったけど。そういった状況の中で自信も身につけたし、これまでタフな試合を色んな海外の選手と経験を重ねてきて、その自信は更に増していると思う。今回のブラジルでパントーハを相手に、このレベルでも戦えるんだって自分を信じる事ができる」
──ズバリ、どのような試合になりますか?
「そうだね、厳しい戦いになるとは思う。かなりやりあう形になって、最終的には“どっちがもっと勝利が欲しいか”って事になると思う。そしてそれは僕の方が求めている。最終的に判定になるだろうけど、自分が勝つと思っている」
──そういえば、あなたはオージーボール、AFLのベン・カズンズをヒーローとしているそうですね。様々なトラブルを乗り越えた彼はいまスポーツニュース記者として活躍しているとか。なぜ、カズンズを挙げたのですか。
「一番の理由は、自分がまだ若かった時にフットボールをしていたんだけど、好きな選手を探していたのもある。試合を見ていた時、父親がベンがフィールドで吐いているのを指さして『あの吐いている選手が見えるか? あれは自分をそれだけハードに追い込んでるからなんだぞ。フットボールをやるなら、あれくらい自分を追い込まないといけない』と言われたんだ。そこからだ。彼が献身的に頑張る姿と、もちろん彼の上手さも。それがヒーローになったきっかけだと思う」
──強い心と献身といえば、あなたは「アストロボーイ(鉄腕アトム)」とも呼ばれていますね。
「コーチと当時の彼女がつけたニックネームなんだ。もう少し若い時は似てるところもあったと思う(笑)。彼は控えめな(Unassuming)ヒーローだろ? だから、うん、やっぱり少し似てるんじゃないかな」
──日本に来たことも?
「ないけど、夢のひとつだよ。もちろん昔はPRIDEをすごく見ていたし。だから日本で戦いたいとも思っている。観客も素晴らしいらしいしね。人生に一度くらいは体験してみたいよね」
──フライ級には日本にもUFC5連勝中の平良達郎選手がいます。どんな印象を持っていますか。
「あぁ、とてもいい選手だよね。特にグラウンドゲームが強い。グラウンドになると強さを発揮する。ティム・エリオットにどう対応するかすごく楽しみだったけど、代わったジョシュア・ヴァンも強豪だから楽しみだ。彼の試合はいつも見るのを楽しみにしているよ」
──日本のファンへメッセージを。
「いつも応援ありがとう。『UFC 301』で戦います。そしてリオ・デ・ジャネイロで戦争のような戦いを見せます。楽しんでください!」