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2023年12月31日(日)さいたまスーパーアリーナ『RIZIN.45』のコ・メイン、68.0kg契約(5分3R)で、フアン・アーチュレッタ(米国)を2R 3分20秒、右ヒザ蹴りからのパウンドによるTKOで下して、RIZINバンタム級王座に返り咲いた朝倉海(JAPAN TOP TEAM)が、試合後のインタビューに応じた。
対戦相手の2.8kgの体重超過による68kg契約試合、大晦日に勝てないジンクス、兄の敗北──さまざまなプレッシャーのなかで朝倉は、それでもジャパントップチームに招聘したスパーリングパートナーやコーチをセコンドに、万全を期して、大一番に臨み、見事ベルトを腰に取り戻した。
ボディに突き刺したフィニッシュについて、「もともと狙っていたというのと、戦いの中でリズムを掴んでいったので、多分このタイミングでヒザが入りそう、というところで出しました」と振り返った朝倉。
試合後の会見では、本誌インタビュー通り、あらためてUFC挑戦の目標を掲げ、「フライ級も行けると思っていて。今回も実際に本格的な減量始めたのは1週間前だったんです。フライ級も作れると思うのでそっちで挑戦するかもしれない」と、かつての階級に戻しての海外挑戦も視野に入れていることを明かしている。
また朝倉の要望を受け、榊原CEOは、「行きたい気持ちを僕は止める気持ちはない」とし、過去にRIZINを窓口にUFCに選手を送り出した例も挙げながらも、「ただUFCが受け入れるかどうかという問題はもちろんあります。それがUFCでなくてはいけないのか、BellatorやPFLとも建設的なフレンドリーな関係が続いていますし、ベルトを防衛していく道も並行して進められるような、視野を広く年明けに話をしてみたい」と語っている。
UFCではフライ級で挑戦するかもしれない
──朝倉海選手、RIZINバンタム級王座戴冠、おめだとうございます。試合後の率直な感想をお聞かせいただけますでしょうか。
「もう、ホッとしてます。ひと安心です。それだけです」
──再びベルトを奪還した感想は?
「とにかく、良かったなあと。本当にすごい重圧のなかで戦ったので、正直プレッシャーもあったし、大晦日に今まで勝てなかったというのもあったし、自分で自分を越えなきゃいけないというのがあって、それを達成できてとにかく良かったなと思います」
──対戦相手の体重超過もあり、今回アーチュレッタ選手に対して感じたことは?
「とにかくデカかったなと。デカすぎじゃないですか? 対峙してみてパワーはすごくありましたし、パンチが思ったよりノーモーションでかつ、すごく伸びてきて、自分のなかでここなら当たらないだろうというところで結構当たってしまい、久々に結構パンチを受けてしまったなという。とにかく、強かったです」
──試合を終えたばかりですが今後の目標や展望があれば教えてください。
「ちょっと今後は海外に挑戦するのか、ベルトを防衛するのか、それを含めてRIZINの榊原さんとも話し合って決めたいと思います。僕の中では来年は海外にチャレンジしたいという気持ちを持っています」
──お兄さんには直接報告しましたか。
「僕のなかでは試合で見せてマイクで伝えようと思っていたので、試合後に話したのがすべてです。とにかく僕たち兄弟は絶対に世界のトップを獲れると信じてるし、兄貴にもマジで頑張ってもらって、またモチベーション上げて一緒に頑張りたい気持ちが強かったので、伝えました」
──今回ジャパン・トップチーム(JTT)は3勝(朝倉海、ヴィンス・モラレス、ヒロヤ)となりました。これについていかがですか。
「最高ですね。最高な日です。でもやっぱり本当に今ものすごくいいジムになっているんですよ。“ジャパントップチーム”と言っても恥じないくらいいい環境ができています。優秀なコーチが集まってくれて、選手が集まっていて、本当に今なら絶対に世界のトップを狙えると思っています」
──相手の体重超過で、朝倉海選手のメンタルが心配だという声が多かったです。実際はいかがでしたか。
「メンタルは、結構キツかったですね、正直。昨日から本当に試合が決まるかどうかも分からなくて、朝起きても決まってなくて。お互いに、僕的には“(当日戻し体重は)何Kgまでにしてほしい』というお願いはしていたけど、本当に落としてくるかも分からず、“どうなるんだろう”という不安はありました。まあ、ただ僕の中では、たとえアーチュレッタが何キロでも戦う気でいました」
──コーチからは「危ないから止めた方がいい」と?
「コーチはもう絶対にダメだって。67kgくらいじゃないとダメだと言っていたんですけど、僕はやりたいっていう気持ちがずっと強かったので、なんとか成立させてもらいました」
──今回メンタル的な部分で相手の体重超過もそうですが、“大晦日に勝てないジンクス”みたいなものもあったり、朝倉未来選手の試合前の敗戦だったり、そういったプレッシャーもあったのではないでしょうか。
「全部含めてすごくプレッシャーではあったんですけど、それが逆に僕の中では力に変わったなと終わって見て感じます。兄貴のこともだし、僕のために世界中から集まってくれるトレーニングパートナーだったりコーチだったりが、本当に僕のために人生を懸けてくれてる。ずっとファイトキャンプも全力でサポートしてくれて、その人たちのために勝ちたいという気持ちを強く持っていました」
──その意味でも「試合をしない」という選択は絶対、無かったと?
「絶対ではないけど、僕の中でやると決めていました」
──アーチュレッタ選手は、体重超過によるレッドカードの50%減点もあり、打撃を中心に戦いにきました。減点もあってフィニッシュにいくしかなかったということでした。海選手としては打撃で来てくれたほうが倒しやすかったですか。
「それはそうですね。でもどっちにしても対策はしっかりできていました。アーチュレッタが得意なレスリングの攻防になるとしても絶対に対応できる準備はしていたので、そこに自信は持っていました。どの展開でも勝つ自信はありました」
──アーチュレッタ選手は先ほど減量失敗の原因を教えてくれたのですが、ご存じでしたか。
「何も知らないですよ、教えてください。何でですか」
──風邪と胃腸炎にかかって減量が上手くいかなかったというようなことでした。
「ああそうだったんですか。僕にはそれは全然聞かされてなかったです」
──それでも最後に相手に感謝していると言えたのですか。事情を知っての言葉だったのかと思いました。
「事情は、知らなかったです」