アッパーを突き上げられ、倒れたくても倒れられない状態でパンチを浴び続けたハウィリ(C)RWS
名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)の外国人史上初となるラジャダムナン3階級制覇が達成された、2023年12月23日(土)タイ・ラジャダムナンスタジアムで開催の『Rajadamnern World Series』(RWS)。
その名高のタイトルマッチ前に行われた試合で、危険すぎるKOがあった。問題の試合はスーパーウェルター級のタナンチャイ・シッソンピーノン(タイ)vs.マーウェン・ハウィリ(チュニジア)。タナンチャイは185cmの長身を誇り、“細身の死神”という異名を持つ選手でRWS世界スーパーウェルター級リーグ戦優勝者だ。日本でもお馴染みのペットモラコットから勝利を収めている。
試合は1Rからパンチ、キック、ヒジと最初からタナンチャイが圧倒。力の差は歴然の内容だった。問題のシーンは2Rの2分過ぎ、タナンチャイの左フックと右ストレートでハウィリが大きくグラつき、ロープ際へ。そこへタナンチャイが右アッパーで追い打ちをかけるとハウィリは完全に白目をむいた状態に。しかし、タナンチャイは追撃の手を休めず、さらにアッパーを3連打。ハウィリの身体は泳ぎ、目が上を向いていて意識がない様子。
しかし、タナンチャイがアッパーを連続で突き上げたため倒れることが出来ず、さらに右腕がロープに引っかかった状態でパンチを浴びながら身体が泳ぎ続ける。タナンチャイはさらに右フックで追撃、ここでようやく倒れるハウィリにタナンチャイがさらに右フックの追撃。完全に失神したハウィリは担架で運ばれた。
まるで『あしたのジョー』に登場する金竜飛の必殺技「舞々(チョムチョム)」が現実化したような衝撃KO。この動画がRWSの公式Instagramにて公開されると「このレフェリーはクビにならなければならない」「止めるのが遅い」「本当に悪い」「レフェリーは寝ていたのか?」と世界中から非難のコメントが寄せられていた。
タイのレフェリーの優秀さは世界中のキックボクシング関係者から認められているところで、選手の安全を守るために高い技術を持っている。公開された動画はスローモーションのためハウィリの危険な状態が分かるが、通常の映像ではタナンチャイの攻撃があまりにも早過ぎて途中でストップ出来るような連打ではないことが分かる。
それでも、もうワンテンポ早くストップをかけていればハウィリのダメージは多少は軽減されていたのではないか、と思われるタイミングではあった。
外国人選手のレベルアップが著しいムエタイだが、実力差がありすぎるマッチメイクにも問題があったのではないだろうか。