Rajadamnern World Series(RWS)2023年12月23日(土)タイ・ラジャダムナンスタジアム※U-NEXTにて見逃し配信中
▼第6試合 ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級暫定王座決定戦 3分5R○名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)KO 2R×シューサップ・トー・イッティポーン(タイ/同級10位)※名高が暫定王座に就く。
名高は2018年12月にラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王座(47.63kg)を獲得し、2019年4月にはルンピニーの同級タイトルも獲得。日本人初のムエタイ2大殿堂ラジャダムナン・ルンピニー統一王者となった。その後も快進撃を続け、2023年2月にはRWSシリーズに参戦し、左ハイキックで見事なKO勝ち。4月にはムエタイ強豪ソンチャイノーイもKO、5月にペットナコンをKOすると、7月にはウェウワーを破りラジャダムナンスタジアム認定フライ級王座を奪取。タイ人以外では史上初となるラジャダムナン王座の2階級制覇を達成した。
快進撃は止まらず、8月には『RWS』で初防衛戦を行い4R TKO勝ちで日本人では史上2人目となるタイでの防衛に成功。9月も『RWS』に出場してスーパーフライ級でスーウィチャイを初回KO。10月のBOMでは左ミドルキックでチョンデンの左腕を1Rで破壊し、11月の『ジャパンキック』ではルンサックノーイを左ハイキックで2RにTKOで葬り26連勝を飾った。
そして今回、ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級タイトルマッチ(暫定王座決定戦)が決定。タイ人以外の外国人による史上初“前人未到”の3階級制覇に挑む。
その対戦相手は、同級10位シューサップ・トー・イッティポーン(タイ)。両者は2016年11月に『ムエローク』で対戦しており、この時、名高は15歳、シューサップは17歳。試合はWMC世界ピン級タイトルマッチとして王者シューサップに名高が挑戦するはずだったが、シューサップは体重超過で計量をパス出来ず王座は剥奪。名高が勝利した場合のみ王者に認定されるという形で行われた。
体重超過のハンディとしてグローブハンディと減点が提示されたが、名高はこれを拒否。通常ルールでの試合を希望して試合が行われたが、3Rからシューサップが首相撲からの崩し技を徹底して試合の主導権を握り、判定3-0(50-47×3)でシューサップが勝利したという因縁がある。名高の52勝(35KO)6敗1分のレコードの1敗はこのシューサップに付けられたものだ。
名高はシューサップよりも長くワイクルーを舞い、最後には相手の目の前で四股を踏み、突っ張りで前進して場内の喝采を受ける。
1R、シューサップが左フックからの右ストレートで先制。名高は左ローを蹴るが、足を滑らせる。名高の左前蹴りをキャッチしたシューサップは左フックの連打。名高の左ミドルに左フックを合わせて来るシューサップ。名高は左の三日月蹴り、シューサップも右ミドルを蹴り返すと、すぐに名高が左三日月。名高はワンツーから左ローを蹴ると、シューサップは右ストレートを返してくるが名高はすでにその場にいない。オープンスコアは10-9×3で名高。 2R、シューサップの右ミドルをスウェーでかわした名高は左ハイを2発返す。シューサップの左前蹴りを払うと左ボディストレート。さらに左ローから右フック、左三日月と名高が前へ出て攻撃を当てていく。シューサップのワンツーは名高がバックステップでかわし、名高が左インローを蹴る。
明らかな名高のペースとなり、左三日月蹴りから左ストレート、下がるシューサップに名高は追いかけての左ストレート一閃。シューサップは後方へバッタリと倒れ、そのまま失神。レフェリーは即座にストップし、名高がKO勝ちで外国人史上初のラジャダムナン3階級制覇を達成した。
7年越しのリベンジを果たし、3本目のラジャダムナンのベルトを巻いた名高は勝利者インタビューに答え、「今回スーパーフライ級の3階級目、暫定ですが王座になることが出来ました。これも正規王者になるための道のりだと思いますので、ここで満足せずに頑張っていきたいと思います。112Pだと減量がきつくて、昔から3階級制覇する夢があったので無理をせず階級を上げました。自分が暫定王者で正規王者はプアパオ選手、リスペクトしている選手で強い相手ですが、超えないといけない壁なので必ずいつか戦って自分が勝ちたいと思います」と、正規王者との統一戦へ向けて語った。
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▼第3試合 スーパーフェザー級 3分3R○士門・エイワスポーツジム(=吉成士門/エイワスポーツジム)判定3-0 ※29-28×3×ワッチャラポン・シンマーウィン(タイ)
【写真】RWS 士門は吉成名高の従兄弟で、これまでにWPMFインターナショナルスーパーバンタム級王座のほか、WMC日本フライ級王座、WMCインターコンチネンタルバンタム級王座を獲得。「Road to ONE JAPANフェザー級ムエタイ日本トーナメント」で優勝と11戦無敗の快進撃を続けていたが、2023年6月にタイ・オムノーイスタジアムで初黒星。8月にはタイでプロムエタイ協会スーパーフェザー級王座を獲得し、11月のBOMでは梅沢武彦をTKOに破っている。戦績は14勝(5KO)1敗。
士門は8月のプロムエタイ協会のタイトルマッチで勝利したワッチャラポンとの再戦となる。戦績はなんと61勝2敗1分。これまで178㎝の長身を利して戦って来た士門だが、ワッチャラポンも同じ178㎝だ。
1Rから右ストレート、左右の縦ヒジを繰り出してくるワッチャラポン。入り際に必ずヒジを打つワッチャラポンに士門は首相撲で対抗。離れると士門がジャブから右カーフキック、組まれると先にヒジを打つ。離れるとまたも入り際にヒジを打つワッチャラポン。右ヒジで士門は左目上から流血。首相撲の攻防でヒザを蹴り合うが、ワッチャラポンが顔を押して組み伏せる場面もあり優勢に。
2R、士門は右ローの連打を見舞い、ワッチャラポンは首相撲に持ち込む。士門の右ローを足を引いてかわすワッチャラポンはすぐに組み付いて首相撲に持ち込むが、1Rのようにヒジやヒザが出ない。士門が右ストレートから組んでのヒザ、ワッチャラポンは士門の顔を抑えてのヒジ。士門は離れるとボディストレート、組むとヒザでボディを攻めるが、ワッチャラポンもヒザを蹴り返してヒジを打つ。ワッチャラポンの右ミドルをキャッチした士門は同時に右ストレート。これがヒットし、士門はさらに右ストレートでワッチャラポンをロープ際まで吹っ飛ばす。このラウンドは士門がとる。
3R前には場内が暗くなり、大型ビジョンに「ジャッジメントラウンド」の文字が踊る演出。開始から左ミドルとヒザで攻めるのは士門。組んでのヒザ、ワッチャラポンは左ヒジ、士門もヒジを打ち返す。右ストレートで前に出る士門にワッチャラポンは組んでの右ヒジ連打。ワッチャラポンは右手で士門の顔を抑え、左ヒジを打つ。士門は再び右カーフを蹴るがワッチャラポンはしつこく組んでのヒジ。離れると士門が右ストレート、ワッチャラポンはカモンゼスチャーして流し始める。
勝敗は判定に持ち込まれ、ジャッジ三者とも29-28。最終ラウンドは士門がとって白熱の接戦を制した。
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▼第2試合 114ポンド(51.71kg)契約 3分3R×ジャバド・モザファリ(イラン)KO 3R○竜哉・エイワスポーツジム(=奥柄竜哉/エイワスポーツジム)
竜哉は小学4年生でムエタイを始め、アマチュア時代は約100戦を経験して9本のベルトを巻いた。中1の時にタイでプロデビューを飾り、タイで試合(約20戦)・練習経験を積んで2018年4月に満を持して国内プロデビュー。いきなりWMC世界ピン級王座を獲得して世界王者となった。2019年7月にはタイでIBFムエタイ世界ミニフライ級王座決定戦を制して日本人3人目の同世界王者となり、9月には同じくタイ・ラジャダムナンスタジアムにて日本人として8人目の同スタジアム王者に。
2020年2月にKO勝ちでWPMF世界ミニフライ級王座を獲得。怪我で戦列から離れていたが、2022年12月に約1年ぶりの復帰戦で秒殺KO勝ちした。2023年8月にはタイでスーパーチャンプから勝利を収めたが、10月のRWSではデッチャピチャイ(タイ)に判定負け。戦績は33勝(11KO)7敗2分。
当初の対戦相手であるペイマン・ゾラファガハリ(イラン)は前日計量で3kg以上オーバーしたため、同じイランのジャバド・モザファリが急遽対戦相手として用意された。モザファリは3時間で5kg減量して計量をパスしたという。竜哉と同じ23歳。
竜哉はワイクルーの最後にかめはめ波のポーズをとって歓声を浴びる。1R、竜哉は右ローで先制、モザファリもすぐ右ローを返す。竜哉は左フックからの右ローを多用。竜哉は右ローを蹴っておいて右ハイも放つ。竜哉の右ローに大きくバランスを崩すモザファリは右ストレートを伸ばしてくる。
竜哉の右ローがヒットするたびに、モザファリは大きくバランスを崩す。モザファリはワンツー、竜哉の蹴り足をキャッチしにいくが、竜哉が右ハイを軽くヒットさせて圧倒的優勢のままラウンドを終えた。
2R、モザファリはサウスポーにスイッチ。ワンツーで前に出るが竜哉はスウェーでかわす。モザファリがオーソドックスに戻ると再び右ローを蹴っていく竜哉。左ボディ、右ハイ、右ローと竜哉が一方的に攻めるが、モザファリは蹴り足キャッチで耐える。
3R、モザファリの左足は竜哉の右ローで無残に腫れあがる。竜哉はワンツーから右ロー、ボディへの左ヒザ、さらに右ロー。竜哉はカモンゼスチャーで挑発し、右ローを蹴っていく。下がり続けるモザファリに右ストレート、左縦ヒジ、左ボディからの右ロー、右縦ヒジ。サンドバッグ状態のモザファリだが左右ボディを返す。しかし、竜哉のヒザが2発決まったところでレフェリーがストップ。もはや試合にならないと判断したのだろう。
竜哉が嬉しいRWSでの初勝利を飾った。