キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】朴訥vs.イケメン対決、古木誠也「いろんなスタイルで倒しに行く」壱・センチャイジム「力vs.技の凄く分かりやすい試合になる」

2023/11/30 22:11
 2023年12月9日(土)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.6』にて、スーパーファイトのKNOCK OUT-BLACK -56.0kg契約3分3R延長1Rで対戦する同スーパーバンタム級王者・古木誠也(G1 TEAM TAKAGI)と第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者・壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。  古木はフルコンタクト空手で多数の優勝・入賞歴を持ち、持ち前の破壊力で2022年9月大会は前田翔太に初回TKO勝ち、11月大会では5戦目にして元KNOCK OUT-REDバンタム級王者・響波を右フックで初回KOに破り、12月の王座決定戦では工藤“red”玲央を初回KOして王座に就いた。2023年3月の王者第一戦で武蔵に初回KO負けを喫したが、練習環境を変えて8月の再起戦に臨み小倉尚也を初回KOで破り王座初防衛に成功した。9月には波に乗っていた森岡悠樹も初回KOに破り戦績を7勝(6KO)2敗とした。  沖縄出身の壱は空手をベースに持ち、ボクシングを経て上京してムエタイを始めた。2008年11月の『MuayThaiOpen』でLPJNバンタム級王座に就き、2019年12月に岩浪悠弥に敗れるまで14連勝をマーク。2022年11月に「第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント」を制して王者となったが、2023年3月にノンタイトル戦で響波にKO負け。8月の初防衛戦でも古村光に判定2-1で惜敗して王座を失った。11月に初のOFGマッチに臨むと片島聡志に完勝を収め、4試合連続でベストバウト賞を獲得する“ベストバウター”となった。戦績は23勝(8KO)9敗1分。  当初は古木とKNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者・古村光がマッチアップされていたが、古村が負傷のため欠場。代わって「これで4試合連続のベストバウト賞なんですよね。僕は“ベストバウター”なので大会に困ったら呼んでくれれば絶対に盛り上げるのでよろしくお願いします」とアピールしていた壱に白羽の矢が立った。 古木誠也「トレーナーからは『お前はパンチより蹴りの選手だ』と言われています」 ──カードが変更になって、壱・センチャイジム選手になりました。その前、古村光選手と対戦が決まっていた時点では、どういう試合をしようと思っていましたか? 「古村選手は距離感とかうまいと思うし、テクニックもありますけど、その距離とかに惑わされずに自分の試合をしようと思っていました」 ──それが壱・センチャイジム選手に変更になって、選手のタイプとしてはけっこう違うと思うのですが、意識としても違いますか? 「いや、自分がやることは一緒だと思うので、あまり変わらないですね。テクニックに惑わされないという点では同じです。僕のスタイルも変えないですし」 ──壱選手の印象はどうとらえていますか? 「何でもできるなと思います。相手の良さを消して自分のペースで戦うイメージがあります。そのペースに持っていかれて、自分が何もできないということにならないようにしたいです」 ──壱選手はヒジなしの試合はこれが初めてだそうです。だからヒジありの試合での映像しかないわけですが、それは影響ありますか? 「いや、自分は壱選手の戦い方を見る感じで、参考になるところはいろいろあると思うので、変わらないですね。相手がこれまでヒジありしかやってないというのは、意識としては変わらないです。首相撲はしてくるかもしれないですけど、攻撃1回までなので、それでペースを乱されなければいいかなと思います」 ──チャンピオンになって、ちょうど1年が経ちます。その中で自分のスタイルや戦い方については、かなり自信がついてきたのでは? 「もちろん完璧ではないですけど、だんだん自信はついてきてますね。試合をするたびに、練習でやってきたことを出して結果を出せてきているので、それが自信につながってます」 ──その過程の中で、前回は森岡悠樹選手との試合で勝利しました。あの試合を振り返ると? 「あの試合も練習してきたことが出せて勝てたので、自分のスタイルが身についてきた感じがしました」 ──そうやって自信が深まってくると、この先に見えるものも広がってきているのでは? 「今は交流戦とかもあるので、他団体の選手とやっても勝てるように、意識して練習するようにはなっています。トレーナーからも『いずれ交流戦もあるかもよ』と言われているし、自分としても機会があれば出たいので、どんな相手にも負けないように練習してます」 ──それが実現したとして、そこで見せたいものとは? 「やっぱり自分は『KNOCK OUT』のチャンピオンなので、その強さを見せたいですね。そういう場に出られるようになるためにも、今回もしっかりKOで倒したいと思っているので、期待してもらいたいです」 ──チャンピオンになってから、周囲に変化はありますか? 「会場とかいろんなところで、声をかけられることが増えてうれしいですね」 ──「朴訥」とか「華がない」と言われることも多いですが、どうですか? 「別に、全然気にしてないです。僕は格闘家なので、試合で強さを見せるのが一番だと思っているので」 ──そういう中で、選手としてやり甲斐を感じることは? 「多くの人が会場に来てくれたり、会場じゃなくても応援してくれたりメッセージをくれたりして、そういうのが増えてるので、絶対負けられないなという気持ちがより強くなりました。期待に応えたいし、練習も気が抜けなくなりますね」 ──古木選手としては、どういう風に言われるのがうれしいですか? 「やっぱり『強いね』って言われるのがうれしいです。あと最近はパンチのバリエーションを増やす練習をしているので、そこを褒められた時はうれしかったですね」 ──森岡戦でもまたバリエーションが増えていましたからね。 「ただ、あの試合でも練習していて出せなかったものもあるし、最近はディフェンスの練習にも力を入れているので、次の試合ではそういうところも見せたいですね。それにあの試合はやっぱりパンチに偏ってしまったんですけど、トレーナーからは蹴りを褒められていて、『お前はパンチより蹴りの選手だ』って言われてるんですよ。だから試合でも『蹴りを見せろ』って言われるんですけど、いつもパンチに偏ってしまうので、今度は蹴りも出していきたいです」 ──蹴りも出せたら、もっと強いということですか? 「蹴りで組み立ててパンチで、ということは言われるんですけど、自分は早く勝ちたいからパンチでいっちゃうんですよね。それでKOで勝てているので、怒られるということはないですけど、試合後に映像を見て反省会をしている時に『ここで蹴りを出せた』みたいなことは言われます」 ──では次の試合も、パンチで早く勝ちたい? 「でも壱選手は上手で、そう簡単に自分のペースにさせてくれなそうなので、蹴りから崩していった方がいいのかなと思います」 ──蹴りで倒してみたいという気持ちはないんですか? 「それはあります。トレーナーもそれは思ってるみたいで、『パンチも蹴りもできるところを見せなさい』とは言われます。でもやっぱり、試合になったらパンチでいっちゃうような気もします」 ──そこがどうなるのかも楽しみですね。では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう? 「パンチに偏らず、練習してきたいろんなスタイルで倒しにいくところを見てもらいたいですね。まあ結果的に、パンチで倒すことになるかもしれませんけど」 [nextpage] 壱・センチャイジム「BLACKで通用するようなら、他団体にも打って出たい」 ──まず11月大会ではOFGルールに初挑戦して勝利しました。試合後は、いつもの試合との違いはありましたか? 「僕が怖かったのは拳のケガだったんですけど、今回はいつもよりケガなく終われましたね。顔に傷は負ったんですけど、それは練習に支障は来さないので、試合の次の日から練習に復帰していました」 ──そうなんですか! 大会全体では選手の外傷が多かったようですが。 「細かい傷はあるんですけど、蹴り足が痛いとか、拳が痛いとかはなかったですね。初めてのOFGということで、みんなが何を求めてるかと考えたら、やっぱり打ち合い、殴り合いが見たいんだろうなと思ったので、今回はもらう覚悟でこちらもぶつけにいってたんです。それこそ『ケガしても、みんなが楽しめればいいや」という感じだったので、終わってみたら「意外とこういう気持ちでいった方が、ケガがないのかも」と思いましたね」 ──なるほど。で、試合翌日から練習していたら、急にオファーがかかって連戦になったと。 「そうなんですよ。練習していたから受けたというのもありますね。相手の古木選手の強さは認めているので、練習してなかったら受ける相手じゃなかったんですよ。でもジムの後輩が2人、12月10日に試合だったから彼らのためもあって練習に参加していたので、オファーが来た時に『準備できてるんで、やります』って言いました。でも会長からは『勝てる見込みないだろ? 私に考える時間をちょうだい』と。『プランがあるなら教えて』と言われたので僕の考えを話したら『じゃあやるか!』ということで。会長が、『壱がBLACKルールで勝つにはこれしかない』と考えていたことと、僕のプランがハマったので、GOサインが出た感じでしたね」 ──これまでにヒジなしの試合というと……。 「初めてです。今までは全部ヒジありでやってきたので」 ──そうですよね。そのルールの違いは大きいと思うんですが、不安はない? 「ジムでやってるスパーリングとかも、BLACKルールみたいなもんじゃないですか。だから不安という不安はないです」 ──と言っても、相手はそのBLACKルールのチャンピオンですよ。あれだけのハードパンチャーですし。 「僕はもともとBLACKルールの試合には興味があったんですよ。日本はヒジなしルールが主流だから、BLACKの方が他団体に乗り込みやすいし、比べられやすいじゃないですか。だけど今までやったことがなかったから、未知の世界だなあと思ってたんです。そこにこんなオファーがあって、せっかくやるんだったら一番強いヤツとやりたかったので、ちょうどいいなと思って。古木選手だから受けたんですよ」 ──なるほど。 「みんなからは『この緊急オファーで、しかもBLACKでチャンピオンとなんて、よく受けたね』って言われるんですけど、僕からしたら古木選手だからやる意味があるんです。どうせやるならトップとやって、勝ったら『こっちの才能もあったんだな』と思って続ければいいし、勝てなかったらムエタイらしくREDに絞ってやっていけばいいなと思って。結局、スーパーボンとかブアカーオとかシッティチャイとか、ムエタイベースの技術を使ってヒジなしの大会で活躍してる選手だってたくさんいるじゃないですか。結局ムエタイって何でもできるので、このルールに生かせる部分だけ使えばいいんですよ」 ──ただ、スパーでも首相撲は使いますよね? 「ウチのジムはアマチュアの選手が多いし、K-1系の選手やMMAの選手も出稽古に来たりしているので、スパーリングもほとんどBLACKに近い形でやることが多いんですよ。それをけっこうやってるので、同じ感覚かなと。だけど一つ問題があるとしたら、1日の練習で平均4回はヒジを出してしまうところですね」 ──出ちゃいますよね(笑)。 「コーチもミットで『ヒジ! ヒジ!』って毎回言うんですよ。そこだけ、僕とコーチの意識だけが問題ですね。 ──でもそれは大問題な気もしますが(笑)。 「僕らは普通のキックボクサーのワンツーぐらいの感覚で『ワンツーヒジ!』って出ちゃいますからね。まあ注意点はそこだけですね」 ──改めて、古木選手の警戒すべき点とは? 「もちろん体、フィジカルの強さですね。誰が見ても古木選手の方が力があって、誰が見ても僕の方がテクニックがあると思うんですよ。だから古木選手はどうやって僕を打ち込むか、壱はどうやってテクニックを生かしてロングの攻撃を出していくか。誰が見てもそうなると思うので、ある意味すっごく分かりやすい試合になると思いますね。『力vs技』みたいな。だから僕自身、すっごく面白いんじゃないかなと思います。 ──実際、今回BLACKでどこまでできるか、楽しみなんじゃないですか? 「楽しみですね。僕がブアカーオやスーパーボンみたいに、BLACKでもある程度通用することが証明されたら、その時は可能性を広げて、日本の他団体も盛り上げることができると思います。古木選手とやれば1戦で分かるので、手っ取り早いですね」 ──前回に続いて、また新しい姿が見られそうですね。 「そうですね。前回はやること自体は同じで、攻撃が入りやすいとかいう話だったんですけど、今回はやること自体が正反対ですからね。本当に全く違う僕が見られると思います」 ──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう? 「古木選手は僕から見ても強いし、僕もすごく好きな選手なんですけど、やっぱり少し華に欠けるんですよ。だから華の差を見てもらえればいいなと思います。やっぱり華がある選手がチャンピオンの方が面白いので、そこを見せたいと思います」
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