UFC PIでデモポロスがこっちに来て──
──敗戦もアクシデントも乗り越えた新しい姿が見られるのを楽しみにしています。では、今回対戦するバネッサ・デモポロス選手ですが、プロフィールの前職の欄に『ストリッパー』と書いてあり、ポールダンスを得意としている異色のファイターですね。どんな印象ですか?
「“クセ強” だなと思いました(笑)」
──それは(笑)、試合動画の印象で? あるいは何かあったのですか?
「UFCのPIに行くと、 フロントデスクの担当者が対戦相手とは極力合わないように、『この時間帯は対戦する選手があっちにいるから、あっちには行かないように』というような感じで試合前の選手の動きを管理してくれているのですが、練習する場所と関係のない休憩スペースのようなところで待機していたら、対戦相手がパパッとやって来て、なんか『ハロー!』みたいな感じのことを言ってきて(笑)。こちらは“会わないようにしてる(し、UFCもそうしてくれている)のに……”と思いながら(ペコリと頭を下げて)『ハロー』って返しました(苦笑)」
──特に絡まれたりしたわけではないなら良かったですが、びっくりしますね。
「そうですね。 ちょっと、斜め上ぐらいから握手する手が伸びて来るのを感じました(笑)」
──斜め上から(笑)。ただ図らずも向き合ってみたことで、想像していたイメージとは違いましたか? もともと1階級上でやってきていた選手なので、たとえば、ゴツいと感じたとか、斜め上の握手に応じてみて、立ち合いも組み合いも、問題なさそうだな? とか。
「そこは実際やってみないと分からないことではありますけど、でも(相手のデータは)身長がちょっと自分よりも高く(村田154.9cm、デモポロス157.5cm)、リーチがすごい短かい(村田157.5cm、デモポロス151.1cm)、というものだったのですけれど、初めて会った時に“ちょっと、ちっちゃいな”と思ったことは印象的でした。(データで見るより)身長も小さいな、と感じて」
──対デモポロス選手対策というのもしてきましたか?
「打撃に関しては、今回の相手もですが、あまり相手どうこうは関係なく、ボスにアドバイスをもらいながら、自分が何をするかという部分を練習してきています。あとは今回の相手は柔術が得意(黒帯)なので、そのあたりの対策はしてきています」
──デモポロス選手が一本勝ちをしている試合は、打撃でダウンを喫して相手が上になった状態で、下からセットして逆転勝利しているものが多い印象です。LFAでは下からインバーテッドの三角絞めで極めたりも。その点も含めて、村田選手がテイクダウンしてトップを取った状態からの下からの攻めには注意していますか?
「はい! ゲームプランはしっかり考えてあります」
──そのプランについては多くは語れない、と言う感じですか。
「はい(笑)」
──それでは今回が再起戦ということで改めて前戦についても伺います。あれから現在はUFC女子ストロー級の6位にランクしているヴィルナ・ジャンジローバ選手を相手に、2Rで腕の負傷でTKO負けという結果になりました。あれは1Rの腕十字がかなり深く入っているように見えまい??たが、そこで痛めていたのを我慢して、2R目を戦っていた、ということなのでしょうか。
「まず1R目の結構早い段階で相手の右をもらって目が腫れて。結構ヤバいなって思いつつ、相手がガードに入れてきたところを焦りながら、パウンドを打ったりして、そこで隙ができてしまい腕を極められて。ちょっと我慢して、“まあ大丈夫かな”って思いつつ我慢をしてたんですけど、ちょっと、『バキバキバキッ!』みたいな音がしていて、“でも大丈夫かな、どうかして逃げなきゃ”と思って必死に逃げているあいだに1Rが終わって。終わったあと(ヒジを曲げて上げながら)“大丈夫かな”と思って確かめたら“大丈夫そうだな”ってなって。
で、2R目に今度は自分がパンチを出した時に、スコーンって腕が抜けちゃって。で、そこから左腕がいうことをきかなくなってガードも上がらなくて。セコンドに『ガードを上げろ!』って言われるんですけど、手がもう全然動かなくて。左腕だけ全然動かないけど、なんかやらないと思いながら、ずっと右腕一本で戦ってました。痛くはなかったんですよね。“なんで腕上がんないんだろう?”って思って。自分の腕に、自分の脳からの指令が全然伝わってない、自分の腕じゃないような感覚でした」
──そういった試合中の怪我はもちろんですが焦り戸惑いながらも戦いを続けようとした、そういう試合を経て、それから手術も経て怪我を治して練習に取り組んでいくなかで、学んだことや成長につながったことはありますか。
「全部ですね。 だから打撃においても、レスリングももちろん、柔術も、すべてにおいて前回よりいいパフォーマンスが見せられるのではないかと思います」
──その前戦の対戦相手であるジャンジローバは現在6位です。いまは日曜の復帰戦に集中している状況だとは思いますが、上位陣(ランカー)についてはどんなふうに見ていますか。
「それぞれ相手との相性もあると思うのですけれど、それ次第で“今勝てるかな”と思っている選手もいるし、これからどんどん自分がもっと強くなっていってから倒さなくてはいけない相手もいるとは思っています」
──トップどころの試合は「もし戦わば」という意識で見ているのですね。
「そうですね。ここが強みなんだなとか、逆にここが弱点なんだな、そういうふうに見ています」
──そうやって村田選手が世界の上を目指している一方で、RIZIN等に出ていた村田選手の試合を観戦して憧れていたような若手の女子選手も活躍し始めています。そういう選手と手を合わせる機会もあると思うのですが、キャリアを重ねるなかで下の世代はどんなふうに見ていますか?
「刺激ももらえますし、自分が言うことじゃないんですけど、頑張ってほしいですね。これから強い若い子が育ってくれれば、自分も練習相手も増えるし。“日本人選手は強い!”と思われるように、じゃないですけど……」
──自分が先陣をきってそれを引っ張っていきたい、というような?
「あはは、いや。そうでもないんです(笑)。ボスの次くらいで。大きいことはそんなに言わないんです(笑)」
オフィシャルフォト撮影の合間に😉#村田夏南子 @m_r_t_k_n_k
— UFC Japan (@ufc_jp) October 5, 2023
パワースラップ🖐#PowerSlap5
⚠村田夏南子は出場いたしません🙇♀️@m_r_t_k_n_k の次戦は10月8日(日)👊
バネッサ・デモポロスと対戦💥#UFCVegas80 pic.twitter.com/guSlTmTA1M
【写真】果たして今回の入場はマスク着用が認められるか……。(Zuffa LLC/UFC)
──我が道を行くと(笑)。では最後にひとつ、トレードマークのマスクについて。UFCでの入場時には着用していませんが、禁止されているのですか?
「今日また『ダメだ』という話になったのですが、デイナ(・ホワイト代表)さんが、『入場の時に顔が見えないとダメだ』ということを言っていたそうなのですけど、またお願いしてくれるそうです」
──「もしかしたら?」ということで、乞うご期待ですね!
「そうですね。新しいマスクを持ってきましたので!」
──では、その入場も含めて、村田選手の復帰戦を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「2年ぶりにケージに帰って来ました! 試合は3試合目で朝早いのですけど、起きれた方は是非応援よろしくお願いします!」