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2023年9月24日(日)の『RIZIN.44』で、金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA)との試合が発表された、RIZINフェザー級前王者クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)に、本誌が個別インタビューを行った。
会見では、金原が「戦う巡り合わせ。いままでやってきたことの“答え合わせ“になる。日本人で唯一勝てるのは僕。最後に燃え尽きるなら、この相手なら問題ない。格闘技人生の最後の大一番、クレベル・コイケをブッ倒して、ヴガール・ケラモフに挑戦して、日本にベルトを取り返す」と、自身の格闘技人生の集大成として、進退を賭けて戦う意気込みを語った。
そんな金原に対し、クレベルは「金原さん、試合ありがとうございます。長い知り合いで、一緒にハードに練習しました。この試合は特別。試合やって自分、“チャンピオン”を守りたいです。タイトルマッチをもう1回やりたい。次の試合、頑張ります。ベルトは無いけど、まだ私フェザー級チャンプ」と、剥奪された心の王座を守るとした。
その会見後に、本誌は個別インタビュー。
クレベルは、金原を「ファイターとしての気持ちがまだまだ上がっている」と警戒しつつも、金原の「パスガードの攻防ができるから戦える」の言葉に対し、「いざ実戦になるとできない」と、自信ものぞかせた。
400gの体重超過でベルトを手放しながらも、鈴木千裕に何もさせずに一本勝ち、まだRIZINで日本人相手に敗れていない柔術の“鬼神”が語った、金原正徳戦、ピットブル兄弟との因縁、朝倉未来の敗戦、ケラモフ戦、そしてベルトへの思いとは──(後篇)。
金原選手のスタンドはモノが違うけど、自分もピットブル戦を経て打撃が成長している
(前篇からの続き)
──金原選手は会見で「質の高いMMAをやりたい。打撃にこだわることなく、グラップリングを拒否せず、流れのなかで場面場面で決める」と。さきほどクレベル選手が仰った寝技に自信があるなかで、むしろ怖いのはMMAでは必ずスタンディングで始まることでしょうか。
「そうですね、スタンドに関しては彼はセンスがあって、カウンターパンチが当てられて、リズムもある。そう、全部モノが違います。みんな実際に試合したら当てられてびっくりしているけど、そうやって当てられるのもプレッシャーをかけられるのも、全部できるからだし、いっぱい試合も経験していて、プロのキックでも試合をしている。それはちょっと違う」
──クレベル選手のリズムも独特だし、金原選手のリズム・ステップも独特です。相手が反応し辛いタイミングの打撃を持っています。スタンドで立ち合う自信はありますか。
「もちろん! 自分はパトリシオ・ピットブル戦を経て打撃が成長していると感じたし、もっともっとレベルを上げて強くなりたいと思ってる。自分にはポテンシャルがあると思っているし、キックボクシングをやる、打撃やるぞ、となってもやっぱり試合が始まったら、一番自分ができるし安全な動きはサブミッションなので、それが立ち技から連動しているのが、自分のMMA。そのテイクダウンもさまざまなバリエーションがありますし、すぐに一本勝ちできないとなったらもっとキックボクシングもやりたいと思ってやってきました」
──金原選手もタイで練習するということでしたが、クレベル選手が出稽古する場所とは異なりますね。
「それはしょうがないです(笑)、たぶん彼はタイガームエタイですよね。日本人はみんなそうだと思う。自分はプーケットファイトクラブで、たまにバンタオにも行くかな? くらいで同じジムになることはないだろうから大丈夫です」
──磐田と豊橋でも練習環境はあります。タイに行けば、誰かよい練習相手がいるでしょうか。
「それも含めて、タイに行くことはこれからちょっと考える感じです。試合も決まったばかりなので、行くか行かないか、分からないけど、自分としてはチーム、マネージャー、家族やスポンサーについても考えないといけないので。でも、タイに行くのは、練習相手だけでなく、ずっと組んでいるコーチたちもいるから」
──金原選手は、これまでクレベル選手が対戦した中でももっとも強い選手の一人かと思います。40再で年上ですけど──そういえば動画では敬意を込めて「おじいちゃん」と呼んでましたね。
「おじいちゃんだけど! まだ強くなっている! 歳は関係ないんですよね。気持ちが高いところにあるのが大事というか、ファイターとしての気持ちがまだまだ上がっているのが分かります。だから本当に彼は危ない。MMA IQが高くて馬鹿じゃないし、弱くない」
──金原選手はこれまでのファイターとしての集大成、すべてをかけてくる。クレベル選手もそれを理解して、金原選手との試合に臨むのですね。
「当然すごくよく分かっています。簡単な試合じゃない。もちろんチャンスがあったら私は一本勝ちですけど、それは簡単ではないと思っています」