朝倉未来は自身の寝技を過信した
──朝倉未来選手に何もさせずに勝利したヴガール・ケラモフ選手の強さをどう感じましたか。
「当然ケラモフが強かったと思いますけど、でも、普通です。びっくりすることはなかった」
──たとえば、KSWで戦ったマテウス・ガムロ選手(元KSW王者・現UFC5勝2敗)と比べてどうですか。
「全然違いますね、ガムロのほうが引き出しは多いし、めっちゃ強い」
──では、あの力強いケラモフ選手相手にも戦って勝つ自信があると。
「もちろん。間違いないですよ、自分の一本勝ち。ケラモフについては色々言われていますけど、とにかく一番大事なのは気持ちだと思うから。自分の気持ちがそこに向かっているから戦えば、絶対に勝ちますよ」
──朝倉選手はあの試合でどういうミスをしたと思いますか?
「朝倉選手が間違えたというよりも、ケラモフ選手がしっかりプランを用意してきて、そのプラン通りにできたということかと思います。それができたら安全だという。リスクはあって、危ない瞬間はあるかもしれないわけだけど、こうすれば一番安全に取れるというプランを遂行できた」
──サウスポー構えで打撃が強い朝倉選手を相手に、ケラモフ選手は絶妙なポジションとタイミングで、ファーストコンタクトでテイクダウンしました。
「そうですね。だから朝倉選手に間違いはなかったと思う。でも、ちょっと最初強く行ってしまってはダメで、ちょっと動いて見ていれば安全だった。ただ、起きてしまったことはしょうがないですね」
──テイクダウンはされたとして、そこからのリカバリーが厳しかった。すぐにパスガードされて立ち上がりで右を差せないままバックを取られた。結果論ですが、いくつかの段階で対処が遅れたのはなぜだと感じましたか。
「そうですね……。たぶん、朝倉選手は牛久(絢太郎)選手との試合に勝ったばかりで、自分の寝技の技術が上がってるという自信をつけてしまったのだと思います。でも、牛久選手とケラモフ選手はスタイルも違いますよね。ケラモフ選手はもっとレスリングとかグラップリングができるから。牛久選手も柔道ベースでも割と全部できるタイプなのですけど、かといってその全部が、すごい上手っていうことじゃないんです。
でも、ケラモフ選手はその逆というか、レスリングが特別めっちゃ上手くて、グラップリングも上手いんです。ところが朝倉選手は牛久戦を経て“自分はグラップリングが上達している、ディフェンスができる”というような自信をつけていたのだと思います。それがケラモフ選手のレスリングやグラップリングに対してはそうじゃなかったと」