MMA
インタビュー

【RIZIN】金原正徳と対戦するクレベル・コイケ「本当に彼は危ない。でもベルトを取り戻すまでは──」(前篇)

2023/08/30 12:08
 2023年9月24日(日)の『RIZIN.44』で、金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA)との試合が発表された、RIZINフェザー級前王者クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)に、本誌が個別インタビューを行った。  会見では、金原が「戦う巡り合わせ。いままでやってきたことの“答え合わせ“になる。日本人で唯一勝てるのは僕。最後に燃え尽きるなら、この相手なら問題ない。格闘技人生の最後の大一番、クレベル・コイケをブッ倒して、ヴガール・ケラモフに挑戦して、日本にベルトを取り返す」と、自身の格闘技人生の集大成として、進退を賭けて戦う意気込みを語っている。  そんな金原に対し、クレベルは「金原さん、試合ありがとうございます。長い知り合いで、一緒にハードに練習しました。この試合は特別。試合やって自分、“チャンピオン”を守りたいです。タイトルマッチをもう1回やりたい。次の試合、頑張ります。ベルトは無いけど、まだ私フェザー級チャンプ」と、剥奪された心の王座を守るとした。  その会見後に、本誌は個別インタビュー。  クレベルは、金原を「ファイターとしての気持ちがまだまだ上がっている」と警戒しつつも、金原の「パスガードの攻防ができるから戦える」の言葉に対し、「いざ実戦になるとできない」と、自信ものぞかせた。  400gの体重超過でベルトを手放しながらも、鈴木千裕に何もさせずに一本勝ち、まだRIZINで日本人相手に敗れていない柔術の“鬼神”が語った、金原正徳戦、ピットブル兄弟との因縁、朝倉未来の敗戦、ケラモフ戦、そしてベルトへの思いとは──(前篇)。 金原選手は本物、ずっと大リスペクトしてます。練習で1度だけ組んだけど、試合とは別物 ──髪色がすっかり定着しましたね。 「どうですか? これからずっとこれで行こうかと思っているんですけど。でもブリーチするのが痛いんだよなあ。熱くて、痒くて(笑)」 ──ああ、痛いんですね。でも痛みには強いでしょう?「そうですね。でも、これは別(笑)」 ──さて、9月24日の『RIZIN.44』で、金原正徳選手との試合が発表されました。即、承諾したような感じでしたか? 「最初は他の選手何人か試合のオファーがあって、自分は“誰とでもやる”という感じだったので、挙がった名前に対してOKしていて、候補選手の返事を待っている状態でした。その選手とRIZINとの交渉の過程で、金原選手が代替候補として名前が挙がっていて、月曜日に(榊原信行CEOが磐田に来て)話しをして、そのあと、相手が金原選手になると100パーセント決まったのは、会見の前日(8月8日)です。昨日、『金原選手になります』という連絡を受けました」 ──ほか選手がオファーを断るなか、結果的に一番厳しい相手に決まったということですね。 「そうですね」 ──ボンサイ柔術勢が参加した『QUINTET』の時に、一緒に練習をされたのですよね? 「そうです、1回だけちょっと練習しただけで。『QUINTET』でグラップリングを1回。彼が、マルキーニョスとサトシと同じチームだったから。日本のチームとして。あと、フィジカル練習で3回くらい一緒になっています。自分がたまにHALEO(の中のボンサイ柔術)で教えてから、下の階のジムに行った時に、彼とフィジカルトレーニングが一緒になったり。ずっと彼のことは大・リスペクトしてます。仲良くしていて。彼はすごいジェントルマンというのかな、トラッシュトークをすることもなくて、本物の人。いつも優しいし、彼のことは大好きです」 ──クレベル選手にとっては、パトリシオ・ピットブル戦に続く「MMAが強い人」が対戦相手となります。 「そう、そうなんです。彼が昔、戦極で活躍するのを見ていました。“めちゃ強いな”って。もちろんその後のUFCも」 ──1回だけスパーしたという、その時の印象は? 「まあ……練習ですからね。特別な思いでやっていないというか、本気じゃないから。軽くロールしただけなので。練習と試合は全然違いますからね。練習における勝ち負けって、まずいなと思ったらすぐタップをして、じゃあ次となるけれど、試合は特別な状況だから。気持ちの面で、ハングリーさが全然違うので」 [nextpage] 彼がパスする・しない、パスを防ぐ・防がないは関係ない。絶対にどんなポジションでも一本勝ちができる ──その金原選手は、会見で「クレベルとは誰もが避けるグラップリング勝負をしない選択肢もあるが、自分はグラップリング、柔術に自信があるので、そこで唯一対抗できるのは自分しかいないとずっと思っていたし、そのなかでクレベルがどう選択するか分からないけど、組んだなかで勝てるもので勝負していけばいいと思っています」と語っています。  さらに本誌の取材には、「クレベルと戦うには、パスガードの攻防/やりとりができないと負ける」と、そして「自分はパスガードの攻防ができる」と言っています。これまでの相手と彼の違いはそこにもあるのではないでしょうか。 「それはまあ……、自分の相手はいつもみんなそうなのですが、試合前に『〇〇ができる』と言うことができても、でも試合でできないですよね。言葉では『やる、やらない』とどうとでもみんな言えます。でもいざ実戦になるとできないです。とはいえ、できたとして問題ないです、なんであれ自分が一本勝ちできる。彼がパスしようが、テイクダウンできようが、大丈夫です。  金原選手だけに対してではなくて、みんな全員に言えることなのですが、たとえば、『(クレベルの攻撃を)1回ディフェンスできてしまえば……』とか言いますよね。でも、自分は頑張って、もっともっとできるようになっていて、絶対にどんなポジションでも一本勝ちができる(と信じている)。だから彼がパスする・しないは関係ないんです」 ──少なくとも寝技の攻防で後手に回らないことで、MMAとしての動きを発揮できる。金原選手が摩嶋一整戦で見せた、あのわきを差して頭をつけての得意のパスガード、そして肩固め、あの一連の動きをどうとらえていますか。 「うーん。まず、摩嶋選手は寝技が上手ですが、コントロールだけなのかなって。いいガード、スイープではないです。柔道のサイドコントロールが色々できて上手なのですが、自分にとってはそれはあまり意味がないことです。あまりオフェンスのバリエーションはない、という感じがしました。摩嶋選手は柔術のトップ選手というよりも柔道のトップ選手というか、寝技といってもちょっとだけ違いますね。  柔術のオフェンスで言うと、当然金原選手はグラップリングが上手いので。彼は柔術の黒帯で、いっぱい試合に出ていて、柔術の極めがある。とはいえMMAの最初のMは“ミックス”だから。ちょっと違いますね。それは他もそうで、ボクシングだとか、ムエタイだとか、グラップリングが、それぞれが抜きん出てるといっても、それをミックスしてしまうと、簡単じゃないですよね」 ──それは両者に言えることかと思います。クレベル選手の抜きんでた柔術を、MMAだから対処できる可能性もある。逆に“ミックス”だからクレベル選手は金原選手のガードをパスできるということですか。 「まあ……、絶対できますよ。誰が相手でも自分の寝技には自信があるから」(※後編に続く)
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